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Oracle® Streamsレプリケーション管理者ガイド
11g リリース2 (11.2)
B61352-03
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3 Oracle Streamsレプリケーションの柔軟な構成

この章では、柔軟な方法を使用した2つ以上のデータベース間でのOracle Streamsレプリケーションの構成について説明します。この章では、単一ソースまたは複数ソースのレプリケーション環境を構築するために各Oracle Streamsコンポーネントを構成する方法を手順ごとに説明します。

一般的なタイプの単一ソース・レプリケーション環境としては、レプリケートされたデータベース・オブジェクトへの変更がスポーク・データベースで許可されていないハブ・アンド・スポーク・レプリケーション環境があります。一般的なタイプの複数ソース・レプリケーション環境は、次のとおりです。

これらの一般的なタイプのレプリケーション環境の詳細は、『Oracle Database 2日でデータ・レプリケーションおよび統合ガイド』を参照してください。

可能な場合は、第2章「Oracle Streamsレプリケーションの簡単な構成」で説明した、簡単な方法を使用してOracle Streamsレプリケーションを構成することを検討してください。Enterprise ManagerのOracle StreamsツールまたはDBMS_STREAMS_ADMパッケージの1つのプロシージャのみを使用して、2つのデータベースを含むレプリケーション環境内のすべてのOracle Streamsコンポーネントを構成できます。また、次のいずれかの簡単な方法を使用しても、レプリケーション環境のカスタム要件を満たすことができます。

ただし、Oracle Streamsレプリケーションの構成で、簡単な方法より高い柔軟性が必要な場合は、この章の手順を実行して環境を構成します。

この章の内容は次のとおりです。


注意:

  • ここで説明する手順は、DBMS_STREAMS_ADMパッケージを使用してOracle Streams環境を構成する場合を想定しています。他のパッケージを使用する場合は、タスクごとに追加の手順が必要になることがあります。

  • 特定のタイプのデータベース・オブジェクトは、Oracle Streamsではサポートされません。Oracle Streams環境を構成する場合、取得プロセスが、サポートされていないデータベース・オブジェクトに対する変更の取得を試行しないことを確認します。また、同期取得または適用プロセスが、サポートされていない列に対する変更の処理を試行しないことも確認します。サポートされていないデータベース・オブジェクトおよび列を表示するには、DBA_STREAMS_UNSUPPORTEDおよびDBA_STREAMS_COLUMNSデータ・ディクショナリ・ビューを問い合せます。



関連項目:

Oracle Streamsによってサポートされていないデータベース・オブジェクトを判別する手順については、『Oracle Streams概要および管理』を参照してください。

新規の単一ソースOracle Streams環境の作成

この項では、新規の単一ソースOracle Streams環境を作成する場合の一般的な手順について説明します。単一ソース環境とは、レプリケートされたデータのソース・データベースが1つのみの環境です。単一ソース環境に複数のソース・データベースが存在する場合もありますが、2つのソース・データベースが同じデータを取得することはありません。単一ソース環境の例としては、2つのデータベースを使用する一方向レプリケーション環境があります。

新規のOracle Streams環境で取得プロセスを起動して同期取得を作成し、伝播を構成する前に、LCRを受信する伝播または適用プロセスが、これらのLCRを処理するように構成されていることを確認してください。つまり、伝播または適用プロセスが存在し、それぞれがLCRを適切に処理するルール・セットに関連付けられている必要があります。これらの伝播と適用プロセスがこれらのLCRを処理するように適切に構成されていないと、LCRが失われる可能性があります。

この例では、レプリケートされたデータベース・オブジェクトが宛先データベースで読取り専用であることを想定しています。レプリケートされたデータベース・オブジェクトが宛先データベースで読取り/書込み可能である場合、宛先データベースのレプリケート・オブジェクトに対して行われた変更をレプリケートするようにOracle Streamsが構成されないため、レプリケーション環境では同期状態が保たれません。

図3-1に、単一ソースのOracle Streamsレプリケーション環境の例を示します。

図3-1 単一ソースのOracle Streams環境の例

図3-1の説明が続きます。
図3-1「単一ソースのOracle Streams環境の例」の説明

図3-1に示されているものより複雑なOracle Streamsレプリケーション環境を作成することもできます。たとえば、単一ソースのOracle Streamsレプリケーション環境ではダウンストリームの取得および有向ネットワークを使用できます。

