この章では、LOBを含むデータベースをセットアップ、メンテナンスおよび使用するために実行する必要のある管理作業について説明します。
この章の内容は次のとおりです。
データベースのセットアップまたはメンテナンス・タスクの一環としてデータをLOB列にバルク・ロードするには、次のユーティリティの使用をお薦めします。
SQL*Loader
Oracle Data Pump
注意: アプリケーション開発者: アプリケーションでLOBにデータをロードするには、LOB APIの使用をお薦めします。ファイルからLOBをロードできるAPIの詳細は、第22章「LOB APIの使用」を参照してください。 |
SQL*Loaderを使用してデータをLOBにロードするには、次の2つの一般的な方法があります。
プライマリ・データファイルからのデータのロード
LOBFILE
を使用したセカンダリ・データファイルからのロード
SQL*Loaderを使用してLOBをロードする場合には、次の考慮事項があります。
SQL*Loaderの従来型パスによるロードでは、特定のLOBのロードに失敗しても、そのLOBを含むレコードが拒否されることはありません。ただし、そのレコードには空のLOBが含まれます。
SQL*Loaderのダイレクト・パス・ロードでは、LOBが空になったり、切り捨てられる可能性があります。LOBは、ロード時にピース単位でサーバーに送信されます。LOBピースにエラーがある場合、そのピースは廃棄され、そのLOBの残りはロードされません。エラーのあるLOB全体が最初のピースに含まれる場合、LOB列は空になるか、切り捨てられます。
LOBFILE
からロードする場合は、LOB型の列に対応するフィールドの最大長を指定します。最大長を指定すると、メモリー使用量の最適化のヒントとして使用されます。最大長の指定では、実際の最大長を過少評価しないしないでください。
SQL*Loaderのダイレクト・パス・ロードを使用する場合、LOBのロードに大量のメモリーが使用されます。LOBのロード時に、メッセージ「SQL*Loader-00700: 必須割当て中にメモリー不足が発生しました[number]」(numberには数値が入ります)が表示された場合、内部コードによってロードのコール1回当たりにバッチされる行の数が、OSおよびプロセス・メモリーのサポートする数を超えている可能性があります。この問題を回避するには、ROWSオプションを使用して、データ・セーブ1回当たりに読み取る行数を少なくします。
ダイレクト・パスAPIを使用して、LOBをロードすることもできます。
CLOB
列またはXMLType
列にXMLデータを含む列をロードする場合は、LOBFILE
を使用することをお薦めします。SQL*Loaderでダイレクト・パス・ロードを実行するか、従来型パスによるロードを実行するかは、ロード時にXML文書を検証する必要があるかどうかによって異なります。
XML文書の検証が不要な場合、またはXML文書が妥当であるとみなしても問題がない場合は、ダイレクト・パス・ロードを実行できます。XML検証によるオーバーヘッドが発生するため、ダイレクト・パス・ロードを使用する方がパフォーマンスは向上します。
conventional path loadは、SQL INSERT
文を実行して、表をOracleデータベースに移入します。ダイレクト・パス・ロードは、Oracleデータ・ブロックをフォーマットし、データ・ブロックを直接データベース・ファイルに書き込むことによって、Oracleデータベースのオーバーヘッドの大半を排除します。
ダイレクト・パス・ロードでは、データベース・リソースに対して他のユーザーとの競合が発生しないため、ディスク速度に近い速度でデータをロードできます。ダイレクト・パス・ロード固有の問題(制限、セキュリティ、バックアップなど)は、『Oracle Databaseユーティリティ』で説明しています。
データをロードする表はデータベース中に存在している必要があります。SQL*Loaderでは、表は作成されません。データが含まれているか、または空である既存の表にロードされます。
ロードには次の権限が必要です。
ロードされる表に関するINSERT
権限
ロードされる表に関するDELETE
権限(同じ場所に新規のデータをロードする前に、REPLACE
またはTRUNCATE
オプションを使用して以前のデータを空にする場合)
関連項目: SQL*Loaderを使用してLOBをロードする方法およびその他のSQL*Loaderの使用方法の詳細は、『Oracle Databaseユーティリティ』を参照してください。 |
この項では、ファイルシステム内のファイルからBFILE
列にデータをロードする方法について説明します。
BFILE
データ型では、非構造化バイナリ・データはデータベース外のOSファイルに格納されることに注意してください。BFILE
列または属性には、データを含むサーバー側外部ファイルを示すロケータが格納されます。
注意: BFILE としてロードされるファイルは、ロード時に実際に存在する必要はありません。 |
SQL*Loaderでは、必要なディレクトリ・オブジェクトは作成済であるとみなされます。
BFILE
列に対応する制御ファイル・フィールドは、列名およびそれに続くBFILE
ディレクティブで構成されます。
BFILE
ディレクティブは、DIRECTORY
オブジェクト名およびそれに続けてBFILE
名を引数としてとります。ディレクトリ・オブジェクト名およびBFILE名は、文字列定数として指定するか、その他のフィールドを介して動的にソース名を指定できます。
関連項目: SQL*Loader構文の詳細は、『Oracle Databaseユーティリティ』を参照してください。 |
