MDSYS.SDO_GEOR_UTLパッケージには、GeoRasterに関連するユーティリティ操作を行うためのサブプログラム(ファンクションおよびプロシージャ)が含まれています。この章では、そのサブプログラムのリファレンス情報を、例を使用して説明します。
構文
SDO_GEOR_UTL.calcOptimizedBlockSize(
dimensionSize IN SDO_NUMBER_ARRAY,
blockSize IN OUT SDO_NUMBER_ARRAY,
pyramidLevel IN number default 0);
説明
GeoRaster次元サイズおよびユーザー指定のブロック・サイズ値に基づいて、最適なblockSize
値を計算および設定することで、使用するGeoRasterオブジェクト記憶域の埋込みスペースが少なくなります。
パラメータ
GeoRasterオブジェクトの次元サイズ配列。
ブロック・サイズ配列。この配列には、ユーザー指定のブロック・サイズ値が格納され、プロシージャが調整された最適なブロック・サイズ値を出力します。
最大ピラミッド・レベル。デフォルト値は0(ゼロ)です。
使用上の注意
このプロシージャでは、適切なブロック・サイズ値(最適ではない場合があります)を提供して自動的にそれらを調整し、GeoRasterオブジェクト記憶域の埋込みスペースの容量を削減するために最も適した特定のGeoRaster次元サイズ配列のブロック・サイズ配列値を決定します。調整は、常にユーザー指定の値を基準に行われます。詳細は、1.4.1項の表1-1「ラスター・データのstorageParamのキーワード」のblocking
キーワードおよびblockSize
キーワードの説明を参照してください。
入力されたdimensionSize
パラメータまたはblockSize
パラメータに無効な値が含まれている場合、例外が発生します。
例
次の例では、指定した次元サイズ配列の(12371,11261,13)および指定したブロック・サイズ配列の(512,512,5)に基づいて、最適なブロック・サイズ値を計算して表示します。戻された最適なrowBlockSize
値は、元の値の512ではなく538であり、戻された最適なbandBlockSize
値は、元の値の5ではなく1であることに注意してください。
DECLARE dimensionSize sdo_number_array; blockSize sdo_number_array; BEGIN dimensionSize:=sdo_number_array(12371,11261,13); blockSize:=sdo_number_array(512,512,5); sdo_geor_utl.calcOptimizedBlockSize(dimensionSize,blockSize); dbms_output.put_line('Optimized rowBlockSize = '||blockSize(1)); dbms_output.put_line('Optimized colBlockSize = '||blockSize(2)); dbms_output.put_line('Optimized bandBlockSize = '||blockSize(3)); END; / Optimized rowBlockSize = 538 Optimized colBlockSize = 512 Optimized bandBlockSize = 1
構文
SDO_GEOR_UTL.calcRasterNominalSize(
geor IN SDO_GEORASTER,
padding IN VARCHAR2 DEFAULT 'TRUE',
pyramid IN VARCHAR2 DEFAULT 'TRUE',
bitmapMask IN VARCHAR2 DEFAULT 'TRUE'
) RETURN NUMBER;
パラメータ
GeoRasterオブジェクトを指定します。
文字列TRUE
(デフォルト)を指定すると、ラスター・ブロック内の埋込みが考慮されます。文字列FALSE
を指定すると、ラスター・ブロック内の埋込みは考慮されません。
文字列TRUE
(デフォルト)を指定すると、ピラミッドのサイズが考慮されます。文字列FALSE
を指定すると、ピラミッドのサイズは考慮されません。
文字列TRUE
(デフォルト)を指定すると、関連付けられたビットマップ・マスクが考慮されます。文字列FALSE
を指定すると、関連付けられたビットマップ・マスクは考慮されません。ビットマップ・マスクの詳細は、1.8項を参照してください。
使用上の注意
このファンクションでは、LOB記憶域のオーバーヘッドが考慮されないため、結果はGeoRasterオブジェクトに実際に必要な記憶域の近似値となります。
このファンクションの結果は、同じGeoRasterオブジェクトでのSDO_GEOR_UTL.calcRasterStorageSizeファンクションの結果と同じか、またはそれ以上の値になります。このファンクションによって、同じGeoRasterオブジェクトのSDO_GEOR_UTL.calcRasterStorageSizeファンクションより大きな値が戻された場合、これらの値の差は、圧縮または空のラスター・ブロック、あるいはその両方を使用することによって節約された領域を反映しています。
GeoRasterの圧縮の詳細は、1.10項を参照してください。
使用上の注意
