この章では、Oracleデータベース環境での文字列のソートと検索について説明します。
この章の内容は、次のとおりです。
ソート順序は言語によって異なります。さらに、同じアルファベットを使用している文化または国の間でも、文字のソート方法が異なる場合があります。たとえば、デンマーク語のÆは、Z
の後にきます。また、Y
とÜ
は同じ文字の変形とみなされます。
ソート順序には、大/小文字区別の有無を指定できます。ケースは、大文字であるか小文字であるかの条件を指します。たとえばラテン・アルファベットの場合、A
が大文字で、それに対する小文字がa
です。
ソート順序では、発音区別記号を無視するか考慮するかを指定できます。発音区別記号は、文字または文字列の上または下にある記号で、それが付いていない場合の文字とは発音が異なることを示します。たとえば、façade
の場合、セディラ(,
)は発音区別記号です。セディラが付いている場合は、c
の発音が変化します。
表音的なソート順序や、文字の外観に基づいたソート順序も指定できます。たとえば、東南アジアの表意文字の場合は、画数に基づいたソート順序を指定できます。ソート上の一般的な問題となるものに、結合文字があります。たとえば、伝統的なスペイン語のch
は1つの独立した文字であり、ソート順序ではc
の後にきます。つまり、正しいソート順序は、cerveza、colorado、cheremoyaのようになります。したがって、文字c
は、次にくる文字がh
であるかどうかが確認されるまで、ソートされません。
Oracleデータベースには、次のタイプのソートが用意されています。
バイナリ・ソート
単一言語ソート
多言語ソート
これらのソートにより、単一言語に応じた正確なソート順序に加えて、多言語ISO規格(ISO 14651)に準拠したソートが実現できます。この規格は、複数言語を同時に処理するように設計されています。
文字データをソートする方法の1つは、文字コード体系によって定義された文字の数値に基づいています。このようなソートをバイナリ・ソートと呼びます。バイナリ・ソートは最も高速なソート・タイプです。ASCIIやEBCDICの規格では、文字A〜Zを昇順の数値で定義しているため、英語のアルファベットについてはこのタイプで正しいソート結果が得られます。
注意: ASCII規格では、大文字はすべて小文字の前にきます。逆に、EBCDIC規格では、小文字はすべて大文字の前にきます。 |
他の言語で使用されている文字が存在すると、通常、バイナリ・ソートでは正しい結果が得られません。たとえば、文字コード体系で、Ä
の数値がB
の数値より高い場合、昇順のORDER
BY
問合せでは、ABC
、ABZ
、BCD
、ÄBC
の順で文字列が戻ります。表意文字を使用するアジア言語の場合、通常、バイナリ・ソートに言語的な意味はありません。
文字のアルファベット順に一致するソート基準を得るには、文字コード体系内の数値に依存せずに文字をソートする別のソート方法を使用する必要があります。この方法を言語ソートと呼びます。言語ソートでは、各文字を、言語的に適切な文字順序を反映した数値に置換することによって、ソート操作を行います。
Oracleデータベースでは、単一言語ソートと多言語ソートの2種類の言語ソートを提供しています。
この項の内容は、次のとおりです。
Oracleデータベースでは、単一言語ソートの場合、文字列は2つの手順で比較されます。最初の手順では、メジャー値テーブルにある文字列全体のメジャー値が比較されます。通常、同じ外観の文字には、同じメジャー値があります。第2の手順では、マイナー値テーブルにあるマイナー値が比較されます。メジャー値とマイナー値はOracleデータベースによって定義されます。Oracleデータベースでは、マイナー値が異なる同じメジャー値を使用して、発音区別記号を持つ文字と大/小文字区別を定義します。
各メジャー・テーブル・エントリには、1文字のUnicodeコード・ポイントとメジャー値が含まれています。Unicodeコード・ポイントは、1文字を表す16ビットのバイナリ値です。
表5-1に、a
、A
、ä
、Ä
およびb
のソートに使用するサンプルの値を示します。
注意: 単一言語ソートは、Unicode以外のマルチバイト・データベース・キャラクタ・セットには使用できません。データベース・キャラクタ・セットがUnicode以外のマルチバイトである場合に単一言語ソートが指定されている場合、デフォルトのソート順序はデータベース・キャラクタ・セットのバイナリ・ソート順序です。例外の1つに、UNICODE_BINARY があります。このソートは、すべてのキャラクタ・セットに使用できます。 |
Oracleデータベースには多言語ソートが用意されているため、複数言語のデータを1つのソートとしてソートできます。この機能は、複雑なソート・ルールや多言語データベースを持つ地域または言語に有効です。さらに、Oracle Database 11gでは、従来のリリースで定義されたすべてのソート順序をサポートしています。
アジア諸国の言語データや多言語データに対しては、ISO 14651規格とUnicode 5.0規格に基づいたソート・メカニズムが用意されています。漢字は、画数、ピンイン(中国語の発音記号)または部首で順序付けされます。
また、多言語ソートでは、標準的な同値化や補助文字も処理できます。標準的な同値化は、文字間または文字列間での基本的な同値化です。たとえば、ç
は、c
と,
の組合せと同じです。補助文字はUnicodeでのユーザー定義文字または事前定義済の文字であり、特定のコード範囲内の2つのコード・ポイントを必要とします。1つの多言語ソートに最大110万のコード・ポイントを定義できます。
たとえば、Oracleデータベースではフランス語の単一言語ソート(FRENCH
)がサポートされていますが、フランス語の多言語ソート(FRENCH_M
)を指定できます。_M
は、多言語ソートに対するISO 14651規格を表します。このソート順では、GENERIC_M
