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Oracle® Spatial GeoRaster開発者ガイド
11gリリース2 (11.2)
B72086-03
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6 SDO_GEOR_UTLパッケージのリファレンス

MDSYS.SDO_GEOR_UTLパッケージには、GeoRasterに関連するユーティリティ操作を行うためのサブプログラム(ファンクションおよびプロシージャ)が含まれています。この章では、そのサブプログラムのリファレンス情報を、例を使用して説明します。

SDO_GEOR_UTL.calcOptimizedBlockSize

構文

SDO_GEOR_UTL.calcOptimizedBlockSize(

     dimensionSize IN SDO_NUMBER_ARRAY,

     blockSize IN OUT SDO_NUMBER_ARRAY,

     pyramidLevel IN number default 0);

説明

GeoRaster次元サイズおよびユーザー指定のブロック・サイズ値に基づいて、最適なblockSize値を計算および設定することで、使用するGeoRasterオブジェクト記憶域の埋込みスペースが少なくなります。

パラメータ

dimensionSize

GeoRasterオブジェクトの次元サイズ配列。

blockSize

ブロック・サイズ配列。この配列には、ユーザー指定のブロック・サイズ値が格納され、プロシージャが調整された最適なブロック・サイズ値を出力します。

pyramidLevel

最大ピラミッド・レベル。デフォルト値は0(ゼロ)です。

使用上の注意

このプロシージャでは、適切なブロック・サイズ値(最適ではない場合があります)を提供して自動的にそれらを調整し、GeoRasterオブジェクト記憶域の埋込みスペースの容量を削減するために最も適した特定のGeoRaster次元サイズ配列のブロック・サイズ配列値を決定します。調整は、常にユーザー指定の値を基準に行われます。詳細は、1.4.1項表1-1「ラスター・データのstorageParamのキーワード」blockingキーワードおよびblockSizeキーワードの説明を参照してください。

入力されたdimensionSizeパラメータまたはblockSizeパラメータに無効な値が含まれている場合、例外が発生します。

次の例では、指定した次元サイズ配列の(12371,11261,13)および指定したブロック・サイズ配列の(512,512,5)に基づいて、最適なブロック・サイズ値を計算して表示します。戻された最適なrowBlockSize値は、元の値の512ではなく538であり、戻された最適なbandBlockSize値は、元の値の5ではなく1であることに注意してください。

DECLARE
  dimensionSize    sdo_number_array;
  blockSize        sdo_number_array;
BEGIN
  dimensionSize:=sdo_number_array(12371,11261,13);
  blockSize:=sdo_number_array(512,512,5);
  sdo_geor_utl.calcOptimizedBlockSize(dimensionSize,blockSize);
  dbms_output.put_line('Optimized rowBlockSize = '||blockSize(1));
  dbms_output.put_line('Optimized colBlockSize = '||blockSize(2));
  dbms_output.put_line('Optimized bandBlockSize = '||blockSize(3));
END;
/
Optimized rowBlockSize = 538
Optimized colBlockSize = 512
Optimized bandBlockSize = 1

SDO_GEOR_UTL.calcRasterNominalSize

構文

SDO_GEOR_UTL.calcRasterNominalSize(

     geor IN SDO_GEORASTER,

     padding IN VARCHAR2 DEFAULT 'TRUE',

     pyramid IN VARCHAR2 DEFAULT 'TRUE',

     bitmapMask IN VARCHAR2 DEFAULT 'TRUE'

     ) RETURN NUMBER;

説明

GeoRasterオブジェクトが圧縮されておらず空のラスター・ブロックが含まれていないものとして、GeoRasterオブジェクトのラスター・ブロックの合計長(バイト単位)を戻します。

パラメータ

geor

GeoRasterオブジェクトを指定します。

padding

文字列TRUE(デフォルト)を指定すると、ラスター・ブロック内の埋込みが考慮されます。文字列FALSEを指定すると、ラスター・ブロック内の埋込みは考慮されません。

pyramid

文字列TRUE(デフォルト)を指定すると、ピラミッドのサイズが考慮されます。文字列FALSEを指定すると、ピラミッドのサイズは考慮されません。

bitmapMask

文字列TRUE(デフォルト)を指定すると、関連付けられたビットマップ・マスクが考慮されます。文字列FALSEを指定すると、関連付けられたビットマップ・マスクは考慮されません。ビットマップ・マスクの詳細は、1.8項を参照してください。

