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Oracle Fusion Middlewareセキュリティ・ガイド
11gリリース1(11.1.1)
B56235-01
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G セキュリティ・データのアップグレード

この付録では、リリース10.1.3.xで使用されているJAZNセキュリティ・データを、オフラインのWLSTコマンドupgradeSecurityStoreを使用して、11gリリース1(11.1.1)のOPSSで使用されるセキュリティ・データにアップグレードする手順について説明します。このコマンドを使用することにより、アイデンティティ、ポリシーまたは資格証明データを個別にアップグレードできます。

G.1 セキュリティ・データのアップグレード

OPSSによりJAZN(アイデンティティとポリシーを格納するために10.1.3.x. JAZNに存在)が置き換えられ、この項で説明するように、JAZN内の古いデータをOPSSにアップグレードできます。

アップグレードの対象がLDAPベースのリポジトリの場合には、コマンドを使用する前にいくつかの設定が必要になります。第8.1.2項「LDAPベースのポリシー・ストアを使用する場合の前提条件」を参照してください。

次に示すコマンドは、オフラインであり(つまり、実行中のサーバーに接続しなくても動作します)、インタラクティブ・モードまたはスクリプト・モードで実行できます。インタラクティブ・モードの場合は、コマンドライン・プロンプトにコマンドを入力すると、応答が即座に表示されます。スクリプト・モードの場合、コマンドはテキスト・ファイル(ファイル名拡張子は.py)に記述するので、シェル・スクリプトのディレクティブのように入力なしで実行できます。


重要:

シェル内でセキュリティ関連のWLSTコマンドを起動する前に、次のサンプルで説明するように、wlst.shスクリプトを実行する必要があります。
> sh $ORACLE_HOME/common/bin/wlst.sh

これにより、必要なJARがクラスパスに確実に追加されるようになります。新しいシェル内で上のスクリプトを実行しないと、WLSTコマンドが使用できない状態になります。



注意:

アップグレード中のセキュリティの脆弱性を防ぐために、Oracle Containers for Java EEとOracle HTTP Server間でSSL伝送を有効にします。

スクリプト・モードおよびインタラクティブ・モードの構文

コマンド構文は、アップグレードされるストアのタイプによって異なります。オプションの引数は角カッコで囲まれています。スクリプト・モードの構文では、わかりやすいように引数が別々の行に記述されています。

10.1.3.x XMLのアイデンティティ・データを11gリリース1(11.1.1)XMLのアイデンティティ・データにアップグレードするには、次のいずれかの構文を使用します。

updateSecurityStore -type xmlIdStore
                    -jpsConfigFile jpsConfigFileLocation
                    -srcJaznDataFile srcJazn
                    -srcRealm jaznRealm
                    [-dst dstJpsContext]

updateSecurityStore(type="xmlIdStore", jpsConfigFile="jpsConfigFileLocation", srcJaznDataFile="srcJazn", srcRealm="jaznRealm", [dst="dstJpsContext"])

10.1.3.x XMLのポリシー・データを11gリリース1(11.1.1)XMLのポリシー・データにアップグレードするには、次のいずれかの構文を使用します。

updateSecurityStore -type xmlPolicyStore
                    -jpsConfigFile jpsConfigFileLocation
                    -srcJaznDataFile srcJazn
                    [-dst dstJpsContext]

updateSecurityStore(type="xmlPolicyStore", jpsConfigFile="jpsConfigFileLocation", srcJaznDataFile="srcJazn", [dst="dstJpsContext"])

10.1.3.x Oracle Internet DirectoryのLDAPベースのポリシー・データを11gリリース1(11.1.1)XMLのポリシー・データにアップグレードするには、次のいずれかの構文を使用します。

updateSecurityStore -type oidPolicyStore
                    -jpsConfigFile jpsConfigFileLocation
                    -srcJaznConfigFile srcJazn
                    [-dst dstJpsContext]

updateSecurityStore(type="oidPolicyStore", jpsConfigFile="jpsConfigFileLocation", srcJaznConfigFile="srcJazn", [dst="dstJpsContext"])

引数(dst以外はすべて必須)の意味は、次のとおりです。

G.1.1 使用例

次の例では、わかりやすいように引数が別々の行に記述されています。

例1 - アイデンティティのアップグレード

次のコマンドを起動すると、10.1.3のファイルベースのアイデンティティが11gリリース1(11.1.1)のファイルベースのアイデンティティ・ストアに移行します。

upgradeSecurityStore -type xmlIdStore
                     -jpsConfigFile jps-config-idstore.xml
                     -srcJaznDataFile jazn-data.xml
                     -srcRealm jazn.com