ソート順に基づき、発音区別記号を右から左へとソートできます。したがって、オラクル社では表に多言語データが格納されている場合は、多言語ソートの使用をお薦めします。表にフランス語のみが含まれている場合は、フランス語の単一言語ソートを使用する方が、メモリー使用量が少ないため、パフォーマンスは向上します。メモリー使用量が少ないのは、フランス語の単一言語ソートの方が、フランス語の多言語ソートよりも定義されている文字が少ないためです。ソートの有効範囲とパフォーマンスの間には、トレードオフがあります。
Oracleデータベースでは、多言語ソートを次の3つの精度レベルで評価します。
1次レベル・ソートでは、文字a
と文字b
の相違など、ベース文字間の相違を識別します。a
がb
の前にくるか、b
がa
の前にくるか、あるいは同値かの定義は、個々のロケールに準じます。文字をバイナリで表現することは、意味のないことです。無視可能文字には、0(ゼロ)の1次レベルの順序(重み)を割り当てます。その結果、その文字は1次レベルで無視されます。他のレベルでの無視可能文字には、そのレベルで順序0(ゼロ)が割り当てられます。
たとえば、1次レベルでは、bat
のすべてのバリエーションが、bet
のすべてのバリエーションより前にきます。どちらの場合も、それぞれのバリエーションは次のように様々な順序で表示されます。
Bat bat BAT BET Bet bet
2次レベル・ソートでは、ベース文字(1次レベル・ソート)を識別してから、特定のベース文字に付いている様々な発音区別記号を識別します。たとえば、文字Ä
と文字A
の相違は、発音区別記号の有無のみです。したがって、Ä
とA
は2次レベルでは異なる文字ですが、1次レベルでは同じ文字です。これは、両方とも同じベース文字(A
)から導出されているためです。
次のリストは、1次レベル(resume
がresumes
の前)と2次レベル(発音区別記号なしの文字列が発音区別記号付きの文字列の前)でソートされています。
resume résumé Résumé Resumes resumes résumés
3次レベル・ソートでは、ベース文字(1次レベル・ソート)、発音区別記号(2次レベル・ソート)およびケース(大文字と小文字)が識別されます。さらに、+
、-
および*
などの特殊文字も識別できます。
次に3次レベル・ソートの例を示します。
文字a
とA
は、1次レベルと2次レベルでは同じ文字ですが、3次レベルでは異なる文字です。これは、ケースが異なるためです。
文字ä
とA
は、1次レベルでは同じ文字ですが、2次レベルと3次レベルでは異なる文字です。
ダッシュ文字-
の1次レベルと2次レベルでの順序は、0(ゼロ)です。つまり、この文字は、1次と2次のレベルでは無視されます。ダッシュを0(ゼロ)以外の1次レベル順序を持つ別の文字、たとえば、u
と比較しても、1次レベルでの結果は取得できません。これは、u
と比較する対象の文字がないためです。この場合は、3次レベルでのみ-
とu
の相違が検索されます。
次のリストは、1次レベル(resume
がresumes
の前)、2次レベル(発音区別記号なしの文字列が発音区別記号付きの文字列の前)および3次レベル(小文字が大文字の前)でソートされています。
resume Resume résumé Résumé resumes Resumes résumés Résumés
この項では、次の言語ソート機能の違いについて説明します。
言語ソートは、必要な特性を含むようにカスタマイズできます。
ベース文字はベース文字表に定義されています。この表によって、各文字がベース文字にマップされます。たとえば、a
、A
、ä
およびÄ
はすべて、ベース文字であるa
にマップされます。この概念は、Oracle Textで作業する場合に特に重要です。
関連項目: 『Oracle Textリファレンス』 |
言語ソートでは、一部の文字を無視できます。このような文字を無視可能文字と呼びます。無視可能文字には、発音区別記号と句読点の2種類があります。
無視可能な発音区別記号の例は、次のとおりです。
^
。したがって、rôle
はrole
と同じ文字として処理されます。
ウムラウト。したがって、naïve
はnaive
と同じ文字として処理されます。
無視可能な句読点の例として、ダッシュ文字-
があります。この文字が無視される場合は、multi-lingual
をmultilingual
と同じ文字、e-mail
をemail
と同じ文字として処理できます。
ソート要素は、通常、単一文字で構成されていますが、一部のロケールでは、1つの文字列に2つ以上の文字がある場合があります。その場合、その文字列はソート時にも単一のソート要素とみなす必要があります。たとえば、伝統的なスペイン語の文字列ch
は、2つの文字で構成されています。これらの文字は、多言語ソートでは短縮文字と呼ばれ、単一言語ソートでは、特殊組合せ文字と呼ばれます。
合成文字を短縮文字と混同しないでください。á
などの合成文字は、それぞれ独自のエンコーディングを持つa
と'
に分解できます。合成文字と短縮文字の違いは、合成文字が端末に1文字として表示できるのに対して、短縮文字はソートにのみ使用され、それを構成する文字はそれぞれ個別に表示される必要があることです。
一部のロケールでは、特定の文字を文字列であるかのようにソートする必要があります。ドイツ語の文字ß
(強調のs)がその例です。この文字は、文字列SS
と同じようにソートされます。別の例では、ö
は、od
の後、of
の前にoe
のようにソートされます。これらの文字は、多言語ソートでは、拡張文字と呼ばれ、単一言語ソートでは、特殊文字と呼ばれます。短縮文字の場合と同様、拡張文字に対する置換文字列は、ソート目的の場合のみ意味があります。
日本語では、全角のダッシュ—
に似た長母音記号は、先行する文字の母音を長く伸ばすことを示す長音記号を表しています。ソート順序は、長音記号の前にある母音に応じて異なります。この方法は、状況依存ソートと呼ばれます。たとえば、文字ka
の後にくる長音記号—
は、a
を長く伸ばすことを示し、a
と同じように処理されます。一方、文字ki
の後にくる長音記号—
は、i
を長く伸ばすことを示し、i
と同じように処理されます。これをラテン文字に変換すると、ソートは次のようになります。
