GeoRasterのオブジェクト・リレーショナル実装は、データおよびシステム・データを格納するための一連のオブジェクト・データ型で構成されます。イメージまたはグリッド・ラスター・データはそれぞれSDO_GEORASTER型の列に格納され、そのラスター・データ内のブロックはSDO_RASTER型のラスター・データ表に格納されます(1.4項を参照)。この章の内容は次のとおりです。
GeoRasterオブジェクト・リレーショナル・モデルでは、ラスター・イメージまたはグリッド・オブジェクトが、ユーザーが定義した表のSDO_GEORASTERオブジェクト型の1列に、1行で格納されます。1つ以上のSDO_GEORASTER型の列が含まれる表は、GeoRaster表と呼ばれます。
SDO_GEORASTERオブジェクト型の定義は次のとおりです。
CREATE TYPE sdo_georaster AS OBJECT ( rasterType NUMBER, spatialExtent SDO_GEOMETRY, rasterDataTable VARCHAR2(32), rasterID NUMBER, metadata XMLType);
この項では、各SDO_GEORASTER属性の意味について説明します。
rasterType
属性には、[d][b][t][gt]
という書式の5桁の値を指定する必要があります。各桁の内容は次のとおりです。
[d]
は、空間次元数を示します。今回のリリースでは、2を指定する必要があります。
[b]
は、バンドまたはレイヤーの情報を示します。0(ゼロ)は、バンドまたはレイヤーが1つであることを意味します。1は、バンドまたはレイヤーが1つまたは複数であることを意味します。このフィールドにはバンドまたはレイヤーの合計数を指定するのではないことに注意してください。(バンドおよびレイヤーの詳細は、1.5項を参照してください。)
[t]
は、将来使用するために予約されており、0(ゼロ)を指定する必要があります。
[gt]
は、2桁のGeoRaster型を示し、次の値のいずれかを指定する必要があります。
[gt]の値 | 意味 |
---|---|
00 | Oracleで使用するために予約されています。 |
01 | 任意のGeoRaster型です。今回のリリースでは、この値のみがサポートされています。この値を指定すると、GeoRasterで、将来のリリースで型が実装された場合に、その特定の型に関連付けられた制限が適用されなくなります。 |
02-50 | Oracleで使用するために予約されています。 |
51-99 | 将来のリリースで顧客が使用するために予約されています。 |
たとえば、20001のRasterType値は、次のことを意味します。
2次元データである
1つのバンド(レイヤー)である
任意のGeoRaster型である
spatialExtent
属性は、ラスター・データに関連付けられた空間エクステント(フットプリント)を表します。空間エクステントは、SDO_GEOMETRY型のOracle Spatialジオメトリです。空間エクステント・ジオメトリは、必ずしもGeoRasterモデル空間内ではなく、任意の座標系に存在できます。また、ジオメトリを指定したSQLのUPDATE文で直接更新できます。ただし、空間エクステント・ジオメトリがGeoRasterオブジェクトのモデル(地上)空間内に存在するのは、GeoRasterオブジェクトが地理参照されていて、空間エクステント・ジオメトリを生成する際に、SDO_GEOR.generateSpatialExtentファンクションをコールしたか、あるいはspatialExtent=TRUE
をSDO_GEOR.importFromプロシージャまたはGeoRasterのクライアント側ローダー(1.13項を参照)の記憶域パラメータとして指定した場合です。
SDO_CS.transformをコールすることにより、サポートされている他のすべての座標系に空間エクステント・ジオメトリを変換できます。SRIDの値がNULLまたは0(ゼロ)の場合、空間エクステントは、セル空間ではなくNULLに設定されます。SDO_GEOMETRYデータ型の詳細は、『Oracle Spatial開発者ガイド』を参照してください。
GeoRasterの空間エクステントは、通常、GeoRaster列に空間Rツリー索引を作成する際に使用されます。たとえば、すべてのGeoRasterオブジェクトが異なるローカル投影に存在する場合、すべての空間エクステントに対して測地SRIDを使用でき、全地球ベースの空間索引をGeoRaster表に作成して、GeoRasterオブジェクトの空間検索をグローバルに実行できます。空間索引の作成によってGeoRasterアプリケーションのパフォーマンスが向上する可能性があるため、ジオメトリは、XMLのmetadata
属性(2.1.5項を参照)に含まれるのではなく、spatialExtent