使用上の注意

このファンクションでは、LOB記憶域のオーバーヘッドが考慮されないため、結果はGeoRasterオブジェクトに実際に必要な記憶域の近似値となります。

このファンクションの結果は、同じGeoRasterオブジェクトでのSDO_GEOR_UTL.calcRasterStorageSizeファンクションの結果と同じか、またはそれ以上の値になります。このファンクションによって、同じGeoRasterオブジェクトのSDO_GEOR_UTL.calcRasterStorageSizeファンクションより大きな値が戻された場合、これらの値の差は、圧縮または空のラスター・ブロック、あるいはその両方を使用することによって節約された領域を反映しています。

GeoRasterの圧縮の詳細は、1.10項を参照してください。

次の例では、現行のブロック化方法に基づいて、GeoRasterオブジェクトの名目上のラスター・サイズ(バイト単位)を計算します。戻されるサイズには、(デフォルトで)ラスター・ブロック内の埋込み、関連付けられたビットマップ・マスクおよびピラミッドが含まれています。

SELECT SDO_GEOR_UTL.calcRasterNominalSize(georaster) nsize FROM georaster_table 
  WHERE georid=1;

     NSIZE
----------
    289150

SDO_GEOR_UTL.calcRasterStorageSize

構文

SDO_GEOR_UTL.calcRasterStorageSize(

     geor IN SDO_GEORASTER

     ) RETURN NUMBER;

説明

GeoRasterオブジェクトのすべてのラスター・ブロックの実際の長さ(バイト単位)を戻します。

パラメータ

geor

GeoRasterオブジェクトを指定します。

使用上の注意

このファンクションは、GeoRasterオブジェクトのすべてのラスター・ブロックの実際の長さを計算します。このファンクションでは、LOB記憶域のオーバーヘッドが考慮されないため、結果はGeoRasterオブジェクトの実際の記憶域サイズの近似値となります。基本的に、このファンクションは次の文を実行します。

EXECUTE IMMEDIATE
'SELECT SUM(DBMS_LOB.getLength(rasterBlock)) FROM ' || geor.rasterDataTable || ' WHERE rasterId=' || geor.rasterId;

このファンクションの結果は、同じGeoRasterオブジェクトのSDO_GEOR_UTL.calcRasterNominalSizeファンクションの結果と同じか、またはそれ以下の値になります。このファンクションによって、同じGeoRasterオブジェクトのSDO_GEOR_UTL.calcRasterNominalSizeファンクションより小さな値が戻された場合、これらの値の差は、圧縮または空のラスター・ブロック、あるいはその両方を使用することによって節約された領域を反映します。

次の例では、指定したGeoRasterオブジェクトの実際のサイズと名目上のサイズの比率を(小数として)計算します。この例では、実際のサイズは名目上のサイズの約20分の1(1/20)です。

SELECT SDO_GEOR_UTL.calcRasterStorageSize(georaster)/
  SDO_GEOR_UTL.calcRasterNominalSize(georaster) ratio
    FROM georaster_table WHERE georid=1;

     RATIO
----------
.056198816 

SDO_GEOR_UTL.createDMLTrigger

構文

SDO_GEOR_UTL.createDMLTrigger(

     tableName VARCHAR2,

     columnName VARCHAR2);

説明

GeoRaster表のGeoRaster列に、必要な標準のGeoRasterデータ操作言語(DML)トリガーを作成します。これによって、そのDMLに関連付けられたトリガーが起動された際に、適切な操作が実行されます。

パラメータ

tableName

GeoRaster表(GeoRasterオブジェクト列が1列以上存在する行が含まれる表)の名前を指定します。

columnName

GeoRaster表内のSDO_GEORASTER型の列の名前を指定します。

使用上の注意

3.1.3項に示すとおり、GeoRasterの内部表とデータ構造の一貫性および整合性を保証するために、ユーザーがGeoRaster表(1つ以上のGeoRaster列を含む表)を作成すると、各GeoRaster列に対応する一意のDMLトリガーがGeoRasterにより自動的に作成されます。この場合、SDO_GEOR_UTL.createDMLTriggerプロシージャをコールして、追加した各GeoRaster列に対してDMLトリガーを作成する必要があります。

それ以外の場合、通常はこのプロシージャをコールする必要はありませんが、データベース・アップグレードやデータ移行などの一部の使用例では、DMLトリガーを再作成する場合に役立ちます。

次の例では、GEOR_COLという名前のGeoRaster列を含むXYZ_GEOR_TABという名前の表に、標準のGeoRaster DMLトリガーを作成します。

EXECUTE sdo_geor_utl.createDMLTrigger('XYZ_GEOR_TAB', 'GEOR_COL');

SDO_GEOR_UTL.fillEmptyBlocks

構文

SDO_GEOR_UTL.fillEmptyBlocks(

     georaster IN OUT SDO_GEORASTER,

     bgValues IN SDO_NUMBER_ARRAY DEFAULT NULL);