kaa ka— -- kaa and ka— are the same kai -- kai follows ka- because i is after a kia -- kia follows kai because i is after a kii -- kii follows kia because i is after a ki— -- kii and ki— are the same
標準的な同値化は多言語ソートの属性であり、同値のコード・ポイント順序のソート方法を記述したものです。標準的な同値化が特定の言語ソートに適用される場合、標準的に同値の文字列は同等とみなされます。
1つのUnicodeのコード・ポイントが、一連のベース文字のコード・ポイントに発音区別記号のコード・ポイントを加えたものと同じ値である場合があります。これは、Unicodeの標準的な同値化と呼ばれます。たとえば、ä
はウムラウト付きのベース文字a
と同じです。言語フラグCANONICAL_EQUIVALENCE = TRUE
は、特定の言語ソートにUnicodeに定義されている標準的な同値化規則をすべて適用する必要があることを示します。Oracleデータベース定義の言語ソートには、標準的な同値化フラグ用の適切な設定が含まれています。すべてのデータが合成された形式の場合は、このフラグをFALSE
に設定すると、比較と順序付け機能が高速になります。
たとえば、次の文字列を考えてみます。
äa
(a
ウムラウトの後にa
)
a¨b
(a
の後にウムラウトとb
)
äc
(a
ウムラウトの後にc
)
CANONICAL_EQUIVALENCE=FALSE
の場合、文字列のソート順序は次のようになります。
aÞb äa äc
これは、標準的な同値化が適用されない場合は、a
がä
の前にくるためです。
CANONICAL_EQUIVALENCE=TRUE
の場合、文字列のソート順序は次のようになります。
äa aÞb äc
これは、ä
とaÞ
が標準的に同値として処理されるためです。
Oracle Locale Builderを使用すると、既存の多言語ソートで標準的な同値化フラグの設定を表示できます。Oracle Locale Builderを使用してカスタマイズした多言語ソートを作成する場合は、標準的な同値化フラグを必要に応じて設定できます。
フランス語では、発音区別記号付き文字を含む文字列をソートする場合、最初にベース文字が左から右の順に比較されますが、発音区別記号付き文字自体は右から左の順に比較されます。たとえば、デフォルトでは、発音区別記号付き文字は、発音区別記号が付かない文字の後に置かれます。そのため、フランス語ソートでは、Èdit
はEdít
の前にきます。この2つの文字列は1次レベルでは同値です。2次レベルの順序は、発音区別記号付き文字を右から左へ調べてから決定されます。個別のロケールでは、発音区別記号付き文字を右から左のルールでソートするように要求できます。逆2次ソートを使用可能にするには、REVERSE_SECONDARY
言語フラグをTRUE
に設定します。
タイ語とラオ語の場合は、ソート前に一部の文字を後続の文字と最初に入れ替える必要があります。通常、この種の文字は、母音を表す記号であるため、次にくる文字は子音になります。子音と母音は、ソート前に入れ替える必要があります。ソート前に入れ替える必要があるすべての文字について、SWAP_WITH_NEXT
語フラグを設定してください。
1つの小文字が複数の大文字にマップされる場合があります。たとえば、伝統的なドイツ語では、ß
の大文字は、SS
です。
このような大/小文字の変換は、NLS_UPPER
、NLS_LOWER
およびNLS_INITCAP
のSQL関数によって、言語ソート基準で設定された規則に従って処理されます。SQL関数UPPER
、LOWER
およびINITCAP
では、これらの特殊文字を処理できません。これは、大/小文字区別の操作が、言語に依存しない基礎となるキャラクタ・セットに定義されたバイナリ・マッピングに基づいているためです。
NLS_UPPER
SQL関数は、小文字の文字列と同じキャラクタ・セットからの大文字をすべて戻します。次の例に、NLS_SORT
がXGERMAN
に設定されている場合のNLS_UPPER
関数の結果を示します。
SELECT NLS_UPPER ('große') "Uppercase" FROM DUAL; Upper ----- GROSSE
関連項目: 『Oracle Database SQLリファレンス』 |
Oracleデータベース内の操作では、常に大/小文字およびアクセント(発音区別記号)が区別されます。大/小文字およびアクセントを区別しない比較とソートの実行が必要になる場合があります。
以前のバージョンのデータベースでは、NLS_UPPER
およびNLS_LOWER
SQL関数を使用して大/小文字区別なしの問合せを実行できました。この2つの関数は、特定の言語ソート定義に基づいて文字列の大/小文字を変更します。これにより、使用言語に関係なく大/小文字を区別しない検索を実行できます。たとえば、次のようにtest1
表を作成します。
SQL> CREATE TABLE test1(word VARCHAR2(12)); SQL> INSERT INTO test1 VALUES('GROSSE'); SQL> INSERT INTO test1 VALUES('Große'); SQL> INSERT INTO test1 VALUES('große'); SQL> SELECT * FROM test1; WORD ------------ GROSSE Große große
GROSSE
に対して、次のように大/小文字を区別した検索を実行します。
SQL> SELECT word FROM test1 WHERE word='GROSSE'; WORD ------------ GROSSE
NLS_UPPER
関数を使用し、GROSSE
に対して大/小文字を区別しない検索を実行します。
SELECT word FROM test1 WHERE NLS_UPPER(word, 'NLS_SORT = XGERMAN') = 'GROSSE'; WORD ------------ GROSSE Große große
Oracle Database 10gには、言語ソート用に大/小文字区別なしのオプションとアクセント区別なしのオプションが用意されています。次のタイプの単一言語ソートおよび多言語ソートが用意されています。
