AnyData クラス

AnyDataクラスは、型情報と実際のデータをカプセル化して自己記述データをモデル化します。AnyDataは、主にOCCIアドバンスト・キューイング機能とともに使用されデータを表示およびエンキューして、キューからのメッセージをAnyDataインスタンスとして受け取ります。

ほとんどのSQL型とユーザー定義型は、setFromxxx()メソッドを使用してAnyData型に変換できます。AnyDataオブジェクトは、getAsxxx()メソッドを使用してほとんどのSQL型およびユーザー定義型に変換できます。SYS.ANYDATA型により、AnyDataはSQLとPL/SQLの両方でモデル化されます。

注意:

サポートされているデータ型については、表13-4「AnyDataクラスでサポートされているOCCIデータ型」を参照してください。

getType()のコールではAnyDataオブジェクトが表すTypeCodeが戻されますが、isNull()のコールではAnyDataにNULL値が含まれているかどうかが判別されます。setNull()メソッドは、AnyDataの値をNULLに設定します。

OCCI AnyData型を使用するには、環境をOBJECTモードで開始する必要があります。

例13-1 事前定義済のSQL型からAnyData型への変換

この例は、string型からAnyData型に変換する方法を示しています。

Connection *conn;
...
AnyData any(conn);
string str("Hello World");
any.setFromString(str);
...

例13-2 AnyData型からの事前定義済のSQL型の作成

この例は、AnyDataオブジェクトをstringオブジェクトに変換する方法を示しています。変換前にAnyData型を検証するために、getType()およびisNull()メソッドが使用されていることに注意してください。

Connection *conn;
string str;
...
if(!any.isNULL())
{   if(any.getType()==OCCI_TYPECODE_VARCHAR2)
   {
      str = any.getAsString();
      cout<<str;
   }
}
...

例13-3 ユーザー定義型からAnyData型への変換

この例は、ユーザー定義型からAnyData型に変換する方法を示しています。

Connection *conn;
...
// Assume an OBJECT of type Person with the following defined fields
// CREATE TYPE person as OBJECT (
//    FRIST_NAME VARCHAR2(20),
//    LAST_NAME VARCHAR2(25),
//    EMAIL VARCHAR2(25),
//    SALARY NUMBER(8,2)
//   );
// Assume relevant classes have been generated by OTT.
...
Person *pers new Person( "Steve", "Addams",
                         "steve.addams@anycompany.com", 50000.00);
AnyData anyObj(conn);
anyObj.setFromObject(pers);
...

例13-4 ユーザー定義型からAnyData型への変換

この例は、AnyDataオブジェクトをユーザー定義型に変換する方法を示しています。変換前にAnyData型を検証するために、getType()およびisNull()メソッドが使用されていることに注意してください。

Connection *conn;
// Assume an OBJECT of type Person with the following defined fields
// CREATE TYPE person as OBJECT (
//    FRIST_NAME VARCHAR2(20),
//    LAST_NAME VARCHAR2(25),
//    EMAIL VARCHAR2(25),
//    SALARY NUMBER(8,2)
//   );
// Assume relevant classes have been generated by OTT.
Person *pers = new Person();
...
If(!anyObj.isNull())
{   if(anyObj.getType()==OCCI_TYPECODE_OBJECT)
      pers = anyObj.getAsObject();
}
...

表13-4 AnyDataクラスでサポートされているOCCIデータ型

データ型	TypeCode
BDouble	OCCI_TYPECODE_BDOUBLE
BFile	OCCI_TYPECODE_BFILE
BFloat	OCCI_TYPECODE_BFLOAT
Bytes	OCCI_TYPECODE_RAW
Date	OCCI_TYPECODE_DATE
IntervalDS	OCCI_TYPECODE_INTERVAL_DS
IntervalYM	OCCI_TYPECODE_INTERVAL_YM
Number	OCCI_TYPECODE_NUMBERB
PObject	OCCI_TYPECODE_OBJECT
Ref	OCCI_TYPECODE_REF
string	OCCI_TYPECODE_VARCHAR2
TimeStamp	OCCI_TYPECODE_TIMESTAMP

表13-5 AnyDataメソッドの概要

メソッド	概要
AnyData()	`AnyData`クラスのコンストラクタです。
getAsBDouble()	`AnyData`オブジェクトを`BDouble`に変換します。
getAsBfile()	`AnyData`オブジェクトを`Bfile`に変換します。
getAsBFloat()	`AnyData`オブジェクトを`BFloat`に変換します。
getAsBytes()	`AnyData`オブジェクトを`Bytes`に変換します。
getAsDate()	`AnyData`オブジェクトを`Date`に変換します。
getAsIntervalDS()	`AnyData`オブジェクトを`IntervalDS`に変換します。
getAsIntervalYM()	`AnyData`オブジェクトを`IntervalYM`に変換します。
getAsNumber()	`AnyData`オブジェクトを`Number`に変換します。
getAsObject()	`AnyData`オブジェクトを`PObject`に変換します。
getAsRef()	`AnyData`オブジェクトを`RefAny`に変換します。
getAsString()	`AnyData`オブジェクトをネームスペース`string`に変換します。
getAsTimestamp()	`AnyData`オブジェクトを`Timestamp`に変換します。
getType()	`AnyData`オブジェクトに保持されているDataTypeを取得します。表13-4を参照してください。
isNull()	`AnyData`オブジェクトが`NULL`かどうかをテストします。
setFromBDouble()	`BDouble`を`AnyData`に変換します。
setFromBfile()	`Bfile`を`AnyData`に変換します。
setFromBFloat()	`BFloat`を`AnyData`に変換します。
setFromBytes()	`Bytes`を`AnyData`に変換します。
setFromDate()	`Date`を`AnyData`に変換します。
setFromIntervalDS()	`IntervalDS`を`AnyData`に変換します。
setFromIntervalYM()	`IntervalYM`を`AnyData`に変換します。
setFromNumber()	`Number`を`AnyData`に変換します。
setFromObject()	`PObject`を`AnyData`に変換します。
setFromRef()	`RefAny`を`AnyData`に変換します。
setFromString()	ネームスペース`string`を`AnyData`に変換します。
setFromTimestamp()	`Timestamp`を`AnyData`に変換します。
setNull()	`AnyData`オブジェクトを`NULL`に設定します。

