DBMS_SHARED_POOL
パッケージは、共有プールへのアクセスを提供します。この共有プールは、カーソルとPL/SQLオブジェクトが格納されている共有メモリー領域です。 DBMS_SHARED_POOL
によって、共有プール内のオブジェクト・サイズを表示したり、メモリーの断片化を減らすためにオブジェクトを保存または非保存としてマークできます。
この章では、次の項目について説明します。
ここで提供されるプロシージャは、大規模なPL/SQLオブジェクトのロード時に役立ちます。大規模なPL/SQLオブジェクトのロード時には、大量の小規模オブジェクトを共有プールから期限切れとして削除して空き領域を用意する必要があるため(メモリー断片化のため)、ユーザーの応答時間に影響を与えます。場合によっては、大規模なオブジェクトをロードするためのメモリーが不足している場合があります。
DBMS_SHARED_POOL
は、頻繁に実行するトリガーに対しても有効です。コンパイルしたトリガーを共有プールで頻繁に使用する表に保管できます。
さらに、DBMS_SHARED_POOL
は順序もサポートしています。順序番号は、順序が期限切れで共有プールから削除されると失われます。 DBMS_SHARED_POOL
は、共有プールに順序を保存し、順序番号の損失を防止するのに役立ちます。
DBMS_SHARED_POOL
を作成するには、DBMSPOOL
.SQL
スクリプトを実行します。DBMSPOOL
.SQL
の実行後には、自動的にPRVTPOOL
.PLB
スクリプトが実行されます。 これらのスクリプトは、通常のデータベース作成では実行されません。
表118-1 DBMS_SHARED_POOLパッケージのサブプログラム
サブプログラム | 説明 |
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ABORTED_REQUEST_THRESHOLDプロシージャ |
共有プールについて、異常終了を要求するしきい値を設定します。 |
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共有プールにオブジェクトを保存します。 |
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名前付きオブジェクトまたはオブジェクトの指定したヒープをパージします。 |
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共有プールにあるオブジェクトで、指定サイズより大きいオブジェクトを表示します。 |
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指定オブジェクトを解放します。 |
このプロシージャは、共有プールについて、異常終了を要求するしきい値を設定します。
構文
DBMS_SHARED_POOL.ABORTED_REQUEST_THRESHOLD ( threshold_size NUMBER);
パラメータ
表118-2 ABORTED_REQUEST_THRESHOLDプロシージャのパラメータ
パラメータ | 説明 |
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共有プール内で確保解除されたメモリー(解放されたメモリーではない)を解放しないための要求サイズ(バイト単位)。 |
例外
しきい値が有効な範囲内にない場合は、例外が発生します。
使用上の注意
通常、要求が空きリストで満たされない場合、RDBMSは、LRUリストからオブジェクトを解放して要求を満たすことができるかを定期的にチェックし、メモリーを再要求しようとします。 このステップの完了後、RDBMSは、'ALTER
SYSTEM
FLUSH
SHARED_POOL
'とほぼ同等の内容を実行します。
これは、システム上のすべてのユーザーに影響を与えるため、このプロシージャは、その影響をthresh_hold
サイズを超える共有メモリーの断片検索に失敗した処理にローカライズします。このユーザーは、LRUリストを検索しなくても、'メモリー不足'エラーとなります。
このプロシージャは、共有プールにオブジェクトを保存します。オブジェクトが一度共有プールに保存されると、期間切れ削除の対象となりません。このことは、頻繁に使用されるラージ・オブジェクトに役立つ場合があります。ラージ・オブジェクトを共有プールに配置する場合、十分な連続領域を作成するために複数のオブジェクトを削除する必要がある場合があります。
構文
DBMS_SHARED_POOL.KEEP ( name VARCHAR2, flag CHAR DEFAULT 'P');
パラメータ
表118-3 KEEPプロシージャのパラメータ
パラメータ | 説明 |
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保存するオブジェクトの名前。 この識別子は、アドレスと、 現在、 |
