SQL*Plus Instant Clientは、SQL*Plusのコマンドラインのすべての機能を備えたスタンドアロン製品です。既存のRemote Oracle Databaseに接続しますが、独自のデータベースはありません。簡単にインストールでき、SQL*Plusコマンドラインの使用に必要なOracle Database Clientの完全なインストールと比較すると、非常に少ないディスク領域を使用します。
SQL*Plus Instant Clientは、OCI Instant Clientがサポートされているプラットフォームで使用できます。OCI Instant Clientの詳細は、『Oracle Call Interfaceプログラマーズ・ガイド』を参照してください。
SQL*Plus Instant Clientをインストールするには、次の2つのパッケージが必要です。
SQL*Plus Instant Clientパッケージ
基本OCI Instant Clientパッケージまたは軽量OCI Instant Clientパッケージ
SQL*Plus Instant Clientは、次の2つの方法でインストールできます。
SQL*PlusおよびOCIのパッケージは、同じOracle Databaseのバージョン(11.1.0.6など)のものである必要があります。
基本OCIパッケージを使用するSQL*Plus Instant Clientは、Oracle DatabaseでサポートされているNLS_LANG設定で動作します。Oracle Databaseで使用可能なすべてのキャラクタ・セットおよび言語設定をサポートしています。
量OCIパッケージを使用するSQL*Plus Instant Clientは、英語でのみエラー・メッセージを表示し、特定のキャラクタ・セットのみをサポートしています。基本OCIパッケージを使用するSQL*Plus Instant Clientより大幅に小さくなります。
軽量Instant ClientでのNLS_LANGのパラメータに有効な値は、次のとおりです。
languageは、Oracle Databaseでサポートされている任意の有効な言語にできます。ただし、エラー・メッセージは英語でのみ報告されます。
charsetは、次のキャラクタ・セットのいずれかにします。
US7ASCII
WE8DEC
WE8MSWIN1252
WE8ISO8859P1
UTF8
AL16UTF16
AL32UTF8
たとえば、次のように入力します。
NLS_LANG=AMERICAN_AMERICA.UTF8
NLS設定の詳細は、『Oracle Databaseグローバリゼーション・サポート・ガイド』および「環境変数NLS_LANG」を参照してください。
Linux用のOTNダウンロードは、RPMパッケージです。UNIXおよびWindows用のOTNダウンロードは、zipファイルです。
SQL*Plus Instant Clientパッケージは、ORACLE_HOMEにはインストールしないでください。
OTNのInstant Clientのページ(http://www.oracle.com/technology/tech/oci/instantclient/instantclient.html
)から、SQL*Plus Instant ClientパッケージおよびOCIパッケージを含むRPMパッケージをダウンロードします。両方のパッケージは、同じバージョン(11.1.0.6など)のものである必要があります。
RPMパッケージを初期インストールするにはrpm -i、新しいバージョンのパッケージにアップグレードするにはrpm -uを使用します。
SQL*Plus Instant Clientを構成します。「SQL*Plus Instant Clientの構成」を参照してください。
OTNのInstant Clientのページ(http://www.oracle.com/technology/tech/oci/instantclient/instantclient.html
)から、SQL*Plus Instant ClientパッケージおよびOCIパッケージを含むzipファイルをダウンロードします。両方のパッケージは、同じバージョン(11.1.0.6など)のものである必要があります。
新規ディレクトリ(UNIXでは/home/instantclient11_2、Windowsではc:\instantclient11_2)を作成します。
2つのパッケージを新規ディレクトリに解凍します。
SQL*Plus Instant Clientを構成します。「SQL*Plus Instant Clientの構成」を参照してください。
表E-1、E-2およびE-3は、SQL*PlusおよびOCIのパッケージそれぞれに含まれる必要なファイルのリストです。OCIパッケージのうちのいずれか1つのパッケージのみのファイルが必要です。インストールされるその他のファイルでこのリストに含まれていないファイルは、無視するか、ディスク領域を節約するために削除できます。
