Calculation Managerへの移行

今回のリリースでは、Financial ManagementまたはPlanningで作成されたアプリケーションを使用しているOracle Hyperion Financial ManagementユーザーとOracle Hyperion Planningユーザー、さらにOracle Essbaseブロック・ストレージ・アプリケーションおよび集約ストレージ・アプリケーション・ユーザーが、Oracle Hyperion Calculation Managerでビジネス・ルールを作成して管理できます。

次の表は、Calculation ManagerOracle Hyperion Business Rules (PlanningおよびEssbaseユーザー用)、およびFinancial Management (Financial Managementユーザー用)のビジネス・ルールの機能を比較しています。

表A-1 Calculation ManagerFinancial ManagementおよびBusiness Rulesにおけるビジネス・ルールの機能比較

機能/アクション Calculation Manager Business Rules (PlanningおよびEssbaseユーザーの場合) Financial Management
ビジネス・ルールの作成

ルール・デザイナ内のフロー・チャートでビジネス・ルールをグラフィカルに作成することができます。

ビジネス・ルールを設計するために使用するコンポーネントが、PlanningEssbaseブロック・ストレージ・アプリケーションには5つ、Financial Managementアプリケーションには6つあります。

  1. 式コンポーネント: メンバー、関数、条件文(オプション)を使用して作成された計算文が含まれています。

  2. スクリプト・コンポーネント: Visual Basic (Financial Management)またはEssbase (Planning)の計算スクリプト文のみ含まれています。

  3. 条件コンポーネントには、trueまたはfalseの条件コンポーネント文が含まれます(つまり、If...Then文)。

  4. ループ・コンポーネントには、メタデータ・メンバーのリストが含まれます(勘定科目のリストなど)。

  5. メンバー範囲コンポーネントには、メタデータ・メンバーの一覧が含まれます(勘定科目のリストなど)。

  6. (Financial Managementユーザーのみ)データ範囲コンポーネントにはデータ・レコードのリストが含まれます(勘定科目値のリストなど)。

Essbase集約ストレージ・アプリケーションには、次の3つのコンポーネントがあります:

  1. 視点コンポーネント: メンバーの範囲コンポーネントのように、メタデータ・メンバーのリストが含まれます。

  2. 割当てコンポーネント: データベース・アウトラインの1つのレベルにあるメンバーからアウトラインの他のメンバーにデータを配布するための計算が含まれます。

  3. 式コンポーネント: ユーザーがメンバー、関数および変数を使用して設計する計算文が含まれます。

コンポーネント内で、メンバー、変数および関数を使用できます。

ビジネス・ルール・グラフィカル・デザイナおよびOracle Essbase Administration Servicesの管理コンソールのビジネス・ルール内でビジネス・ルールを作成することができます。

グラフィカルにビジネス・ルールをデザインできる4つのアクションおよび8つの式があります。

  1. データの集約アクション

  2. データのコピー・アクション

  3. データのクリア・アクション

  4. ブロックの作成アクション

  5. 比例配分率式

  6. 分布係数式

  7. 均等分割式

  8. 増加/減少式

  9. 単価レート式

  10. 結合式

  11. カスタム式

  12. 変数式

ルール・エディタまたはテキスト・エディタでビジネス・ルールを作成できます。Visual BasicおよびFinancial Managementの関数、そしてFinancial Managementビジネス・ルール内のメンバーを使用することができます。
システム・テンプレート(Calculation Manager)、およびアクションと式( Business Rules)を使用して、ビジネス・ルールを設計できます。

ノート: システム・テンプレートは、Essbase集約ストレージ・アプリケーションでサポートされていません。

Calculation Managerには8つのPlanningおよびEssbaseブロック・ストレージ・システム・テンプレートがあります:

  1. 「集約」テンプレートはデータを集約します。

  2. 「データのコピー」テンプレートはデータをコピーします。

  3. 「データのクリア」テンプレートはデータを削除します。

  4. 「割当て - 単純」テンプレートは、ある場所から別の場所にデータを割り当てます。

  5. 「割当て - レベル間」テンプレートは、複数レベルのデータを割り当てます。

  6. 「金額-レート-単価」テンプレートは、他の2つに値を提供する場合に1つの変数を計算します。

  7. 「データのエクスポート」テンプレートはデータをデータベースまたはファイルにエクスポートします。

  8. 「SETコマンド」テンプレートでは、計算スクリプトのパフォーマンスを最適化するスクリプト・コマンドが入力できます。

Calculation Managerには、8つのFinancial Managementシステム・テンプレートがあります:

