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Oracle Fusion Middlewareテクノロジ・アダプタ・ユーザーズ・ガイド
11g リリース1(11.1.1)
B55918-01
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1 Oracle JCAアダプタの概要

ビジネス・プロセスの最適化に対するニーズの高まりに伴い、既存のバックエンド・アプリケーションとの効果的な統合が成功への鍵となっています。ビジネス・プロセスを最適化するために、JCA 1.5コンポーネント・リソース・アダプタを使用してアプリケーションを統合できます。 各アダプタでは堅牢、軽量で高度にスケーラブルな標準ベースの統合フレームワークがサポートされており、異種アプリケーション相互の通信を可能にします。たとえば、アダプタにより、パッケージ・アプリケーション、レガシー・アプリケーション、データベースおよびWebサービスを統合できます。 Oracle JCAアダプタを使用すると、様々なベンダーから異なるテクノロジに基づいて提供されて異なるプラットフォームで動作する異種アプリケーションを統合することで、相互運用性を保証できます。


注意:

このマニュアルでは、アダプタとOracle WebLogic ServerおよびOracle Fusion Middlewareとの統合について説明します。

この章には、次の項が含まれます。

Oracle JCAアダプタの機能

Oracle JCAアダプタのメリットは、次のとおりです。

Oracle JCAアダプタのタイプ

Oracle JCAアダプタには、Oracleテクノロジ・アダプタ、Oracle Adapter for Oracle Applications、パッケージ・アプリケーション・アダプタおよびレガシー・アダプタという3つのタイプがあります。図1-1に、様々なタイプのアダプタを示します。

図1-1 Oracle JCAアダプタのタイプ

図1-1の説明が続きます
「図1-1 Oracle JCAアダプタのタイプ」の説明

この項では、次のタイプのアダプタについて説明します。

Oracleテクノロジ・アダプタ

Oracle JCAアダプタにより、Oracle Application Serverがトランスポート・プロトコル、データ・ストアおよびメッセージング・ミドルウェアと統合されます。 このタイプのアダプタには、Oracle JCA Adapter for Files、Oracle JCA Adapter for FTP、Oracle JCA Adapter for JMS、Oracle JCA Adapter for Database、Oracle JCA Adapter for Advanced Queuing、Oracle JCA Adapter for MQ Series、Oracle JCA Adapter for SocketsおよびOracle Adapter for Oracle Applicationsなどがあります。 Oracleテクノロジ・アダプタは、Oracle Fusion Middlewareの一部としてインストールされます。

この項では、Oracle Fusion Middlewareで提供されているファイル、FTP、データベースおよびエンタープライズ・メッセージング用の各アダプタについて説明します。 アダプタを使用すると、Oracle BPEL Process Managerまたはメディエータ・コンポーネントをファイルシステム、FTPサーバー、データベース表、データベース・キュー(アドバンスト・キューすなわちAQ)、メッセージ・キュー、Java Message Service(JMS)およびOracle Applicationsに統合できます。

この項には、次の項目が含まれます。

アーキテクチャ

Oracleテクノロジ・アダプタはJ2EE Connector Architecture(JCA)1.5標準に基づいており、Oracle Fusion Middlewareと同じOracle WebLogic Serverにリソース・アダプタとしてデプロイされます。 Oracle Adapter for Oracle Applicationsは、Oracleテクノロジ・アダプタと同じアーキテクチャで構成されています。 図1-2に、Oracleテクノロジ・アダプタのアーキテクチャを示します。

図1-2 Oracleテクノロジ・アダプタのアーキテクチャ

図1-2の説明が続きます
「図1-2 Oracleテクノロジ・アダプタのアーキテクチャ」の説明

設計時コンポーネント

設計時に、Oracleテクノロジ・アダプタによりOracle JDeveloperを使用してアダプタ・メタデータが生成されます。リクエスト・レスポンス・サービス(J2CAアウトバウンド相互作用)とイベント通知サービス(J2CAインバウンド相互作用)が、J2CAバインディング構成ファイルに記述されます。 これらのバインディング構成ファイルは、J2CA中心のXMLマークアップで構成されています。J2CAバインディング構成ファイルは、J2CA 1.5リソース・アダプタをOracle Fusion Middlewareとシームレスに統合するためにJCAバインディング・コンポーネントで使用されます。

Oracleテクノロジ・アダプタとOracle Fusion Middlewareの統合の詳細は、「アダプタとOracle Fusion Middlewareの統合」を参照してください。