ベース文字、発音区別記号、句読点およびケースに関する情報を使用する言語ソート。これらは、「言語ソートの使用」で説明した標準的な単一言語ソートと多言語ソートです。
ベース文字、発音区別記号および句読点に関する情報を使用する言語ソート。このタイプのソートを、大/小文字を区別しないソートと呼びます。
ベース文字に関する情報のみを使用する言語ソート。このタイプのソートを、アクセントを区別しないソートと呼びます(アクセントは発音区別記号と同義です)。アクセントを区別しないソートでは常に、大/小文字も区別されません。
これ以降の内容は、次のとおりです。
後述の例は、次のソートを示しています。
ベース文字、発音区別記号、句読点およびケースに関する情報を使用するソート
大/小文字を区別しないソート
アクセントを区別しないソート
例5-1 ベース文字、発音区別記号、句読点およびケース情報を使用した言語ソート
次のリストは、ベース文字、発音区別記号、句読点およびケース情報を使用してソートされています。
blackbird black bird black-bird Blackbird Black-bird blackbîrd bläckbird
NLS_SORT
セッション・パラメータを使用して、大/小文字またはアクセントを区別しないソートを指定します。
大/小文字を区別しないソートの場合は、Oracleソート名に_CI
を追加します。
アクセントも大/小文字も区別しないソートの場合は、Oracleソート名に_AI
を追加します。
たとえば、NLS_SORT
を次のタイプの値に設定できます。
FRENCH_M_AI XGERMAN_CI
バイナリ・ソートでも、大/小文字またはアクセントを区別しないように指定できます。NLS_SORT
の値としてBINARY_CI
を指定すると、アクセントを区別するが大/小文字は区別しないソートを指定したことになります。BINARY_AI
は、アクセントも大/小文字も区別しないバイナリ・ソートを指定します。キャラクタ・セットのバイナリ・ソート順序が使用中のキャラクタ・セットに適している場合は、バイナリ・ソートを使用します。
たとえば、NLS_LANG
環境変数をAMERICAN_AMERICA.WE8ISO8859P1
に設定し、次のようにtest2
という表を作成して移入します。
SQL> CREATE TABLE test2 (letter VARCHAR2(10)); SQL> INSERT INTO test2 VALUES('ä'); SQL> INSERT INTO test2 VALUES('a'); SQL> INSERT INTO test2 VALUES('A'); SQL> INSERT INTO test2 VALUES('Z'); SQL> SELECT * FROM test2; LETTER ----------- ä a A Z
NLS_SORT
のデフォルト値はBINARY
です。次の文を使用して、test2
表内の文字のバイナリ・ソートを実行します。
SELECT * FROM test2 ORDER BY letter;
NLS_SORT
の値を変更するには、次のような文を入力します。
ALTER SESSION SET NLS_SORT=BINARY_CI;
次の表に、NLS_SORT
をBINARY
、BINARY_CI
およびBINARY_AI
に設定した結果得られるソート順を示します。
BINARY | BINARY_CI | BINARY_AI |
---|---|---|
A |
a |
ä |
Z |
A |
a |
a |
Z |
A |
ä |
ä |
Z |
NLS_SORT=BINARY
の場合は、大文字が小文字の前にきます。発音区別記号付きの文字は最後に表示されます。
ソートで発音区別記号は考慮されるが大/小文字は区別されない場合(BINARY_CI
)は、発音区別記号付きの文字が最後に表示されます。
大/小文字区別と発音区別記号がどちらも無視される場合(BINARY_AI
)、ä
はベース文字a
を持つ他の文字でソートされます。ベース文字a
を持つ文字はすべて、z
の前にきます。
キャラクタ・セットがUS7ASCIIまたはバイナリ・ソートと同じソート順序を持つキャラクタ・セットの場合は、パフォーマンスを改善するためにバイナリ・ソートを使用できます。
次の表に、表のドイツ語ソートの結果得られるソート順序を示します。
GERMAN | GERMAN_CI | GERMAN_AI |
---|---|---|
a |
a |
ä |
A |
A |
a |
ä |
ä |
A |
Z |
Z |
Z |
ドイツ語ソートでは、小文字が大文字の前にきて、ä
がZ
の前にきます。このソートで大/小文字区別と発音区別記号の両方が無視される場合(GERMAN_AI
)、ä
はベース文字a
を持つ他の文字を使用して表示されます。
この項の例は、バイナリ・ソート、単一言語ソートおよび多言語ソートを示しています。例を使用する準備として、表test3
を作成して移入します。次の文を入力します。
SQL> CREATE TABLE test3 (name VARCHAR2(20)); SQL> INSERT INTO test3 VALUES('Diet'); SQL> INSERT INTO test3 VALUES('À voir'); SQL> INSERT INTO test3 VALUES('Freizeit');
例5-4 バイナリ・ソート
SQL> SELECT * FROM test3 ORDER BY name;
次の出力が表示されます。
Diet Freizeit À voir
バイナリ・ソートの結果、À voir
がリストの最後に表示されることに注意してください。
例5-5 ドイツ語の単一言語ソート
NLS_SORT
パラメータをgerman
に設定してNLSSORT
関数を使用し、ドイツ語ソートを取得します。
SQL> SELECT * FROM test3 ORDER BY NLSSORT(name, 'NLS_SORT=german');
次の出力が表示されます。
À voir Diet Freizeit