  1. 財務的な丸め処理テンプレートは統計的な丸め処理ではなく、データを財務的に丸めます。財務的な丸め処理関数は、四捨五入法を使用してデータを指定した小数点以下の桁数に丸められます。

  2. 月の日数の取得テンプレートは指定された年と月の数に基づいて、月の日数を生成します。月は通常の1から12の範囲外の数字として入力できます。たとえば、年(2008)および期間番号(0)を入力すると、2007年12月の日数が戻されます。年(2008)および期間番号(14)を入力すると、2009年の2月の日数が戻されます。この関数は、うるう年にも対応しています。

  3. リスト内テンプレートでは、指定のディメンション・メンバーが指定のメンバー・リストのメンバーかどうかをテストします。

  4. 平均貸借対照表テンプレートでは、MTD、QTD、HYTDおよびYTDの頻度の平均貸借対照表比率を計算します。データはMTD< QTD、HYTD< YTD、または累積日次残高として入力できます。

  5. 期首残高テンプレートでは、指定した取得メソッドに基づいて勘定科目の期首残高を計算します。期首残高は同じ値通貨またはエンティティ通貨の合計から取得できます。

  6. 「複雑な集計」テンプレートは、各エンティティに割り当てられた連結メソッド(持株、グローバル、比例、資本)に基づいて、連結グループ内の各エンティティに対して連結と消去を行う組込み済の連結ルールです。資本、投資、純利益および標準消去の計算を処理します。監査トランザクションは、ユーザーが設定する監査フラグに基づいて生成されます。このテンプレートの連結ルールで、通常の法的要件のほとんどの計算を行います。

  7. 「標準連結」テンプレートは、デフォルト連結プロセスを使用して連結グループ内の各エンティティに対して連結および消去を行う組込み済の連結ルールです。

  8. エンティティ割当てテンプレートでは、指定された割当て加重に基づいて、ソース勘定科目がグループの親エンティティからリストの各エンティティに対応する宛先勘定科目に割り当てられます。

Business Rulesには、次の4つのCalculation Managerのいくつかのシステム・テンプレートのように機能するアクションがあります。
  1. データの集約アクションは、Calculation Managerの集約テンプレートのように動作します。

  2. 「データのコピー」アクションは、Calculation Managerの「データのコピー」テンプレートのように機能します。

  3. 「データのクリア」アクションは、「ブロックの作成」アクションとともに、Calculation Managerの「データのクリア」テンプレートのように機能します。

  4. ブロックの作成アクションは、「データのクリア」アクションと連動して、計算マネージャの「データのクリア」テンプレートのように動作します。

Busines Rulesには、計算マネージャのシステム・テンプレートのように機能する式もあります。

  1. 比率配分式は、計算マネージャの「割当て - 単純」テンプレートのように機能します。

  2. 3つの単価レート式は、計算マネージャの金額レート単価テンプレートのように機能します。

該当なし
カスタム定義のテンプレート(Calculation Manager)とマクロ(Business Rules)の作成によるビジネス・ルールの設計 ウィザードを使用して、ビジネスに固有の計算を実行する、再利用可能なカスタム定義のテンプレートを設計できます。つまり、システム・テンプレートをコピーして別の名前で保存し、これをカスタム定義のテンプレートとして使用できます。 ビジネスに固有の計算を実行する、再利用可能なマクロを設計できます。 該当なし
設計時プロンプトの作成 ウィザードを使用して、Calculation Managerのカスタム定義のテンプレート用の設計時プロンプトを作成できます。 マクロの変数を使用して、情報を求めるプロンプトを表示できます。 該当なし
コンポーネントの共有 複数のプラン・タイプ(Planningの場合)、計算タイプ(Financial Managementの場合)、データベース・タイプ(Essbaseの場合)、およびアプリケーションで、スクリプトと式コンポーネントを共有できます。 該当なし 該当なし
コンポーネントのドラッグ・アンド・ドロップ ルール・デザイナでは、コンポーネントをビジネス・ルールのフロー・チャートにドラッグ・アンド・ドロップできます。 グラフィカル・デザイナでは、アクションと式をビジネス・ルールのプロセス・バーにドラッグ・アンド・ドロップできます。 該当なし
詳細の表示/非表示 フロー・チャートの表示をズーム・イン/ズーム・アウトして、表示の詳細レベルを調整できます。 該当なし 該当なし
計算スクリプト・フォーマットでのビジネス・ルールの編集 ビジネス・ルールを計算スクリプト・フォーマットで編集した後で、ルール・エディタでグラフィカルな形式に戻して編集できます。 計算スクリプト・フォーマットでビジネス・ルールを編集できますが、それをグラフィカルの編集に戻すことはできません。 ビジネス・ルールはテキスト・モードでのみ編集可能です。
ビジネス・ルールの検証

