Oracle® Fusion Middleware Oracle WebLogic Server Tuxedo Connector 管理ガイド 11g リリース 1 (10.3.1) B55553-01 |
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以下の節では、Tuxedo キュー ブリッジの機能とコンフィグレーションについて説明します。
Tuxedo キュー ブリッジは Oracle WebLogic Tuxedo Connector の一部であり、Tuxedo アプリケーション環境と通信する WebLogic Server アプリケーションのために双方向 JMS インタフェースを提供します。環境間でのメッセージングの転送は、クライアント アプリケーションの代わりにサービスを呼び出すのに使用するテキスト、Byte、または XML データ ストリームを含む JMS ベースのメッセージで構成されます。
Tuxedo キュー ブリッジの機能は以下のように決定されます。
接続性は、[WTC サービス] の [Tuxedo キュー ブリッジ] ページの [リダイレクト] タブにある属性のコンフィグレーションによって決定されます。
Tuxedo キュー ブリッジは、Java Messaging Service (JMS) を使用して Tuxedo /Q または Tuxedo サービスへのインタフェースを提供します。
Tuxedo キュー ブリッジは、既存の Tuxedo システムに接続性を提供するために、XML と FML32 間においてシンプルな変換を提供します。
この節では、JMS のメッセージが Tuxedo キュー ブリッジを介して Tuxedo キューおよびサービスに渡されるまでの流れを説明します。
注意 : メッセージは、確認応答されるまで JMS キューに保持されます。 |
Web が有効化された WLPI アプリケーションなどの JMS クライアントにより、Tuxedo で処理されるメッセージが JMS キューに配置されます。このメッセージがトランザクションの一部だった場合、トランザクションがコミットされます。
メッセージが JMS キューから移動し、Tuxedo キュー ブリッジ コンバータで処理されます。
Tuxedo キュー ブリッジ コンバータによりメッセージ タイプがチェックされ、サポートされている JMS メッセージ タイプが JATMI のバッファ タイプに変換されます。
BytesMessage、TextMessage、XML が、それぞれ TypedCArray、TypedString、TypedFML32 に変換されます。TranslateFML
属性の値に従って、XML/FML 変換が実行されます。
変換エラーが発生した場合、エラーは wlsServerErrorDestination
キューに送られ、メッセージは JMS セッションで確認応答されます。
認識されない JMS メッセージを受信した場合、適宜エラー メッセージがログされ、そのメッセージは確認応答された後、破棄されます。これはコンフィグレーション エラーと解釈され、Tuxedo キュー ブリッジはメッセージをエラー キューにリダイレクトしません。
変換されたメッセージが、T/Domain ゲートウェイを使用して Tuxedo に送られます。
JmsQ2TuxQ
のリダイレクト セットを利用し、JATMI の tpenqueue
を使用して、メッセージが Tuxedo キューに送られます。
JmsQ2TuxS
のリダイレクト セットを利用し、JATMI の tpcall
を使用して、メッセージが Tuxedo サービスに送られます。
tpenqueue
または tpcall
が成功した場合、戻り値が ReplyQ に置かれます。メッセージが JMS セッションで確認応答されます。
tpenqueue
または tpcall
が失敗した場合、メッセージは Tuxedo キュー ブリッジにより wlsServerErrorDestination
キューに送られ、JMS セッションで確認応答されます。wlsServerErrorDestination
キューがコンフィグレーションされていない場合、メッセージは破棄され、Tuxedo キュー ブリッジは応答確認されていない次のメッセージを処理します。
この節では、TuxQ2JmsQ
リダイレクトを利用して、Tuxedo のメッセージが Tuxedo キュー ブリッジを介して JMS キューに渡されるまでの流れを説明します。
注意 : Tuxedo キュー ブリッジはトランザクションを使用して、Tuxedo /Q から JMS キューへの転送中にメッセージが失われないようにします。 |
Tuxedo キュー ブリッジにより、Tuxedo キューの使用可能なメッセージがポーリングされます。
Tuxedo サービスにより、メッセージが Tuxedo キューに配置されます。
Tuxedo キュー ブリッジでは、JATMI の tpdequeue
を使用して、Tuxedo からメッセージを転送し、JMS キューに配置します。
何らかの理由で、指定された再試行回数を使い果たしてもメッセージが JMS キューにリダイレクトされない場合、メッセージは Tuxedo キューと同じキュー スペースにある tuxErrorDestination