属性に関連付けられます。GeoRasterデータの索引付けの詳細は、3.7項を参照してください。
rasterDataTable
属性は、ラスター・データ表の名前を識別します。ラスター・データ表は、SDO_RASTER型のオブジェクト表である必要があります。この表には、格納されている各ラスター・ブロックに対してSDO_RASTER型の行が1行含まれます。ラスター・データ表は作成および(必要に応じて)削除する必要があります。この表の行を直接変更することはできませんが、この表を問い合せてラスター・データにアクセスすることはできます。
この属性は、引用符で囲まれていない有効な識別子で、ピリオドで区切る必要はありません。また、英数字はすべて大文字であることが必要です。
ラスター・データ表およびSDO_RASTER型の詳細は、2.2項を参照してください。
rasterID
属性の値は、ラスター・データ表の行に格納され、GeoRasterオブジェクトに属する行を識別します。rasterDataTable
属性とrasterID
属性の組合せによって、データベース内でGeoRasterオブジェクトが一意に識別されます。各GeoRasterオブジェクトには1つのラスター・データ表が存在しますが、1つのラスター・データ表に複数のGeoRasterオブジェクトのデータが含まれる場合があります。
rasterID
およびrasterDataTable
属性は新しいGeoRasterオブジェクトに指定できます。ただし、それぞれの組合せがデータベース内で一意である必要があります。これらの値を指定しない場合、SDO_GEOR.initおよびSDO_GEOR.createBlankファンクションによって値が自動的に生成されます。
metadata
属性には、オラクル社によって定義されたGeoRasterメタデータが含まれます。このメタデータは、GeoRasterメタデータのXMLスキーマによって記述されます(付録Aを参照。)すべてのGeoRasterオブジェクトのメタデータは、このXMLスキーマに対して検証する必要があります。また、SDO_GEOR.validateGeoRasterファンクションを使用して検証する必要もあります。このXMLスキーマでは定義されない追加の制限が、このファンクションによって適用されます。
GeoRasterオブジェクト・リレーショナル・モデルでは、ラスター・データ表を使用して、ラスター・イメージ内のすべてのセル・データが格納されます。GeoRasterオブジェクトのセル・データはブロック化され、各ブロックは1つの行としてラスター・データ表に格納されます。この表はSDO_GEORASTERオブジェクトのrasterDataTable
属性で指定します(2.1.3項を参照)。任意のセル・データを格納する前にラスター・データ表を作成する必要があります。
ラスター・データ表は、SDO_RASTERオブジェクト型の表として定義されたオブジェクト表です。SDO_RASTERオブジェクト型の定義は次のとおりです。
CREATE TYPE sdo_raster AS OBJECT ( rasterID NUMBER, pyramidLevel NUMBER, bandBlockNumber NUMBER, rowBlockNumber NUMBER, columnBlockNumber NUMBER, blockMBR SDO_GEOMETRY, rasterBlock BLOB);
この項では、各SDO_RASTER属性の意味について説明します。
SDO_RASTERオブジェクトのrasterID
属性には、関連付けられたSDO_GEORASTERオブジェクトのrasterID
の値と一致する数値を指定する必要があります。(SDO_GEORASTERオブジェクトのrasterID
属性については、2.1.4項を参照してください。)これらの数値が一致することによって、特定のGeoRasterオブジェクトに属しているラスター・ブロックが識別されます。
pyramidLevel
属性は、セルの特定のブロックのピラミッド・レベルを識別します。ピラミッド・レベルには、0(ゼロ)または任意の正の整数を指定します。ピラミッド・レベルは、必要な記憶域が小さい低解像度のイメージを作成するために使用されます。値が0(ゼロ)のピラミッド・レベルは、元のラスター・データを示します。この場合、イメージの解像度は低下せず、必要な記憶域は変化しません。値が0(ゼロ)より大きくなるほど、イメージの解像度のレベルが低くなり、必要な記憶域が小さくなります。ピラミッドの詳細は、1.7項を参照してください。
この属性とbandBlockNumber
属性(2.2.3項を参照)は、ビットマップ・マスクおよびビットマップ・マスク・ピラミッドの指定にも使用します。ビットマップ・マスク、ビットマップ・マスク・ピラミッド、およびpyramidLevel
属性とbandBlockNumber
属性の使用方法は、1.8項を参照してください。