ドイツ語ソートでは、À voir
がリストの先頭になることに注意してください。
NLS_SORT
パラメータをgerman
に設定してNLSSORT
関数を使用し、ドイツ語の単一言語ソートを実行します。
SQL> SELECT * FROM test2 ORDER BY NLSSORT(name, 'NLS_SORT=german');
ドイツ語ソートからの出力では、新しい文字列がエントリ・リストの最後に表示されます。これは、その文字がドイツ語ソートでは認識されないためです。
次の文を入力して多言語ソートを実行します。
SQL> SELECT * FROM test2 ORDER BY NLSSORT(name, 'NLS_SORT=generic_m');
出力では、ISOソート・ルールに従って新しい文字列がDiet
の後に表示されます。
SQL比較操作を実行すると、文字はそのバイナリ値に基づいて比較されます。バイナリ値が大きい文字は、他の文字より後になります。ほとんどの言語で、バイナリの順序と言語上の順序が一致していないため、一般ユーザーにとってこのような比較は無意味です。意味のある比較をするためには、セッション・パラメータのNLS_COMP
およびNLS_SORT
を使用して、動作を指定できます。この2つのパラメータの設定方法によって、文字のソートと比較に使用するルールが決定されます。
NLS_COMP
の設定によって、SQL操作でNLS_SORT
を処理する方法が決定されます。NLS_COMP
の有効値は次の3つです。
BINARY
SQLソートと比較はすべて、NLS_SORT
に設定された値に関係なく、文字列の文字のバイナリ値に基づいて実行されます。これは、デフォルトの設定です。
LINGUISTIC
SQLソートと比較はすべて、NLS_SORT
で指定された言語ルールに従って実行されます。たとえば、NLS_COMP=LINGUISTIC
およびNLS_SORT=BINARY_CI
の場合、照合依存のSQL操作では、ソートと比較にバイナリ値が使用され、文字の大/小文字は無視されることを意味します。
ANSI
NLS_SORT
設定に従うのは、一連の限られたSQL関数です。ANSI
は下位互換性を保つ場合のみ使用できます。通常、言語比較を実行する場合は、NLS_COMP
をLINGUISTIC
に設定する必要があります。
表5-2に、これらの異なる設定を使用した場合のSQL操作の動作の違いを示します。
表5-2 NLS_COMP設定を使用した言語比較の動作
BINARY | LINGUISTIC | ANSI | |
---|---|---|---|
SQL 演算子 |
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バイナリ |
SQL 関数 |
|||
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SQL 式 |
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バイナリ |
各パラメータの詳細は、「NLS_COMP」および「NLS_SORT」を参照してください。
次に、異なるNLS_COMP
設定を使用した動作の例を示します。
SQL> ALTER SESSION SET NLS_COMP=BINARY; SQL> ALTER SESSION SET NLS_SORT=BINARY; SQL> SELECT ename FROM emp1; ENAME ---------------------- Mc Calla MCAfee McCoye Mccathye McCafeé 5 rows selected SQL> SELECT ename FROM emp1 WHERE ename LIKE 'McC%e'; ENAME ---------------------- McCoye 1 row selected
SQL> ALTER SESSION SET NLS_COMP=LINGUISTIC; SQL> ALTER SESSION SET NLS_SORT=BINARY_CI; SQL> SELECT ename FROM emp1 WHERE ename LIKE 'McC%e'; ENAME ---------------------- McCoye Mccathye 2 rows selected
SQL> ALTER SESSION SET NLS_COMP=LINGUISTIC; SQL> ALTER SESSION SET NLS_SORT=BINARY_AI; SQL> SELECT ename FROM emp1 WHERE ename LIKE 'McC%e'; ENAME ---------------------- McCoye Mccathye McCafeé 3 rows selected
SQL> ALTER SESSION SET NLS_COMP=BINARY; SQL> ALTER SESSION SET NLS_SORT=BINARY; SQL> SELECT DISTINCT ename FROM emp2; ENAME ---------------------- McAfee Mcafee McCoy 3 rows selected
ただし、大/小文字の区別なし設定の場合、McAfee
とMcafee
は同じです。
SQL> ALTER SESSION SET NLS_COMP=LINGUISTIC; SQL> ALTER SESSION SET NLS_SORT=BINARY_CI; SQL> SELECT DISTINCT ename FROM emp2; ENAME ---------------------- McAfee McCoy 2 rows selected
この例では、McAfee
またはMcafee
のいずれかがDISTINCT
操作で戻される可能性があります。どちらが選択されるかを正確に保証することはできません。
例5-11 XSPANISHを使用した言語比較
バイナリ比較を使用した場合は文字が同じで、言語比較を使用した場合は文字が異なるケースがあります。たとえば、バイナリ設定では、Cindy
、Chad
およびClara