キューに配置されます。
Tuxedo キュー ブリッジがメッセージを tuxErrorDestination
キューに配置できなかった場合は、エラー ログが記録されて、メッセージは失われます。
tuxErrorDestination
キューが指定されていない場合、メッセージは失われます。
Tuxedo キュー ブリッジには、次のような制限があります。
JMS からメッセージを取り出して Tuxedo キューに配置する場合や、Tuxedo サービスを呼び出す場合には、トランザクションは使用されません。
Tuxedo キュー ブリッジは、スレッド インテンシブです。JMS キューから Tuxedo へメッセージが転送されるたびに、スレッドが使用されます。コンフィグレーションされている Tuxedo キューをモニタするには、ポーリング スレッドが必要になります。
XML/FML 変換は、簡単なメッセージ構造の構築のために行われます。XML から FML への変換の詳細については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server Tuxedo Connector プログラマーズ ガイド』の「FML32 の考慮事項」を参照してください。
Tuxedo キュー ブリッジの接続性は、[WTC サービス] の [Tuxedo キュー ブリッジ] ページの [リダイレクト] タブにある属性のコンフィグレーションによって決定されます。これらの属性には、Tuxedo への接続を確立するために必要な情報が含まれています。
完全な Tuxedo キュー ブリッジのコンフィグレーションには、次の条件が必要です。
1 つのキュー ブリッジがコンフィグレーションされていること
1 つまたは複数のリダイレクトがコンフィグレーションされていること
通常、Tuxedo キュー ブリッジは、完全な Tuxedo キュー ブリッジのコンフィグレーションが存在し、WTC をデプロイした後にアクティブ化します。Tuxedo キュー ブリッジがアクティブになったら、WTC キュー ブリッジを停止するまでコンフィグレーションに対して追加や変更はできません。
WTC がアクティブ化され、Tuxedo キュー ブリッジが非アクティブ化されている場合、以下のような追加と変更が可能です。
WTC キュー ブリッジの追加 (WTC キュー ブリッジ コンフィグレーションがない場合)
WTC キュー ブリッジの変更
WTC キュー ブリッジの削除
WTC リダイレクトの追加
WTC リダイレクトの変更
WTC リダイレクトの削除
WTC キュー ブリッジのコンフィグレーションを変更したら、変更をアクティブ化する必要があります。
注意 : Tuxedo キュー ブリッジを動的に追加または変更できるのは、キュー ブリッジがアクティブ化されていない場合のみです。WTC はアクティブ化されていてもかまいませんが、キュー ブリッジは非アクティブ化されている必要があります。WTC キュー ブリッジを停止するには、WTC サーバを非アクティブ化する必要があります。 |
Tuxedo キュー ブリッジは、アクティブ化の時点で完全な WTC キュー ブリッジのコンフィグレーションが利用できる場合にのみ起動されます。
WTC キュー ブリッジのコンフィグレーションが完全でない場合は、Tuxedo キュー ブリッジのインスタンスは利用できません。
WTC サービスの Tuxedo キュー ブリッジおよびリダイレクトがコンフィグレーションされており、対象サーバに WTC サービスがデプロイされている場合、Tuxedo キュー ブリッジは、WebLogic Server アプリケーション環境の一部として起動されます。Tuxedo キュー ブリッジが起動できないようなコンフィグレーション条件が発生した場合は、エラーがログされます。
Tuxedo キュー ブリッジは、JMS キューと Tuxedo /Q または JMS キューと Tuxedo サービスのインスタンス間で、一方向のデータ接続を確立します。この接続は、WTC サービスの Tuxedo キュー ブリッジのリダイレクト コンフィグレーションで表され、識別されたポイント間に 1 対 1 の接続を提供します。3 つのタイプの接続がコンフィグレーションできます。次に、各接続タイプについて説明します。
JmsQ2TuxQ
: JMS キューから読み取りを行い、指定された Tuxedo /Q にメッセージを転送します。
TuxQ2JmsQ
: Tuxedo /Q から読み取りを行い、JMS にメッセージを転送します。
JmsQ2TuxS
: JMS キューから読み取りを行い、同時に指定された Tuxedo サービスを呼び出し、指定された JMS キューに応答を返します。
注意 : MapMessage、ObjectMessage、StreamMessage の JMS メッセージ タイプは、Oracle WebLogic Tuxedo Connector では無効です。これらのメッセージ タイプの 1 つが Tuxedo キュー ブリッジによって受信された場合は、サポートされていないタイプであることを示すログ エントリが作成され、メッセージが破棄されます。 |
以下に、各接続タイプのコンフィグレーションの例を紹介します。