bandBlockNumber
属性は、バンド次元でのブロック番号を識別します。バンドおよびレイヤーの詳細は、1.5項を参照してください。ビットマップ・マスクおよびビットマップ・マスク・ピラミッドでのbandBlockNumber
属性の使用方法は、1.8項を参照してください。
GeoRasterでは、SDO_GEORASTER(2.1項を参照)、SDO_RASTER(2.2項を参照)およびSDO_RANGE_ARRAYとSDO_RANGE(1.9項を参照)の他に、特定の種類の操作に使用される他の複数のオブジェクト型およびコレクション型が提供されています。(表の列を定義する場合などに)データベースのストレージで使用されるSDO_GEORASTER型およびSDO_RASTER型とは異なり、この項で説明する型は、今回のリリースのGeoRaster PL/SQL APIでのみ使用されます。
GeoRasterでは、XMLスキーマ(付録Aを参照)を使用してヒストグラムがGeoRasterメタデータに格納されます。 SDO_GEOR_HISTOGRAMオブジェクト型は、GeoRasterオブジェクトまたはレイヤーのヒストグラム・データを含めるためにPL/SQL API内で使用されます。レイヤーは、ヒストグラム・データ構造が同じです。各セルは値を持ち、各セルの値または値の範囲に対して、その値を持つセルまたはその範囲内の値を持つセルが多数存在する可能性があります。
SDO_GEOR_HISTOGRAMオブジェクト型の定義は次のとおりです。
CREATE TYPE sdo_geor_histogram AS OBJECT( cellValue SDO_NUMBER_ARRAY, count SDO_NUMBER_ARRAY);
表2-1に、SDO_GEOR_HISTOGRAMオブジェクト型の属性の説明を示します。cellValue
とcount
配列の長さは同じである必要があります。
ヒストグラムには、セル値(および暗黙的な値の範囲)、および各セル値または各セル値の範囲に関連するセルの合計数が含まれます。たとえば、(cellValue1, count1)と(cellValue2, count2)がヒストグラム内で昇順に隣接する2つのエントリである場合、暗黙的な値の範囲は(cellValue1, cellValue2)で、この範囲に含まれるセルの合計数はcount1です。セル値の範囲には、常に下限が含まれ、上限は含まれません。各範囲のサイズが同一である必要はありません。この例の場合は、cellValue1以上かつcellValue2未満が範囲になります。セル深度の下限(例: 1ビットから8ビットまでの整数)では、通常、セル値の範囲はセル値と同じです。
GeoRasterでは、XMLスキーマ(付録Aを参照)を使用してカラー情報がGeoRasterメタデータに格納されます。SDO_GEOR_COLORMAPオブジェクト型は、カラーマップ情報を含めるためにPL/SQL APIで使用されます。カラーマップ情報とは、特定の値を持つセルまたは特定の値の範囲に含まれるセルの表示に使用される色の、赤、緑、青および(オプション)アルファの値を識別するための疑似カラー情報です。カラーマップは、疑似カラー表またはパレット表とも呼ばれます。GeoRasterのデフォルトのカラーマップは、sRGB ColorSpaceです。これは、標準のRGB色空間として勧告提案されています。詳細は、次のURLを参照してください。
http://www.w3.org/pub/WWW/Graphics/Color/sRGB.html
赤、緑、青およびアルファの値はすべて、0から255の、8ビットの符号なし整数になります。
アルファは、不透明度とも呼ばれます。アルファ値が255の場合は色が完全に不透明であることを意味し、アルファ値が0(ゼロ)の場合は色が完全に透明であることを意味します。色構成要素値にアルファ値を掛けることはできません。
SDO_GEOR_COLORMAPオブジェクト型の定義は次のとおりです。
CREATE TYPE sdo_geor_colormap AS OBJECT( cellValue SDO_NUMBER_ARRAY, red SDO_NUMBER_ARRAY, green SDO_NUMBER_ARRAY, blue SDO_NUMBER_ARRAY, alpha SDO_NUMBER_ARRAY);
表2-2に、SDO_GEOR_COLORMAPオブジェクト型の属性の説明を示します。各属性は、数値の配列です。各配列の長さは同じで、各配列の同じ索引の値が相互に対応している必要があります。各cellValue
値は、GeoRasterオブジェクトのcellDepth
値と一貫性がある必要があります。
