この付録では、WebLogic Server Basicについて説明し、WebLogic Server Basicライセンスで使用可能なWebLogic Server機能について説明します。内容は次のとおりです。
WebLogic Server Basicは、ライセンス制約付きのWebLogic Serverバージョンで、次のOracle製品のライセンスで使用可能です。
Oracle Internet Application Server Standard Edition
Oracle Internet Application Server Standard Edition One
Oracle Internet Application Server Enterprise Edition
Oracle Forms and Reports
Oracle Business Intelligence Standard Edition
Oracle Internet Application Serverの各エディション、およびOracle Forms and Reportsのライセンスでは、WebLogic Server Basicライセンスを完全に使用する権限が付与されます。
注意: Oracle Internet Application ServerおよびOracle Forms and Reports Server製品のすべてのエディションには、WebLogic Server Basicに対する権限が含まれています。WebLogic Server Basicの用途は、Forms、Reports、Discoverer、Portalなどの製品内で提供されるコンポーネントの実行のみです。また、Oracle Containers for J2EEなどに開発されるカスタムJavaアプリケーションにも使用することができます。Oracle Internet Application ServerおよびOracle Forms and Reports以外の製品が、Oracle Internet Application ServerまたはOracle Forms and Reportsのいずれかのエディションに対するライセンスに依存している場合、ライセンス・ドキュメントに特に記載されていないかぎり、それらの製品をWebLogic Server Basicで実行する権限はありません。 |
WebLogic Server Basicライセンスには、WebLogic Server機能について次の表A-1に示す制限付き使用権限が含まれます。
WebLogicコア・アプリケーション・サーバー
Java EE 5/EJB 3.0
WebLogic Server 管理ツール(Administration ConsoleおよびWebLogic Scripting Toolを含む)
WebLogic JDBC Drivers、WebLogic Server Clients、およびWebLogicとApache Webサーバーのプラグイン
基本的なJMSメッセージング、デプロイメントおよび高可用性機能
重要なオブジェクトのデータ・ストアへのストリームライン化された格納(すべてのJavaアプリケーションおよびEJB 3.0のコア・コンポーネントで使用可能)
表A-1に、WebLogic Server Basicライセンスの条件下では使用制限があるWebLogic Server機能の要約を示します。
表A-1 WebLogic Server Basicライセンスによる機能の制約
機能のカテゴリ | WebLogic Server Basicライセンスによる制限の要約 |
---|---|
プライマリ・サービス |
WebLogic Serverはプロダクション環境の構築を支援するサービスを提供していますが、その中には、WebLogic Server Basicライセンスでは使用不可または制限があるサービスがいくつかあります。それらのサービスは次のカテゴリに分類されます。
これらのサービスおよび使用上の制限については、A.3項「WebLogic Serverでのプライマリ・サービスの制限」を参照してください。 |
WebLogic Webサービス |
WebLogic Server Basicライセンスでは、次のWebLogic Webサービス機能の使用は許可されていません。
WebLogic Webサービスの機能および使用上の制限については、A.4項「WebLogic Webサービス機能の制限」を参照してください。 |
ツール |
WebLogic Server Basicライセンスでは、次のツール機能の使用は許可されていません。
これらのツール機能および使用上の制限については、A.5項「ツール機能の制限」を参照してください。 |
API |
WebLogic Server Basicライセンスでは、次のAPIの使用は許可されていません。
これらのAPIおよび使用上の制限については、A.6項「APIの制限」を参照してください。 |
