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Oracle® Grid Infrastructureインストレーション・ガイド
11gリリース2 (11.2) for Oracle Solaris
B57234-07
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5 Oracle Grid Infrastructureのインストール後の手順

この章では、Oracle Grid Infrastructureソフトウェアをインストールした後に実行する、インストール後の作業について説明します。

この章の内容は次のとおりです。

5.1 インストール後に必要な作業

インストールを完了したら、次の作業を実行する必要があります。


注意:

以前のリリースでは、ddコマンドを使用して投票ディスクをバックアップする作業が、インストール後に必要でした。Oracle Clusterwareリリース11.2以上では、ddコマンドを使用した投票ディスクのバックアップとリストアは投票ディスクの障害につながる可能性があるため、この手順はサポートされていません。

5.1.1 パッチの更新のダウンロードおよびインストール

My Oracle Support Webサイトを参照して、インストールした環境に必要なパッチの更新を確認します。


注意:

My Oracle Supportを利用するには、ブラウザにAdobe Flashプラグインのバージョン9.0.115以上が必要です。Adobe Flashのチェッカ・ページに移動して、ご使用のブラウザでFlashプラグインの正確なバージョンをチェックし、最新バージョンのAdobe Flashがインストールされていることを確認します。

Flashをインストールしていない場合は、次のAdobe Webサイトから最新バージョンのFlash Playerをダウンロードします。

http://www.adobe.com/go/getflashplayer

必要なパッチの更新をダウンロードするには、次の手順を実行します。

  1. Webブラウザを使用して、次のMy Oracle Support Webサイトを表示します。

    https://support.oracle.com

  2. My Oracle Support Webサイトにログインします。


    注意:

    My Oracle Supportの登録ユーザーでない場合は、「My Oracle Supportへの登録」をクリックして登録してください。

  3. My Oracle Supportのメイン・ページで「パッチと更新版」をクリックします。

  4. 「パッチと更新版」ページで「拡張検索」をクリックします。

  5. 「拡張検索」ページで「製品または製品ファミリ」フィールドの横にある検索アイコンをクリックします。

  6. 「検索と選択: 製品ファミリ」フィールドで「検索」リスト・フィールドの「データベースとツール」を選択し、テキスト・フィールドにRDBMS Serverと入力して「検索」をクリックします。

    RDBMSサーバーが「製品または製品ファミリ」フィールドに表示されます。現行のリリースが「リリース」フィールドに表示されます。

  7. 「プラットフォーム」フィールドのリストからプラットフォームを選択して、選択リストの下の「検索」をクリックします。

  8. 「結果」ヘッダーの下に使用可能なパッチの更新が表示されます。

  9. パッチ番号をクリックして、パッチをダウンロードします。

  10. 「パッチ・セット」ページで「READMEの表示」をクリックして、表示されるページを読みます。 READMEページには、そのパッチ・セットに関する情報と、パッチの適用方法が記載されています。

  11. 「パッチ・セット」ページに戻って「ダウンロード」をクリックし、ファイルをシステムに保存します。

  12. Oracle Database 11g リリース2(11.2)に付属のunzipユーティリティを使用して、My Oracle SupportからダウンロードしたOracleパッチの更新を解凍します。unzipユーティリティは$ORACLE_HOME/binディレクトリにあります。

  13. パッチをインストールする準備としてデータベース・プロセスを停止する方法については、付録Eを参照してください。

5.2 インストール後の推奨作業

Oracle Grid Infrastructureをインストールした後で、必要に応じて次の作業を行うことをお薦めします。

5.2.1 root.shスクリプトのバックアップ

インストールの完了後に、root.shスクリプトをバックアップすることをお薦めします。同じOracleホーム・ディレクトリに他の製品をインストールすると、インストーラは、インストール中に既存のroot.shスクリプトの内容を更新します。元のroot.shスクリプトの情報が必要になった場合は、root.shファイルのコピーから元に戻すことができます。

5.2.2 crsctlを使用したIPMIベース障害分離の構成

現在、ネイティブのIPMIドライバがサポートされていないOracle Solarisプラットフォームでは、DHCPアドレッシングはサポートされていないため、IPMIサポートには手動の構成が必要になります。OUIは管理者資格証明を収集しないため、障害分離は手動で構成される必要があり、BMCは静的IPアドレスで構成される必要があり、アドレスはOLRに手動で格納される必要があります。