カラーマップには、セル値(および暗黙的な値の範囲)と、各セル値または各セル値の範囲に関連する赤、緑、青またはアルファの値が含まれます。たとえば、(cellValue1, red1, green1, blue1, alpha1)と(cellValue2, red2, green2, blue2, alpha2)がカラーマップ内で昇順に隣接する2つのエントリである場合、暗黙的な値の範囲は(cellValue1, cellValue2)で、この範囲に含まれるすべてのセルに関連付けられる色構成要素は(red1, green2, blue2, alpha2)です。セル値の範囲には、常に下限が含まれ、上限は含まれません。各範囲のサイズが同一である必要はありません。この例の場合は、cellValue1以上かつcellValue2未満が範囲になります。セル深度の下限(例: 1ビットから8ビットまでの整数)では、通常、セル値の範囲はセル値と同じです。
表2-2 SDO_GEOR_COLORMAPオブジェクト型の属性
属性 | 説明 |
---|---|
cellValue |
セル値の配列。値は昇順に格納する必要があります。 |
red |
|
green |
|
blue |
|
alpha |
|
GeoRasterでは、XMLスキーマ(付録Aを参照)を使用してグレースケール情報がGeoRasterメタデータに格納されます。SDO_GEOR_GRAYSCALEオブジェクト型は、グレースケール値の識別用グレースケール情報を含めるためにPL/SQL APIで使用されます。グレースケール値は、特定の値を持つセルまたは特定の値の範囲に含まれるセルを表示する際に使用されます。グレースケール表のセル値は、このグレースケール表を使用して線形比率で伸縮できるため、元のラスター・データを適切に表示できます。グレースケール表の値は、0から255の、8ビットの符号なしの整数になります。グレースケール表は、コントラスト表または参照表とも呼ばれます。
SDO_GEOR_GRAYSCALEオブジェクト型の定義は次のとおりです。
CREATE TYPE sdo_geor_grayscale AS OBJECT( cellValue SDO_NUMBER_ARRAY, gray SDO_NUMBER_ARRAY);
表2-3に、SDO_GEOR_GRAYSCALEオブジェクト型の属性の説明を示します。cellValue
とgray
配列の長さは同じである必要があります。各cellValue
値は、GeoRasterオブジェクトのcellDepth
値と一貫性がある必要があります。
グレースケールには、セル値(および暗黙的な値の範囲)、および各セル値または各セル値の範囲に関連するグレー値が含まれます。たとえば、(cellValue1, gray1)と(cellValue2, gray2)がグレースケール表内で昇順に隣接する2つのエントリである場合、暗黙的な値の範囲は(cellValue1, cellValue2)で、この範囲に含まれるすべてのセルに関連付けられたグレー色はgray1です。セル値の範囲には、常に下限が含まれ、上限は含まれません。各範囲のサイズが同一である必要はありません。この例の場合は、cellValue1以上かつcellValue2未満が範囲になります。セル深度の下限(例: 1ビットから8ビットまでの整数)では、通常、セル値の範囲はセル値と同じです。
SDO_RASTERSETコレクション型は、ラスター・データ・ブロック(1つまたは複数のブロック、全体またはサブセット)を問い合せるテーブル・ファンクションの戻り型として使用されます。
SDO_RASTERSETコレクション型の定義は次のとおりです。
CREATE TYPE sdo_rasterset AS TABLE of SDO_RASTER;
SDO_RASTER型の詳細は、2.2項を参照してください。
GeoRasterでは、XMLスキーマ(付録Aを参照)を使用して空間参照システム(SRS)情報がGeoRasterメタデータに格納されます。SDO_GEOR_SRSオブジェクト型は、GeoRasterオブジェクトの空間参照に関する情報を含めるためにPL/SQL APIで使用されます。メタデータとオブジェクト型には同じ情報が含まれます。オブジェクト型を使用して、GeoRasterオブジェクトからのSRS情報を取得したり、GeoRasterオブジェクトにSRS情報をロードして更新することができます。
SDO_GEOR_SRSオブジェクト型の定義は次のとおりです。
CREATE TYPE sdo_geor_srs AS OBJECT ( isReferenced VARCHAR2(5), isRectified VARCHAR2(5), isOrthoRectified VARCHAR2(5), srid NUMBER, spatialResolution SDO_NUMBER_ARRAY, spatialTolerance NUMBER, coordLocation NUMBER, rowOff NUMBER, columnOff NUMBER, xOff NUMBER, yOff NUMBER, zOff NUMBER, rowScale NUMBER, columnScale NUMBER, xScale NUMBER, yScale NUMBER, zScale NUMBER, rowRMS NUMBER, columnRMS NUMBER, totalRMS NUMBER, rowNumerator SDO_NUMBER_ARRAY, rowDenominator SDO_NUMBER_ARRAY, columnNumerator SDO_NUMBER_ARRAY, columnDenominator SDO_NUMBER_ARRAY);