WebLogic Server Basicをインストールするには、プラットフォームに対して適切なWebLogic Server 10.3.1パッケージまたはネット・インストーラを使用します(『Oracle WebLogic Server Installation Guide』を参照)。各インストーラには、JEE 5のコア・アプリケーション・サーバー、Administration Console、Configuration WizardおよびUpgrade Framework、WebLogicおよびサード・パーティのJDBCドライバ、JMS、WebLogic Serverクライアント、Webサーバーのプラグイン、UDDIとXqueryのサポート、WebLogic Serverサンプル、Oracle Enterprise Pack for Eclipse、およびSun JDKまたはOracle JRockit JDK(一部プラットフォームのみ)が含まれています。
HTTP Publish-Subscribeサーバーは、WebLogic Server Basicのライセンスから除外されています。このコンポーネントがインストールされていないことを確認するには、インストール・プログラムの実行時に次の手順を実行します。
完全インストールかカスタム・インストールかを指定する「インストール・タイプの選択」ウィンドウで、「カスタム」を選択します。
「製品およびコンポーネントの選択」ウィンドウで、「Web 2.0 HTTP Pub-Sub Server」の選択を解除します。
選択的にインストールできるWebLogic Serverの各コンポーネントについては、『Oracle Fusion Middleware Getting Started With Installation for Oracle WebLogic Server』を参照してください。
次の各項では、WebLogic Server Basicで使用不可または使用制限があるWebLogic Serverのプライマリ・サービスについて説明します。
表A-2では、WebLogic Server Basicで使用不可または制限がある高可用性サービスについて説明します。
表A-2 WebLogic Server Basicライセンスで制限があるプライマリ・サービス
表A-3では、WebLogic Server Basicで使用不可または制限があるデプロイメント・サービスと機能について説明します。
表A-3 WebLogic Server Basicライセンスで制限があるWebLogicデプロイメント機能
表A-4では、WebLogic Server Basicで使用不可または制限があるJMSメッセージング・サービスと機能について説明します。
表A-4 WebLogic Server Basicライセンスで制限があるJMSメッセージング・サービス機能
表A-5では、WebLogic Server Basicで使用不可または制限があるその他のサービスとコンポーネントについて説明します。
表A-5 WebLogic Server Basicライセンスで制限があるその他のサービス
表A-6では、WebLogic Server Basicライセンスの条件下では使用不可のWebLogic Webサービス機能について説明します。
表A-6 WebLogic Server Basicライセンスで制限があるWebLogic Webサービス機能
表A-7では、WebLogic Server Basicライセンスの条件下では使用できないWebLogic Serverのツール機能について説明します。
表A-7 WebLogic Server Basicで制限があるWebLogic Serverのツール機能
表A-8では、WebLogic Server Basicライセンスの条件下では使用が制限されるWebLogic ServerのAPIについて説明します。
表A-8 WebLogic Server Basicで制限があるWebLogic ServerのAPI
API | 説明 |
---|---|
アプリケーションが開始した作業に対するCommonJワーク・マネージャの使用 |
WebLogic Serverでは、プログラムを使用してアプリケーション内から作業を処理する方法も提供されています。この方法は、CommonJ APIを介して提供されます。WebLogic Serverでは、CommonJ仕様の WebLogic Server Basicのライセンスでは、アプリケーションが開始した作業に対するCommonJワーク・マネージャの使用は許可されていません。 この機能の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Configuring Server Environments for Oracle WebLogic Server』のWebLogic ServerでのCommonJの使用に関する項を参照してください。 |
Microsoft .NETおよびC用WebLogic JMSクライアント |
WebLogic JMS .NETクライアントは、完全に管理された.NETランタイム・ライブラリとAPI(Application Programming Interface)です。プログラマはこれを使用して、WebLogic Java Message Service(JMS)アプリケーションおよびリソースにアクセス可能な.NET C#クライアント・アプリケーションを作成できます。 WebLogic JMS C APIは、WebLogic JMSアプリケーションおよびリソースにアクセス可能なCクライアント・アプリケーションを作成できるAPIです。Cクライアントは、Java Native Interface(JNI)( WebLogic Server Basicのライセンスでは、.NETおよびC用WebLogic JMSクライアントの使用は許可されていません。 WebLogic JMS .NETクライアントの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Using the WebLogic JMS Client for Microsoft .NET for Oracle WebLogic Server』を参照してください。WebLogic JMS C APIの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Programming JMS for Oracle WebLogic Server』のWebLogic JMS C APIに関する項を参照してください。 |
