この章では、問合せフィードバックの生成、ヒット数のカウントおよびストアド・クエリー式の生成に使用できるPL/SQLパッケージCTX_QUERY
について説明します。
注意: このパッケージを使用できるのは、索引タイプがCONTEXT の場合のみです。このパッケージは、CTXCAT の索引タイプをサポートしていません。 |
CTX_QUERY
パッケージには、次のプロシージャおよびファンクションが含まれています。
名前 | 説明 |
---|---|
BROWSE_WORDS |
索引内のシード・ワードに関するワードを戻します。 |
COUNT_HITS |
問合せへのヒット数を戻します。 |
EXPLAIN |
問合せ式の解析および拡張情報を生成します。 |
HFEEDBACK |
階層問合せフィードバック情報(上位語、下位語および関連語)を生成します。 |
REMOVE_SQE |
指定したストアド・クエリー式をSQL表から削除します。 |
STORE_SQE |
問合せを実行して、その結果をストアド・クエリー式表に格納します。 |
このプロシージャを使用すると、Oracle Textの索引内のワードをブラウズできます。シード・ワードを指定すると、BROWSE_WORDS
は索引内のそのシード・ワードに関するワード、および各ワードが含まれているドキュメントのおよその数を戻します。
この機能は、問合せの詳細化に有効です。次のワードを識別できます。
非選択的ワード(そのワードを含むドキュメント件数が少ないワード)
ドキュメント・セットの中でスペルが間違っているワード
構文1: 表への結果の格納
ctx_query.browse_words(
index_name IN VARCHAR2, seed IN VARCHAR2, restab IN VARCHAR2, browse_id IN NUMBER DEFAULT 0, numwords IN NUMBER DEFAULT 10, direction IN VARCHAR2 DEFAULT BROWSE_AROUND, part_name IN VARCHAR2 DEFAULT NULL
);
構文2: メモリーへの結果の格納
ctx_query.browse_words(
index_name IN VARCHAR2, seed IN VARCHAR2, resarr IN OUT BROWSE_TAB, numwords IN NUMBER DEFAULT 10, direction IN VARCHAR2 DEFAULT BROWSE_AROUND, part_name IN VARCHAR2 DEFAULT NULL
);
索引の名前を指定します。schema.name
で指定できます。ローカル索引である必要があります。
シード・ワードを指定します。このワードは、ブラウズ拡張の前にレクサー処理されます。ワードがトークン表に存在する必要はありません。seedは単一のワードである必要があります。複数のワードをシードとして使用すると、エラーになります。
結果表の名前を指定します。restabは、schema.name
として入力できます。このプロシージャのコール前に、表が存在している必要があります。また、表に対するINSERT
権限が必要です。この表は、次のスキーマを持つ必要があります。
列 | データ型 |
---|---|
browse_id | number |
word | varchar2(64) |
doc_count | number |
restabの中にある行が、BROWSE_WORDS
がコールされる前に削除されることはありません。
結果配列の名前を指定します。resarr
はctx_query.browse_tab
型です。
type browse_rec is record ( word varchar2(64), doc_count number ); type browse_tab is table of browse_rec index by binary_integer;
0〜232の間で数値識別子を指定します。このブラウズのために生成された行は、restab
の中のbrowse_id
列に値を持ちます。browse_id
を指定しない場合、デフォルトは0(ゼロ)です。
戻すワード数を指定します。
ブラウズの方向を指定します。次のいずれかを指定できます。
値 | 動作 |
---|---|
BEFORE |
シード・ワードおよびシードの前のワードをアルファベット順にブラウズします。 |
AROUND |
シード・ワードおよびシードの前後のワードをアルファベット順にブラウズします。 |
AFTER |
シード・ワードおよびシードの後のワードをアルファベット順にブラウズします。 |
記号CTX_QUERY.BROWSE_BEFORE
、CTX_QUERY.BROWSE_AROUND
およびCTX_QUERY.BROWSE_AFTER
も、これらのリテラル値に対して定義されています。
ブラウズする索引パーティション名を指定します。
例
結果表でのワードのブラウズ
begin ctx_query.browse_words('myindex','dog','myres',numwords=>5,direction=>'AROUND'); end; select word, doc_count from myres order by word; WORD DOC_COUNT -------- ---------- CZAR 15 DARLING 5 DOC 73 DUNK 100 EAR 3
結果配列でのワードのブラウズ
set serveroutput on; declare resarr ctx_query.browse_tab; begin ctx_query.browse_words('myindex','dog',resarr,5,CTX_QUERY.BROWSE_AROUND); for i in 1..resarr.count loop dbms_output.put_line(resarr(i).word || ':' || resarr(i).doc_count); end loop; end;