IPMIを使用して障害分離を構成するには、各クラスタ・メンバー・ノードで次の手順を実行します。

  1. 必要に応じて、次のコマンドを使用してOracle Clusterwareを起動します。

    $ crsctl start crs
    
  2. BMC管理ユーティリティを使用してBMCのIPアドレスを取得してから、クラスタ制御ユーティリティcrsctlを使用してcrsctl set css ipmiaddr addressコマンドを発行し、BMCのIPアドレスをOracle Local Registry(OLR)に格納します。次に例を示します。

    $crsctl set css ipmiaddr 192.168.10.45
    
  3. 次のcrsctlコマンドを入力して、常駐BMCのユーザーIDおよびパスワードをOLRに格納します。youradminacctはIPMI管理者ユーザー・アカウントで、プロンプトが表示されたらパスワードを入力します。

    $ crsctl set css ipmiadmin youradminact
    IPMI BMC Password: 
    

    このコマンドによって、ユーザーが入力した資格証明が別のクラスタ・ノードに送信され、この資格証明の検証が行われます。クラスタ・ノードが資格証明を使用してローカルのBMCにアクセスできない場合、コマンドは失敗します。

    IPMI資格証明をOLRに格納する場合は、明示的に指定した匿名ユーザーが必要です。ない場合は、解析エラーがレポートされます。

5.2.3 セマフォ・パラメータの調整

デフォルトのセマフォ・パラメータ値が低すぎて、すべてのOracleプロセスに対応できない場合のみ、次のガイドラインを参照してください。


注意:

セマフォ・パラメータの設定方法の詳細は、オペレーティング・システムのドキュメントを参照することをお薦めします。

  1. 次の計算式を使用して、全体的な最小セマフォ要件を計算します。

    2 * sum(システム上のすべてのデータベース・インスタンスのプロセス・パラメータ) + バックグラウンド・プロセスのオーバーヘッド + システムおよび他のアプリケーションの要件

  2. semmns(システム全体のセマフォ合計)を、この合計値に設定します。

  3. semmsl(各セットのセマフォ)を、250に設定します。

  4. semmnssemmslで割り、最も近い1024の倍数に切り上げた値を、semmni(セマフォ・セット合計)として設定します。

5.2.4 高速リカバリ領域ディスク・グループの作成

インストール時、デフォルトでは1つのディスク・グループの作成が可能です。スタンドアロン・サーバー用のOracle Database、またはOracle RACデータベースを追加しようとする場合は、データベース・ファイルの高速リカバリ領域を作成する必要があります。

5.2.4.1 高速リカバリ領域および高速リカバリ領域ディスク・グループについて

高速リカバリ領域は、リカバリに関連するすべてのOracle Databaseファイルのための、統合された記憶域の場所です。データベース管理者は、DB_RECOVERY_FILE_DESTパラメータを高速リカバリ領域のパスに定義することで、ディスク上へのバックアップやデータの迅速なリカバリが可能になります。最近のデータを迅速にバックアップできれば、リカバリ作業のためにバックアップ・テープを探さなければならないシステム管理者の負担を軽減できます。

init.oraファイルで高速リカバリを有効にすると、すべてのRMANバックアップ、アーカイブ・ログ、制御ファイルの自動バックアップ、およびデータベースのコピーが高速リカバリ領域に書き込まれます。RMANは、リカバリに必要でなくなった古いバックアップおよびアーカイブ・ファイルを削除することで、高速リカバリ領域のファイルを自動的に管理します。

高速リカバリ領域ディスク・グループを作成することをお薦めします。Oracle ClusterwareファイルとOracle Databaseファイルは同じディスク・グループに配置できます。また、高速リカバリ・ファイルも同じディスク・グループに入れることができます。ただし、ストレージ・デバイスの競合を緩和するため、高速リカバリ・ディスク・グループを別に作成することをお薦めします。

高速リカバリ領域は、DB_RECOVERY_FILE_DESTを設定することで有効にできます。高速リカバリ領域のサイズは、DB_RECOVERY_FILE_DEST_SIZEで設定します。一般的に、高速リカバリ領域は大きいほど使いやすくなります。使い勝手を良くするため、少なくとも3日分のリカバリ情報を格納できるストレージ・デバイスに、高速リカバリ領域ディスク・グループを作成することをお薦めします。理想的には、高速リカバリ領域は、保存ポリシーに基づいて保存されたデータ・ファイルのバックアップを使用してデータベースをリカバリする際に必要な、すべてのデータ・ファイルと制御ファイル、オンラインREDOログ、およびアーカイブREDOログ・ファイルのコピーを格納できるサイズであることが求められます。