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(オプション)このパラメータを指定しないと、パッケージは、最初のパラメータをパッケージ、プロシージャまたはファンクションの名前とみなして名前を解決します。 入力内容がパッケージ、プロシージャまたはファンクションの名前であることを完全に指定するには、'P'または'p'を設定します。 入力内容がタイプ名であることを指定するには、'T'または't'を設定します。 入力内容がトリガー名であることを指定するには、'R'または'r'を設定します。 入力内容が順序名であることを指定するには、'Q'または'q'を設定します。 最初の引数がカーソル・アドレスとハッシュ値の場合は、パラメータに'P'、'p'、'Q'、'q'、'R'、'r'、'T'、't'を除く任意の文字を指定する必要があります。 |
例外
指定されたオブジェクトが見つからない場合は、例外が発生します。
使用上の注意
オブジェクトは2種類あります。
名前で指定するPL/SQLオブジェクト、トリガー、順序およびタイプ
2つの番号(共有プール内の位置を示す)で指定するSQLカーソル・オブジェクト
次に例を示します。
DBMS_SHARED_POOL.KEEP('scott.hispackage')
この例では、SCOTT
が所有するパッケージHISPACKAGE
を保存します。PL/SQLオブジェクトの名前は、SQLのオブジェクト命名ルールに従っています(たとえば、デリミタ付き識別子やマルチバイトの名前などが可能です)。 カーソルは、DBMS_SHARED_POOL
.KEEP
('0034CDFF
, 20348871
')によって保存できます。最初の8文字は16進数の完全なアドレスである必要があります。
このプロシージャは、名前付きオブジェクトまたはオブジェクトの指定したヒープをパージします。
構文
DBMS_SHARED_POOL.PURGE ( name VARCHAR2, flag CHAR DEFAULT 'P', heaps NUMBER DEFAULT 1)
パラメータ
表118-4 PURGEプロシージャのパラメータ
パラメータ | 説明 |
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パージするオブジェクトの名前。 この識別子は、アドレスと、 現在、 |
|
(オプション)このパラメータを指定しないと、パッケージは、最初のパラメータをパッケージ、プロシージャまたはファンクションの名前とみなして名前を解決します。 入力内容がパッケージ、プロシージャまたはファンクションの名前であることを完全に指定するには、'P'または'p'を設定します。 入力内容がタイプ名であることを指定するには、'T'または't'を設定します。 入力内容がトリガー名であることを指定するには、'R'または'r'を設定します。 入力内容が順序名であることを指定するには、'Q'または'q'を設定します。 最初の引数がカーソル・アドレスとハッシュ値の場合は、パラメータに'P'、'p'、'Q'、'q'、'R'、'r'、'T'、't'を除く任意の文字を指定する必要があります。 |
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パージするヒープ。たとえば、ヒープ0およびヒープ6をパージする場合: 1<<0 | 1<<6 => hex 0x41 => decimal 65となります。このため、ヒープ=>を指定します。デフォルトは1です。1は、オブジェクト全体がパージされるヒープ0を意味します。 |
例外
ORA-6570
: 指定したオブジェクトを検出できない場合は例外が発生します。
ORA-6570
: 永続的に保持するようにマークされているオブジェクトはパージできません。
使用上の注意
KEEPプロシージャでサポートされているすべてのオブジェクトに対してPURGE
がサポートされています。
このプロシージャは、shared_pool
にあるオブジェクトで指定したサイズより大きいオブジェクトを表示します。オブジェクト名も表示され、KEEP
またはUNKEEP
いずれかのコールへの引数として使用できます。
構文
DBMS_SHARED_POOL.SIZES ( minsize NUMBER);
パラメータ
使用上の注意
このプロシージャの使用前に、SQL*DBAまたはSQL*Plus 'SET
SERVEROUTPUT
ON
SIZE
XXXXX'
コマンドを発行すると、結果が表示されます。
このプロシージャは、指定のオブジェクトを解放します。
構文
DBMS_SHARED_POOL.UNKEEP ( name VARCHAR2, flag CHAR DEFAULT 'P');
注意: このプロシージャは、将来自動メカニズムが実装されて不要になった場合サポートされなくなる可能性があります。 |
パラメータ
表118-6 UNKEEPプロシージャのパラメータ
パラメータ | 説明 |
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解放するオブジェクトの名前。 |
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例外
指定されたオブジェクトが見つからない場合は、例外が発生します。