通常、レプリケートされたデータベース・オブジェクトに対する変更が1つのデータベースで取得されてから、リモート・データベースに伝播され、そこで適用される新規の単一ソースOracle Streams環境を構成する場合は、環境を次の順序で構成する必要があります。

  1. レプリケーション環境の構成に関する必要な決定を行います。「Oracle Streamsレプリケーションを構成する前に行う決定」を参照してください。

  2. 次に示す必要なタスクを完了し、Oracle Streams用の環境内で各データベースを準備します。「Oracle Streamsレプリケーションを構成する前に実行するタスク」を参照してください。

    これらのタスクの一部は、一部のデータベースでは不要な場合があります。

  3. 必要なANYDATAキューを作成します(存在しない場合)。取得プロセス、同期取得または適用プロセスを作成するときに、そのプロセスを特定のANYDATAキューに関連付けます。伝播を作成するときには、その伝播を特定のソース・キューおよび宛先キューに関連付けます。手順については、「ANYDATAキューの作成」を参照してください。

  4. 任意のレプリケートされたデータベース・オブジェクトについて、各ソース・データベースでサプリメンタル・ロギングを指定します。手順については、「サプリメンタル・ロギングの指定」を参照してください。

  5. 各データベースで、環境に必要な取得プロセス、同期取得、伝播および適用プロセスを作成します。取得プロセス、伝播および適用プロセスは任意の順序で作成できます。同期取得を作成する場合は、関連する伝播および適用プロセスの作成後に作成してください。

    • 取得プロセスによって変更を取得する各データベースで、1つ以上の取得プロセスを作成します。各取得プロセスで、変更の取得に適切なルール・セットが使用されることを確認します。作成した取得プロセスは起動しないでください。各ソース・データベースには1つのみの取得プロセスを使用することをお薦めします。手順については、「取得プロセスの構成」を参照してください。

      DBMS_STREAMS_ADMパッケージのプロシージャを使用して取得プロセスのルールを追加すると、その取得プロセスがソース・データベースへのデータベース・リンクを持つローカル取得プロセスまたはダウンストリーム取得プロセスである場合は、指定した表、指定したスキーマまたはデータベース全体に対して、それぞれDBMS_CAPTURE_ADMパッケージのPREPARE_TABLE_INSTANTIATIONPREPARE_SCHEMA_INSTANTIATIONまたはPREPARE_GLOBAL_INSTANTIATIONプロシージャが自動的に実行されます。

      次のいずれかの条件に該当する場合は、適切なプロシージャを実行してインスタンス化の準備を手動で行う必要があります。

      • DBMS_RULE_ADMパッケージを使用してルールを追加または変更する場合。

      • 既存の取得プロセスを使用し、レプリケート・オブジェクトの取得プロセスのルールは追加しない場合。

      • ソース・データベースへのデータベース・リンクを持たないダウンストリーム取得プロセスを使用する場合。

      インスタンス化の準備を手動で行う必要がある場合の手順については、「ソース・データベースでインスタンス化を行うためのデータベース・オブジェクトの準備」を参照してください。

    • 取得LCRをソース・キューから宛先キューに送信する伝播をすべて作成します。各伝播で変更の送信に適切なルール・セットが使用されることを確認します。手順については、「ANYDATAキュー間のOracle Streamsの伝播の作成」を参照してください。

    • 変更を適用する各データベースで、1つ以上の適用プロセスを作成します。各適用プロセスで、変更の適用に適切なルール・セットが使用されることを確認します。作成した適用プロセスは起動しないでください。手順については、第7章「暗黙的適用の構成」を参照してください。

    • 同期取得によって変更を取得する各データベースで、1つ以上の同期取得を作成します。各同期取得で、変更の取得に適切なルール・セットが使用されることを確認します。同期取得は、そのLCRを処理するすべての伝播および適用プロセスを作成するまで作成しないでください。手順については、「同期取得の構成」を参照してください。

      DBMS_STREAMS_ADMパッケージのプロシージャを使用して同期取得のルールを追加すると、指定した表に対してDBMS_CAPTURE_ADMパッケージのPREPARE_SYNC_INSTANTIATIONファンクションが自動的に実行されます。

  6. 適用プロセスによって変更が適用される各データベース・オブジェクトをインスタンス化するか、そのインスタンス化SCNを設定します。宛先データベースにデータベース・オブジェクトが存在しない場合は、エクスポート/インポート、トランスポータブル表領域またはRMANを使用してインスタンス化します。宛先データベースにデータベース・オブジェクトが存在する場合は、そのインスタンス化SCNを手動で設定します。