例1-1 Oracle JCA Adapter for Database用のWSDLおよびバインディング構成ファイルの生成

Oracle JDeveloperを使用してOracle JCA Adapter for Databaseを構成できます。このアダプタを使用すると、データ操作の実行、ストアド・プロシージャやファンクションのコールおよびデータベース・イベントのリアルタイムでのパブリッシュが容易になります。 アダプタ定義を構成するには、「コンポーネント・パレット」から、「データベース・アダプタ」を「外部参照」スイムレーンにドラッグ・アンド・ドロップします。

図1-3に、「表のインポート」ウィンドウで参照してアダプタに必要な表を選択する方法を示します。

図1-3 必要な表の参照

「表のインポート」
「図1-3 必要な表の参照」の説明

図1-4に、Oracle JCA Adapter for Database用のWSDL設定を指定する方法を示します。

図1-4 WSDL設定の指定

図1-4の説明が続きます
「図1-4 WSDL設定の指定」の説明

次に、データベース接続を確立し、操作タイプを選択し、必要な表を選択する必要があります。ランタイム接続パラメータはweblogic-ra.xmlファイル内で指定され、設計時に指定するJava Naming and Directory Interface(JNDI)名にリンクされます。図1-5に、新規データベース接続の作成方法を示します。

図1-5 新規データベース接続の作成

図1-5の説明が続きます
「図1-5 新規データベース接続の作成」の説明

最後に、図1-6に示すように、Oracle JDeveloperによりOracle JCA Adapter for Database用のJ2CAバインディングを使用してWSDLファイルおよびバインディング構成ファイルが生成されます。

図1-6 JCAファイルの構造

図1-6の説明が続きます
「図1-6 JCAファイルの構造」の説明

ランタイム・コンポーネント

Oracleテクノロジ・アダプタのランタイム・コンポーネントは、特定のバックエンド・アプリケーション用のJ2CA 1.5リソース・アダプタです。 Oracleテクノロジ・アダプタは、Oracle WebLogic ServerのJ2CAコンテナにデプロイされます。 Oracle Fusion Middlewareは、JCAバインディング・コンポーネントを介してJ2CA 1.5アダプタと統合され、Webサービス・メッセージがJ2CA相互作用との間で変換されます。

Oracle Fusion Middlewareでは、JCAバインディング・コンポーネントを使用してリクエスト-レスポンス・サービス(J2CAアウトバウンド相互作用)がSCAコンポジット参照と統合され、アダプタ・イベントがSCAコンポジット・サービスにパブリッシュされます。

Oracle Fusion Middlewareの統合の詳細は、「アダプタとOracle Application Serverコンポーネントの統合」を参照してください。

デプロイメント

Oracleテクノロジ・アダプタは、インストール時にOracle Fusion Middlewareと同じOracle WebLogic ServerコンテナにJ2CA 1.5リソース・アダプタとしてデプロイされます。 Oracleテクノロジ・アダプタはJ2CA 1.5リソース・アダプタとして物理的にデプロイされますが、論理的にデプロイするには、設計時にOracle JDeveloperを使用してweblogic-ra.xmlファイルを編集し、J2CA 1.5リソース・アダプタ用のコネクション・ファクトリ・エントリを作成する必要があります。Oracle JDeveloperを使用してJNDI名を指定します。JNDI名は、コンポジットがOracle WebLogic Serverにデプロイされる際に使用される接続のプレースホルダとして機能します。これにより、開発とその後の本番に異なるデータベースを使用できます。 ただし、論理的なデプロイ変更を有効にする場合(つまり、新規のアウトバウンド接続を作成する場合にのみ)、Oracle WebLogic Serverコンテナ・プロセスの更新が必要になります。 既存のJNDIのアウトバウンド接続プロパティを更新する場合は、Oracle WebLogic Serverの再起動が必要です。

パッケージ・アプリケーション・アダプタ

パッケージ・アプリケーション・アダプタにより、Oracle Application Serverが各種のパッケージ・アプリケーション(SAPやSiebelなど)と統合されます。 このタイプのアダプタには、OracleAS Adapter for PeopleSoft、OracleAS Adapter for SAP R/3、OracleAS Adapter for SiebelおよびOracleAS Adapter for J.D. Edwardsなどがあります。パッケージ・アプリケーション・アダプタは、OracleAS Adapters CDに収録されています。