Financial ManagementまたはPlanningアプリケーション管理で作成されたアプリケーションで作業する場合: Financial ManagementまたはPlanningそれぞれに対してのみビジネス・ルールを検証できます。

ノート: Essbaseビジネス・ルールは、Essbaseに対してのみ検証できます。

ビジネス・ルールをEssbaseまたはPlanningに対して検証できます。 スキャン関数を使用して、Visual Basicスクリプト・ファイルをスキャンして、関数が正しいパラメータ番号に有効であり、ディメンション・メンバーがアプリケーションに対して有効であることを確認できます。
ビジネス・ルールのデプロイ 計算タイプごとに1つのビジネス・ルールセットをFinancial Managementにデプロイできます。つまり、1つ以上のビジネス・ルールおよびビジネス・ルールセットをPlanningおよびEssbaseにデプロイできます。ビジネス・ルールおよびビジネス・ルールセットをデプロイし、それらをFinancial ManagementPlanningまたはAdministration Services (Essbaseの場合)内から起動する必要があります。それらの起動場所は、それらをデプロイするアプリケーションおよび計算のタイプ、プラン・タイプ、またはデータベースによって決まります。 該当なし 該当なし
ビジネス・ルールの起動 ビジネス・ルールセットをCalculation Managerからデプロイした後、Financial Managementビジネス・ルールセットおよびPlanningビジネス・ルールはFinancial ManagementおよびPlanning内から起動します。Essbaseビジネス・ルールをデプロイすると、Calculation ManagerまたはAdministration Services内からそれらのルールを起動できます。起動場所は、ビジネス・ルールおよびビジネス・ルールセットのデプロイ場所によって決まります。ビジネス・ルールの複数の起動場所を定義するには、そのショートカットをCalculation Managerに作成します。 起動する場所を選択することにより、ビジネス・ルールを1つの場所からでも、すべての場所からでも起動できます。Administration Services管理コンソールのルール・ノード、Business Rulesのグラフィック・デザイナ、Business Rules Webランチャ、コマンド・ライン・プロンプトまたはPlanning Webから、ビジネス・ルールを起動できます。 ビジネス・ルールは、計算、換算、連結、配賦を実行するときに実行します。
ビューでの作業 Calculation Managerには、アクセスできるオブジェクトを表示する、次の4つのビューがあります。
  1. システム・ビュー

  2. カスタム・ビュー

  3. デプロイメント・ビュー

  4. リスト・ビュー

Business Rulesにはビューはありません。ビジネス・ルールやその他のオブジェクトは、管理コンソール内でオブジェクト・タイプ別にフラット・リストに表示されます。 該当なし
システム・ビューの使用 システム・ビューには、Financial Management、PlanningおよびEssbaseアプリケーションと、それらの計算タイプ、プラン・タイプ、データベース、ユーザーがアクセスできるオブジェクトが階層的なリストで表示されます。このビューから、ビジネス・ルールの対象アプリケーションおよび計算タイプ、プラン・タイプ、またはデータベースを確認できます(これは、計算マネージャのデフォルトのビューです)。 該当なし 該当なし
カスタム・ビューの使用 カスタム・ビューには、ユーザーが作成したフォルダと、そこにドラッグ・アンド・ドロップしたオブジェクトのリストが表示されます。このビューにより、ユーザーの目的に合わせてオブジェクトを整理できます。 脚注 1該当なし 該当なし
デプロイメント・ビューの使用 デプロイメント・ビューには、デプロイ済および未デプロイのルールとルールセット、それらのデプロイと検証ステータスのリストが、アプリケーション・タイプとアプリケーション別に表示されます。 該当なし 該当なし
リスト・ビューの使用 リスト・ビューには、「フィルタ」ダイアログで選択したオブジェクトのリストが表示されます。「フィルタ」ダイアログを使用して、アプリケーション・タイプ、属するアプリケーション、計算タイプおよびプラン・タイプ、およびアクセスできるオブジェクトでフィルタされたリストを作成できます。 該当なし 該当なし
ビジネス・ルールの移行

ビジネス・ルールおよびその他のオブジェクトを前回リリースされたBusiness Rulesから今回リリースされるCalculation Managerに移行することができます。

Financial ManagementおよびEssbaseのビジネス・ルールを移行するには、Calculation Managerのインポート機能を使用します。