このコマンドの使用では、(a)ファイルjps-config-idstore.xmlおよびjazn-data.xmlが、コマンドが実行されているディレクトリに格納されていること、(b)ファイルjps-config-idstore.xml内のデフォルトのjpsContextがターゲットのアイデンティティ・ストアを参照していること、および(c)ファイルjazn-data.xmlにjazn.comという名前のレルムが含まれていることを前提としています。

上のサンプルで使用されている2つのファイルから関連する部分を抜粋したものを次に示します。

<!-- excerpt from file jps-config-idstore.xml -->
<serviceProviders>
   <serviceProvider name="R11idstore" class="oracle.security.jps.internal.idstore.xml.XmlIdentityStoreProvider" type="IDENTITY_STORE">
     <description>11g XML-based IdStore</description>
   </serviceProvider>
</serviceProviders>
...
<serviceInstances>
  <serviceInstance name="idstore.xml1" provider="R11idstore" location="./jazn-data-11.xml">
    <property name="subscriber.name" value="jazn.com"/>
    <property name="jps.xml.idstore.pwd.encoding" value="OBFUSCATE"/>
  </serviceInstance>
</serviceInstances>
...
<jpsContexts default="default">
   <jpsContext name="default">
      <serviceInstanceRef ref="idstore.xml1" />
   </jpsContext>
</jpsContexts>
<!-- excerpt from jazn-data.xml -->
<jazn-realm>
          <realm>
                <name>jazn.com</name>
                    <users> ... </users>
    <roles> ... </roles>
  </realm>
</jazn-realm>

このサンプルを起動すると、要素<users>内のすべてのユーザーがXMLアイデンティティ・ストアR11idStoreに移行します。

例2 - ファイルベース・ポリシーへのアップグレード

次のコマンドを起動すると、10.1.3のファイルベースのポリシー・ストアが11gリリース1(11.1.1)のポリシー・ストアに移行します。

upgradeSecurityStore -type xmlPolicyStore
                     -jpsConfigFile jps-config.xml
                     -srcJaznDataFile jazn-data.xml
                     -dst destContext

このコマンドの使用では、(a)ファイルjps-config.xmlおよびjazn-data.xmlが、コマンドが実行されているディレクトリに格納されていること、および(b)ファイルjps-config.xmldestContextという名前のjpsContextが含まれていることを前提としています。

上のサンプルで使用されている2つのファイルから関連する部分を抜粋したものを次に示します。

<!-- excerpt from file jps-config.xml -->
<serviceProviders>
  <serviceProvider type="POLICY_STORE" name="policystore.xml.provider" class="oracle.security.jps.internal.policystore.xml.XmlPolicyStoreProvider">
  <description>R11 XML-based PolicyStore Provider</description>
        </serviceProvider>
</serviceProviders>
...
<serviceInstances>
  <serviceInstance name="policystore1.xml" provider="policystore.xml.provider">
  <property name="R11PolStore" value="jazn-data1.xml"/>
</serviceInstance>
...
<jpsContexts default="default1">
   <jpsContext name="default1"> ... </jpsContext>
   <jpsContext name="destContext">
       ...
       <serviceInstanceRef ref="policystore1.xml"/>
   </jpsContext>
</jpsContexts>
<!-- excerpt from jazn-data.xml -->
<jazn-realm>
          <realm>
                ...
    <roles> ... </roles>
  </realm>
</jazn-realm>
...
<jazn-policy> ... </jazn-policy>

このサンプルを起動すると、要素<roles>内のすべてのロールと要素<jazn-policy>内のすべてのポリシーがXMLポリシー・ストアR11PolStoreに移行します。

例3 - Oracle Internet Directory LDAPベースのポリシーへのアップグレード

次のコマンドを起動すると、10.1.4 Oracle Internet DirectoryのLDAPベースのポリシー・ストアが11gリリース1(11.1.1)Oracle Internet DirectoryのLDAPベースのポリシー・ストアに移行します。

upgradeSecurityStore -type oidPolicyStore
                     -jpsConfigFile jps-config.xml
                     -srcJaznConfigFile jazn.xml
                     -dst destContext

この例に含まれる2つのXMLファイルの場所についての前提は、例2の場合とほぼ同じです。この他に、(a)ターゲットのOracle Internet Directory LDAPベースのポリシー・ストアを指すjpsContext destContextがファイルjps-config.xmlに含まれていること、および(b)移行するポリシーのOracle Internet Directory LDAPサーバーの場所がファイルjazn.xmlに記述されていることを前提としています。

ファイルjazn.xmlから関連する部分を抜粋したものを次に示します。

<jazn provider="LDAP" location="ldap://myCompany.com:3843">
   <property name="ldap.user" value="cn=orcladmin"/>
   <property name="ldap.password" value="!welcome1"/>
   <property name="ldap.protocol" value="no-ssl"/>
   <property name="ldap.cache.policy.enable" value="false"/>
   <property name="ldap.initctx" value="com.sun.jndi.ldap.LdapCtxFactory"/>
</jazn>