AnyData()

AnyDataのコンストラクタです。

構文

AnyData(
   const Connection *conn);

パラメータ	説明
conn	接続を指定します。

getAsBDouble()

AnyDataオブジェクトをBDoubleに変換します。

構文

BDouble getAsBDouble() const;

getAsBfile()

AnyDataオブジェクトをBfileに変換します。

構文

Bfile getAsBfile() const;

getAsBFloat()

AnyDataオブジェクトをBFloatに変換します。

構文

BFloat getAsBFloat() const;

getAsBytes()

AnyDataオブジェクトをBytesに変換します。

構文

Bytes getAsBytes() const;

getAsDate()

AnyDataオブジェクトをDateに変換します。

構文

Date getAsDate() const;

getAsIntervalDS()

AnyDataオブジェクトをIntervalDSに変換します。

構文

IntervalDS getAsIntervalDS() const;

getAsIntervalYM()

AnyDataオブジェクトをIntervalYMに変換します。

構文

IntervalYS getAsIntervalYM() const;

getAsNumber()

AnyDataオブジェクトをNumberに変換します。

構文

Number getAsNumber() const;

getAsObject()

AnyDataオブジェクトをPObjectに変換します。

構文

PObject* getAsObject() const;

getAsRef()

AnyDataオブジェクトをRefAnyに変換します。

構文

RefAny getAsRef() const;

getAsString()

AnyDataオブジェクトをネームスペースstringに変換します。

構文

string getAsString() const;

getAsTimestamp()

AnyDataオブジェクトをTimestampに変換します。

構文

Timestamp getAsTimestamp() const;

getType()

AnyDataオブジェクトに保持されているデータ型を取得します。TypeCodeの有効な値については、表13-4を参照してください。

構文

TypeCode getType();

isNull()

AnyDataオブジェクトがNULLかどうかをテストします。AnyDataオブジェクトがNULLの場合はTRUEを、それ以外の場合はFALSEを戻します。

構文

bool isNull() const;

setFromBDouble()

BDoubleをAnyDataに変換します。

構文

void setFromBDouble(
   const BDouble& bdouble);

パラメータ	説明
bdouble	`AnyData`に変換する`BDouble`を指定します。

setFromBfile()

BfileをAnyDataに変換します。

構文

void setFromBfile(
   const Bfile& bfile);

パラメータ	説明
bfile	`AnyData`に変換する`Bfile`を指定します。

setFromBFloat()

BFloatをAnyDataに変換します。

構文

void setFromBFloat(
   const BFloat& bfloat);

パラメータ	説明
bfloat	`AnyData`に変換する`BFloat`を指定します。

setFromBytes()

BytesをAnyDataに変換します。

構文

void setFromBytes(
   const Bytes& bytes);

パラメータ	説明
bytes	`AnyData`に変換する`Bytes`を指定します。

setFromDate()

DateをAnyDataに変換します。

構文

void setFromDate(
   const Date& date);

パラメータ	説明
date	`AnyData`に変換する`Date`を指定します。

setFromIntervalDS()

IntervalDSをAnyDataに変換します。

構文

void setFromIntervalDS(
   const IntervalDS& intervalds);

パラメータ	説明
invtervalds	`AnyData`に変換する`IntervalDS`を指定します。

setFromIntervalYM()

IntervalYMをAnyDataに変換します。

構文

void setFromIntervalYM(
   const IntervalYM& intervalym);

パラメータ	説明
invalym	`AnyData`に変換する`IntervalYM`を指定します。

setFromNumber()

NumberをAnyDataに変換します。

構文

void setFromNumber(
   const Number& num);

パラメータ	説明
num	`AnyData`に変換する`Number`を指定します。

setFromObject()

PObjectをAnyDataに変換します。

構文

void setFromObject(
   const PObject* objptr);

パラメータ	説明
objptr	`AnyData`に変換する`PObject`を指定します。

setFromRef()

PObjectをAnyDataに変換します。

構文

void setFromRef(
   const RefAny& ref
   const string &typeName,
   const string &schema);

パラメータ	説明
ref	`AnyData`に変換する`RefAny`を指定します。
typeName	型の名前を指定します。
schema	型が定義されているスキーマの名前を指定します。

setFromString()

ネームスペースstringをAnyDataに変換します。

構文

void setFromString(
   string& str);

パラメータ	説明
str	`AnyData`に変換するネームスペース`string`を指定します。

setFromTimestamp()

TimestampをAnyDataに変換します。

構文

void setFromTimestamp(
   const Timestamp& timestamp);

パラメータ	説明
timestamp	`AnyData`に変換する`Timestamp`を指定します。

setNull()

AnyDataオブジェクトをNULLに設定します。

構文

void setNull();