DEPRSLファンクションは、一連の資産の減価償却費を計算するファンクションです。DEPRSLは、指定した資産の耐用年数に基づいて資産を定額法で減価償却します(「DEPRSLの計算方法」を参照)。期首価額と期末価額は、各期間に取得した資産に対して指定します。
戻り値
DECIMAL。start-expのすべてのディメンションによってディメンション化されます。
構文
DEPRSL(start-exp end-exp n [STATUS] [{FULL|HALF| portion-exp} [time-dimension]])
引数
資産の期首価額が格納された数式。start-exp式は、時間ディメンションによってディメンション化する必要があります。start-expには、時間ディメンションの値ごとに、その期間に取得した資産の初期価額が格納されます。start-expには、時間ディメンションに加えて、非時間ディメンションもあります。
資産の期末価額が格納された数式。end-exp式は、start-expと同じディメンションでディメンション化する必要があります。end-expには、時間ディメンションの値ごとに、その期間に取得した資産の最終(または残存)価額が格納されます。start-expのそれぞれの値には、これに対応するend-exp値が必要です。たとえば、1995年に取得した資産の残存価額が$200であった場合、1995年のend-expの値は$200になります。
資産の減価償却の有効期間が格納されたINTEGER
式。n式には、start-expの任意の非時間ディメンションを格納できますが、時間ディメンションは格納できません。
DEPRSLが原価償却費を計算する際に、現行のステータス・リスト(つまり現在ステータスにあり、現行のステータスの順序に並んでいるディメンション値のみ)を使用することを指定します。デフォルトでは、デフォルトのステータス・リストが使用されます。
(デフォルト)ある期間の減価償却費全額を、資産の取得期間に計上することを指定します。一連の全資産に対する全額を計上します。
ある期間の減価償却費の半額を、資産の取得期間に計上することを指定します。一連の全資産に対する半額を計上します。取得した期間に計上される減価償却費の一部としてHALFを指定すると、各期間にHALF係数が適用されます。各期間の減価償却費総額の半分は次の期間にロールされ、後半の減価償却は期間n
+ 1
に実施されます。HALFは、ある期間の下半期に資産を取得した場合などに使用します。
一定の資産については全額を計上し、それ以外の資産については半額を計上する場合は、start-expの任意の非時間ディメンションによってディメンション化されるportion-exp式を指定できます。portion-exp式は、FULLまたはHALFの値を指定したテキスト式にする必要があります。
start-expおよびend-expがディメンション化される時間ディメンションの名前。時間ディメンションが、DAY、WEEK、MONTH、QUARTER、YEAR型のいずれかである場合、time-dimension引数はオプションです。
注意
DEPRSLの計算方法
DEPRSLでは、償却が全額は完了していない一連の全資産について、特定の期間の減価償却費が、その期間の減価償却費の合計として計算されます。ある資産の最初の減価償却期間とは、その資産を取得した期間を指します。
DEPRSLとNA値
start-expの値がNA
で、これに対応するend-expの値がNA
でない場合は、エラーが発生します。同様に、end-expの値がNA
で、これに対応するstart-expの値がNA
でない場合もエラーが発生します。
start-expの値とこれに対応するend-expの値がどちらもNA
の場合、DEPRSLの動作はNASKIPオプションの影響を受けます。NASKIPの設定がYES
(デフォルト)の場合、DEPRSLでは、減価償却費の計算時に値が0とみなされます。NASKIPの設定がNO
の場合は、DEPRSLからの戻り値は、影響するすべての期間に対してNA
になります。
例
例7-71 単一期間に取得した資産のDEPRSLによる減価償却費の計算
この例では、DEPRSLを使用して、単一の期間に取得した資産の減価償却費を計算する方法を示します。
次の文を実行すると、assets
およびsalvage
という2つの変数が作成されます。
DEFINE assets DECIMAL <year> DEFINE salvage DECIMAL <year>
変数assets
およびsalvage
に対して、次の値を代入します。
YEAR ASSETS SALVAGE -------------- ---------- ---------- Yr95 1,000.00 100.00 Yr96 0.00 0.00 Yr97 0.00 0.00 Yr98 0.00 0.00 Yr99 0.00 0.00 Yr00 0.00 0.00
変数assets
には、1995年に取得した資産の期首価額が格納されています。変数salvage
には、1995年に取得した資産の期末価額が格納されています。
次の文を実行すると、資産額と残存価額がレポートされ、DEPRSLによって各年の減価償却費が計算されます。ここでは、資産の有効期間として5年が指定されています。
REPORT assets salvage W 12 HEADING 'Depreciation' - DEPRSL(assets salvage 5 FULL year)
この文によって生成される出力は、次のとおりです。
YEAR ASSETS SALVAGE Depreciation -------------- ---------- ---------- ------------ Yr95 1,000.00 100.00 180.00 Yr96 0.00 0.00 180.00 Yr97 0.00 0.00 180.00 Yr98 0.00 0.00 180.00 Yr99 0.00 0.00 180.00 Yr00 0.00 0.00 0.00
例7-72 複数の期間に取得した資産のDEPRSLによる減価償却費の計算
DEPRSLを使用すると、一連の資産の減価償却費も計算できます。次のレポートに示す変数assets
およびsalvage
の1997年の値を変更するとします。
YEAR ASSETS SALVAGE -------------- ---------- ---------- Yr95 1,000.00 100.00 Yr96 0.00 0.00 Yr97 500.00 50.00 Yr98 0.00 0.00 Yr99 0.00 0.00 Yr00 0.00 0.00 Yr01 0.00 0.00 Yr02 0.00 0.00
ここで、assets
とsalvage
の1995年と1997年の値には、ゼロ以外の値が格納されています。
次の文を実行すると、資産価額と残存価額の他に、資産の減価償却費もレポートされます。DEPRSLをコールして減価償却費を計算する場合は、資産の有効期間として5期間(この場合は5年)が指定されています。
REPORT assets salvage W 12 HEADING 'Depreciation' - DEPRSL(assets salvage 5 FULL year)
この文によって生成されるレポートは、次のとおりです。
YEAR ASSETS SALVAGE Depreciation -------------- ---------- ------------- -------------------- Yr95 1,000.00 100.00 180.00 Yr96 0.00 0.00 180.00 Yr97 500.00 50.00 270.00 Yr98 0.00 0.00 270.00 Yr99 0.00 0.00 270.00 Yr00 0.00 0.00 90.00 Yr01 0.00 0.00 90.00 Yr02 0.00 0.00 0.00
1995年に取得した資産は、1999年に全額が償却されました。したがって、2000年と2001年にDEPRSLによって返される数字は、1997年にのみ取得した資産の減価償却費を含む数字となります。