Oracle Database管理者(DBA)は、Oracle Databaseのパフォーマンスを適切に保つ責任があります。データベースをチューニングして要求されるパフォーマンス・レベルを満たすことは、特に新しくOracle Databaseを使用することになったDBAにとって難しい問題です。このマニュアルは、Oracle Diagnostics Pack、Oracle Tuning Pack、Oracle Enterprise Manager(Enterprise Manager)から提供される機能を使用して日常的なデータベースのパフォーマンス・チューニング・タスクを実行する方法が記載されたクイック・スタート・ガイドです。
この章の内容は次のとおりです。
このマニュアルを使用する前に、次のことを行っておく必要があります。
『Oracle Database 2日でデータベース管理者』全体を読んでおくこと
「データベースをチューニングするツール」に示されている必要な製品およびツールの入手
このマニュアルはタスク指向です。チューニング・タスクの実行が必要な理由および時期について説明することを目的としています。
このマニュアルでは、Oracle Databaseのあらゆる概要について包括的に説明してはいません。このような情報については、『Oracle Database概要』を参照してください。
このマニュアルでは、基本的なOracle Databaseの管理タスクについては説明していません。このような情報については、『Oracle Database 2日でデータベース管理者』を参照してください。管理タスクの完全な説明は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。
このガイドで使用する主なインタフェースはEnterprise Manager Database Controlコンソールです。このマニュアルでは、Oracle Databaseのパフォーマンスに関するすべてのチューニング機能については説明していません。また、このマニュアルで説明しているチューニング・オプションと同等である、使用可能なアプリケーション・プログラミング・インタフェース(API)についても説明していません。このタイプの詳細は、Oracle Databaseパフォーマンス・チューニング・ガイドを参照してください。
Oracle DBAとして、次のタスクに関わることが予想されます。
Oracleソフトウェアのインストール
Oracle Databaseの作成
新しいリリースへのデータベースおよびソフトウェアのアップグレード
データベースの起動および停止
データベースの記憶域構造の管理
ユーザー・アカウントおよびセキュリティの管理
表、索引、ビューなどのスキーマ・オブジェクトの管理
データベースのバックアップおよびリカバリの実行(必要時)
データベースの状況の事前の監視および予防または修正アクションの実行(必要な場合)
データベースのパフォーマンスの監視およびチューニング
このマニュアルでは、前述のリストのうち、最後の2つの作業を行う方法について説明しています。
このマニュアルは、Oracle Databaseのパフォーマンスを迅速で効率的にチューニングおよび最適化することを目的としています。
このマニュアルを使用するには、次の製品、ツール、機能およびユーティリティを入手する必要があります。
Oracle Database 11g Enterprise Edition
Oracle Database 11g Enterprise Editionは企業クラスのパフォーマンスを持ち、クラスタ・サーバー構成および単一サーバー構成で拡張性および信頼性を備えています。このガイドで使用されている多くのパフォーマンス機能が含まれています。
Oracle Enterprise Manager
データベースを管理する主要なツールはWebベースのインタフェースであるEnterprise Managerです。Oracleソフトウェアのインストール、データベースの作成またはアップグレード、およびネットワークの構成を行った後、Enterprise Managerを使用してデータベースを管理できます。さらに、Enterprise Managerではパフォーマンス・アドバイザのインタフェース、およびSQL*Loader、Recovery Managerなどのデータベース・ユーティリティのインタフェースを使用できます。
Oracle Diagnostics Pack
Oracle Diagnostics Packでは、パフォーマンスのボトルネックの自動識別、解決策の指示、包括的なシステム監視などの独自の機能により、Oracle Database環境のパフォーマンス管理について、完全でコスト効率が高く、簡単に使用できる解決策を提供します。このマニュアルでは、Oracle Diagnostics Packの主要機能である自動ワークロード・リポジトリ(AWR)、自動データベース診断モニター(ADDM)およびアクティブ・セッション履歴(ASH)を使用します。
Oracle Database Tuning Pack
Oracle Database Tuning Packでは、データベースのアプリケーション・チューニング・プロセスを自動化できます。これにより、データベースの管理コストが大幅に抑制されるとともに、パフォーマンスと信頼性が向上します。このガイドで使用されるOracle Database Tuning Packの主要な機能は、次のとおりです。
SQLチューニング・アドバイザ
この機能を使用すると、入力として1つ以上のSQL文を発行し、出力として、文のチューニング方法に関するアドバイスや推奨、各推奨の論理および予測されるメリットを受け取ることができます。推奨事項には、オブジェクトに関する統計の収集、新しい索引の作成、SQL文の再構成、またはSQLプロファイルの作成に関するものがあります。
SQLアクセス・アドバイザ
この機能を使用すると、指定したSQLワークロードに対して適切なマテリアライズド・ビュー、マテリアライズド・ビュー・ログ、索引およびパーティションが推奨されるため、SQL問合せのデータ・アクセス・パスを最適化できます。
Oracle Real Applicationテスト
Oracle Real Applicationテストには、次の主要な機能があります。
データベース・リプレイ
この機能を使用すると、本番システムのデータベース・ワークロードを取得し、同じバージョンまたは新しいバージョンのOracle Database上のテスト・システムで、本番システムと同じタイミングおよび同時実行性でそのデータベース・ワークロードを再生できます。
SQLパフォーマンス・アナライザ
この機能を使用すると、低下または向上したSQL文、あるいは変化なしのSQL文を識別することによって、システム変更がSQLパフォーマンスに及ぼす影響を判断できます。
これらの機能の使用方法は、『Oracle Database Real Application Testingユーザーズ・ガイド』を参照してください。
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 注意: Oracle Diagnostics PackやOracle Database Tuning Packなど、前述の製品およびツールには、個別のライセンスが必要なものがあります。詳細は、『Oracle Databaseライセンス情報』を参照してください。 |