の文字C
は、次のように、同じ文字C
を表します。
SQL> ALTER SESSION SET NLS_COMP=BINARY; SQL> ALTER SESSION SET NLS_SORT=BINARY; SQL> SELECT ename FROM emp3 WHERE ename LIKE 'C%'; ENAME ---------------------- Cindy Chad Clara 3 rows selected
言語ルールが伝統的なスペイン語のXSPANISH
に設定されているデータベース・セッションでは、ch
は、1文字として処理されます。この場合、Chad
の文字c
は、Cindy
やClara
の文字C
とは異なります。
SQL> ALTER SESSION SET NLS_COMP=LINGUISTIC; SQL> ALTER SESSION SET NLS_SORT=XSPANISH; SQL> SELECT ename FROM emp3 WHERE ename LIKE 'C%'; ENAME ---------------------- Cindy Clara 2 rows selected
またch
という組合せの場合の文字c
は、単独の文字c
とは異なります。
SQL> SELECT REPLACE ('character', 'c', 't') "Changes" FROM DUAL; Changes --------------------- charatter
言語ソートは言語固有であるため、バイナリ・ソートよりもデータ処理が増えます。ASCII文字のバイナリ・コードには文字の順序が反映されているため、言語ASCIIのバイナリ・ソートを使用すると正確で高速です。複数言語のデータがデータベースに格納されている場合、アプリケーションでは、言語に応じて異なるソート基準に従い、SELECT...ORDER BY
文から戻されたデータをソートできます。このようなソートは、言語索引を使用すると、パフォーマンスを低下させずに実現できます。列の言語索引によって、挿入と更新の操作速度が低下しますが、ORDER
BY
句およびWHERE
を使用した言語ソートのパフォーマンスは大幅に向上します。
英語以外の言語を使用する関数索引を作成できます。この索引は、NLS_SORT
で決められている言語ソート順序を変更しません。言語索引は単にパフォーマンスを向上させるためのものです。
次の文では、ドイツ語のソートに基づく索引が作成されます。
CREATE TABLE my_table(name VARCHAR(20) NOT NULL); CREATE INDEX nls_index ON my_table (NLSSORT(name, 'NLS_SORT = German')); /*The NOT NULL in the CREATE TABLE statement ensures that the index is used*/
索引の作成後に、次の例ようなSELECT
文を入力します。
SELECT * FROM my_table ORDER BY name WHERE name LIKE 'Hein%';
この文は、言語索引を使用しない場合の同じSELECT
文より速く結果が戻されます。
これ以降の内容は、次のとおりです。
関連項目:
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言語索引サポートは、次の照合依存のSQL操作およびSQL機能で使用できます。
比較条件: =
、!=
、>
、<
、>=
、<=
範囲条件: BETWEEN
| NOT
BETWEEN
IN
| NOT
IN
ORDER
BY
GROUP
BY
LIKE
(LIKE
、LIKE2
、LIKE4
、LIKEC
)
DISTINCT
UNIQUE
UNION
INTERSECT
MINUS
次のリストのSQL関数では、言語索引を使用できません。
INSTR
(INSTR
、INSTRB
、INSTR2
、INSTR4
、INSTRC
)
MAX
MIN
REPLACE
TRIM
LTRIM
RTRIM
TRANSLATE
複数言語のデータに言語索引を作成する方法には、次の3通りがあります。
アプリケーションでサポートされている各言語の言語索引を作成します。このアプローチは単純ですが、大量のディスク領域が必要になります。索引ごとに、その索引が作成されている言語以外の言語の複数行が、順番の最後にまとめて照合されます。次の例では、フランス語とドイツ語の言語索引を作成しています。
CREATE INDEX french_index ON employees (NLSSORT(employee_id, 'NLS_SORT=FRENCH')); CREATE INDEX german_index ON employees (NLSSORT(employee_id, 'NLS_SORT=GERMAN'));
使用する索引は、ORDER
BY
句で指定したNLS_SORT
セッション・パラメータまたはNLSSORT
関数の引数によって決定されます。たとえば、NLS_SORT
セッション・パラメータがFRENCH
に設定されている場合、Oracleデータベースではfrench_index
が使用されます。GERMAN
に設定されている場合は、german_index
が使用されます。
すべての言語に対して単一言語索引を作成します。そのためには、NLSSORT
関数のパラメータとして言語列(「例: フランス語の言語索引の設定」のLANG_COL
)を使用する必要があります。この言語列には、索引の作成対象となる列のデータのNLS_LANGUAGE
値が含まれます。次の例では、複数言語に対する単一言語索引を作成しています。の索引では、NLS_LANGUAGE
に対して同じ値を持つ行がまとめてソートされます。
CREATE INDEX i ON t (NLSSORT(col, 'NLS_SORT=' || LANG_COL));
問合せでは、ORDER BY
句で指定したNLSSORT
関数の引数に基づいて索引が選択されます。
GENERIC_M
やFRENCH_M
