FCSETコマンドは、FCOPEN文で作成した予測コンテキストを実行する際に、Geneva Forecastingエンジンに使用させたい特性を指定するコマンドです。
FCSET文は、「予測プログラム」に示すように他のOLAP DML文と組み合せて使用する必要があります。
構文
FCSET handle-expression forecast-characteristic
ここで、forecast-characteristicの構文は次のとおりです。
パラメータ
これから問い合せる予測コンテキスト、およびFCOPENファンクションを使用して前に開いた予測コンテキストへのハンドルであるINTEGER
式。
予測エンジンで過調整のリスクを減少させるのに、最後のサイクルの割当と最後のサイクルの予測のどちらの方法を使用するかを指定します。
NOを指定すると、予測エンジンでは最後のサイクルの予測が行われます。(デフォルト)
YESを指定すると、予測エンジンではサイクルの1つの時間間隔に対する平均値のみが予測されます。その平均値は係数で乗算され、その時間間隔の残りの各ポイントに与えられます。たとえば、最後のサイクルが24時間の時間間隔である場合、1時間の平均値のみが予測され、それに24の1時間単位の係数を乗算して各時間の値に与えられます。
単純指数平滑法、二重指数平滑法およびHolt-Winters予測法でベースライン・パラメータとして使用されるアルファの値を指定します。
ALPHA MAX decimalではアルファの最大値を指定します。decimalには、0.0から1.0までの任意の10進値を指定できます。decimalのデフォルト値は0.3です。
ALPHA MIN decimalではアルファの最小値を指定します。decimalには、0.0から1.0までの任意の10進値を指定できます。decimalのデフォルト値は0.1です。
ALPHA STEP decimalでは、予測エンジンがアルファの値を決定する際に使用する間隔の値を指定します。decimalには、0.05から0.2までの範囲にあり、かつALPHA MAXの値とALPHA MINの値の差をちょうど割り切る任意の10進値を指定できます。decimalのデフォルト値は0.1です。
予測エンジンにおける予測をどのような方法で実行するかを指定します。
'APPAUTO'はデフォルトの方法で、これによってGeneva Forcastingエキスパート・システムが起動され、考えられる予測法およびそのオプションがすべて検証され、データに対して最適な方法が選択および使用されます。この値を指定すると、エキスパート・システムでは、METHODキーワードに指定されたすべての値が無視されます。
この方法を選択すると、エキスパート・システムでは、コーディングされた最大設定と最小設定から、alpha、beta、gamma、傾向保持、周期減衰およびMPT変換の各設定が選択されます。APPAUTOに対してこれらの値を設定する場合は、最小および最大のいずれにも同じ値を指定します。たとえば、alphaに対して値.2
を指定するには、ALPHA MINとALPHA MAXのどちらも.2
に設定します。エキスパート・システムではその他にも、すでに設定されているグローバル・パラメータが使用されます。(デフォルト)
'APPMANUAL'を指定すると、Geneva Forecastingエンジンにおいて予測が実行される際、このFCSET文に指定した予測法およびオプションが使用されます。
二重指数平滑化法およびHolt-Winters予測法に対するベータの値を指定します。ベータは傾向の予測を制御する傾向パラメータです。
BETA MAX decimalではベータの最大値を指定します。decimalには、0.0
から1.0
までの任意の10進値を指定できます。デフォルト値は0.3
です。
BETA MIN decimalではベータの最小値を指定します。decimalには、0.0
から1.0
までの任意の10進値を指定できます。デフォルト値は0.1
です。
BETA STEP decimalでは、予測エンジンがベータの値を決定する際に使用する間隔の値を指定します。decimalには、0.05
から0.2
までの範囲にあり、かつBETA MAXの値とBETA MINの値の差をちょうど割り切る任意の10進値を指定できます。decimalのデフォルト値は0.1
です。
中央値平滑データ系列に対して最適化を行うかどうかを示します。
NOは、元の履歴時系列データを使用した方法を実行することを指定します。(デフォルト)
YESを指定すると、中央値平滑データ系列に対して最適化が行われます。その結果、より平滑化された(いわゆる「ベースライン」)予測になります。
線形回帰法および非線形回帰法に対する周期減衰の値を指定します。周期減衰とは、予測エンジンにおいて線形回帰および非線形回帰が行われる際、ベースライン・アクティビティからのずれがどの程度考慮されるかを表すものです。
CYCDECAY MAX decimalでは、周期減衰パラメータの最大値を指定します。decimalには、0.2
から1.0
までの範囲にあり、かつCYCDECAY MINの値とCYCDECAY MAXの値の差を0.4
でちょうど割り切る任意の10進値を指定できます。decimalのデフォルト値は1.0
です。
