この付録では、プロファイル・ファイル(sqlnet.ora
)とデータベース初期化ファイルに必要な認証パラメータを含む構成ファイルのサンプルをいくつか紹介します。これらのパラメータは、Kerberos、RADIUSまたはSSLの各認証を使用するときに必要です。
項目は、次のとおりです。
Kerberosを使用するクライアントとサーバーの構成ファイルには、次のパラメータを挿入します。
表B-1 Kerberos認証パラメータ
ファイル名 | 構成パラメータ |
---|---|
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SQLNET.AUTHENTICATION_SERVICES=(KERBEROS5) SQLNET.AUTHENTICATION_KERBEROS5_SERVICE=oracle SQLNET.KERBEROS5_CC_NAME=/usr/tmp/DCE-CC SQLNET.KERBEROS5_CLOCKSKEW=1200 SQLNET.KERBEROS5_CONF=/krb5/krb.conf SQLNET.KERBEROS5_CONF_MIT=(FALSE) SQLNET.KERBEROS5_REALMS=/krb5/krb.realms SQLNET.KERBEROS5_KEYTAB=/krb5/v5srvtab |
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REMOTE_OS_AUTHENT=FALSE OS_AUTHENT_PREFIX="" |
次の項では、RADIUS認証用のパラメータについて説明しています。
次の各項では、RADIUS認証の指定に使用されるsqlnet.ora
パラメータについて説明します。
このパラメータは、RADIUSアダプタを使用するためにクライアントまたはサーバーを構成します。表B-2に、このパラメータの属性を示します。
このパラメータは、プライマリRADIUSサーバーの場所を、ホスト名またはドット付き10進数の書式で設定します。RADIUSサーバーがOracleサーバー以外のコンピュータにあるときは、そのコンピュータのホスト名またはIPアドレスを指定する必要があります。表B-3に、このパラメータの属性を示します。
このパラメータは、プライマリRADIUSサーバーのリスニング・ポートを設定します。表B-4に、このパラメータの属性を示します。
このパラメータは、アカウントをオンまたはオフに設定します。アカウントを使用可能にすると、パケットはリスニング・ポート+1のアクティブRADIUSサーバーに送られます。デフォルトの場合、パケットはポート1646に送信されます。この機能をオンにする必要があるのは、RADIUSサーバーでアカウントをサポートしている場合で、システムにログインしたユーザーのログイン回数を記録する場合のみです。表B-7に、このパラメータの属性を示します。
このパラメータは、プライマリ・サーバーがフォルト・トレランスに使用できない場合、かわりに使用するRADIUSサーバーの場所を設定します。表B-9に、このパラメータの属性を示します。
このパラメータは、代替RADIUSサーバーのレスポンス待ち時間を設定します。表B-11に、このパラメータの属性を示します。
このパラメータは、代替RADIUSサーバーのメッセージの再送回数を設定します。表B-12に、このパラメータの属性を示します。
このパラメータは、チャレンジ/レスポンス(つまり、非同期)モードのサポートをオンまたはオフに設定します。表B-13に、このパラメータの属性を示します。
このパラメータは、RADIUSサーバーからのチャレンジを求めるキーワードを設定します。クライアント側のユーザーはパスワードを入力しません。表B-14に、このパラメータの属性を示します。
このパラメータは、RADIUSがチャレンジ/レスポンス(非同期)モードのときに、グラフィカル・ユーザー・インタフェースを持つJavaクラスの名前を設定します。表B-15に、このパラメータの属性を示します。
チャレンジ/レスポンス認証モードを使用した場合、RADIUSは最初にJavaベースのグラフィカル・インタフェースを使用してユーザーにパスワードを要求し、次にユーザーがトークン・カードから取得する動的パスワードなどの追加情報を要求します。SQLNET.RADIUS_CLASSPATH
パラメータをsqlnet.ora
ファイルに追加して、そのグラフィカル・インタフェースのJavaクラスのパスを設定し、JDK Javaライブラリへのパスを設定します。表B-16に、このパラメータの属性を示します。