などの多言語ソートのいずれかを使用して、すべての言語に単一言語索引を作成します。この索引は、ISO 14651に定義されている規則に従って文字をソートします。次に例を示します。
CREATE INDEX i on t (NLSSORT(col, 'NLS_SORT=GENERIC_M');
言語索引を使用するための要件は、次のとおりです。
この項では、次の例についても説明します。
NLS_SORT
パラメータで、言語ソートに使用する言語定義を指定する必要があります。たとえば、フランス語の言語ソート順序を使用する場合は、NLS_SORT
をFRENCH
に設定する必要があります。たとえば、フランス語の言語ソート順序を使用する場合は、NLS_SORT
をGERMAN
に設定する必要があります。
NLS_SORT
を設定するには、複数の方法があります。すべての言語に同じSQL文を使用できるように、NLS_SORT
をクライアントの環境変数として設定する必要があります。クライアント環境でNLS_SORT
を設定すると、様々な言語索引を使用できます。
言語索引を持つ列でORDER BY
column_name
句を使用する必要がある場合は、次の例のようにWHERE
句を含めます。
WHERE NLSSORT(column_name
) IS NOT NULL
列がスキーマ内でNOT NULL
列として定義されていれば、このWHERE
句は必要ありません。
次の例では、フランス語の言語索引の設定方法を示します。ALTER
SESSION
文を使用するかわりに、NLS_SORT
をクライアントの環境変数として設定することもできます。
ALTER SESSION SET NLS_SORT='FRENCH'; CREATE INDEX test_idx ON test4(NLSSORT(name, 'NLS_SORT=FRENCH')); SELECT * FROM test4 ORDER BY col; ALTER SESSION SET NLS_COMP=LINGUISTIC; SELECT * FROM test4 WHERE name > 'Henri';
注意: NLS_COMP がLINGUISTIC に設定されている場合、SQL関数MAX() およびMIN() では、言語索引を使用できません。 |
検索とソートは関連するタスクです。業務を適切に行うには、言語的に意味のある順序でデータを編成して処理する必要があります。言語的に意味のある方法によるデータの検索と照合は、適用されるソート順序に依存します。たとえば、c
より後でf
より前の文字列すべてを検索すると、NLS_SORT
の値に応じて異なる結果が生成されます。ASCIIバイナリ・ソートでは、d
またはe
で始まる文字列が検出されますが、大文字のD
やE
またはê
のような発音区別記号付きe
などで始まる項目は除外されます。アクセントを区別しないバイナリ・ソートを適用すると、d
、D
およびÊ
やê
などのアクセント付きe
で始まる文字列がすべて戻されます。NLS_SORT
をXSPANISH
に設定して同じ検索を適用した場合は、ch
で始まる文字列も戻されます。これは、従来のスペイン語ではch
がc
とd
の間をソートする複合文字として扱われるためです。この章では、Oracleデータベースのソートの種類と、各ソートがSQLおよびSQL正規表現による文字列検索に与える影響について説明します。
正規表現は、テキスト本体に含まれる文字列のパターンを識別する強力な方法を提供します。正規表現の用途には、San Francisco
のような文字列の単純検索や、すべてのURLを抽出する複雑なタスク、さらに2文字目に母音を含むすべての単語の検索などのタスクがあります。SQLとPL/SQLは、Oracle Database 10gの正規表現をサポートしています。
従来の正規表現エンジンは、英語のテキストのみを処理するように設計されていました。ただし、正規表現の実装には、西欧のテキストとはまったく異なる特性を持った多様な言語を含めることができます。Oracleデータベースの正規表現の実装は、Unicode正規表現ガイドラインに基づいています。REGEXP
SQL関数は、データベース・キャラクタ・セットおよび各国語キャラクタ・セットとしてサポートされるキャラクタ・セットをすべて処理します。さらに、Oracleデータベースでは、多言語データの照合に関する固有の言語要件を処理するために、POSIXの正規表現構成メンバーの照合機能が拡張されます。
次の項では、言語依存演算子のOracle拡張について説明します。
関連項目:
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POSIX規格では、正規表現での範囲には、現行ロケールの言語定義による範囲の始点から終点までの照合要素がすべて含まれます。したがって、正規表現の範囲はバイト値の範囲ではなく言語上の範囲を意味します。これは、バイト値の範囲はプラットフォームに依存し、エンド・ユーザーが文字のバイト値の順序を知っているとは思われないためです。範囲式のセマンティクスは、キャラクタ・セットから独立させる必要があります。これは、[a-d]
などの範囲には、a
〜d
のすべての文字、これらの文字に発音区別記号が付いたもの、従来のスペイン語におけるch
のように1文字としてソートされる特殊ケースの照合要素が含まれることを意味します。
Oracleデータベースでは、NLS_SORT
パラメータで指定された範囲式が解析され、指定の範囲に含まれる照合要素が判別されます。次に例を示します。
Expression: [a-d]e NLS_SORT: BINARY Does not match: cheremoya NLS_SORT: XSPANISH Matches: >>che<<remoya
この構成メンバーは、照合要素を区切るためにPOSIX規格により導入されています。照合要素とは照合単位であり、ほとんどの場合は1文字に相当します。ただし、言語によっては、照合順序により2文字以上が1つの照合要素として定義される場合があります。従来の正規表現構文では、ユーザーは複数文字による照合要素が関係する範囲を定義できません。たとえば、ch
は2つの異なる文字として解析されるため、a
〜ch
は範囲として定義できません。
照合要素デリミタ[. .]