CYCDECAY MIN decimalでは、周期減衰パラメータの最小値を指定します。decimalには、0.2から1.0までの範囲にあり、かつCYCDECAY MINの値とCYCDECAY MAXの値の差を0.4でちょうど割り切る任意の10進値を指定できます。decimalのデフォルト値は0.2です。
Holt-Winters予測法において季節パラメータとして使用されるガンマの値を指定します。
GAMMA MAX decimalではガンマの最大値を指定します。decimalには、0.0
から1.0
までの任意の10進値を指定できます。decimalのデフォルト値は0.3
です。
GAMMA MIN decimalではガンマの最小値を指定します。decimalには、0.0
から1.0
までの任意の10進値を指定できます。decimalのデフォルト値は0.1
です。
GAMMA STEP decimalでは、予測エンジンがガンマの値を決定する際に使用する間隔の値を指定します。decimalには、0.05
から0.2
までの範囲にあり、かつGAMMA MAXの値とGAMMA MINの値の差をちょうど割り切る任意の10進値を指定できます。decimalのデフォルト値は0.1
です。
履歴期間の数。integer
には、1
から50000
までの任意のINTEGER
値を指定でき、この値は、FCEXECコマンドに指定されるtime-series式での時間ディメンション値の最大数です。(予測期間の数は、time-series式の次元のSTATLENからHISTPERIODSの値を差し引いて求められます。)
予測データに対する上限を指定します。decimalに指定する値は、履歴系列の最大値の倍数を表します。たとえば、10.0
を指定すると、上限値は履歴系列の最大値の10倍になります。デフォルト値は100.0
です。
予測エンジンで使用する予測法を指定します。予測法に関して指定する値は、APPROACH
の値が'APPMANUAL'
に設定されていないかぎり無視されます。
methodには次のキーワードのいずれかを指定できます。
AUTOMATICを指定すると、使用する方法としてデータに最適なものが予測エンジンにより決定されます。(デフォルト)
LINREGを指定すると、データに対して線形関係(y=a*x+b)
を当てはめる線形回帰法が使用されます。
NLREG1を指定すると、元のデータからなんらかの変換(この場合は、x'=log(x)、y'=log(y)
)を行って得られたデータに線形関係(y'=a*x'+b)
を当てはめる非線形回帰法が使用されます。この場合、x
とy(y=c*x^a)
の間の多項式モデルが構成されます。
NLREG2を指定すると、元のデータからなんらかの変換(この場合は、x'=x、y'=ln(y)
)を行って得られたデータに線形関係(y'=a*x'+b)
を当てはめる非線形回帰法が使用されます。この場合、xとy(y=c*e^ax)
の間の指数モデルが構成されます。
NLREG3を指定すると、元のデータからなんらかの変換(この場合は、x'=log(x)
、y'=y
)を行って得られたデータに線形関係(y'=a*x'+b)
を当てはめる非線形回帰法が使用されます。この場合、xとy(y=a*log(x)+b)
の間の対数モデルが構成されます。
NLREG4を指定すると、元のデータからなんらかの変換(この場合は、x'=1/x、y'=1/y
)を行って得られたデータに線形関係(y'=a*x'+b)
を当てはめる非線形回帰法が使用されます。この場合、漸近曲線(y=x/(a+bx))
が構成されます。
NLREG5を指定すると、元のデータからなんらかの変換(この場合は、x'=x、y'=ln(y/(K-y))
)を行って得られたデータに線形関係(y'=a'*x+b)
を当てはめる非線形回帰法が使用されます。この場合、指数関数の漸近曲線(y=cKe^ax/(1+ce^ax))
が構成されます。
SESMOOTHを指定すると、過去値の等比級数的な加重平均を現行予測値とし、すべての将来値をその値とする単純指数平滑法が使用されます。この方法は非季節データの短期予測に向きます。
DESMOOTHを指定すると、過去値の等比級数的な加重平均を現行予測値とし、同じ方法で計算されるトレンド項にその値を加算する二重指数平滑法が使用されます。したがって、単純指数平滑法は系列とトレンド項の両方に適用されます。
CROSTONを指定すると、クロストン断続性需要メソッドが使用されます。クロストン断続性需要メソッドは、断続的なデータ(観測値の大半が0であるようなデータ)についても扱えるように指数平滑法を拡張した予測法です。この予測法では、まず需要が正の値を示す間隔が予測され、さらに正の値を示す場合の需要の大きさが予測されます。
HOLT/WINTERSを指定すると、季節データにHolt-Winters法が使用されます。これは、傾向減衰を伴う二重指数平滑法において、単純指数平滑法で予測される乗法的な季節性因子を考慮した予測法です。
予測データに対する下限を指定します。指定する値は、履歴系列の最小値の倍数を示します。decimalには、0.0
から1.0
までの任意の10進値を指定できます。たとえば、0.5
を指定すると、下限値は履歴系列の最小値の半分になります。decimalのデフォルト値は0.0
です。
予測エンジンにおいて、移動周期的合計(MPT)系列の予測結果を分析する際、ベース値の予測値の減衰を調整するために使用するパラメータの値を指定します。
MPTDECAY MAX decimalでは、予測エンジンにおいて、移動周期的合計(MPT)系列の予測結果を分析する際、ベース値の予測値の減衰を調整するために使用するパラメータの最大値を指定します。decimalには、0.2