指定した問合せへのヒット数を戻します。実測または予測モードでCOUNT_HITS
をコールできます。実測モードは問合せへの正確なヒット数を戻します。予測モードは上限の見積りを戻しますが、実測モードよりも高速に実行します。
構文
構文1
exec CTX_QUERY.COUNT_HITS( index_name IN VARCHAR2, text_query IN VARCHAR2, exact IN BOOLEAN DEFAULT TRUE, part_name IN VARCHAR2 DEFAULT NULL ) RETURN NUMBER;
構文2
exec CTX_QUERY.COUNT_HITS_CLOB_QUERY( index_name IN VARCHAR2, text_query IN CLOB, exact IN BOOLEAN DEFAULT TRUE, part_name IN VARCHAR2 DEFAULT NULL ) RETURN NUMBER;
索引の名前を指定します。
問合せを指定します。
実測カウントにはTRUE
を指定します。上限を見積るにはFALSE
を指定します。
FALSE
を指定することによって戻された数値はあまり正確ではありませんが、より高速に実行されます。 FULL索引が最後に最適化されてから行が更新または削除されている場合、FALSE
を指定すると高すぎる数値が返されることがあります。このような不適切なヒットは完全モードでの最適化によって削除され、FALSEに設定されたEXACT
と、TRUEに設定されたEXACT
の戻す数値が同一になります。
問い合せる索引パーティション名を指定します。
注意
問合せに構造化基準が含まれている場合は、SELECT COUNT(*)
を使用してください。
索引がTRANSACTIONAL
パラメータを使用して作成されている場合、COUNT_HITS
には同期化済のROWIDの他に保留中のROWIDも含まれます。
問合せ式に関する実行計画情報を生成するには、CTX_QUERY.EXPLAIN
を使用します。実行計画では、テキスト問合せ式に対して解析ツリーがグラフィカル表示されます。この情報は結果表に格納されます。
このプロシージャは問合せを実行しません。かわりに、問合せの入力前に、その問合せの拡張および解析の方法をユーザーに知らせます。これは、特にSTEM、ワイルド・カード、シソーラス、FUZZY、SOUNDEXまたはABOUT問合せに有効です。解析ツリーには、次の情報も表示されます。
Oracle Textによる問合せの評価方法を理解しておくと、問合せの詳細化やデバッグを行うときに役立ちます。また、実行計画情報を使用してユーザーがより高度な問合せを作成できるように、アプリケーションを設計できます。
構文
構文1
exec CTX_QUERY.EXPLAIN(
index_name IN VARCHAR2, text_query IN VARCHAR2, explain_table IN VARCHAR2, sharelevel IN NUMBER DEFAULT 0, explain_id IN VARCHAR2 DEFAULT NULL, part_name IN VARCHAR2 DEFAULT NULL
);
構文2
exec CTX_QUERY.EXPLAIN_CLOB_QUERY( index_name IN VARCHAR2, text_query IN CLOB, explain_table IN VARCHAR2, sharelevel IN NUMBER DEFAULT 0, explain_id IN VARCHAR2 DEFAULT NULL, part_name IN VARCHAR2 DEFAULT NULL );
問い合せる索引名を指定します。
行を選択する基準として使用する問合せ式を指定します。
text_query
にワイルド・カード、FUZZYまたはSOUNDEX演算子が含まれている場合、このプロシージャは索引表を調べて拡張を判断します。
ワイルド・カード、FUZZY(?)およびSOUNDEX(!)式のフィードバックでは、通常の問合せで削除が遅延した場合、その理由を判断できません。
text_queryに対する解析ツリー表現の格納に使用する表の名前を指定します。EXPLAIN
からの結果を格納するには、表に対して少なくともINSERT
権限およびDELETE
権限が必要です。
explain_table
を複数のEXPLAIN
コールで共有するかどうかを指定します。排他使用には0(ゼロ)を、共有使用には1を指定します。デフォルトは0(排他使用)です。
0(ゼロ)を指定すると、システムは次のEXPLAIN
のコールの前に自動的に結果表を切り捨てます。
共有使用の1を指定すると、このプロシージャは結果表を切り捨てません。同じexplain_id
を持つ結果のみが更新されます。同じexplain_id
の結果が存在しない場合は、新しい結果が実行計画表に追加されます。
複数のEXPLAIN
コールが同じ共有実行計画表を使用する場合は、EXPLAIN
プロシージャが戻した実行計画結果を識別する名前を指定します。デフォルトは
NULL
です。
問い合せる索引パーティション名を指定します。
例
たとえば、test_explain
という名前の実行計画表を作成するには、次のSQL文を使用します。
create table test_explain( explain_id varchar2(30), id number, parent_id number, operation varchar2(30), options varchar2(30), object_name varchar2(64), position number, cardinality number);
comp% OR ?smithなどの問合せ式の拡張を取得するには、次のようにCTX_QUERY.EXPLAIN
