この章では、このWebLogic Server 12.1.3ガイド(『WebLogic Scripting Tool 12.1.3の理解』)の内容と構成について説明します。
この章の内容は次のとおりです。
このドキュメントでは、Oracle WebLogic Scripting Tool (WLST)について説明します。また、WLSTコマンドライン・スクリプト・インタフェースを使用して、WebLogic ServerのインスタンスおよびWebLogicドメインの構成、管理、およびこれらへの変更の永続化を行い、サーバー実行時イベントをモニターおよび管理する方法を説明します。
このドキュメントは、Java Platform、Enterprise Edition (Java EE)を使用してJava EEアプリケーションをデプロイする、WebLogic Serverの管理者およびオペレータを対象としています。読者は、Webテクノロジ、およびWebLogic Serverがインストールされているオペレーティング・システムとプラットフォームに精通していることが前提となっています。
このドキュメントの構成は次のとおりです。
この章「概要とロードマップ」では、このガイドの構成および関連ドキュメントについて説明します。
第2章「WebLogic Scripting Toolの使用」では、このスクリプト・ツールのしくみ、操作モード、およびこれを呼び出すための基本的な手順について説明します。
第3章「WLSTオフラインを使用したWebLogicドメインの作成」では、実行中のWebLogic Serverへ接続することなく(つまり、WLSTオフラインを使用して)、新規WebLogicドメインを作成したり既存WebLogicドメインを更新したりする方法について説明します。これは、構成ウィザードと同じ機能をサポートしています。
第4章「サーバーのライフサイクルの管理」では、WLSTを使用したWebLogic Serverインスタンスの起動および停止と、サーバーのライフサイクルのモニターおよび管理について説明します。
第5章「MBeanのナビゲート(WLSTオンライン)」では、WebLogicドメインの構成および実行時の情報を取得して、構成MBeanまたはカスタムMBeanを編集する方法について説明します。
第6章「既存のWebLogicドメインの構成」では、スクリプトを使用しての、WebLogicドメイン、サーバー、およびリソースの作成と管理の自動化について説明します。
第7章「デプロイメント・プランの更新」では、WLSTを使用したアプリケーションのデプロイメント・プランの更新について説明します。
第8章「実行時情報の取得」では、WLSTを使用してWebLogic Serverインスタンスの実行時状態に関する情報を取得する方法について説明します。
付録A「WLSTデプロイメント・オブジェクト」では、デプロイメント・プランを更新したり、現在のデプロイメント・アクティビティに関する情報にアクセスしたりするのに使用できる、WLSTデプロイメント・オブジェクトについて説明します。
付録B「FAQ : WLST」では、一般的な質問と回答のリストを示します。
WLSTは、WebLogic Serverを管理およびモニターするためのインタフェースの1つです。他の管理インタフェースについては、以下の場所を参照してください。
『WebLogic Scripting Toolコマンド・リファレンス』: WebLogic Serverで使用できるWLSTコマンドについて説明します。
『インフラストラクチャ・コンポーネントWLSTコマンド・リファレンス』では、Oracle Fusion Middlewareインフラストラクチャ・コンポーネント(Java Required Files (JRF)、Webサービス、メタデータ・サービス(MDS)、Application Development Framework (ADF)、ダイナミック・モニタリング・サービス(DMS)、ロギング、診断フレームワーク、ユーザー・メッセージング・サービス(UMS)など)で使用できるWLSTコマンドについて説明します。
SOA Suite WLSTコマンド・リファレンスでは、SOA、Business Process Management (BPM)、Enterprise Scheduler (ESS)、Managed File Transfer (MFT)およびOracle Service Bus (OSB)で使用できるWLSTコマンドについて説明します。
『Oracle WebLogic Serverアプリケーションの開発』の「Antタスクを使用したWebLogic Serverドメインの構成と使用」: WebLogic Serverインスタンスを起動および停止し、WebLogicドメインを構成するためのWebLogic Antタスクの使用について説明します。
『Oracle WebLogic Serverへのアプリケーションのデプロイ』の「デプロイメント・ツール」: アプリケーションやスタンドアロンのモジュールのデプロイ用にWebLogic Serverで用意されているいくつかのツールについて説明します。
Oracle WebLogic Server管理コンソール・オンライン・ヘルプ: WebLogicドメインを管理およびモニターするためのWebベースのグラフィカル・ユーザー・インタフェースについて説明します。
『構成ウィザードによるドメインの作成』: グラフィカル・ユーザー・インタフェースを使用したWebLogicドメインの作成、または既存ドメインの拡張について説明します。
「PackおよびUnpackコマンドを使用したテンプレートとドメインの作成」: 既存のWebLogicドメインをすばやく簡単に再作成するコマンドについて説明します。
『Oracle WebLogic Server JMXによるカスタム管理ユーティリティの開発』: Java Management Extensions (JMX) APIを使用してWebLogic Serverリソースをモニターおよび変更する方法について説明します。
『SNMPによるOracle WebLogic Serverのモニタリング』: Simple Network Management Protocol (SNMP)を使用してWebLogicドメインをモニターする方法について説明します。
『Oracle WebLogic Serverサーバー環境の管理』: WebLogic Server環境の設計、構成および管理の方法について説明します。インストールされたWebLogic Serverの実装に携わるシステム管理者およびオペレータを対象としています。