以下の節では、JMS キューから読み取りを行い、Tuxedo /Q に送信する、config.xml
ファイルのコンフィグレーションの例を示します。
<wtc-tbridge-redirect> <direction>JmsQ2TuxQ</direction> <name>redir0</name> <reply-q>RPLYQ</reply-q> <source-name>weblogic.jms.Jms2TuxQueue</source-name> <target-access-point>TDOM2</target-access-point> <target-name>STRING</target-name> <target-qspace>QSPACE</target-qspace> <translate-fml>NO</translate-fml> </wtc-tbridge-redirect>
次に、JmsQ2TuxQ
コンフィグレーションの各コンポーネントを説明します。
Direction
接続タイプは JmsQ2TuxQ
です。
SourceName
は、読み取る JMS キューの名前が weblogic.jms.Jms2TuxQueue
であることを指定します。Tuxedo キュー ブリッジは、CLIENT_ACKNOWLEDGE
セマンティクスを使用して、このキューに JMS クライアント セッションを確立します。
TargetAccessPoint
は、アクセス ポイントの名前が TDOM2
であることを指定します。
TargetQspace
は、Qspace の名前が Qspace
であることを指定します。
TargetName
は、キューの名前が STRING
であることを指定します。
ReplyQ
は、JMS 応答キューの名前が RPLYQ
であることを指定します。このキューを使用すると、tpenqueue
は TMFORWARD
機能を提供します。
TranslateFML
が NO
になっていると、Tuxedo キュー ブリッジがデータ変換を提供しないことを指定します。
表 7-1 に、JmsQ2TuxQ メッセージ マッピングの情報を示します。
以下に、Tuxedo /Q から読み取りを行い、JMS キューに送信する、config.xml
ファイルのコンフィグレーションの例を示します。
<wtc-tbridge-redirect> <direction>TuxQ2JmsQ</direction> <name>redir1</name> <source-access-point>TDOM2</source-access-point> <source-name>STRING</source-name> <source-qspace>QSPACE</source-qspace> <target-name>weblogic.jms.Tux2JmsQueue</target-name> <translate-fml>NO</translate-fml> </wtc-tbridge-redirect>
次に、TuxQ2JmsQ
コンフィグレーションの各コンポーネントを説明します。
Direction
接続タイプは TuxQ2JmsQ
です。
TargetName
は、読み取る JMS キューの名前が weblogic.jms.Tux2JmsQueue
であることを指定します。
SourceAccessPoint
は、アクセス ポイントの名前が TDOM2
であることを指定します。
SourceQspace
は、Qspace の名前が Qspace
であることを指定します。
SourceName
は、キューの名前が STRING
であることを指定します。
TranslateFML
が NO になっていると、Tuxedo キュー ブリッジがデータ変換を提供しないことを指定します。
TranslateFML
が Flat になっていると、Tuxedo キュー ブリッジがそのデータを FML から XML に変換することを指定します。
表 7-2 に、TuxQ2JmsQ
メッセージ マッピングの情報を示します。
次に、JMS キューから読み取りを行い、Tuxedo サービスを呼び出して、結果を JMS キューに返す、config.xml
ファイルのコンフィグレーションの例を示します。
<wtc-tbridge-redirect> <direction>JmsQ2TuxS</direction> <name>redir0</name> <replyq>weblogic.jms.Tux2JmsQueue</replyq> <source-name>weblogic.jms.Jms2TuxQueue</source-name> <target-access-point>TDOM2</target-access-point> <target-name>TOUPPER</target-name> <translate-fml>FLAT</translate-fml> </wtc-tbridge-redirect>
次に、JmsQ2TuxS
コンフィグレーションの各コンポーネントを説明します。
Direction
接続タイプは JmsQ2TuxS
です。
SourceName
は、読み取る JMS キューの名前が weblogic.jms.Jms2TuxQueue
であることを指定します。
TargetAccessPoint
は、アクセス ポイントの名前が TDOM2