ビジネス・ルールは、前のリリースのBusiness Rulesから今回のリリースのCalculation Manager、および前のリリースのBusiness Rulesから今回のリリースのBusiness Rulesへ移行できます。 ビジネス・ルールは、前のリリースのFinancial Managementから今回のリリースのCalculation Manager、および前のリリースのFinancial Managementから今回のリリースのFinancial Managementへ移行できます。
ビジネス・ルールのインポート ビジネス・ルール、およびテンプレートやコンポーネントなどのその他のオブジェクトは、Business RulesからCalculation Managerへ、またはCalculation Manager内の別のFinancial ManagementPlanningまたはEssbaseアプリケーションからインポートできます。Essbaseの計算スクリプトをCalculation Managerにインポートすることもできます。インポートした計算スクリプト・ファイルは、Calculation Managerでグラフィカルなビジネス・ルールになります。 ビジネス・ルールをxmlファイルからBusiness Rulesにインポートできます。 「ルールのロード」オプションを使用して、有効なVisual Basicスクリプト・ファイルをアプリケーションにインポートできます。
ビジネス・ルールのエクスポート 1つ以上のビジネス・ルールおよびその他のオブジェクトをCalculation Managerから.xmlファイルにエクスポートできます。 ビジネス・ルールとその他のオブジェクトは、Business Rulesからxmlファイルにエクスポートできます。 「抽出ルール」オプションを使用して、Financial Managementから外部のVisual Basicスクリプト・ファイルにビジネス・ルールをエクスポートできます。
ビジネス・ルールのショートカットの使用 複数のアプリケーション、および計算タイプまたはプラン・タイプで、ビジネス・ルールへのショートカットを作成できます。ショートカットを使用してビジネス・ルールをデプロイすると、ショートカットの作成時に対象としたアプリケーション、および計算タイプまたはプラン・タイプに、ルールのコピーがデプロイされます。 該当なし 該当なし
変数の操作 Calculation Managerの変数タイプの個数は、Planningは4個、Financial Managementは2個、Essbaseは3個です:
  1. グローバル: あらゆるPlanningまたはFinancial Managementアプリケーションで使用できます

  2. アプリケーション: 作成されたPlanningFinancial ManagementまたはEssbaseアプリケーションでのみ使用できます

  3. プラン・タイプまたはデータベース: 作成されたPlanningプラン・タイプまたはEssbaseデータベースでのみ使用できます

  4. ビジネス・ルール: 作成されたPlanningまたはEssbaseビジネス・ルールでのみ使用できます

Business Rulesには2つの変数タイプがあります。
  1. グローバル: どのビジネス・ルールでも使用できます。

  2. ローカル: 作成されたビジネス・ルールでのみ使用できます。

Financial Managementには2つの変数タイプがあります。
  1. グローバル: 計算プロセス全体に適用できます。

  2. ローカル: 個々のサブルーチンにのみ適用できます。

ビジネス・ルールを作成および編集するためのアクセス権限の割当て Calculation Managerでは、ビジネス・ルールおよびその他オブジェクトの作成、表示および編集能力は、Oracle Hyperion Shared Servicesで割り当てられた役割およびCalculation Managerでのオブジェクト所有権によって決まります。デフォルトでは、ユーザーは自分が作成したビジネス・ルールとオブジェクトを所有します。管理者やオブジェクトの所有者は、オブジェクトの所有権を別のユーザーに割り当てることができます。 Business Rulesでは、ビジネス・ルールおよびその他オブジェクトを変更できるユーザーとグループを選択して、それらを編集する権限を割り当てます。 Financial Managementでは、ビジネス・ルールを作成または編集するためのアクセス権限は必要ありません。
ビジネス・ルールを起動するためのアクセス権限を割当て ビジネス・ルールおよびビジネス・ルールセットをCalculation Managerからデプロイしたら、Financial ManagementPlanningまたはAdministration Services (Essbase用)で、ビジネス・ルールとビジネス・ルールセットを起動する権限を割り当てます。 ビジネス・ルールとシーケンスを起動できるデータベースの場所(またはすべての場所)を選択し、それらを起動できるユーザーとグループを選択することによりBusiness Rulesでビジネス・ルールとシーケンスを起動できる権限を割り当てます。 計算プロセスを実行できる権限を割り当てるには、Financial Managementで、計算プロセスが属するアプリケーションに対する適切な役割のセキュリティ・アクセスを(ユーザーに)割り当てます。たとえば、集計プロセスを実行するには、「集計」の役割が必要です。

脚注 1

Busines Rulesでプロジェクトを作成し、ビジネス・ルール、シーケンス、マクロ、変数を独自のわかりやすい方法で編成できます。