『Oracle WebLogic Serverノード・マネージャの管理』: WebLogic Server環境内のサーバーを制御および管理するためにノード・マネージャを構成して使用する方法について説明します。
以下の節では、付加的なスクリプトを作成する際のテンプレートとして実行または使用できる、WLSTオンラインおよびオフラインのサンプル・スクリプトについて説明します。スクリプトの実行については、「スクリプトの実行」を参照してください。
注意: サンプル・スクリプトはデフォルトではインストールされていません。サーバー・サンプルをインストールするには、WebLogic Serverをインストールする際に付属サンプル・オプションを選択する必要があります。 |
WLSTオンライン・サンプル・スクリプトは、実行中のサーバーに接続して、管理タスクを実行し、WebLogic Server構成の変更を開始する方法を示します。WLSTオンライン・スクリプトは、ORACLE_HOME
\user_projects\applications\wl_server\examples\src\examples\wlst\online
ディレクトリに格納されています。
表1-1は、WLSTオンライン・サンプル・スクリプトの概要を示します。
表1-1 WLSTオンライン・サンプル・スクリプト
WLSTサンプル・スクリプト | 説明 |
---|---|
cluster_creation.py |
WLSTから管理サーバーに接続し、編集セッションを開始し、10個の管理対象サーバーを作成します。その後、2つのクラスタを作成し、サーバーを各クラスタに割り当て、WLSTとサーバーの接続を解除します。 |
cluster_deletion.py |
|
configJMSSystemResource.py |
WLSTから管理サーバーに接続して編集セッションを開始し、2つのJMSサーバーを作成した後でそれらを管理サーバーにターゲット指定します。その後、JMSシステム・モジュール内に、JMSトピック、JMSキュー、およびJMSテンプレートを作成します。JMSキューおよびJMSトピックは、サブデプロイメントを使用してターゲット指定されます。 |
deleteJMSSystemResource.py |
|
jdbc_data_source_creation.py |
WLSTから管理サーバーに接続し、編集セッションを開始し、 |
jdbc_data_source_deletion.py |
|
WLSTオフライン・サンプル・スクリプトは、ソフトウェアと一緒にインストールされたドメイン・テンプレートを使用してWebLogicドメインを作成する方法を示します。WLSTオフライン・スクリプトは、ORACLE_HOME
\wlserver\common\templates\scripts\wlst
ディレクトリに格納されています。
表1-2 WLSTオフライン・サンプル・スクリプトの概要
表1-2 WLSTオフライン・サンプル・スクリプト
WLSTサンプル・スクリプト | 説明 |
---|---|
|
ドメイン・テンプレートを開き、構成オブジェクトを作成および編集し、指定したディレクトリにドメイン構成情報を書き込む方法を示す、単純なWebLogicドメインを作成します。 このサンプルは、一般的な開発環境を表す単一のサーバーで構成されています。このタイプの構成は、本番環境では推奨されません。 このスクリプトでは、Basic WebLogic Server Domainテンプレートを使用します。 |
|
Basic WebLogic SIP Server Domainテンプレートを使用して、簡単なWebLogic SIP Serverドメインを作成します。スクリプトでは、ドメイン・テンプレートの開き方、構成オブジェクトの作成および編集方法、指定したディレクトリへのドメイン構成情報の書込み方法が示されます。 このサンプルは、一般的な開発環境を表す単一のサーバーで構成されています。このタイプの構成は、本番環境では推奨されません。 |
|
3つの管理対象サーバーを作成してそれらをクラスタに割り当て、単一クラスタのWebLogicドメインを作成します。 このスクリプトはBasic WebLogic Server DomainテンプレートをAvitek Medical Records Sample拡張テンプレートで拡張して使用します。 |
|
分散キューを作成する2つの方法を示します。 このスクリプトはBasic WebLogic Server DomainテンプレートをAvitek Medical Records Sample拡張テンプレートで拡張して使用します。 |
|
Geographic Redundancy Site 1 Domainテンプレートを使用して、簡単なWebLogic SIP Serverドメインを作成します。スクリプトでは、ドメイン・テンプレートの開き方、構成オブジェクトの作成および編集方法、指定したディレクトリへのドメイン構成情報の書込み方法が示されます。 このサンプルは、一般的な開発環境を表す単一のサーバーで構成されています。このタイプの構成は、本番環境では推奨されません。 |
|
Geographic Redundancy Site 2 Domainテンプレートを使用して、簡単なWebLogic SIP Serverドメインを作成します。スクリプトでは、ドメイン・テンプレートの開き方、構成オブジェクトの作成および編集方法、指定したディレクトリへのドメイン構成情報の書込み方法が示されます。 このサンプルは、一般的な開発環境を表す単一のサーバーで構成されています。このタイプの構成は、本番環境では推奨されません。 |
|
Oracle WebLogic SIP Server Replicated Domainテンプレートを使用して、簡単なWebLogic SIP Serverドメインを作成します。スクリプトでは、ドメイン・テンプレートの開き方、構成オブジェクトの作成および編集方法、指定したディレクトリへのドメイン構成情報の書込み方法が示されます。 このサンプルは、一般的な開発環境を表す単一のサーバーで構成されています。このタイプの構成は、本番環境では推奨されません。 |
|
Avitek MedRecサンプルで使用されているものと同様のリソースを定義するWebLogicドメインを作成します。このサンプルでは、MedRecサンプル全体の再作成や、サンプル・アプリケーションのデプロイは行われません。 このスクリプトでは、Basic WebLogic Server Domainテンプレートを使用します。 |