この項では、パッケージ・アプリケーション・アダプタのアーキテクチャについて説明します。

この項には、次の項目が含まれます。

アーキテクチャ

パッケージ・アプリケーション・アダプタは、J2EE Connector Architecture(J2CA)1.5リソース・アダプタまたはWebサービス・サーブレットとしてOracle WebLogic Serverコンテナにデプロイできます。 パッケージ・アプリケーション・アダプタでは、J2CAインタフェースに加えて、Web Service Definition Language(WSDL)およびSimple Object Access Protocol(SOAP)インタフェースがサポートされています。パッケージ・アプリケーション・アダプタをJ2CAおよびWebサービスとしてデプロイするには、リポジトリ・プロジェクトが必要です。J2CAデプロイメントの場合、リソース・アダプタは複数のバックエンド接続オブジェクトを格納できるリポジトリ・プロジェクトを指します。デプロイメント・ディスクリプタweblogic-ra.xmlは、J2CAリポジトリ・プロジェクトとそのプロジェクト内でアクセスするための接続名を指します。WSDLデプロイメントの場合、WSDLリポジトリ・プロジェクトはアダプタ・メタデータを記述する一連のWSDLファイルで構成されます。


注意:

このリリースでWSDLおよびSOAP拡張をサポートしているパッケージ・アプリケーション・アダプタは、OracleAS Adapter for SAP、OracleAS Adapter for Siebel、OracleAS Adapter for PeoplesoftおよびOracleAS Adapter for J.D. Edwardsの4つのみです。 OracleAS Adapter for Oracle Applicationsのアーキテクチャは、Oracleテクノロジ・アダプタに類似しています。

パッケージ・アプリケーション・アダプタのアーキテクチャは、OracleAS Adapter Application Explorer(アプリケーション・エクスプローラ)、J2CA 1.5リソース・アダプタおよびBusiness Services Engine(BSE)で構成されています。

図1-7に、パッケージ・アプリケーション・アダプタのアーキテクチャを示します。

図1-7 パッケージ・アプリケーション・アダプタのアーキテクチャ

図1-7の説明が続きます
「図1-7 パッケージ・アプリケーション・アダプタのアーキテクチャ」の説明

この項では、パッケージ・アプリケーション・アダプタ・アーキテクチャのコンポーネントについて説明します。

この項には、次の項目が含まれます。

アプリケーション・エクスプローラ

アプリケーション・エクスプローラは、パッケージ・アプリケーション・アダプタを構成するための、Java Swingベースの設計時ツールです。アプリケーション・エクスプローラを使用すると、バックエンド・アプリケーション接続を構成し、バックエンド・アプリケーション・スキーマを参照し、これらのスキーマをアダプタ・サービスとして公開できます。アプリケーション・エクスプローラは、バックエンド・アプリケーション固有のメタデータを参照するための、パッケージ・アプリケーション固有のプラグインに付属しています。

アプリケーション・エクスプローラを使用すると、OracleAS Adapter J2CAまたはBSE用のリポジトリ・プロジェクトを作成できます。各リポジトリ・プロジェクトは、複数のバックエンド・アプリケーション接続で構成できます。スキーマは、OracleAS Adapter J2CAインタフェース用のXMLスキーマ定義(XSD)、またはSOAPバインディングを使用するWSDLとして表されます。

BSE

アプリケーション・エクスプローラは、Oracle Application ServerのOracle WebLogic ServerコンテナにデプロイされるBSEと連携して動作します。BSEでは、クライアントからリクエストを受け入れ、バックエンド・アプリケーションと対話し、バックエンド・アプリケーションからクライアントにレスポンスを送信するためのプロトコルとしてSOAPが使用されます。

J2CA 1.5リソース・アダプタ

J2CA 1.5リソース・アダプタは、バックエンド・イベントを受信するためのチャネル・コンポーネントで構成されています。

設計時コンポーネント

アプリケーション・エクスプローラを使用して、設計時にパッケージ・アプリケーション・アダプタを構成します。このツールを使用して、バックエンド接続のリストを含んだ、J2CA 1.5リソース・アダプタ用のリポジトリ・プロジェクトを作成します。アプリケーション・エクスプローラでは、バックエンド・メタデータがJ2CA拡張を使用するXSDおよびWSDLとして公開されます。XSDメタデータは、Oracle WebLogic Serverアプリケーション・クライアントでJ2CA Common Client Interface(CCI)のApplication Program Interface(API)を介した統合に使用されます。J2CA拡張を使用するWSDLは、Business Process Execution Language for Web Services(BPEL)Process Managerとの統合に使用されます。BSEのメタデータは、WSDLまたはSOAPとして定義できます。