    • エクスポート/インポートを使用してデータベース・オブジェクトをインスタンス化するには、まずソース・データベースでそれらのデータベース・オブジェクトをエクスポートします。次に、宛先データベースでそれらのオブジェクトをインポートします。第8章「インスタンス化とOracle Streamsレプリケーション」を参照してください。

      ソース・データベースでのエクスポート中、エクスポートされるデータベース・オブジェクトに対する変更は許可しないでください。宛先データベースでのインポート中、インポートされるデータベース・オブジェクトに対する変更は許可しないでください。

      FLASHBACK_SCNFLASHBACK_TIMEなどのエクスポート・パラメータを使用して、より厳密な一貫性レベルを指定できます。

    • 表、スキーマまたはデータベースのインスタンス化SCNを手動で設定するには、宛先データベースでDBMS_APPLY_ADMパッケージの適切なプロシージャを1つ以上実行します。

      • SET_TABLE_INSTANTIATION_SCN

      • SET_SCHEMA_INSTANTIATION_SCN

      • SET_GLOBAL_INSTANTIATION_SCN

      これらのプロシージャのいずれかを実行する場合は、宛先データベースのレプリケート・オブジェクトに、インスタンス化SCNの時点でソース・データベースとの一貫性があることを確認する必要があります。

      宛先データベースでSET_GLOBAL_INSTANTIATION_SCNを実行する場合、宛先データベースの各スキーマおよびそれらのスキーマが所有する表にもインスタンス化SCNが設定されるように、このプロシージャのrecursiveパラメータをTRUEに設定します。

      宛先データベースでSET_SCHEMA_INSTANTIATION_SCNを実行する場合、スキーマ内の各表にもインスタンス化SCNが設定されるように、このプロシージャのrecursiveパラメータをTRUEに設定します。

      SET_GLOBAL_INSTANTIATION_SCNプロシージャまたはSET_SCHEMA_INSTANTIATION_SCNプロシージャでrecursiveパラメータをTRUEに設定する場合は、宛先データベースからソース・データベースへのデータベース・リンクが必要です。このデータベース・リンクはソース・データベースのグローバル名と同じ名前であり、プロシージャを実行するユーザーからアクセス可能である必要があります。手順については、「DBMS_APPLY_ADMパッケージを使用したインスタンス化SCNの設定」を参照してください。

      または、メタデータのエクスポート/インポートを実行して、既存のデータベース・オブジェクトについてインスタンス化SCNを設定できます。このオプションを選択した場合は、行がインポートされないことを確認してください。また、すべての宛先データベースのレプリケートされたデータベース・オブジェクトに、エクスポートを実行したソース・データベースとのエクスポート時点での一貫性があることを確認してください。DML変更のみを共有する場合は、表レベルのエクスポート/インポートで十分です。DDL変更も共有する場合は、追加の考慮事項があります。メタデータのエクスポート/インポートを実行する方法の詳細は、「エクスポート/インポートを使用したインスタンス化SCNの設定」を参照してください。

  7. DBMS_APPLY_ADMパッケージのSTART_APPLYプロシージャを使用して、手順5で作成した各適用プロセスを起動します。

  8. DBMS_CAPTURE_ADMパッケージのSTART_CAPTUREプロシージャを使用して、手順5で作成した各取得プロセスを起動します。

環境を構成するときには、取得プロセスおよび適用プロセスの作成時にこれらのプロセスが停止していることに注意してください。ただし、同期取得は作成すると即時に変更の取得を開始し、伝播は作成すると即時にLCRを送信するようにスケジュールされます。取得プロセスまたは同期取得は、リモートの宛先データベースで関連オブジェクトをインスタンス化する前に作成する必要があります。取得プロセスの起動または同期取得の作成の前に伝播と適用プロセスを作成し、ストリーム全体を実行する前にオブジェクトをインスタンス化してください。


関連項目:

  • 単一ソース環境を設定する場合の詳細な例は、『Oracle Streams拡張例』を参照してください。


新規の複数ソースOracle Streams環境の作成

この項では、新規の複数ソースOracle Streams環境を作成する場合の一般的な手順について説明します。複数ソース環境とは、レプリケートされたデータに複数のソース・データベースが存在する環境です。複数ソース環境の例としては、n-wayレプリケーション環境があります。

