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Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server アプリケーションのデプロイメント
11g リリース 1 (10.3.1)
B55511-01
 

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5 新しい環境にデプロイするためのアプリケーションのエクスポート

以下の節では、アプリケーションの WebLogic Server デプロイメント コンフィグレーションをカスタム デプロイメント プランにエクスポートする方法について説明します。これにより、管理者はアプリケーションを簡単に非開発環境にデプロイできるようになります。

エクスポート プロセスの概要

アプリケーションのデプロイメント コンフィグレーションの「エクスポート」とは、アプリケーションを新しい WebLogic Server 環境にデプロイするために、カスタム デプロイメント プランを作成するプロセスです。このプロセスが完了したら、アプリケーションを環境に合わせてコンフィグレーションするための青写真としてデプロイメント プランを使用するデプロイヤ (たとえば、テスト管理者、ステージング管理者、またはプロダクション管理者) に、アプリケーション デプロイメント ファイルとカスタム デプロイメント プランの双方を配布します。

管理者は、アプリケーションおよびカスタム デプロイメント プランの双方を、Administration Console を使用してインストールできます。Administration Console では、デプロイメント プランを検証し、特定のデプロイメントに必要なコンフィグレーション プロパティを更新できます。

デプロイメント プランの詳細については、「デプロイメント プランの内容について」を参照してください。

デプロイメント コンフィグレーションのエクスポートの目標

デプロイメント コンフィグレーションをエクスポートするにあたっての主な目標は、次のとおりです。

  • アプリケーションの外部リソースの要件を、デプロイメント プラン内において、null 変数としてエクスポーズすること。アプリケーションが要求するいかなる外部リソースも、アプリケーションが別の環境にデプロイされた場合には、変更の対象となります。たとえば、開発環境で使用されるデータソースの JNDI 名は、テストやプロダクションで使用されるものとは異なっている可能性があります。これらの JNDI 名を変数としてエクスポーズすることにより、デプロイヤはアプリケーションをデプロイする際に、簡単に利用可能なリソースを使用したり、必要なリソースを作成したりできます。空 (null) の変数を使用することで、アプリケーションがデプロイ可能になる前に、デプロイヤは有効なリソース名の指定を強制されることになります。

  • チューニング パラメータなど、さらなるコンフィグレーション可能なプロパティを、デプロイメント プラン内の変数としてエクスポーズすること。開発環境において受け入れ可能なある特定のチューニング パラメータが、プロダクション環境では受け入れられない場合があります。たとえば、開発マシン上では EJB キャッシングのためのデフォルト値または最小値を受け入れれば十分であっても、プロダクション クラスタで許容できるパフォーマンスを維持するためには、よりレベルの高いキャッシングを行う必要があるかもしれません。選択されたチューニング可能な値をデプロイメント プラン変数としてエクスポートすると、管理者はアプリケーションをデプロイする際に、重要なチューニング パラメータに注力しやすくなります。Administration Console では、デプロイメント プラン内で変数としてエクスポーズされているチューニング パラメータを強調表示しますが、それらをデプロイメント前に変更するようデプロイヤに要求することはありません。

デプロイメント コンフィグレーションをエクスポートするためのツール

WebLogic Server では、アプリケーションのデプロイメント コンフィグレーションのエクスポートを支援するための以下のツールを用意しています。

  • weblogic.PlanGenerator。WebLogic Server デプロイメント記述子の選択されたカテゴリについて、null 変数を備えるテンプレート デプロイメント プランを作成します。エクスポート プロセスを開始しているところであり、デプロイメント記述子のクラス全体に対して null 変数を備えるテンプレート デプロイメント プランを作成する必要がある場合は、このツールの使用をお勧めします (「デプロイメント プロパティの分類について」を参照)。通常は、余分な変数定義を削除したり、個々のプロパティのための変数を追加したりするために、手動または Administration Console で weblogic.PlanGenerator が作成したデプロイメント プランを手動で変更する必要があります。