を使用します。
ctx_query.explain( index_name => 'newindex', text_query => 'comp% OR ?smith', explain_table => 'test_explain', sharelevel => 0, explain_id => 'Test');
実行計画表を読み込むには、次のように列を選択できます。
select explain_id, id, parent_id, operation, options, object_name, position from test_explain order by id;
次のように、出力はID順に並べられ、階層問合せをシミュレートします。
EXPLAIN_ID ID PARENT_ID OPERATION OPTIONS OBJECT_NAME POSITION ----------- ---- --------- ------------ ------- ----------- -------- Test 1 0 OR NULL NULL 1 Test 2 1 EQUIVALENCE NULL COMP% 1 Test 3 2 WORD NULL COMPTROLLER 1 Test 4 2 WORD NULL COMPUTER 2 Test 5 1 EQUIVALENCE (?) SMITH 2 Test 6 5 WORD NULL SMITH 1 Test 7 5 WORD NULL SMYTHE 2
制限事項
CTX_QUERY.EXPLAIN
では、問合せテンプレートの使用はサポートされていません。
リモート問合せでCTX_QUERY.EXPLAIN
は使用できません。
問合せにテーマが使用される場合(ABOUT
問合せの場合など)は、ナレッジ・ベースがインストールされている必要があります。ナレッジ・ベースは、Oracle Textとともにインストールされていない場合があります。ナレッジ・ベースの詳細は、『Oracle Textアプリケーション開発者ガイド』を参照してください。
関連項目
英語またはフランス語の場合、このプロシージャは、指定された問合せへの階層問合せフィードバック情報(上位語、下位語および関連語)を生成します。
上位語、下位語および関連語情報はナレッジ・ベースから取得されます。ただし、索引中にも存在するナレッジ・ベース語句のみが、問合せフィードバック情報として戻ります。これによって、HFEEDBACK
プロシージャから戻された語句が、現在索引付けされているドキュメント・セットよりヒットする可能性が高くなります。
階層問合せフィードバック情報は、他の問合せ語句をユーザーに提示する場合に有効です。
構文
構文1
exec CTX_QUERY.HFEEDBACK( index_name IN VARCHAR2, text_query IN VARCHAR2, feedback_table IN VARCHAR2, sharelevel IN NUMBER DEFAULT 0, feedback_id IN VARCHAR2 DEFAULT NULL, part_name IN VARCHAR2 DEFAULT NULL );
構文2
exec CTX_QUERY.HFEEDBACK_CLOB_QUERY( index_name IN VARCHAR2, text_query IN CLOB, feedback_table IN VARCHAR2, sharelevel IN NUMBER DEFAULT 0, feedback_id IN VARCHAR2 DEFAULT NULL, part_name IN VARCHAR2 DEFAULT NULL );
問い合せるテキスト列の索引の名前を指定します。
行を選択する基準として使用する問合せ式を指定します。
フィードバック語の格納に使用する表の名前を指定します。
feedback_table
を複数のHFEEDBACK
コールで共有するかどうかを指定します。排他使用には0(ゼロ)を、共有使用には1を指定します。デフォルトは0(排他使用)です。
0(ゼロ)を指定すると、システムは次のHFEEDBACK
のコールの前に自動的にフィードバック表を切り捨てます。
共有使用の1を指定すると、このプロシージャはフィードバック表を切り捨てません。同じfeedback_id
を持つ結果のみが更新されます。同じfeedback_idの結果が存在しない場合は、新しい結果がフィードバック表に追加されます。
複数のHFEEDBACK
コールが同じ共有フィードバック表を使用する場合は、HFEEDBACK
のコールによって戻されたフィードバック結果を識別する値を指定します。デフォルトはNULL
です。
問い合せる索引パーティション名を指定します。
例
CTX_QUERY.HFEEDBACK
で使用する結果表を次のように作成します。
CREATE TABLE restab ( feedback_id VARCHAR2(30), id NUMBER, parent_id NUMBER, operation VARCHAR2(30), options VARCHAR2(30), object_name VARCHAR2(80), position NUMBER, bt_feedback ctxsys.ctx_feedback_type, rt_feedback ctxsys.ctx_feedback_type, nt_feedback ctxsys.ctx_feedback_type ) NESTED TABLE bt_feedback STORE AS res_bt NESTED TABLE rt_feedback STORE AS res_rt NESTED TABLE nt_feedback STORE AS res_nt;
CTX_FEEDBACK_TYPEはCTXSYS
スキーマのシステム定義型です。
CTX_QUERY.HFEEDBACKのコール
次のコードは、computer industryの問合せを持つHFEEDBACK