を使用すると、複数文字による照合要素と他の要素を区切ることができます。たとえば、範囲a
〜ch
は、[a-[.ch.]]
として記述できます。また、1文字の照合要素を区切る場合にも使用できます。定義済の照合要素でない複数言語による順序を[. .]
で囲むと、正規表現ではセマンティック・エラーとみなされます。たとえば、ab
が定義済の複数文字による照合要素でない場合、[.ab.]
は無効とみなされます。
英語の正規表現では、範囲式を使用して文字クラスを示すことができます。たとえば、[a-z]
を使用すると任意の小文字を指定できます。ただし、英語以外の正規表現では、その言語の照合順序でa
が最初の小文字でz
が最後の小文字でなければ、このアプローチを使用すると不正確になります。
POSIX規格では、明示的な文字クラスを移植性のある方法で指定できるように、新しい構文要素が導入されています。[: :]
構文は、特定の文字クラスに属しているキャラクタ・セットを示します。文字クラス定義は、キャラクタ・セットの分類データに基づきます。
Oracleデータベースは、POSIX規格で推奨される[= =]
構文を介して同値化クラスもサポートしています。同値化クラスは、ベース文字とそのすべてのアクセント付きバージョンで構成されます。たとえば、同値化クラス[=a=]
は、â
およびä
と一致します。パフォーマンス上の理由で、現行の実装ではUnicodeの複合形式と分解形式の照合はサポートされません。たとえば、ä(a
ウムラウト)は、ウムラウトが続くa
とは一致しません。
次の例に、正規表現の一致を示します。
例5-12 NLS_SORT値を使用した大/小文字を区別しない一致
Oracleデータベースの正規表現の一致では、大/小文字区別の有無は、NLS_SORT
初期化パラメータとランタイム照合オプションの2つのレベルで決定されます。REGEXP
関数は、デフォルトでNLS_SORT
の値から大/小文字区別の動作を継承します。この値は、ランタイム照合オプション'c'
(大小文字区別あり)または'i'
(大/小文字区別なし)で明示的に上書きすることもできます。
Expression:catalog(ue)?
NLS_SORT
:GENERIC_M_CI
Matches:
>>Catalog<<
>>catalogue<<
>>CATALOG<<
OracleデータベースのSQL構文は、次のとおりです。
SQL> ALTER SESSION SET NLS_SORT='GENERIC_M_CI'; SQL> SELECT col FROM test WHERE REGEXP_LIKE(col,'catalog(ue)?');
例5-13 ランタイム照合オプションで上書きされた大/小文字区別の有無
Expression:catalog(ue)?
NLS_SORT
:GENERIC_M_CI
Match option:'c'
Matches:
>>catalogue<<
Does not match:
Catalog CATALOG
OracleデータベースのSQL構文は、次のとおりです。
SQL> ALTER SESSION SET NLS_SORT='GENERIC_M_CI'; SQL> SELECT col FROM test WHERE REGEXP_LIKE(col,'catalog(ue)?','c');
例5-14 照合要素演算子[..]を使用した照合
Expression: [^-a-[.ch.]]+
/*with NLS_SORT set to xspanish*/
Matches:
>>driver<<
Does not match:
cab
OracleデータベースのSQL構文は、次のとおりです。
SQL> SELECT col FROM test WHERE REGEXP_LIKE(col,'[^-a-[.ch.]]+');
例5-15 文字クラス演算子[::]を使用した照合
この式では、小文字6文字からなる文字列が検索されます。アクセント付き文字は、小文字として一致することに注意してください。
Expression: [[:lower:]]{6} Database character set: WE8ISO8859P1 Matches:
>>maître<< >>mòbile<< >>pájaro<< >>zurück<<
OracleデータベースのSQL構文は、次のとおりです。
SQL> SELECT col FROM test WHERE REGEXP_LIKE(col,'[[:lower:]]{6}');
例5-16 ベース文字演算子[==]を使用した照合
Expression: r[[=e=]]sum[[=e=]] Matches:
>>resume<< >>résumé<< >>résume<< >>resumé<<
OracleデータベースのSQL構文は、次のとおりです。
SQL> SELECT col FROM test WHERE REGEXP_LIKE(col,'r[[=e=]]sum[[=e=]]');
関連項目:
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