表2-4に、SDO_GEOR_SRSオブジェクト型の属性の説明を示します。
表2-4 SDO_GEOR_SRSオブジェクト型の属性
属性 | 説明 |
---|---|
isReferenced |
GeoRasterオブジェクトが地理参照されている場合は |
isRectified |
GeoRasterオブジェクトが幾何補正および地理参照されている場合は |
isOrthoRectified |
GeoRasterオブジェクトがオルソ補正、幾何補正および地理参照されている場合は |
srid |
モデル(地上)座標系のSRID値を指定します。 |
spatialResolution |
空間解像度の値(空間次元ごとに1つの値を指定した数値の配列)を指定します。各値は、セルの空間次元によって表現されるデータ領域に関連付けられた測定単位の数を示します。 |
spatialTolerance |
精度を制御するための許容差を指定します。 |
coordLocation |
セル座標(整数)をモデル座標(倍精度実数)に変換する場合に、モデル空間内での各セルの左上角(coordLocation=1)または中心(coordLocation=0)のいずれかを表すモデル座標位置を指定します。この属性は、セル空間の種類も定義します。モデル空間およびセル(ラスター)空間の詳細は、1.3項を参照してください。 |
rowOff |
行のオフセット値 |
columnOff |
列のオフセット値 |
xOff |
X座標のオフセット値 |
yOff |
Y座標のオフセット値 |
zOff |
Z座標のオフセット値 |
rowScale |
行のスケール変更係数値 |
columnScale |
列のスケール変更係数値 |
xScale |
X座標のスケール変更係数値 |
yScale |
Y座標のスケール変更係数値 |
zScale |
Z座標のスケール変更係数値 |
rowRMS |
(今回のリリースでは、GeoRasterの内部計算で考慮されません。) |
columnRMS |
(今回のリリースでは、GeoRasterの内部計算で考慮されません。) |
totalRMS |
(今回のリリースでは、GeoRasterの内部計算で考慮されません。) |
rowNumerator |
|
rowDenominator |
|
columnNumerator |
|
columnDenominator |
|
SDO_GEOR_SRSオブジェクト型にはコンストラクタが含まれます。コンストラクタは、パラメータを持たず、isReferenced
属性がFALSE
に設定され他の属性はNULL値に設定される型のインスタンスを作成します。SDO_GEOR_SRSコンストラクタの使用例は、第4章のSDO_GEOR.setSRSプロシージャに関する項を参照してください。
GeoRasterは、システム・データ表(SYSDATA表)を使用して、GeoRaster表とそれに関連するラスター・データ表の間の関係を保持します。各GeoRasterオブジェクト(NULL以外の場合)には、ラスター・データ表が関連付けられています。また、地上基準点(GCP)表や値属性表(VAT)など、その他の表が関連付けられる場合もあります。
任意のユーザーに対して、ラスター・データ表の名前とrasterID
の組合せによって、GeoRasterオブジェクトが一意に識別されます。1つのGeoRaster表に含まれる(rasterID
値が異なる)複数のGeoRasterオブジェクトが、1つのラスター・データ表を共有できます。
新しいGeoRasterオブジェクト(空および空白のGeoRasterオブジェクトを含む)が作成されるたびに、そのオブジェクトにラスター・データ表およびrasterID
値が割り当てられます。すべてのSDO_GEORASTERオブジェクト(アトミックNULLオブジェクトを除く)は、作成時にシステム・データ表に自動的に記録されます。
GeoRasterのSYSDATA表は、MDSYSスキーマに存在します。GeoRasterシステム・データ表に含まれるほとんどの情報は、システム・データ・ビューを介して参照できるため、GeoRasterデータベースに含まれるすべてのGeoRasterオブジェクトのディクショナリまたはカタログとして使用できます。GeoRasterのユーザーには、自分に関連付けられたスキーマに次のシステム・データ・ビューが含まれます。