図1-8に、アプリケーション・エクスプローラを示します。

図1-8 アプリケーション・エクスプローラ

図1-8の説明が続きます
「図1-8 アプリケーション・エクスプローラ」の説明

例1-2 OracleAS Adapter for SAP用のXMLリクエスト・スキーマの生成

アプリケーション・エクスプローラを使用して、OracleAS Adapter for SAP用の接続を確立できます。 そのためには、まず図1-9および図1-10に示すようにOracleAS Adapter for SAPに対してターゲットを定義する必要があります。

図1-9 OracleAS Adapter for SAPの選択

図1-9の説明が続きます
「図1-9 OracleAS Adapter for SAPの選択」の説明

図1-10 OracleAS Adapter for SAPに対するターゲットの定義

図1-10の説明が続きます
「図1-10 OracleAS Adapter for SAPに対するターゲットの定義」の説明

SAPビジネス関数ライブラリを開いてオブジェクトを選択した後、アプリケーション・エクスプローラを使用して、その関数に使用するXMLリクエスト・スキーマとXMLレスポンス・スキーマを作成できます。 各スキーマ・タイプのXMLを表示するには、図1-11に示すように必要なタブを選択します。

図1-11 XMLスキーマの表示

図1-11の説明が続きます
「図1-11 XMLスキーマの表示」の説明

ランタイム・コンポーネント

パッケージ・アプリケーション・アダプタのランタイム・コンポーネントには、J2CA 1.5リソース・アダプタ、BSEおよびサーブレットなどがあります。Oracle WebLogic Serverアプリケーション・クライアントでは、CCI APIを使用してJ2CA 1.5リソース・アダプタに直接インタフェースします。J2CA 1.5リソース・アダプタは、JCAバインディング・コンポーネントを介してOracle Fusion Middlewareと統合されます。実行時には、JCAバインディング・コンポーネントにより、設計時に構成されたアダプタ・メタデータ(WSDLおよびバインディング構成)に基づいて、Oracle Fusion Middlewareサービス・リクエストとJ2CAコールの間の変換が実行されます。

実行時には、設計時に生成されたWSDLファイルが統合コンポーネントにより使用されます。たとえば、Oracle Fusion Middlewareでは、JCAバインディング・コンポーネントを使用してリクエスト-レスポンス・サービス(J2CAアウトバウンド相互作用)がBPELプロセスのinvokeアクティビティと統合され、アダプタ・イベントがBPELプロセスのreceiveアクティビティにパブリッシュされます。

Oracle Fusion Middlewareの統合の詳細は、「アダプタとOracle Fusion Middlewareの統合」を参照してください。

デプロイメント

パッケージ・アプリケーション・アダプタは、インストール時にOracle WebLogic Server J2CAコンテナにJ2CA 1.5リソース・アダプタとしてデプロイされます。アダプタは、統合するOracle BPEL Process Managerと同じOracle WebLogic Serverコンテナ内に存在する必要があります。

すべてのWebサービス・クライアントをBSEサーブレットと統合できます。BSEでは、基礎となるバックエンド機能がWebサービスとして公開されます。これは、WSDLとSOAPのどちらでもかまいません。 Oracle BPEL Process Managerは、WSDLおよびSOAPバインディングを介してBSEレイヤーと統合することもできます。

BSEは、インストール時にOracle WebLogic Serverコンテナにサーブレットとしてデプロイされます。BSEはリモート配置が可能で、Oracle BPEL Process Managerと同じコンテナになくてもかまいません。

レガシー・アダプタ

レガシー・アダプタにより、Oracle Application Serverがレガシーおよびメインフレーム・アプリケーションと統合されます。このタイプのアダプタには、OracleAS Adapter for Tuxedo、OracleAS Adapter for CICS、OracleAS Adapter for VSAM、OracleAS Adapter for IMS/TMおよびOracleAS Adapter for IMS/DBなどがあります。レガシー・アダプタは、OracleAS Adapters CDに収録されています。