プロシージャをコールします。
BEGIN ctx_query.hfeedback (index_name => 'my_index', text_query => 'computer industry', feedback_table => 'restab', sharelevel => 0, feedback_id => 'query10' ); END;
結果表からの選択
次のコードは、結果表からフィードバック・データを取り出します。このコードによって、上位語、下位語および関連語フィードバックをNESTED TABLEから個別に取り出します。
DECLARE i NUMBER; BEGIN FOR frec IN ( SELECT object_name, bt_feedback, rt_feedback, nt_feedback FROM restab WHERE feedback_id = 'query10' AND object_name IS NOT NULL ) LOOP dbms_output.put_line('Broader term feedback for ' || frec.object_name || ':'); i := frec.bt_feedback.FIRST; WHILE i IS NOT NULL LOOP dbms_output.put_line(frec.bt_feedback(i).text); i := frec.bt_feedback.NEXT(i); END LOOP; dbms_output.put_line('Related term feedback for ' || frec.object_name || ':'); i := frec.rt_feedback.FIRST; WHILE i IS NOT NULL LOOP dbms_output.put_line(frec.rt_feedback(i).text); i := frec.rt_feedback.NEXT(i); END LOOP; dbms_output.put_line('Narrower term feedback for ' || frec.object_name || ':'); i := frec.nt_feedback.FIRST; WHILE i IS NOT NULL LOOP dbms_output.put_line(frec.nt_feedback(i).text); i := frec.nt_feedback.NEXT(i); END LOOP; END LOOP; END;
サンプル出力
次の出力は、computer industryについて問い合せる前述の例に対するものです。
Broader term feedback for computer industry: hard sciences Related term feedback for computer industry: computer networking electronics knowledge library science mathematics optical technology robotics satellite technology semiconductors and superconductors symbolic logic telecommunications industry Narrower term feedback for computer industry: ABEND - abnormal end of task AT&T Starlans ATI Technologies, Incorporated ActivCard Actrade International Ltd. Alta Technology Amiga Format Amiga Library Services Amiga Shopper Amstrat Action Apple Computer, Incorporated ..
注意: 取得した HFEEDBACK 情報は、索引およびナレッジ・ベースの内容に依存するため、示したサンプルの内容とは異なる可能性があります。 |
制限事項
CTX_QUERY.HFEEDBACK
では、問合せテンプレートの使用はサポートされていません。
CTX_QUERY.REMOVE_SQE
プロシージャは、指定したストアド・クエリー式を削除します。
構文
CTX_QUERY.REMOVE_SQE(query_name IN VARCHAR2);
削除するストアド・クエリー式の名前を指定します。
例
begin ctx_query.remove_sqe('disasters'); end;
このプロシージャは、ストアド・クエリー式を作成します。問合せ定義のみが格納されます。
サポートされている演算子
ストアド・クエリー式は、すべてのCONTAINS
問合せ演算子をサポートしています。また、すべての特殊文字、および他のストアド・クエリー式も含めて、問合せ式で使用できるすべてのコンポーネントをサポートしています。
権限
ユーザーは、所有しているストアド・クエリー式を作成および削除できます。ユーザーは、誰が所有するストアド・クエリー式でも使用できます。CTXSYS
ユーザーは、どのユーザーのストアド・クエリー式も作成および削除できます。
構文
構文1
CTX_QUERY.STORE_SQE(query_name IN VARCHAR2, text_query IN VARCHAR2);
構文2
CTX_QUERY.STORE_SQE_CLOB_QUERY(query_name IN VARCHAR2, text_query IN CLOB);
作成するストアド・クエリー式の名前を指定します。
query_name
に関連付ける問合せ式を指定します。
例
begin ctx_query.store_sqe('disasters', 'hurricanes | earthquakes'); end;