エンド・ユーザーは、WebLogic Server Basicで使用可能な機能をライセンス契約の条件に従って使用する責任があります。この項では、WebLogic Server Basicの各インストールがライセンスに準拠して使用されるように、ライセンスで制限された機能の適切な使用を簡単に確認する方法や、制限された機能の使用を防止する方法について説明します。
WebLogic ServerがWebLogic Server Basicライセンスに従って使用されていることを確認するために、WLSTスクリプトをMy Oracle Supportからダウンロードして実行できます。 このスクリプトの説明はMy Oracle Supportの以下の項目にあります。
Doc ID: 885587.1
Subject: WebLogic Server Basic License Audit Script
このスクリプトは、WebLogic Serverインストールを監査し、WebLogic Server Basicで定義されている制限付きWebLogic Server機能の使用またはコンフィグレーションに関するデータを示すレポートを生成します。このスクリプトは、ライセンスで制限されたすべての機能を監査するわけではないため、完全ではありません。しかし、制限されたほとんどの機能について、コンプライアンスを容易に確認できます。(このスクリプトで収集されたデータは転送されたりレポートされることは一切ありません。また、このスクリプトの使用は必須ではありません。これは、便利な方法としてのみ提供されています。)次のURLからMy Oracle Supportにログインしてこのスクリプトを入手できます。http://www.oracle.com/support/premier/myoraclesupport.html
WebLogic Server Basicでライセンスにより制限がある各機能について、表A-9に次の情報を示します。
機能に関連する特定のライセンス制限の説明。特定のコンフィグレーション設定によって機能を使用不可にできる場合は、その設定を示します。
WebLogic Server Basicライセンスに従って機能が使用されていることを監査スクリプトで確認できるかどうかを示します。
表A-9 ライセンス・コンプライアンスの確認方法
機能 | 制限およびライセンス・コンプライアンスの確認方法 |
---|---|
全サーバー移行 |
この機能は使用できません。 全サーバー移行は無効になっている必要があります。 Administration Consoleで移行可能対象を表示するか、または次のMBean属性の値を確認することにより、ドメインで全サーバー移行は無効になっていることを確認できます。
これらの属性の値は、監査スクリプトを実行して取得できます。 |
サービス移行 |
この機能は使用できません。 次のすべてのサービスがドメインに構成されていないことを確認します。
これらのサービスが構成されているかどうかは、監査スクリプトを実行して確認できます。 |
MAN/WANの状態のレプリケーション |
これらのレプリケーション・タイプの使用は許可されていません。 これらのレプリケーション・タイプが構成されていないことは、監査スクリプトを実行して確認できます。 |
管理対象サーバーのクローニング |
「クローン」属性は有効にできません。この属性は、Administration Consoleで「環境」→「マシン」・ページにナビゲートすることで確認できます。 |
シングルトン・サービス |
スタンドアロンまたはアプリケーション提供のシングルトン・サービスの構成は許可されていません。 シングルトン・サービスが構成されていないことは、監査スクリプトを実行して確認できます。 |
クラスタ制約デプロイメント |
クラスタ内で この機能が使用されていないことは、監査スクリプトを実行して確認できます。 |
過負荷管理 |
クラスタ・レベルまたはサーバー・レベルでは、次に示す過負荷からの保護スキームの構成は許可されていません。
この機能が使用されていないことは、監査スクリプトを実行して確認できます。 |
サーバーのADMINおよびSTANDBYモード |
コマンドでADMINまたはSTANDBYパラメータを使用してWebLogic Serverインスタンスを起動することはできません。 これらの状態が有効になっていないことは、監査スクリプトを実行して確認できます。 |
プロダクション再デプロイメント |
manifest.mfファイルから間接的に、または この機能が使用されていないことは、監査スクリプトを実行して確認できます。 |
アプリケーション管理モード |
WebLogic Serverインスタンスでホストされているアプリケーションは、 この機能が使用されていないことは、監査スクリプトを実行して確認できます。 |