この項には、次の項目が含まれます。

アーキテクチャ

レガシー・アダプタのアーキテクチャには、次のコンポーネントが含まれています。

図1-12に、レガシー・アダプタのアーキテクチャを示します。

チェンジ・データ・キャプチャ(CDC)アダプタのアーキテクチャも同じであることに注意してください。

図1-12 レガシー・アダプタのアーキテクチャ

図1-12の説明が続きます
「図1-12 レガシー・アダプタのアーキテクチャ」の説明

Oracle Connect

Oracle Connectは、レガシーおよびメインフレーム・プラットフォームに常駐するコンポーネントです。メインフレーム・アプリケーションおよびデータ・ストアとの通信に使用するネイティブ・アダプタで構成されています。Oracle Connectを構成するコンポーネントは、次のとおりです。

サーバー・プロセス

Oracle Connectは、クライアント・リクエストを処理する複数のサーバーで構成されています。

ネイティブ・アダプタ

Oracle Connectは、TuxedoおよびIMS-TMトランザクション・システムと通信するための各種埋込みネイティブ・アダプタと、VSAMやIMS-DBなどのメインフレーム・システム上にある各種データベースおよびファイルシステムと通信するためのデータベース・ドライバで構成されています。ネイティブ・アダプタにより、レガシーCOBOLアプリケーション・データなどのアプリケーション構造がXMLとの間で変換されます。メインフレーム・データと標準XMLデータの間の正確なマッピングには、XSDスキーマが使用されます。

デーモン

デーモンは、複数のサーバー構成を管理して保守するRPCベースのリスナーです。 デーモンはOracle Connectを実行中のすべてのコンピュータ上で動作し、ユーザー認証と認可、接続の割当ておよびサーバー・プロセスの管理を処理します。

クライアントが接続をリクエストすると、デーモンがこの接続を処理するためのサーバー・プロセスを割り当てます。割り当てられるサーバー・プロセスは、新規プロセスの場合と、すでに実行中のプロセスの場合があります。クライアント・セッションとサーバー・プロセス間の以降の通信は直接行われ、デーモンは関与しません。ただし、接続の終了時にサーバー・プロセスが停止されるか、別のクライアントにより使用中の場合は、デーモンに通知されます。

デーモンでは、ワークスペースと呼ばれる複数のサーバー構成がサポートされています。各ワークスペースにより、アクセス可能なデータソース、アプリケーション、環境設定、セキュリティ要件およびサーバー割当てルールが定義されます。デーモンによりクライアントが認証され、特定のサーバー・ワークスペース内のサーバー・プロセスに対するリクエストが認可され、必要なサーバーがクライアントに提供されます。デーモンによるサーバーの割当ては、クライアントが使用しているワークスペースに基づきます。そのため、クライアントは1つのワークスペースを使用してデータソースにアクセスできます。その場合は、既存のサーバー・プールからサーバー・プロセスが割り当てられます。クライアントが別のワークスペースを使用してデータソースにアクセスすることもできます。その場合は、クライアント・リクエストごとに新規サーバー・プロセスが割り当てられます。フェイルセーフ・メカニズムにより、可用性を高めるためのスタンバイとして機能する代替デーモンを指定できます。

リポジトリ

Oracle Connectでは、XMLベースのスキーマおよび構成情報を格納するためのリポジトリがサポートされています。リポジトリはOracle Connectインスタンスごとに1つ存在します。リポジトリには、次の情報が格納されます。

  • Oracle Connect構成設定(クライアント/サーバーの通信を制御するデーモン設定など)

  • ユーザー・プロファイル(複数のバックエンド・アプリケーションおよびデータソースへのシングル・サインオンを有効化)

  • 各アダプタのアダプタ・メタデータ(アダプタのリクエスト-レスポンスおよびイベント・サービスなど)

Oracle Studio

Oracle Studioは、メインフレーム用OracleAS Adapterを構成するための設計時ツールです。このツールを使用すると、ネイティブ・アダプタのサービス、イベントおよび接続情報を構成できます。構成情報は、レガシーまたはメインフレーム・アプリケーションのOracle Connectリポジトリに格納されます。さらに、Oracle Connectの管理と監視にも使用できます。Oracle Studioを使用できるのは、Windowsプラットフォームの場合のみです。Oracle Studioは、Eclipse GUIフレームワークに基づいています。

J2CAアダプタ

J2EE Connector Architecture(J2CA)アダプタにより、Oracle WebLogic Serverアプリケーション・クライアント・リクエストがOracle Connectアプリケーションに転送されます。Oracle Connectはメインフレーム・アプリケーションと通信し、レスポンスをJ2CAアダプタに転送します。レスポンスにはトランザクション・データが含まれていたり、リクエストでエラーが発生した場合は例外データが含まれている場合もあります。 Oracle Fusion Middlewareは、J2CAレガシー・アダプタを介してOracle Connectと統合されます。