  • Administration Console は、インストールされているアプリケーションのコンフィグレーション プロパティが変更されると、必要に応じてデプロイメント プランを更新または新規作成します。Administration Console を使用して、新しいデプロイメント プランを生成したり、既存のプラン内の変数を追加またはオーバーライドできます。記述子プロパティのカテゴリ全体をエクスポートするのではなく、プラン内の個々のデプロイメント記述子プロパティを対話形式で追加または編集できるので、Administration Console には weblogic.PlanGenerator よりも高い柔軟性があります。

デプロイメント プロパティの分類について

(すべての J2EE モジュール記述子、ならびに JDBC、JMS、および WLDF アプリケーション モジュールのための) 各 WebLogic Server デプロイメント記述子プロパティは、次の 4 つのカテゴリのうちの 1 つに分類できます。

これらのカテゴリは、デプロイメント プランにおいて変数としてエクスポーズするプロパティを選択するために、コンフィグレーション エクスポート プロセス中に使用します。たとえば、アプリケーションの WebLogic Server デプロイメント記述子内で「dependencies」としてタグ付けされたすべてのプロパティの変数定義を含む、新しいデプロイメント プランを生成できます。変数はその後、別のリソース名を持つ環境へアプリケーションをデプロイしている管理者によって簡単に変更できます。

変更可能な記述子プロパティ (依存関係、宣言、およびコンフィグレーション可能プロパティ) はすべて、動的プロパティまたは非動的プロパティとしてさらに分類されます。動的プロパティはデプロイされたアプリケーション内で変更でき、その変更を有効化するのに再デプロイは必要ありません。非動的プロパティは変更できますが、変更を有効化するのに再デプロイメントが必要です。Administration Console は、非動的プロパティを、再デプロイメントが必要であるときにそれを通知するものとして識別します。

アプリケーションのデプロイメント コンフィグレーションをエクスポートする手順

アプリケーションのデプロイメント コンフィグレーションをエクスポートするには通常、以下の手順を実行します。

  1. エクスポートのためのアプリケーション ファイルのステージング

  2. weblogic.PlanGenerator を使用したテンプレート デプロイメント プランの生成

  3. Administration Console を使用したデプロイメント プランのカスタマイズ

  4. デプロイメント プランの手動によるカスタマイズ

  5. エクスポートされたデプロイメント コンフィグレーションの検証

次の節では、各手順について詳しく説明します。

エクスポートのためのアプリケーション ファイルのステージング

デプロイメント コンフィグレーションをエクスポートする前に、アプリケーション ファイルをアプリケーション インストール ディレクトリに入れておくことをお勧めします。インストール ディレクトリを使用すると、デプロイメント プランなどの生成されたコンフィグレーション ファイルが、エクスポート中に自動的に \plan サブディレクトリへコピーされます。

アプリケーションのインストール ディレクトリを作成するには、次の手順に従います。

  1. アプリケーションの最上位インストール ディレクトリを作成します。

    mkdir c:\exportapps\myApplication
    
  2. \app および \plan サブディレクトリを作成します。

    mkdir c:\exportapps\myApplication\app
    mkdir c:\exportapps\myApplication\plan
    
  3. エクスポートするアプリケーションを完全に \app サブディレクトリへコピーします。アプリケーションはアーカイブ形式でも、展開されたアーカイブ形式でもかまいません。

    cp -r c:\dev\myApplication c:\exportapps\myApplication\app
    

    \app ディレクトリには、配布された完全なアプリケーションが格納されている必要があります。また、開発環境へのデプロイメントに使用する WebLogic Server 記述子ファイルを格納することができます。