から1.0
までの範囲にあり、かつMPTDECAY MINの値とMPTDECAY MAXの値の差を0.4
でちょうど割り切る任意の10進値を指定できます。decimalのデフォルト値は1.0
です。
MPTDECAY MIN decimalでは、予測エンジンにおいて、移動周期的合計(MPT)系列の予測結果を分析する際、ベース値の予測値の減衰を調整するために使用するパラメータの最小値を指定します。decimalには、0.2
から1.0
までの範囲にあり、かつMPTDECAY MINの値とMPTDECAY MAXの値の差を0.4
でちょうど割り切る任意の10進値を指定できます。decimalのデフォルト値は0.2
です。
予測を決定するために予測エンジンが実行する試行の数を指定します。integerには、1
から3
までの任意のINTEGER
値を指定できます。decimalのデフォルト値は3
です。
単一サイクルの時間間隔の数、またはネストされたサイクルのセットのうちの各サイクルの時間間隔の数を指定します。
DAY、WEEK、MONTH、QUARTERまたはYEAR型のディメンションを使用する場合、このパラメータを指定する必要はありません。この場合、予測エンジンは1年を構成する時間ディメンションの時間間隔の数(たとえば、1年には52 WEEK時間間隔があります)から周期性を導出します。
DAY、WEEK、MONTH、QUARTERまたはYEAR型のディメンションを使用しない場合、cycle-specのデフォルト値は1
であり、データはまったくグループ化されない(つまり、各時間間隔は論理的に独立している)ことが指定されます。
サイクルは、データの期間を通じて繰り返される時間間隔のグループです。たとえば、日単位の時間間隔は週のサイクルにグループ化され、週単位の時間間隔は年のサイクルにグループ化されます。この場合、サイクルはネストされているといい、年のサイクルは週のサイクルより上位の集計であり、週のサイクルは年のサイクルよりさらに詳細です。より詳細なレベルのサイクルを指定すると、データに影響を与える要因に対してきめの細かい検索をOLAPで行えます。
単一サイクルを指定するには、cycle-specを1
から25000
までのINTEGER
に設定します。このINTEGER
はサイクルが分割される時間間隔の数を示します。たとえば、INTEGER 12
は、サイクルが12の時間間隔に分割されることを指定します。
ネストされた一連のサイクルを指定するには、cycle-specにカンマで区切って並べた最大6つのINTEGER
値をカッコで囲んで設定します。並べる各値は、ネストされたサイクル内にある時間間隔の数です。サイクルは、最大集計から最小集計の順に順序付けられます。たとえば、cycle-specが(52,7)
の場合、2つのサイクルのうちの最大集計のサイクルは52の時間間隔に分割され、その各時間間隔が7つの時間間隔に分割されることを示します。この例では、1年が52週に分割され、その各週が7日に分割されています。
予測エンジンが平滑化に使用するウィンドウのサイズと履歴期間の合計数の比率を指定します。予測エンジンはこの値を使用してバックキャスト期間の数を決定します。1/26
から1/2
までの任意の10進値を指定できます。decimalのデフォルト値は1/3
です。
予測エンジンが予測のデータを平滑化するかどうかを指定します。デフォルト値はNO
です。予測エンジンでデータを平滑化する場合はYES
を指定します。
予測の実行時に予測エンジンが使用するデータ・フィルタ。
'TRNOSEA'を指定すると、予測エンジンではデータの季節調整は行われません。(デフォルト)
'TRSEA'を指定すると、予測エンジンでは、データを季節調整するフィルタを使用して変換が行われます。
'TRMPT'を指定すると、予測エンジンでは、移動周期的合計(MPT)フィルタを使用して変換が行われます。
二重指数平滑法およびHolt-Winters予測法において傾向の信頼性を示す傾向保持パラメータの値を指定します。
TRENDHOLD MAX decimalでは、傾向保持パラメータの最大値を指定します。decimalには、0.0
から1.0
までの任意の10進値を指定できます。decimalのデフォルト値は0.8
です。
TRENDHOLD MIN decimalでは、傾向保持パラメータの最小値を指定します。decimalには、0.0
から1.0
までの任意の10進値を指定できます。decimalのデフォルト値は0.4
です。
TRENDHOLD STEP decimalでは、予測エンジンが傾向保持パラメータの値を決定する際に使用する間隔の値を指定します。decimalには、0.1
から0.2
までの任意の10進値を指定できます。decimalの値は、TRENDHOLD MAXの値とTRENDHOLD MINの値の差をちょうど割り切る必要があります。decimalのデフォルト値は0.2
です。
予測エンジンにおいて、中央値平滑化を実行する際、中央値を決定するために使用するポイント数を指定します。中央値平滑化は、系列内の各データ・ポイントをそれの中央値およびその隣接値に置き換えることによって、データにおける極端な相違を排除します。integerには、1
から13
までの任意のINTEGER
値を指定できます。integerのデフォルト値は3
です。