設計時コンポーネント

設計時にレガシー・アダプタを構成するには、図1-13に示すようにOracle Studioを使用します。

例1-3 OracleAS Adapter for Tuxedoの構成

図1-14および図1-15に示すように、Oracle Studioを使用してOracleAS Adapter for Tuxedoを構成できます。

図1-14 OracleAS Adapter for Tuxedoの構成

図1-14の説明が続きます
「図1-14 OracleAS Adapter for Tuxedoの構成」の説明

図1-15 OracleAS Adapter for Tuxedoの相互作用タイプの選択

図1-15の説明が続きます
「図1-15 OracleAS Adapter for Tuxedoの相互作用タイプの選択」の説明

ランタイム・コンポーネント

実行時には、設計時に生成されたWSDLファイルが統合コンポーネントにより使用されます。 たとえば、Oracle Fusion Middlewareでは、JCAバインディング・コンポーネントを使用してリクエスト-レスポンス・サービス(J2CAアウトバウンド相互作用)がBPELのinvokeアクティビティと統合され、イベントがBPELプロセスのreceiveアクティビティにパブリッシュされます。

詳細は、「アダプタとOracle Fusion Middlewareの統合」を参照してください。

デプロイメント

レガシー・アダプタは、インストール時にOracle WebLogic Server J2CAコンテナにJ2CAリソース・アダプタとしてデプロイされます。アダプタは、統合するOracle Fusion Middlewareと同じOracle WebLogic Serverコンテナ内に存在する必要があります。

Oracle JCAアダプタのアダプタ・サービスのタイプ

アダプタには、アプリケーション間の通信を容易にするために次のタイプのサービスが用意されています。

リクエスト-レスポンス(アウトバウンド相互作用)サービス

アダプタでは、同期リクエスト-レスポンス・サービスがサポートされています。アダプタはアダプタ・クライアントからリクエストを受信すると、リクエストをネイティブなバックエンド・データ形式に変換し、バックエンド・アプリケーション内で該当するメソッドをコールします。さらに、リクエスト-レスポンス・サービスは逆変換の実行後に、JCAバインディング・コンポーネントへのバックエンド・レスポンスを取得します。J2CA用語では、このタイプのサービスはアウトバウンド相互作用とも呼ばれます。

リクエスト-レスポンス・サービスは、バックエンド・ワークフローおよびトランザクションのコールのみでなく、バックエンド・データの作成、削除、更新および問合せにも使用できます。たとえば、Oracle WebLogic Serverアプリケーション・クライアントでは、OracleAS Adapter for SAPを使用してSAPアプリケーション内で顧客を作成できます。

図1-16に、リクエスト-レスポンス・サービスを示します。

図1-16 リクエスト-レスポンス・サービス

図1-16の説明が続きます
「図1-16 リクエスト-レスポンス・サービス」の説明

イベント通知(インバウンド相互作用)サービス

アダプタでは、非同期通信パラダイムであるイベント通知サービスがサポートされています。J2CA用語では、このタイプのサービスはインバウンド相互作用とも呼ばれます。

アダプタは、バックエンド・イベントの変化をリスニングまたはポーリングします。イベントをリスニングするアダプタは、イベントをアダプタにプッシュするように構成されているバックエンド・アプリケーション用のリスナーとして登録されます。アダプタは、クライアント・アプリケーションに必要なイベントを、バックエンド・アプリケーション(通常はデータベースまたはファイル)でポーリングすることもできます。

イベント通知サービスを使用すると、バックエンド・データの作成、削除および更新について、成功したバックエンド・トランザクションに関連付けられたバックエンド・イベントを追跡できます。

図1-17に、イベント通知サービスを示します。

図1-17 イベント通知サービス

図1-17の説明が続きます
「図1-17 イベント通知サービス」の説明

メタデータ・サービス

アダプタ・メタデータ定義には、ビジネス・オブジェクトおよびサービス用のバックエンド接続およびスキーマに関する情報が格納されます。アダプタは、メタデータを参照および格納するための設計時コンポーネントと、サービスを実行するためのランタイム・コンポーネントで構成されています。アダプタ・メタデータ定義は、XMLスキーマ定義(XSD)、WSDLおよびバインディング構成ファイルとして生成されます。図1-18に、メタデータの相互作用を示します。

図1-18 メタデータ・サービス

図1-18の説明が続きます
「図1-18 メタデータ・サービス」の説明