複数のデータベースに同じ高速リカバリ領域を使用できます。たとえば、150GBの記憶域を持つディスク上に1つの高速リカバリ領域ディスク・グループを作成し、それを3つの異なるデータベースで共有するとします。各データベースの高速リカバリ領域のサイズを、そのデータベースの重要度によって設定することができます。たとえば、データベース1が最も重要度が低く、データベース2がそれよりも重要度が高く、データベース3が最も重要度が高い場合、各データベースに異なるDB_RECOVERY_FILE_DEST_SIZE設定を適用し、それぞれの保存目標を満たすようにします。たとえば、データベース1には30GB、データベース2には50GB、データベース3には70GBのように設定します。


関連項目:

『Oracle Databaseストレージ管理者ガイド』

5.2.4.2 高速リカバリ領域ディスク・グループの作成

高速リカバリ・ファイル・ディスク・グループを作成するには、次の手順を実行します。

  1. Gridホームのbinディレクトリに移動し、Oracle ASM Configuration Assistant(ASMCA)を起動します。次に例を示します。

    $ cd /u01/app/11.2.0/grid/bin
    $ ./asmca
    
  2. ASMCAが開き、「ディスク・グループ」タブが表示されます。新しいディスク・グループを作成するには、「作成」をクリックします。

  3. 「ディスク・グループの作成」ウィンドウが開きます。

    「ディスク・グループ名」フィールドに、高速リカバリ領域グループの説明的な名前を入力します。たとえば、FRAです。

    「冗長性」セクションで、適用する冗長レベルを選択します。

    「メンバー・ディスクの選択」フィールドで、高速リカバリ領域に追加する適切なディスクを選択し、「OK」をクリックします。

  4. 「ディスク・グループ: 作成」ウィンドウが開き、ディスク・グループの作成が完了したというメッセージが表示されます。「OK」をクリックします。

  5. 「終了」をクリックします。

5.2.5 Oracle RAC構成監査ツールの実行

Oracle RAC構成監査ツール(RACcheck)を実行して、Oracle RACのインストールを確認することをお薦めします。RACcheckは、Oracle Real Application Clusters、Oracle Clusterware、Oracle Automatic Storage ManagementおよびOracle Grid Infrastructure環境の様々な重要な構成設定の確認を行うOracle RACの監査ツールです。

My Oracle SupportからRACcheckの最新バージョンをダウンロードして実行することをお薦めします。RACcheck構成監査ツールのダウンロード、構成および実行の詳細は、次のURLで確認できるMy Oracle SupportのNote 1268927.1を参照してください。

https://support.oracle.com/CSP/main/article?cmd=show&type=NOT&id=1268927.1


関連項目:

『Oracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』

5.3 旧バージョンのOracle DatabaseのGrid Infrastructureでの使用

次の項で、11gリリース2(11.2)のOracle Grid InfrastructureインストールでOracle Databaseの旧リリースを使用する場合について説明します。

5.3.1 旧バージョンのOracle Databaseの使用に関する一般的な制限

Oracle Databaseリリース9.2、リリース10.xおよびリリース11.1を、Oracle Clusterware 11g リリース2(11.2)とともに使用できます。

ただし、以前のリリースはOracle ACFSを使用するように設計されていないため、Oracle Databaseリリース11.2より前のOracle DatabaseホームをOracle ACFSに配置することはできません。

Oracle Clusterwareの既存のバージョンをアップグレードする場合、既存のデータベースの必要な構成は自動的に行われます。ただし、クラスタ用Oracle Grid Infrastructureの新規インストールを完了し、11.2より前のバージョンのOracle Databaseをインストールする場合は、追加の構成作業を手動で行う必要があります。


注意:

リリース11.1.0.7、11.1.0.6および10.2.0.4からアップグレードする場合は、Oracle RACまたはOracle DatabaseインストールをOracle Clusterwareリリース11.2インストールで起動する前に、アップグレード元となるリリース用の最新の推奨パッチを確認し、必要に応じてアップグレード前にそれらのパッチをインストールすることをお薦めします。

推奨パッチの詳細は、My Oracle SupportのNote 785351.1から入手可能な「Oracle Upgrade Companion」を参照してください。

https://support.oracle.com

各リリースの推奨パッチの最新リストについては、Note 756388.1および756671.1でも参照できます。


5.3.2 ASMCAを使用した旧バージョン・データベースのディスク・グループの管理

旧バージョンのOracle DatabaseおよびOracle RACデータベースをOracle Grid Infrastructureにインストールするときに、Oracle ASM Configuration Assistant(ASMCA)を使用して、ディスク・グループを作成および変更します。11g リリース2以上では、Oracle ASMはOracle ClusterwareとともにOracle Grid Infrastructureのインストールの一部としてインストールされます。Database Configuration Assistant(DBCA)を使用してOracle ASMで管理タスクを実行することはできなくなりました。