このファンクションは、GeoRasterオブジェクトのすべてのラスター・ブロックの実際の長さを計算します。このファンクションでは、LOB記憶域のオーバーヘッドが考慮されないため、結果はGeoRasterオブジェクトの実際の記憶域サイズの近似値となります。基本的に、このファンクションは次の文を実行します。
EXECUTE IMMEDIATE 'SELECT SUM(DBMS_LOB.getLength(rasterBlock)) FROM ' || geor.rasterDataTable || ' WHERE rasterId=' || geor.rasterId;
このファンクションの結果は、同じGeoRasterオブジェクトのSDO_GEOR_UTL.calcRasterNominalSizeファンクションの結果と同じか、またはそれ以下の値になります。このファンクションによって、同じGeoRasterオブジェクトのSDO_GEOR_UTL.calcRasterNominalSizeファンクションより小さな値が戻された場合、これらの値の差は、圧縮または空のラスター・ブロック、あるいはその両方を使用することによって節約された領域を反映します。
説明
GeoRaster表のGeoRaster列に、必要な標準のGeoRasterデータ操作言語(DML)トリガーを作成します。これによって、そのDMLに関連付けられたトリガーが起動された際に、適切な操作が実行されます。
パラメータ
GeoRaster表(GeoRasterオブジェクト列が1列以上存在する行が含まれる表)の名前を指定します。
GeoRaster表内のSDO_GEORASTER型の列の名前を指定します。
使用上の注意
3.1.3項に示すとおり、GeoRasterの内部表とデータ構造の一貫性および整合性を保証するために、ユーザーがGeoRaster表(1つ以上のGeoRaster列を含む表)を作成すると、各GeoRaster列に対応する一意のDMLトリガーがGeoRasterにより自動的に作成されます。この場合、SDO_GEOR_UTL.createDMLTriggerプロシージャをコールして、追加した各GeoRaster列に対してDMLトリガーを作成する必要があります。
それ以外の場合、通常はこのプロシージャをコールする必要はありませんが、データベース・アップグレードやデータ移行などの一部の使用例では、DMLトリガーを再作成する場合に役立ちます。
構文
SDO_GEOR_UTL.fillEmptyBlocks(
georaster IN OUT SDO_GEORASTER,
bgValues IN SDO_NUMBER_ARRAY DEFAULT NULL);
パラメータ
空のブロックに埋め込むGeoRasterオブジェクトを指定します。
空のラスター・ブロックに入力する背景値を指定します。SDO_NUMBER_ARRAYオブジェクト内の要素の数は、1つ(すべてのバンドに同じ入力値を使用)またはバンド次元のサイズ(各バンドにそれぞれ異なる入力値を使用)のいずれかであることが必要です。たとえば、SDO_NUMBER_ARRAY(1,5,10)では、1番目のバンドに1、2番目のバンドに5、3番目のバンドに10が入力されます。このパラメータがNULLの場合、bgValues
は0(ゼロ)になります。
説明
名前が一意でない既存の登録済ラスター・データ表の名前を変更し、データベース内ですべてのラスター・データ表の名前が一意になるようにし、新しい名前が反映されるよう、GeoRasterシステム・データおよび影響を受けるGeoRasterのすべてのオブジェクトを更新します。
使用上の注意
1つ以上の登録済ラスター・データ表に(異なるスキーマで)同じ名前が定義されている場合は、このプロシージャか、SDO_GEOR_UTL.renameRDTプロシージャ、または両方を使用して重複を解消できます。
DBAロールでデータベースに接続する際に、このプロシージャを実行します。
このプロシージャはトランザクションではないため、結果はロールバックできません。
説明
現行ユーザーが所有する1つ以上の既存の登録済ラスター・データ表の名前を変更し、その新しい名前が反映されるように、GeoRasterシステム・データおよび影響を受けるGeoRasterのすべてのオブジェクトを更新します。
パラメータ
名前を変更する登録済ラスター・データ表の名前を指定します。複数の表を指定する場合は、カンマ区切りリストを使用します。
oldRDTs
で指定されたラスター・データ表に割り当てる新しい名前を指定します。複数の表を指定する場合は、カンマ区切りリストを使用します。指定する順序は、oldRDTs
で指定した名前と正確に対応するようにします。このパラメータにNULLを指定すると、GeoRasterは入力されたそれぞれのラスター・データ表に対して新しい一意の名前を割り当てます。
使用上の注意
別のユーザーが所有する1つ以上の登録済ラスター・データ表に同じ名前が定義されている場合は、このプロシージャか、SDO_GEOR_UTL.makeRDTNamesUniqueプロシージャ、または両方を使用して重複を解消できます。
このプロシージャを使用する前に、ラスター・データ表の所有者としてデータベースに接続する必要があります。このプロシージャでは、他のユーザーが所有しているラスター・データ表の名前を変更することはできません。
oldRDTs
のいずれの表もGeoRasterシステム・データに含まれていない場合、その表は無視されます。
newRDTs
のいずれかの表がGeoRasterシステム・データの名前と競合する場合、または現行ユーザーが所有している他のオブジェクトの名前と競合する場合は、例外が発生します。
このプロシージャはトランザクションではないため、結果はロールバックできません。