表D-1 SQL*Plusパッケージ内のInstant Clientファイル
LinuxおよびUNIX | Windows | 説明 |
---|---|---|
SQLPLUS |
sqlplus.exe |
SQL*Plus実行可能ファイル |
libsqlplus.so |
該当なし |
SQL*Plusライブラリ |
libsqlplusic.so |
orasqlplusic11.dll |
SQL*Plusデータ共有ライブラリ |
Oracle Database 11g Clientリリース・メディアでインストーラを実行し、管理者オプションを選択します。
新規ディレクトリ(UNIXおよびLinuxでは/home/instantclient11_2、Windowsではc:\instantclient11_2など)を作成します。
SQL*Plus Instant ClientおよびOCI Instant Clientファイルを新規ディレクトリにコピーします。すべてのファイルを同じORACLE_HOMEからコピーする必要があります。
コピーするファイルのリストは、「UNIXまたはLinuxでのSQL*Plus Instant Clientのインストール」または「WindowsでのSQL*Plus Instant Clientのインストール」を参照してください。
SQL*Plus Instant Clientを構成します。「SQL*Plus Instant Clientの構成」を参照してください。
UNIXおよびLinuxで基本OCIパッケージを使用してSQL*Plus Instant Clientをインストールするには、次のファイルをコピーします。
$ORACLE_HOME/instantclient/libociei.so $ORACLE_HOME/lib/libclntsh.so.11.1 $ORACLE_HOME/lib/libnnz11.so $ORACLE_HOME/lib/libsqlplus.so $ORACLE_HOME/lib/libsqlplusic.so $ORACLE_HOME/bin/sqlplus
UNIXおよびLinuxで軽量OCIパッケージを使用してSQL*Plus Instant Clientをインストールするには、次のファイルをコピーします。
$ORACLE_HOME/instantclient/light/libociicus.so $ORACLE_HOME/lib/libclntsh.so.11.1 $ORACLE_HOME/lib/libnnz11.so $ORACLE_HOME/lib/libsqlplus.so $ORACLE_HOME/lib/libsqlplusic.so $ORACLE_HOME/bin/sqlplus
Windowsで基本OCIパッケージを使用してSQL*Plus Instant Clientをインストールするには、次のファイルをコピーします。
ORACLE_HOME\instantclient\oraociei11.dll ORACLE_HOME\bin\oci.dll ORACLE_HOME\bin\orannzsbb11.dll ORACLE_HOME\bin\orasqlplusic11.dll ORACLE_HOME\bin\sqlplus.exe
Windowsで軽量OCIパッケージを使用してSQL*Plus Instant Clientをインストールするには、次のファイルをコピーします。
ORACLE_HOME\instantclient\light\oraociicus11.dll ORACLE_HOME\bin\oci.dll ORACLE_HOME\bin\orannzsbb11.dll ORACLE_HOME\bin\orasqlplusic11.dll ORACLE_HOME\bin\sqlplus.exe
SQL*Plus Instant Client実行可能ファイルは、バージョンが一致するOCI Instant Clientとともにのみ使用する必要があります。
環境変数ORACLE_HOMEまたはORACLE_SIDを設定する必要はありません。
OTNからダウンロードしたRPMは、/usrファイル・システム内のOracle固有のサブディレクトリにインストールされます。サブディレクトリ構造によって、複数のバージョンのInstant Clientを使用できます。
Instant Clientライブラリを含むディレクトリの名前をLD_LIBRARY_PATHに追加します。その他のOracleディレクトリは削除します。
たとえば、BourneシェルまたはKornシェルでSolarisにLD_LIBRARY_PATHを設定するには、次のように指定します。
LD_LIBRARY_PATH=/usr/lib/oracle/11.2.0.1/client/lib:${LD_LIBRARY_PATH} export LD_LIBRARY_PATH