5.3.3 Oracle Databaseリリース10.xまたは11.x用のクラスタ・ノードの固定

前のバージョンのOracleソフトウェアがインストールされていないクラスタにOracle Clusterware 11gリリース11.2をインストールすると、Oracle Database 10gおよび11.1では永続的な構成が必要であるにもかかわらず、クラスタ・ノードは動的にOracle Databaseリリース11.2以上と互換性があるよう構成されます。ノード名とノード番号を関連付けるこの手順を固定と呼びます。


注意:

アップグレード中、すべてのクラスタ・メンバー・ノードには自動的に固定されるため、既存のデータベースに対して手動で固定する必要はありません。この手順は、Oracle Grid Infrastructureリリース11.2ソフトウェアをインストールした後、旧バージョンのデータベースをインストールする場合にのみ必要です。

旧バージョンのOracle Databaseをインストールして使用するための準備でノードを固定するには、Grid_home/bin/crsctlを使用して次のコマンド構文を実行します。nodesは、構成を固定するクラスタ内の1つまたは複数のノードを示す、スペース区切りリストです。

crsctl pin css -n nodes

たとえば、ノードnode3およびnode4を固定するには、rootとしてログインし、次のコマンドを入力します。

$ crsctl pin css -n node3 node4

ノードが固定状態か非固定状態かを確認するには、Grid_home/bin/olsnodesを使用して次のコマンド構文を実行します。

固定されたすべてのノードを表示する場合:

olsnodes -t -n 

次に例を示します。

# /u01/app/11.2.0/grid/bin/olsnodes -t -n
node1 1       Pinned
node2 2       Pinned
node3 3       Pinned
node4 4       Pinned

特定のノードの状態を表示する場合:

olsnodes -t -n node3

次に例を示します。

# /u01/app/11.2.0/grid/bin/olsnodes -t -n node3
node3 3       Pinned

関連項目:

ノードの固定および固定解除の詳細は、『Oracle Clusterware管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。

5.3.4 適切なLSNRCTLコマンドの使用

lsnrctlコマンドを使用して11gリリース2のローカル・リスナーおよびSCANリスナーを管理するには、環境変数$ORACLE_HOMEにOracle Grid Infrastructureホーム(Gridホーム)のパスを設定します。以前のリリースで使用していたOracleホームの位置からlsnrctlコマンドを使用しないでください。この位置は新しいリリースでは使用できません。

5.4 インストール後のOracle Clusterwareバイナリの変更

インストール後にOracle Clusterware構成の変更が必要になった場合は、Gridホームをロック解除する必要があります。

たとえば、個別パッチを適用する場合や、Oracle Exadata構成を変更して、デフォルトのUDPを使用するかわりにインターコネクト上でRDS経由のIPCトラフィックを実行する場合は、Gridホームのロック解除が必要になります。


注意:

実行可能ファイルを再リンクする前に、Oracleホーム・ディレクトリで実行されている、再リンク対象の実行可能ファイルをすべて停止する必要があります。また、Oracle共有ライブラリにリンクされているアプリケーションも停止してください。

次の手順に従って、ホームをロック解除します。

  1. パスGrid_home/crs/installに移動します。Grid_homeはGridホームのパスです。次に、コマンドrootcrs.pl -unlock -crshome Grid_homeを使用して、Gridホームをロック解除します。ここでは、Grid_homeは使用しているグリッド・インフラストラクチャ・ホームのパスです。たとえば、Gridホームが/u01/app/11.2.0/gridの場合、次のコマンドを入力します。

    # cd /u01/app/11.2.0/grid/crs/install
    # perl rootcrs.pl -unlock -crshome /u01/app/11.2.0/grid
    
  2. ユーザーをOracle Grid Infrastructureソフトウェア所有者に変更し、コマンド構文make -f Grid_home/lib/ins_rdbms.mk targetを使用してバイナリを再リンクします。この場合、Grid_homeはGridホーム、targetは再リンクするバイナリです。たとえば、Gridユーザーがgrid$ORACLE_HOMEがGridホームに設定されている場合に、インターコネクト・プロトコルをUDPからIPCに更新するには、次のコマンドを入力します。

    # su grid
    $ make -f $ORACLE_HOME/rdbms/lib/ins_rdbms.mk ipc_rds ioracle
    

    注意:

    バイナリを再リンクする場合、グリッド・インストール所有者に変更して、コマンドGrid_home/bin/relinkを実行することも可能です。

  3. 次のコマンドを使用して、Gridホームを再度ロックし、クラスタを再起動します。

    # perl rootcrs.pl -patch
    
  4. 各クラスタ・メンバー・ノードで、手順1から3を繰り返します。