説明

すべての空のブロックに、指定した背景値を入力します。

パラメータ

georaster

空のブロックに埋め込むGeoRasterオブジェクトを指定します。

bgValues

空のラスター・ブロックに入力する背景値を指定します。SDO_NUMBER_ARRAYオブジェクト内の要素の数は、1つ(すべてのバンドに同じ入力値を使用)またはバンド次元のサイズ(各バンドにそれぞれ異なる入力値を使用)のいずれかであることが必要です。たとえば、SDO_NUMBER_ARRAY(1,5,10)では、1番目のバンドに1、2番目のバンドに5、3番目のバンドに10が入力されます。このパラメータがNULLの場合、bgValuesは0(ゼロ)になります。

使用上の注意

georasterがNULLの場合、このプロシージャは処理を実行しません。

georasterにピラミッド・データが存在する場合、メタデータに格納されているピラミッド情報に基づいて、ピラミッドが再生成されます。

次の例では、すべての空のブロックに背景値(255,0,0)が入力されます。

DECLARE
  geor  SDO_GEORASTER;
BEGIN
  SELECT georaster INTO geor FROM georaster_table WHERE georid = 3 FOR UPDATE;
  SDO_GEOR_UTL.fillEmptyBlocks(geor, SDO_NUMBER_ARRAY(255,0,0));
  UPDATE georaster_table SET georaster = geor WHERE georid = 3;
  COMMIT;
END;
/

SDO_GEOR_UTL.makeRDTNamesUnique

構文

SDO_GEOR_UTL.makeRDTNamesUnique;

説明

名前が一意でない既存の登録済ラスター・データ表の名前を変更し、データベース内ですべてのラスター・データ表の名前が一意になるようにし、新しい名前が反映されるよう、GeoRasterシステム・データおよび影響を受けるGeoRasterのすべてのオブジェクトを更新します。

パラメータ

なし

使用上の注意

1つ以上の登録済ラスター・データ表に(異なるスキーマで)同じ名前が定義されている場合は、このプロシージャか、SDO_GEOR_UTL.renameRDTプロシージャ、または両方を使用して重複を解消できます。

DBAロールでデータベースに接続する際に、このプロシージャを実行します。

このプロシージャはトランザクションではないため、結果はロールバックできません。

次の例では、名前が一意でない既存の登録済ラスター・データ表の名前を自動的に変更し、データベース内ですべての登録済ラスター・データ表の名前が一意になるようにし、新しい名前が反映されるよう、GeoRasterシステム・データおよび影響を受けるGeoRasterのすべてのオブジェクトを更新します。

EXECUTE sdo_geor_utl.makeRDTNamesUnique;

SDO_GEOR_UTL.renameRDT

構文

SDO_GEOR_UTL.renameRDT(

     oldRDTs VARCHAR2,

     newRDTs VARCHAR2 DEFAULT NULL);

説明

現行ユーザーが所有する1つ以上の既存の登録済ラスター・データ表の名前を変更し、その新しい名前が反映されるように、GeoRasterシステム・データおよび影響を受けるGeoRasterのすべてのオブジェクトを更新します。

パラメータ

oldRDTs

名前を変更する登録済ラスター・データ表の名前を指定します。複数の表を指定する場合は、カンマ区切りリストを使用します。

newRDTs

oldRDTsで指定されたラスター・データ表に割り当てる新しい名前を指定します。複数の表を指定する場合は、カンマ区切りリストを使用します。指定する順序は、oldRDTsで指定した名前と正確に対応するようにします。このパラメータにNULLを指定すると、GeoRasterは入力されたそれぞれのラスター・データ表に対して新しい一意の名前を割り当てます。

使用上の注意

別のユーザーが所有する1つ以上の登録済ラスター・データ表に同じ名前が定義されている場合は、このプロシージャか、SDO_GEOR_UTL.makeRDTNamesUniqueプロシージャ、または両方を使用して重複を解消できます。

このプロシージャを使用する前に、ラスター・データ表の所有者としてデータベースに接続する必要があります。このプロシージャでは、他のユーザーが所有しているラスター・データ表の名前を変更することはできません。

oldRDTsのいずれの表もGeoRasterシステム・データに含まれていない場合、その表は無視されます。

newRDTsのいずれかの表がGeoRasterシステム・データの名前と競合する場合、または現行ユーザーが所有している他のオブジェクトの名前と競合する場合は、例外が発生します。

このプロシージャはトランザクションではないため、結果はロールバックできません。

次の例では、登録済ラスター・データ表RDT_1およびRDT_2の名前を、それぞれST_RDT_1およびST_RDT_2に変更します。

EXECUTE sdo_geor_utl.renameRDT('RDT_1,RDT_2','ST_RDT_1,ST_RDT_2');