RPMからインストールしたsqlplus実行可能ファイルがPATHの先頭にあることを確認します。テストするには、which sqlplusと入力します。/usr/bin/sqlplusが戻されるはずです。そうでない場合は、他のOracleディレクトリをPATHから削除するか、PATH内の他のSQL*Plus実行可能ファイルの前に/usr/binを入力するか、あるいは絶対パスまたは相対パスを使用してSQL*Plusを起動します。
たとえば、bashシェルでPATHを設定するには、次のように指定します。
PATH=/usr/bin:${PATH} export PATH
複数のバージョンのSQL*Plusをインストールする場合は、シンボリック・リンク/usr/bin/sqlplusを、LD_LIBRARY_PATH内のライブラリと一致するSQL*Plusのバージョンに変更する必要がある場合があります。11.2.0.1の場合、/usr/bin/sqlplusは、/usr/lib/oracle/11.2.0.1/client/bin/sqlplusにあるSQL*Plusバイナリのシンボリック・リンクです。
ロケールに必要なOracleグローバリゼーション変数を設定します。変数を設定しない場合は、デフォルトのロケールが指定されたものとみなされます。詳細は、『Oracle Databaseグローバリゼーション・サポート・ガイド』を参照してください。
たとえば、次のように入力します。
NLS_LANG=AMERICAN_AMERICA.UTF8 export NLS_LANG
Instant Clientファイルを含むディレクトリの名前を、適切な共有ライブラリ・パスLD_LIBRARY_PATH、LIBPATHまたはSHLIB_PATHに追加します。その他のOracleディレクトリは削除します。
たとえば、BourneシェルまたはKornシェルでSolarisに設定するには、次のように指定します。
LD_LIBRARY_PATH=/home/instantclient11_2:${LD_LIBRARY_PATH} export LD_LIBRARY_PATH
Instant Clientファイルを含むディレクトリを環境変数PATHに追加します。設定されていない場合は、絶対パスまたは相対パスを使用してSQL*Plusを起動する必要があります。その他のOracleディレクトリはPATHから削除します。たとえば、次のように入力します。
PATH=/home/instantclient11_2:${PATH} export PATH
ロケールに必要なOracleグローバリゼーション変数を設定します。変数を設定しない場合は、デフォルトのロケールが指定されたものとみなされます。詳細は、『Oracle Databaseグローバリゼーション・サポート・ガイド』を参照してください。
たとえば、次のように入力します。
NLS_LANG=AMERICAN_AMERICA.UTF8 export NLS_LANG
環境は、Windowsコマンド・プロンプトでSETコマンドを使用して構成するか、またはシステム・プロパティの環境変数を設定して永続的にできます。
たとえば、Windows 2000でシステム・プロパティを使用して環境変数を設定するには、「コントロール パネル」から「システム」を開き、「詳細設定」タブをクリックしてから、「環境変数」をクリックします。
Instant Clientファイルを含むディレクトリをシステム環境変数PATHに追加します。その他のOracleディレクトリはPATHから削除します。
たとえば、PATHの先頭にc:\instantclient11_2を追加します。
ロケールに必要なOracleグローバリゼーション変数を設定します。変数を設定しない場合は、デフォルトのロケールが指定されたものとみなされます。詳細は、『Oracle Databaseグローバリゼーション・サポート・ガイド』を参照してください。たとえば、日本語環境用のNLS_LANGを設定するには、JAPANESE_JAPAN.JA16EUCに設定されたユーザー環境変数NLS_LANGを作成します。
軽量Instant Clientをインストールした場合、サポートされているNLS_LANG設定については、「軽量Instant Client」を参照してください。
SQL*Plus Instant Clientは、すべてのデータベース・サーバーから常にリモートの状態になります。データベースに接続するには、Oracle Net接続識別子を使用して、データベースを指定する必要があります。
簡単な接続識別子を使用して、mymachineで実行されているMYDBデータベース内のHRスキーマに接続する例は、次のとおりです。
sqlplus hr/your_password@\"//mymachine.mydomain:port/MYDB\"
また、ネット・サービス名も使用できます。
sqlplus hr/your_password@MYDB