アプリケーションをエクスポートする際に、インストール ディレクトリを使用しないことを選択した場合は、weblogic.PlanGenerator に対して -plan オプションを使用し、生成されたプランの場所とファイル名を指定することをお勧めします。デフォルトでは、weblogic.PlanGenerator は生成されたファイルを TEMP/weblogic-install/application_name/config ディレクトリに格納します。TEMP は現在の環境における一時ディレクトリです。これは、Windows プラットフォームの場合、生成されたコンフィグレーション ファイルが C:\Documents and Settings\username\Local Settings\Temp\weblogic\install\myApplication.ear\config に格納されることを意味します。生成されたファイルを既知の場所に置くには、-plan オプションを使用します。

weblogic.PlanGenerator を使用したテンプレート デプロイメント プランの生成

weblogic.PlanGenerator ツールは、デプロイメント記述子のカテゴリ全体に対する null 変数 (宣言、コンフィグレーションな可能プロパティなど) を備えたテンプレート デプロイメント プランを迅速かつ簡単に生成する方法を提供します。アプリケーションのすべての依存関係について null 変数を備える新しいデプロイメント プランを生成するためには、weblogic.PlanGenerator の使用をお勧めします。これにより、アプリケーションに必要なすべてのグローバル リソースが、アプリケーションを新しい環境にデプロイする必要がある管理者によって、簡単にコンフィグレーションできるようになります。

インストール ルート ディレクトリ内でステージングされるアプリケーションを使用する場合、weblogic.PlanGenerator を使用するための基本的な構文は、次のとおりです。

java weblogic.PlanGenerator -root install_root category

各値の説明は次のとおりです。

install_root は、アプリケーションおよびプランのルート ディレクトリの完全修飾名を指定します。

category は、変数を作成する WebLogic Server デプロイメント記述子のカテゴリを指定します (各カテゴリの説明は、「デプロイメント プロパティの分類について」を参照)。テンプレート デプロイメント プランを生成するためには通常、デフォルトのオプションである -dependencies オプションのみを使用します。そうすることで、アプリケーションで必要とされる外部リソースに対する変数が制限されるからです。


注意 :

-dependencies オプションは、可能性のあるすべての動的にコンフィグレーション可能なデプロイメント プロパティに対して null 変数を作成します。そのため、アプリケーションには不要であるかもしれない多数の変数定義が作成される場合があります。-declarations オプションは通常、必須ではありません。宣言プロパティは一般に、アプリケーションの基本機能と関連付けられており、新しい環境へのデプロイメントの前に変更されるべきではないからです。

次に例を示します。

   java weblogic.PlanGenerator -root c:\exportapps\myApplication -dependencies
   java weblogic.PlanGenerator -root c:\exportapps\myApplication

-dependencies がデフォルトのオプションであるため weblogic.PlanGenerator コマンドで指定する必要がなく、したがって同義である上記のコマンドの場合、weblogic.PlanGenerator は選択されたアプリケーション内のすべての J2EE デプロイメント記述子を検査し、アプリケーションに対する外部リソースをコンフィグレーションするすべての関連 WebLogic Server デプロイメント プロパティについて、null 変数を備えるデプロイメント プランを作成します。Administration Console を使用している管理者は、アプリケーションがデプロイできるようになる前に、このテンプレート デプロイメント プランを使って各 null 変数に有効なリソース名とチューニング プロパティを割り当てるよう指示されます。

Administration Console を使用したデプロイメント プランのカスタマイズ

weblogic.PlanGenerator を使用したテンプレート デプロイメント プランの生成」で生成されたテンプレート デプロイメント プランには、アプリケーションの外部の依存関係を解決するデプロイメント プロパティのみが格納されています。テンプレート プランを全般的にカスタマイズして、アプリケーションの 1 つまたは複数の WebLogic Server チューニング プロパティを追加します。Admnistration Console を使用すると、必要に応じて、個々のデプロイメント記述子プロパティのデプロイメント プラン変数を簡単に追加できます。Administration Console を使用してデプロイメント プランをカスタマイズするには、次の手順を実行します。

  1. エクスポートされたアプリケーションおよびテンプレート デプロイメント プランのインストール

  2. 選択されたチューニング プロパティの変数の追加

  3. カスタマイズされたデプロイメント プランの取得

エクスポートされたアプリケーションおよびテンプレート デプロイメント プランのインストール

Administration Console を使用してデプロイメント コンフィグレーションを変更するには、まず「アプリケーションのインストール ディレクトリを作成する手順」の説明に従って、アプリケーションおよび既存のデプロイメント プランをインストールする必要があります。