sqlnet.authentication_services = (radius) sqlnet.radius.authentication = IP-address-of-RADIUS-server sqlnet.radius_challenge_response = ON
パラメータを構成するには、次の2通りあります。
静的: sqlnet.ora
ファイル内にあるパラメータの名前
動的: Oracle Netアドレスのセキュリティ・サブセクションで使用するパラメータの名前
この項では、サーバー上にSSLを構成するための静的パラメータと動的パラメータについて説明します。
属性 | 説明 |
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パラメータ名(静的) | SQLNET.AUTHENTICATION_SERVICES |
パラメータ名(動的) | AUTHENTICATION |
パラメータ・タイプ | 文字列LIST |
パラメータ・クラス | 静的 |
指定できる値 | 使用可能な認証サービスのリストにTCPSを追加します。 |
デフォルト値 | デフォルト値はありません。 |
説明 | ユーザーが使用する認証サービスを制御します。
注意: 動的バージョンでは1種類の設定のみサポートされます。 |
既存/新規パラメータ |
既存 |
構文(静的) | SQLNET.AUTHENTICATION_SERVICES = (TCPS, selected_method_1, selected_method_2) |
例(静的) | SQLNET.AUTHENTICATION_SERVICES = (TCPS, radius) |
構文(動的) | AUTHENTICATION = string |
例(動的) |
AUTHENTICATION = (TCPS) |
この項では、暗号スイートを構成するための静的パラメータと動的パラメータについて説明します。
属性 | 説明 |
---|---|
パラメータ名(静的) | SSL_CIPHER_SUITES |
パラメータ名(動的) | SSL_CIPHER_SUITES |
パラメータ・タイプ | 文字列LIST |
パラメータ・クラス | 静的 |
指定できる値 | 既知のSSL暗号スイート |
デフォルト値 | デフォルトはありません。 |
説明 | SSLで使用する暗号化とデータ整合性の組合せを制御します。 |
既存/新規パラメータ | 既存 |
構文(静的) | SSL_CIPHER_SUITES=(SSL_cipher_suite1[, SSL_cipher_suite2, ...SSL_cipher_suiteN]) |
例(静的) | SSL_CIPHER_SUITES=(SSL_DH_DSS_WITH_DES_CBC_SHA) |
構文(動的) | SSL_CIPHER_SUITES=(SSL_cipher_suite1
[, SSL_cipher_suite2, ...SSL_cipher_suiteN]) |
例(動的) | SSL_CIPHER_SUITES=(SSL_DH_DSS_WITH_DES_CBC_SHA) |
Oracle Advanced Securityでは次の暗号スイートをサポートしています。
SSL_RSA_WITH_3DES_EDE_CBC_SHA
SSL_RSA_WITH_RC4_128_SHA
SSL_RSA_WITH_RC4_128_MD5
SSL_RSA_WITH_DES_CBC_SHA
SSL_DH_anon_WITH_3DES_EDE_CBC_SHA
SSL_DH_anon_WITH_RC4_128_MD5
SSL_DH_anon_WITH_DES_CBC_SHA
SSL_RSA_EXPORT_WITH_RC4_40_MD5
SSL_RSA_EXPORT_WITH_DES40_CBC_SHA
SSL_RSA_WITH_AES_128_CBC_SHA
SSL_RSA_WITH_AES_256_CBC_SHA
Advanced Encryption Standard(AES
)を使用する暗号スイートは、Transport Layer Security(TLS 1.0)でのみ動作します。
この項では、使用するSSLのバージョンを構成するための静的パラメータと動的パラメータについて説明します。
属性 | 説明 |
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パラメータ名(静的) | SSL_VERSION |
パラメータ名(動的) | SSL_VERSION |
パラメータ・タイプ | 文字列 |
パラメータ・クラス | 静的 |
指定できる値 | SSLで有効な任意のバージョン。 (0, 3.0) |
デフォルト値 | "0" |
説明 | SSL接続のバージョンを強制実行します。 |
既存/新規パラメータ | 新規 |