この例では、次の用語を使用しています。

  • 実装済データベース: 新規の複数ソース環境を作成する前に、レプリケートされたデータベース・オブジェクトがすでに含まれているデータベース。新規のOracle Streams環境を作成するには、1つ以上の実装済データベースが必要です。

  • エクスポート・データベース: レプリケートされたデータベース・オブジェクトのエクスポートを実行する実装済データベース。このエクスポートを使用して、レプリケートされたデータベース・オブジェクトがインポート・データベースでインスタンス化されます。すべてのデータベースが実装済データベースである環境では、エクスポート・データベースが存在しないことがあります。

  • インポート・データベース: 新規の複数ソース環境を作成する前には、レプリケートされたデータベース・オブジェクトが含まれていないデータベース。レプリケートされたデータベース・オブジェクトのインポートを実行して、そのデータベース・オブジェクトをインポート・データベースでインスタンス化します。すべてのデータベースが実装済データベースである環境では、インポート・データベースが存在しないことがあります。

図3-2に、複数ソースのOracle Streams環境の例を示します。

図3-2 複数ソースのOracle Streams環境の例

図3-2の説明が続きます。
図3-2「複数ソースのOracle Streams環境の例」の説明

図3-2に示されているものより複雑なOracle Streamsレプリケーション環境を作成することもできます。たとえば、複数ソースOracle Streamsレプリケーション環境ではダウンストリームの取得および有向ネットワークを使用できます。

Oracle Streamsレプリケーション環境に複数のソース・データベースが存在する場合、変更の循環が発生する可能性があります。変更の循環は、変更が発生場所であるデータベースに再送されると発生します。通常は、変更の循環を回避する必要があります。レプリケーション環境を構成する前に、第10章「Oracle Streamsタグ」を参照して、変更の循環が回避されるようにレプリケーション環境を構成してください。

次の手順に従って複数ソース環境を作成します。


注意:

Oracle Streams環境に追加するデータベースでは、そのデータベースでのインスタンス化が完了するまでは、共有されるオブジェクトに対して変更が行われないことを確認してください。

  1. レプリケーション環境の構成に関する必要な決定を行います。「Oracle Streamsレプリケーションを構成する前に行う決定」を参照してください。

  2. 次に示す必要なタスクを完了し、Oracle Streams用の環境内で各データベースを準備します。「Oracle Streamsレプリケーションを構成する前に実行するタスク」を参照してください。

    これらのタスクの一部は、一部のデータベースでは不要な場合があります。

  3. 各実装済データベースで、レプリケートされたデータベース・オブジェクトに必要なサプリメンタル・ロギングを指定します。手順については、「サプリメンタル・ロギングの指定」を参照してください。

  4. 必要なANYDATAキューを作成します(存在しない場合)。取得プロセス、同期取得または適用プロセスを作成するときに、そのプロセスを特定のANYDATAキューに関連付けます。伝播を作成するときには、その伝播を特定のソース・キューおよび宛先キューに関連付けます。手順については、「ANYDATAキューの作成」を参照してください。

  5. 各データベースで、環境に必要な取得プロセス、同期取得、伝播および適用プロセスを作成します。取得プロセス、伝播および適用プロセスは任意の順序で作成できます。同期取得を作成する場合は、関連する伝播および適用プロセスの作成後に作成してください。

    • 取得プロセスによって変更を取得する各データベースで、1つ以上の取得プロセスを作成します。各取得プロセスで、変更の取得に適切なルール・セットが使用されることを確認します。作成した取得プロセスは起動しないでください。各ソース・データベースには1つのみの取得プロセスを使用することをお薦めします。手順については、「取得プロセスの構成」を参照してください。

      DBMS_STREAMS_ADMパッケージのプロシージャを使用して取得プロセスのルールを追加すると、その取得プロセスがソース・データベースへのデータベース・リンクを持つローカル取得プロセスまたはダウンストリーム取得プロセスである場合は、指定した表、指定したスキーマまたはデータベース全体に対して、それぞれDBMS_CAPTURE_ADMパッケージのPREPARE_TABLE_INSTANTIATIONPREPARE_SCHEMA_INSTANTIATIONまたはPREPARE_GLOBAL_INSTANTIATIONプロシージャが自動的に実行されます。