であることを指定します。
TargetName
は、キューの名前が TOUPPER
であることを指定します。
ReplyQ
は、JMS 応答キューの名前が weblogic.jms.Tux2JmsQueue
であることを指定します。
TranslateFML
が FLAT
になっていると、JMS メッセージの受信時に、メッセージが XML フォーマットで、対応する FML32 データ バッファに変換されることを指定します。メッセージは、引数 TDOM2
および TOUPPER
とともに tpcall
に配置されます。メッセージは FML32 から XML に変換され、weblogic.jms.Tux2JmsQueue
に配置されます。
表 7-3 に、JMSQ2TuxS メッセージ マッピングの情報を示します。
表 7-3 JMSQ2TuxS メッセージ マッピング
JMS メッセージ タイプ | Oracle WebLogic Tuxedo Connector JATMI (Tuxedo) | JMS メッセージ タイプ |
---|---|---|
BytesMessage |
TypedCArray |
BytesMessage |
TextMessage (translateFML = NONE) |
TypedString |
TextMessage |
TextMessage (translateFML = FLAT) |
TypedFML32 |
TextMessage |
注意 : Tuxedo からの応答の受信時、translateFML パラメータに関係なく、変換が自動的に実行される場合があります。 |
XML/FML 変換の詳細については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server Tuxedo Connector プログラマーズ ガイド』の「WebLogic Tuxedo Connector での FML の使用」を参照してください。
Oracle WebLogic Tuxedo Connector では、複数の Tuxedo キュー ブリッジ リダイレクト インスタンスがサポートされています。リダイレクト インスタンスを複数使用すると、多くの環境下でアプリケーションのスケーラビリティおよびパフォーマンスが著しく向上します。ただし、その場合メッセージが処理される順序がランダムになります。優先度のマッピングをしても順序は保証されませんが、割り当てられた重要度に従ってメッセージに対応するメカニズムが提供されます。配信の順序を確実にしたい場合は、Tuxedo キュー ブリッジ リダイレクト インスタンスを 1 つだけ使用してください。
JMS および Tuxedo 間で優先度をマップするには、優先度マッピングを使用します。
JMS には 10 の優先度があります (0 ~ 9)。
Tuxedo/Q には 100 の優先度があります (1 ~ 100)。
この節では、Tuxedo および JMS サブシステム間で優先度をマップするメカニズムについて説明します。2 つのマッピング方向があります。
JmstoTux
TuxtoJms
次の value
:range
の組み合わせで示すように、すべての値にデフォルトが提供されています。
value
は入力優先度を指定します。
range
は結果出力優先度のシーケンシャル グループを指定します。
JmstoTux- 0:1 | 1:12 | 2:23 | 3:34 | 4:45 | 5:56 | 6:67 | 7:78 | 8:89 | 9:100 TuxtoJms- 0:1-10|1:11-20|2: 21-30|3: 31-40|4: 41-50|5:51-60|6: 61-70|7:71-80|8:81-90|9:91-100
このコンフィグレーションでは、優先度 7 の JMS メッセージが Tuxedo /Q の優先度 78 に割り当てられます。優先度 47 の Tuxedo /Q は、優先度 4 の JMS に割り当てられます。
Tuxedo キュー ブリッジが Tuxedo キューまたは JMS キューからメッセージを受信したときに問題を検出した場合、再試行間隔の後に次の処理が行われます。
情報がログされます。
コンフィグレーションされている場合は、メッセージがエラー キューに保存されます。
認識できない JMS メッセージを受信した場合、適切なエラー メッセージがログされ、そのメッセージは破棄されます。これはコンフィグレーション エラーと解釈され、Tuxedo キュー ブリッジはメッセージをエラー キューにリダイレクトしません。
Tuxedo キュー ブリッジのエラー キューには、次のような制限があります。
Tuxedo エラー送り先は一度だけ指定できます。
ErrorDestination
に関連するエラー キュー名は、すべての QSPACE が使用可能な同じエラー キュー名を持っていることを示します。
エラーが発生した場合、メッセージはソース QSPACE に返されます。QSPACE が破損している、またはいっぱいであると判断されると、後続のメッセージは消失します。
エラー時にメッセージを破棄するよう指定する方法はありません。すべてのメッセージが受信されるか、まったく受信されません。
エラーに関する情報は、サーバ ログでのみ提供されます。