構文(静的) | SSL_VERSION=version |
例(静的) | SSL_VERSION=3.0 |
構文(動的) | SSL_VERSION=version |
例(動的) | SSL_VERSION=3.0 |
この項では、クライアント上にSSLを構成するための静的パラメータと動的パラメータについて説明します。
属性 | 説明 |
---|---|
パラメータ名(静的) | SSL_CLIENT_AUTHENTICATION |
パラメータ名(動的) | SSL_CLIENT_AUTHENTICATION |
パラメータ・タイプ | ブール値 |
パラメータ・クラス | 静的 |
指定できる値 | TRUE/FALSE |
デフォルト値 | TRUE |
説明 | サーバーに加えて、クライアントをSSLで認証するかどうかを制御します。 |
既存/新規パラメータ | 新規 |
構文(静的) | SSL_CLIENT_AUTHENTICATION={TRUE | FALSE} |
例(静的) | SSL_CLIENT_AUTHENTICATION=FALSE |
構文(動的) | SSL_CLIENT_AUTHENTICATION={TRUE | FALSE} |
例(動的) | SSL_CLIENT_AUTHENTICATION=FALSE |
この項では、クライアントの接続先サーバーを識別するためのパラメータについて説明します。
属性 | 説明 |
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パラメータ名 | SSL_SERVER_DN_MATCH |
格納場所 | sqlnet.ora |
用途 | サーバーの識別名(DN)とそのサービス名を照合するために使用します。照合検証を行う場合は、SSLによって、証明書がサーバーのものであることが保証されます。照合検証を強制しない選択の場合、SSLはDNとサービス名が一致しているかどうかチェックし、一致していない場合でも接続を許可します。照合を行わないと、サーバーが自身の識別情報を偽る可能性があります。 |
指定できる値 | yes|on|true 。照合することを指定します。DNとサービス名が一致した場合は接続が成功し、一致しない場合は失敗します。
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デフォルト | Oracle8i 以上: FALSE。SSLクライアントは常にサーバーのDNをチェックします。DNとサービス名が一致しない場合、接続は成功しますが、sqlnet.log ファイルにエラーが記録されます。 |
使用上の注意 | サーバーDNの照合を有効にするには、tnsnames.ora のパラメータSSL_SERVER_CERT_DN も構成する必要があります。 |
属性 | 説明 |
---|---|
パラメータ名 | SSL_SERVER_CERT_DN |
格納場所 | tnsnames.ora 。クライアント上に格納し、接続するサーバーごとにエントリを定義できます。また、LDAPディレクトリに格納し、接続するサーバーごとにエントリを定義して、集中的に更新することもできます。 |
用途 | サーバーの識別名(DN)を指定します。クライアントは、この情報を使用して、各サーバーに対して希望するDNのリストを取得し、サーバーのDNとそのサービス名との照合を行います。 |
指定できる値 | サーバーの識別名(DN)と等しい値を設定します。 |
デフォルト | N/A |
使用上の注意 | サーバーDNの照合を有効にするには、sqlnet.ora のパラメータSSL_SERVER_DN_MATCH も構成する必要があります。 |
例 | dbalias=(description=address_list=(address=(protocol=tcps)(host=hostname)(port=portnum)))(connect_data=(sid=Finance))(security=(SSL_SERVER_CERT_DN="CN=Finance,CN=OracleContext,C=US,O=Acme")) |
セキュリティ資格証明をプロセス空間にロードするためにウォレットにアクセスする必要があるアプリケーションについては、表B-17で定義されているウォレット・ロケーション・パラメータを次の各構成ファイルに指定する必要があります。
sqlnet.ora
listener.ora
表B-17 ウォレット・ロケーション・パラメータ
静的構成 | 動的構成 |
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デフォルトのウォレット・ロケーションは、ORACLE_HOME
ディレクトリです。