選択されたチューニング プロパティの変数の追加

エクスポートされたアプリケーションをインストール後、Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server の Administration Console オンライン ヘルプの「デプロイメント プランの更新」の手順に従い、デプロイメント プランに新しいチューニング プロパティを追加します。

カスタマイズされたデプロイメント プランの取得

Administration Console を使用してアプリケーションのデプロイメント コンフィグレーションを変更する場合、デプロイメント プロパティに対する変更は、WebLogic Server デプロイメント プランや、生成された WebLogic Server デプロイメント記述子ファイルに格納されます。アプリケーションのデプロイメント プラン内の変数として定義されているデプロイメント プロパティを変更した場合、変更は新しいバージョンのプラン ファイルに書き戻されます。インストール ディレクトリからインストールされたアプリケーションの場合、デフォルトでは Administration Console は生成されたコンフィグレーション ファイルを plan サブディレクトリに格納します。

デプロイメント プランの手動によるカスタマイズ

場合によっては、テキスト エディタを使用して手動でカスタム デプロイメント プランを編集する必要があります。これが必要となるのは、以下の理由がある場合です。

デプロイメント プランのエントリを手動で編集する前に、http://xmlns.oracle.com/weblogic/deployment-plan/1.0/deployment-plan.xsd および「デプロイメント プランの内容について」を参照してください。

デプロイメント プランからの変数の削除

デプロイメント プラン内の variable-definition スタンザは、WebLogic Server デプロイメント記述子プロパティのオーバーライドに使用される変数の名前と値を定義します。module-override 要素には、所定のデプロイメント記述子に変数がどこで適用されるのかを定義する variable-assignment 要素を 1 つまたは複数、含めることができます。デプロイメント プランから変数を削除するには、テキスト エディタを使用して以下を削除します。

  • variable-definition スタンザの variable 定義

  • 削除される変数を参照するすべての variable-assignment 要素

管理者入力を必要とする null 変数の割り当て

既存の変数定義に null 値を割り当てるには、単に variable 要素内の value 下位要素の中にある任意のテキスト値を、<value xsi:nil="true"></value> に変更します。この場合 xsi ネームスペースは、xmlns:xsi="http://www.w3.org/2001/XMLSchema-instance" と定義されています。次に例を示します。

...
  <variable-definition>
    <variable>
      <name>SessionDescriptor_InvalidationIntervalSecs_11029744771850</name>
      <value>80</value>
    </variable>
  </variable-definition>
...

これを次のように変更します。

...
  <variable-definition>
    <variable>
      <name>SessionDescriptor_InvalidationIntervalSecs_11029744771850</name>
      <value xsi:nil="true"></value>
    </variable>
  </variable-definition>
...

エクスポートされたデプロイメント コンフィグレーションの検証

Administration Console は、新しくインストールされたアプリケーションまたはモジュールのデプロイメント コンフィグレーションを自動的に検証します。エクスポート プロセス中に作成したカスタム デプロイメント プランを検証するには、次の手順に従います。

  1. 選択されたチューニング プロパティの変数の追加」に記載の手順に従い、カスタム デプロイメント プランの最終バージョンと共にアプリケーションまたはモジュールをインストールします。Administration Console は、インストール ディレクトリの plan サブディレクトリ内に plan.xml という名前のデプロイメント プランがあれば、それを自動的に使用します。

  2. [デプロイメントの概要] ページで、インストールしたアプリケーションまたはモジュールの名前を選択します。

  3. [デプロイメント プラン|依存関係] タブを選択します。

  4. デプロイされたモジュールについてコンフィグレーションされた依存関係が、選択された対象サーバについて有効であることを確認します。

デプロイメント コンフィグレーションのエクスポートのベスト プラクティス

アプリケーションのデプロイメント コンフィグレーションをエクスポートする際には、以下のベスト プラクティスに留意してください。