次の2つの例では、BFILES
のロードを示します。
注意: 一部の例は、次のようなデータ構造を設定しないと機能しない場合があります(パスワードの入力を求められます)。CONNECT system Enter password: Connected. GRANT CREATE ANY DIRECTORY to samp; CONNECT samp Enter password: Connected. CREATE OR REPLACE DIRECTORY adgraphic_photo as '/tmp'; CREATE OR REPLACE DIRECTORY adgraphic_dir as '/tmp'; |
次の例では、ファイル名のみが動的に指定されます。
制御ファイル
LOAD DATA INFILE sample9.dat INTO TABLE Print_media FIELDS TERMINATED BY ',' (product_id INTEGER EXTERNAL(6), FileName FILLER CHAR(30), ad_graphic BFILE(CONSTANT "modem_graphic_2268_21001", FileName))
データファイル
007, modem_2268.jpg, 008, monitor_3060.jpg, 009, keyboard_2056.jpg,
注意: product_ID はサイズが指定されていない場合はデフォルトで(255)に設定されます。データファイルのファイル名にマップされます。ADGRAPHIC_PHOTO はすべてのファイルが格納されているディレクトリです。ADGRAPHIC_DIR は事前に作成されたDIRECTORY オブジェクトです。 |
次の例では、BFILE
およびディレクトリ・オブジェクトが動的に指定されます。
制御ファイル
LOAD DATA INFILE sample10.dat INTO TABLE Print_media FIELDS TERMINATED BY ',' ( product_id INTEGER EXTERNAL(6), ad_graphic BFILE (DirName, FileName), FileName FILLER CHAR(30), DirName FILLER CHAR(30) )
データファイル
007,monitor_3060.jpg,ADGRAPHIC_PHOTO, 008,modem_2268.jpg,ADGRAPHIC_PHOTO, 009,keyboard_2056.jpg,ADGRAPHIC_DIR,
注意: DirName FILLER CHAR (30) は、ロードされるファイルに対応するディレクトリ名を含むデータファイル・フィールドにマップされます。 |
データベースは一時LOBをセッションごとに追跡しており、v$temporary_lobs
というv$
ビューを提供します。アプリケーションは、どのユーザーが一時LOBを所有しているかをセッションから判断できます。データベース管理者は、監視のため、および一時LOBが使用している一時領域の緊急クリーン・アップのガイドとして、このビューを使用できます。
この項では、BFILE
を含むデータベースの管理作業について説明します。
ディレクトリ・オブジェクトまたはBFILE
を作成する場合、次の条件が満たされている必要があります。
OSファイルが、シンボリック・リンクまたはハード・リンクではないこと。
Oracleディレクトリ・オブジェクトに指定されているオペレーティング・システム・ディレクトリ・パスが、既存のオペレーティング・システム・ディレクトリ・パスであること。
Oracleディレクトリ・オブジェクトに指定されているOSディレクトリ・パスのコンポーネントに、シンボリック・リンクが含まれていないこと。
1回のセッションで同時にオープンが可能なBFILE
の数には制限があります。初期化パラメータSESSION_MAX_OPEN_FILES
は、1回のセッションで同時にオープンできるファイル数の上限を定義します。
このパラメータに対するデフォルト値は10です。デフォルト値を使用している場合、1回のセッションにつき10個までのファイルを同時にオープンできます。この制限を変更する場合、データベース管理者がinit.ora
ファイルのこのパラメータ値を変更できます。次に例を示します。
SESSION_MAX_OPEN_FILES=20
クローズされていないファイル数がSESSION_MAX_OPEN_FILES
値を超えると、そのセッションでは、それ以上のファイルをオープンできなくなります。すべてのオープンしているファイルをクローズするには、DBMS_LOB.FILECLOSEALL
コールを使用します。
データベース管理者は、表の作成後に次の方法でLOBのデフォルト記憶域を変更できます。
ALTER TABLE... MODIFYの使用: LOB表領域の記憶域を次のように変更できます。
注意:
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ALTER TABLE test MODIFY LOB (lob1) STORAGE ( NEXT 4M MAXEXTENTS 100 PCTINCREASE 50 )
ALTER TABLE... MOVEの使用: LOB表領域の記憶域を変更するためにALTER TABLE文のMOVE句も使用できます。次に例を示します。
ALTER TABLE test MOVE TABLESPACE tbs1 LOB (lob1, lob2) STORE AS ( TABLESPACE tbs2 DISABLE STORAGE IN ROW);