デプロイメント順序の変更 |
この機能は使用できません。 「デプロイ順序」属性の値は変更しないでください。この属性は、Administration Console、または この機能が使用されていないことは、監査スクリプトを実行して確認できます。 |
FastSwap |
この機能は使用できません。
この機能が使用されていないことは、監査スクリプトを実行して確認できます。 |
スタンドアロンのJMS、JDBCおよびWLDFモジュールのデプロイメント |
スタンドアロンのJMS、JDBCまたはWLDFモジュールのデプロイメントは許可されていません。この制限は、モジュール・レベルの対象およびサブモジュールの対象の両方に適用されます。 この機能が使用されていないことは、監査スクリプトを実行して確認できます。 |
メッセージ順序単位 |
メッセージ・プロデューサのデフォルトの順序単位がデフォルト値 この機能が使用されていないことは、監査スクリプトを実行して確認できます。 |
作業単位メッセージ・グループ |
この機能が使用されていないことは、監査スクリプトを実行して確認できます。 |
JMSストア・アンド・フォワード・エージェント |
ストア・アンド・フォワード・エージェントの構成は許可されていません。 この機能が使用されていないことは、監査スクリプトを実行して確認できます。 |
WebLogic診断フレームワーク |
WebLogic診断フレームワークは構成できません。 この機能が使用されていないことは、監査スクリプトを実行して確認できます。 |
WebLogic Server SNMPエージェント |
すべてのSNMPエージェントは無効になっている必要があります。 この機能が使用されていないことは、監査スクリプトを実行して確認できます。 |
WebLogic Tuxedo Connector |
このコンポーネントは使用できません。 |
WebLogic HTTP Publish-Subscribeサーバー |
このコンポーネントのインストールは許可されていません。 |
カスタム・ワーク・マネージャを使用した作業の優先順位決定と最適化 |
この機能は使用できません。
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バッファ付きWebサービス |
WebLogic Webサービスのバッファ付きWebサービス機能の使用は許可されていません。さらに、この機能の使用を含む次のタスクもWebLogic Server Basicライセンスでは許可されていません。
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非同期Webサービス |
WebLogic Webサービスの非同期リクエスト-レスポンス機能の使用は許可されていません。さらに、この機能の使用を含む次のタスクもWebLogic Server Basicライセンスでは許可されていません。
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会話形式のWebサービス |
WebLogic Webサービスの会話形式のWebサービス機能を使用するWebサービスの実装またはデプロイは許可されていません。 |
JMSトランスポート |
Webサービス起動用の接続プロトコルとしてWebLogic WebサービスのJMSトランスポート機能を構成または使用することは許可されていません。さらに、この機能の使用を含む次のタスクもWebLogic Server Basicライセンスでは許可されていません。
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カスタム・ドメインを作成するためのConfiguration Wizard、または |
WebLogicドメインの作成に使用できるのは、Oracleが提供するドメイン・テンプレートおよびドメイン拡張テンプレートのみです。これらのツールを使用して、カスタム・ドメインの作成、カスタム・ドメイン拡張テンプレートの作成、カスタム・ドメイン拡張テンプレートによる既存のドメインの変更を行うことは許可されていません。 |
ドメインやドメイン拡張テンプレートを作成するためのDomain Template Builder、または |
次のツールは使用できません。
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WebLogic Server Administration Consoleの操作を一連のWebLogic Scripting Tool(WLST)コマンドとして記録する機能 |
Administration Consoleでこの機能は使用できません。 |
WebLogic Server Administration Consoleの拡張 |
コンソール拡張機能を使用してWebLogic Server Administration Consoleを変更することはできません。 |
デフォルトのWebLogic Serverワーク・マネージャ以外のカスタムまたはCommonJワーク・マネージャの使用 |
デプロイ済アプリケーションでのCommonJ APIの使用は許可されていません。 |
Microsoft .NETおよびC用WebLogic JMSクライアント |
いずれのJMSクライアントも使用できません。 |