      次のいずれかの条件に該当する場合は、適切なプロシージャを実行してインスタンス化の準備を手動で行う必要があります。

      • DBMS_RULE_ADMパッケージを使用してルールを追加または変更する場合。

      • 既存の取得プロセスを使用し、レプリケートされたデータベース・オブジェクトの取得プロセスのルールは追加しない場合。

      • ソース・データベースへのデータベース・リンクを持たないダウンストリーム取得プロセスを使用する場合。

      インスタンス化の準備を手動で行う必要がある場合の手順については、「ソース・データベースでインスタンス化を行うためのデータベース・オブジェクトの準備」を参照してください。

    • 取得LCRをソース・キューから宛先キューに伝播する伝播をすべて作成します。各伝播で変更の伝播に適切なルール・セットが使用されることを確認します。手順については、「ANYDATAキュー間のOracle Streamsの伝播の作成」を参照してください。

    • 変更を適用する各データベースで、1つ以上の適用プロセスを作成します。各適用プロセスで、変更の適用に適切なルール・セットが使用されることを確認します。作成した適用プロセスは起動しないでください。手順については、第7章「暗黙的適用の構成」を参照してください。

    • 同期取得によって変更を取得する各データベースで、1つ以上の同期取得を作成します。各同期取得で、変更の取得に適切なルール・セットが使用されることを確認します。同期取得は、そのLCRを処理するすべての伝播および適用プロセスを作成するまで作成しないでください。手順については、「同期取得の構成」を参照してください。

      DBMS_STREAMS_ADMパッケージのプロシージャを使用して同期取得のルールを追加すると、指定した表に対してDBMS_CAPTURE_ADMパッケージのPREPARE_SYNC_INSTANTIATIONファンクションが自動的に実行されます。

前述の手順を完了してから、環境に応じて次の各項の手順を完了します。各項の一方の手順のみを完了すればよい場合と、両方の手順を完了する必要がある場合があります。

複数ソース環境の作成時の実装済データベースの構成

環境に複数の実装済データベースが存在する場合は、「新規の複数ソースOracle Streams環境の作成」の手順を実行してから、実装済データベースについて次の手順を実行します。

  1. 実装済データベースごとに、実装済ソース・データベースの宛先データベースとなる環境内の他の各実装済データベースで、インスタンス化SCNを設定します。これらのインスタンス化SCNの設定は必須であり、特定の実装済データベースで行われた、そのデータベースの対応するSCNより後にコミットされる変更のみが、もう一方の実装済データベースに適用されます。

    実装済データベースごとに、これらのインスタンス化SCNを次のいずれかの方法で設定できます。

    • レプリケートされたデータベース・オブジェクトのメタデータのみのエクスポートを実装済データベースで実行し、そのメタデータを他のそれぞれの実装済データベースでインポートします。このインポートによって、実装済データベースに必須のインスタンス化SCNが、他の実装済データベースで設定されます。行がインポートされないことを確認してください。また、メタデータのインポートを実行する各実装済データベースのレプリケートされたデータベース・オブジェクトに、メタデータのエクスポートを実行した実装済データベースとのエクスポート時点での一貫性があることを確認してください。

      DML変更のみをレプリケートする場合は、表レベルのエクスポート/インポートで十分です。DDL変更もレプリケートする場合は、追加の考慮事項があります。メタデータのエクスポート/インポートを実行する方法の詳細は、「エクスポート/インポートを使用したインスタンス化SCNの設定」を参照してください。

    • 他の各実装済データベースで、インスタンス化SCNを手動で設定します。この操作はレプリケートされたデータベース・オブジェクトごとに行います。各実装済データベースのレプリケートされたデータベース・オブジェクトに、そのデータベースで設定したインスタンス化SCNとの一貫性があることを確認してください。手順については、「DBMS_APPLY_ADMパッケージを使用したインスタンス化SCNの設定」を参照してください。

新規環境作成時のインポート・データベースへのレプリケート・オブジェクトの追加

「新規の複数ソースOracle Streams環境の作成」の手順を完了した後に、インポート・データベースについて次の手順を実行します。

  1. エクスポート・データベースとして使用する実装済データベースを選択します。まだインスタンス化は実行しないでください。

  2. インポート・データベースごとに、インポート・データベースの宛先データベースとなる環境内の他のすべてのデータベースで、インスタンス化SCNを設定します。この場合、インポート・データベースがこれらの宛先データベースのソース・データベースになります。インスタンス化SCNを設定するデータベースには、実装済データベースと他のインポート・データベースが含まれることがあります。