ネット・サービス名は、LDAPなどの様々な場所に格納できます。Oracle Database 11gの新機能を利用するには、LDAPを使用することをお薦めします。詳細は、『Oracle Database Net Servicesリファレンス』を参照してください。
ローカルのOracle Net tnsnames.oraファイル内に構成されたネット・サービス名を使用する場合は、tnsnames.oraファイルを含むディレクトリに環境変数TNS_ADMINを設定します。たとえば、UNIXで、/home/user1内にあるtnsnames.oraファイルによってネット・サービス名MYDB2が定義されている場合は、次のように設定します。
TNS_ADMIN=/home/user1 export TNS_ADMIN sqlplus hr@MYDB2
TNS_ADMINが設定されていない場合は、オペレーティング・システム依存のディレクトリ内でtnsnames.oraが検索されます。この検索パスにはnetwork/admin/tnsnames.oraも含まれ、ORACLE_HOME環境変数で指定されているディレクトリも検索されます。環境変数ORACLE_HOMEは、このためにのみ、SQL*Plus Instant Clientに設定します。Instant Clientアプリケーションの実行時にORACLE_HOMEを設定する場合は、既存のディレクトリに設定する必要があります。
この例は、環境変数ORACLE_HOMEが設定されていて、$ORACLE_HOME/network/admin/tnsnames.oraまたはORACLE_HOME\network\admin\tnsnames.oraファイルによってネット・サービス名MYDB3が定義されていることを前提としています。
sqlplus hr@MYDB3
環境変数TWO_TASK(UNIXの場合)またはLOCAL(Windowsの場合)には接続識別子を設定できます。これによって、SQL*PlusまたはSQL*Plus Instant Clientで接続が行われるたびに接続識別子を明示的に入力する必要がなくなります。このUNIXの例では、MYDB4という名前のデータベースに接続します。
TNS_ADMIN=/home/user1 export TNS_ADMIN TWO_TASK=MYDB4 export TWO_TASK sqlplus hr
Windowsでは、TNS_ADMINおよびLOCALは、システム・プロパティで設定できます。「WindowsでのSQL*Plus Instant Clientの構成」を参照してください。
AS SYSDBAまたはAS SYSOPERで接続してDBA作業を実行するには、データベースのorapwdユーティリティを使用して、データベース・サーバーにOracleパスワード・ファイルを設定する必要があります。これを設定すると、SQL*Plus Instant Client接続文字列は次のようになります。
sqlplus sys@MYDB AS SYSDBA
Oracleパスワード・ファイルについては、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。
SQL*Plus Instant Clientパッケージは、OCI Instant Clientとは別に削除できます。SQL*Plus Instant Clientパッケージをアンインストールした後も、残されたOCI Instant Clientライブラリによって、カスタム作成されたOCIプログラムまたはサード・パーティのデータベース・ユーティリティでデータベースに接続できます。
LinuxでのRPMパッケージからのインストールの場合は、SQL*Plus Instant Clientパッケージに対してのみrpm -eを使用します。
または
UNIXおよびWindowsでのインストールの場合、およびLinuxでのClientリリース・メディアからのインストールの場合は、次のSQL*Plus固有のファイルを手動で削除します。
環境変数を再設定し、必要に応じてtnsnames.oraを削除します。
LinuxでのRPMパッケージからのインストールの場合は、rpm -qaを使用してSQL*Plus Instant Clientおよび基本OCIパッケージの名前を検索し、rpm -eを実行してそれらを削除します。
または
UNIXおよびWindowsでのインストールの場合、およびLinuxでのClientリリース・メディアからのインストールの場合は、SQL*Plus実行可能ファイルおよびOracleライブラリを含むディレクトリを手動で削除します。
ディレクトリにコピーしたファイルのリストは、「11g Clientリリース・メディアからのSQL*Plus Instant Clientのインストール」を参照してください。
PATH、SQLPATH、LD_LIBRARY_PATH、TNS_ADMINなどの環境変数を再設定します。
必要に応じて、tnsnames.oraを削除します。