USER_SDO_GEOR_SYSDATAには、現行ユーザーが所有するすべてのGeoRasterオブジェクトのシステム・データが含まれます。
ALL_SDO_GEOR_SYSDATAには、現行ユーザーがアクセス可能なすべてのGeoRasterオブジェクトのシステム・データが含まれます。
ユーザーは、GeoRasterのSYSDATA表およびUSER_SDO_GEOR_SYSDATAビューとALL_SDO_GEOR_SYSDATAビューを直接変更することはできません。ただし、これらは各GeoRaster表の各SDO_GEORASTER列に自動作成されるDMLトリガーによって更新されます。
USER_SDO_GEOR_SYSDATAビューの定義は次のとおりです。
( TABLE_NAME VARCHAR2(32), COLUMN_NAME VARCHAR2(1024), METADATA_COLUMN_NAME VARCHAR2(1024), RDT_TABLE_NAME VARCHAR2(32), RASTER_ID NUMBER, OTHER_TABLE_NAMES SDO_STRING_ARRAY );
ALL_SDO_GEOR_SYSDATAビューにはUSER_SDO_GEOR_SYSDATAビューのすべての列が含まれますが、TABLE_NAME列で指定された表を所有するスキーマを識別するOWNER列も含まれます。
この項では、両方のビューに共通する列について説明します。任意の列のVARCHAR2データの名前は、すべて大文字で格納されていることに注意してください。
RDT_TABLE_NAME列には、TABLE_NAME列およびCOLUMN_NAME列で指定された表および列に関連付けられたラスター・データ表の名前が含まれます。(ラスター・データ表については、2.2項を参照してください。)
GeoRasterでは、GeoRasterメタデータを格納および管理するためにXMLスキーマを定義します。このXMLスキーマの定義については、付録Aを参照してください。 GeoRaster XMLスキーマによって定義される名前空間はhttp://xmlns.oracle.com/spatial/georaster
であり、Oracleで使用するために予約されています。 SQL XMLファンクションまたはXMLTypeメソッドを使用してGeoRasterメタデータ・ドキュメントを操作する場合は、この名前空間を参照する必要があります。
GeoRasterは、SDO_GEOR_XMLSCHEMA_TABLEという名前の表を使用して、GeoRasterメタデータのXMLスキーマおよびその他の情報を格納します。この表は、MDSYSスキーマに存在します。この表を参照する場合、スキーマ名を含める必要があります。次に例を示します。
DESCRIBE mdsys.sdo_geor_xmlschema_table Name Null? Type ----------------------------------------- -------- ---------------------------- ID NOT NULL NUMBER GEORASTERFORMAT VARCHAR2(1024) XMLSCHEMA CLOB
表2-5に、SDO_GEOR_XMLSCHEMA_TABLE表の列の型の説明を示します。
表2-5 SDO_GEOR_XMLSCHEMA_TABLE表の列
列名 | データ型 | 説明 |
---|---|---|
id |
NUMBER |
Oracleによって割り当てられるID番号。 値 |
georasterFormat |
VARCHAR2(1024) |
Oracleによって割り当てられるGeoRasterフォーマット識別子。 値 |
xmlSchema |
CLOB |
GeoRasterメタデータのXMLスキーマの定義。この定義については、付録Aを参照してください。 |
この表にはGeoRasterビューが定義されていません。これは、主に、この表でGeoRasterのXMLスキーマの情報を問い合せる上級ユーザーを対象としています。
GeoRasterのXMLスキーマに含まれていない他のメタデータに対する独自のXMLスキーマを定義して、この表の新しい行にそのメタデータを格納する場合を除き、この表の内容を変更しないことをお薦めします。 独自のメタデータの行を追加する場合、ID列値に1
から50
またはGEORASTERFORMAT列値にGEORASTER
を使用しないでください。これらの列値は、Oracleで使用するために予約されています。 XMLSCHEMA列値を指定する場合は、独自のXMLスキーマに対して一意の名前空間を選択し、データベース内で一意である対応するスキーマURLを使用して登録する必要があります。 (詳細は、『Oracle XML DB開発者ガイド』を参照してください。)