    1. インスタンス化中、またはその後のレプリケートされたDDLの変更によって、インポート・データベースで1つ以上のスキーマが作成される場合は、環境内の他のすべてのデータベースで、このインポート・データベースについてDBMS_APPLY_ADMパッケージのSET_GLOBAL_INSTANTIATION_SCNプロシージャを実行します。

    2. インポート・データベースにスキーマが存在し、インスタンス化中、またはその後のレプリケートDDLの変更によって、そのスキーマに1つ以上の表が作成される場合は、環境内の他のすべてのデータベースで、このインポート・データベースのスキーマについてDBMS_APPLY_ADMパッケージのSET_SCHEMA_INSTANTIATION_SCNプロシージャを実行します。この操作は、この種のスキーマごとに行います。

    手順については、「DBMS_APPLY_ADMパッケージを使用したインスタンス化SCNの設定」を参照してください。

    これらのプロシージャは、インポート・データベースで表がインスタンス化される前に実行し、これらのインポート・データベースについてはローカルの取得プロセスまたは同期取得がすでに構成されているため、インスタンス化中に作成される表ごとにSET_TABLE_INSTANTIATION_SCNプロシージャを実行する必要はありません。インポート・データベースの宛先データベースとなる環境内の他のすべてのデータベースで、その表ごとにインスタンス化SCNが自動的に設定されます。

  3. 手順1で選択したエクスポート・データベースで、レプリケートされたデータベース・オブジェクトのエクスポートを実行します。次に、各インポート・データベースでレプリケート・オブジェクトのインポートを実行します。エクスポート/インポートの使用方法の詳細は、第8章「インスタンス化とOracle Streamsレプリケーション」および『Oracle Databaseユーティリティ』を参照してください。

    ソース・データベースでのデータベース・オブジェクトのエクスポート中、それらのデータベース・オブジェクトに対する変更は許可しないでください。宛先データベースでのデータベース・オブジェクトのインポート中、それらのデータベース・オブジェクトに対する変更は許可しないでください。

    FLASHBACK_SCNFLASHBACK_TIMEなどのエクスポート・パラメータを使用して、より厳密な一貫性レベルを指定できます。

  4. エクスポート・データベース以外の実装済データベースごとに、実装済ソース・データベースの宛先データベースとなる各インポート・データベースにインスタンス化SCNを設定します。これらのインスタンス化SCNの設定は必須であり、実装済データベースで行われた、そのデータベースの対応するSCNより後にコミットされる変更のみがインポート・データベースに適用されます。

    これらのインスタンス化SCNを設定するには、次の方法があります。

    • 各実装済データベースでメタデータのみのエクスポートを実行し、そのメタデータを各インポート・データベースでインポートします。各インポートによって、実装済データベースに必須のインスタンス化SCNが、インポート・データベースで設定されます。この場合は、インポート・データベースのレプリケートされたデータベース・オブジェクトに、エクスポート時点で実装済データベースとの一貫性があることを確認してください。

      DML変更のみを共有する場合は、表レベルのエクスポート/インポートで十分です。DDL変更も共有する場合は、追加の考慮事項があります。メタデータのエクスポート/インポートを実行する方法の詳細は、「エクスポート/インポートを使用したインスタンス化SCNの設定」を参照してください。

    • 実装済データベースごとに、レプリケートされた各オブジェクトのインスタンス化SCNを各インポート・データベースで手動で設定します。各インポート・データベースのレプリケートされたデータベース・オブジェクトに、対応するインスタンス化SCNの時点で実装済データベースとの一貫性があることを確認してください。手順については、「DBMS_APPLY_ADMパッケージを使用したインスタンス化SCNの設定」を参照してください。

複数ソース環境の構成完了

この項の手順を完了する前に、次のタスクを完了している必要があります。

前述の構成手順をすべて完了してから、次の手順を行います。

  1. 競合が発生する可能性がある場合は、各データベースで競合解消を構成します。手順については、第9章「Oracle Streamsの競合解消」を参照してください。

  2. DBMS_APPLY_ADMパッケージのSTART_APPLYプロシージャを使用して、環境内の各適用プロセスを起動します。

  3. DBMS_CAPTURE_ADMパッケージのSTART_CAPTUREプロシージャを使用して、環境内の各取得プロセスを起動します。


関連項目:

複数ソース環境を作成する場合の詳細な例は、『Oracle Streams拡張例』を参照してください。