1 OC4Jの概要

この章では、Oracle Application Server 10g（10.1.3.5.0）インストールの一部またはスタンドアロン・サーバーであるOracle Containers for J2EE 10g（10.1.3.5.0）（OC4J）について説明します。

この章には、次の項目が含まれています。

• OC4Jの概要

• OC4Jドキュメント・セットの情報

• OC4Jのインストール

OC4Jの概要

Oracle Containers for J2EE 10g（10.1.3.5.0）は、完全なJava 2 Enterprise Edition（J2EE）1.4準拠の環境を提供します。

OC4Jは、J2EEで指定されているすべてのコンテナ、APIおよびサービスを提供します。優れたJ2EEコンテナの1つであるOrionサーバーを開発したIronflare Corporationの技術ライセンスに基づいています。そのため、製品および一部のドキュメントには、依然としてOrionサーバーの参照が含まれています。

OC4Jは、完全にJavaで記述されており、Java Platform Standard Edition（Java SE）Development Kit（JDK）、Java 2 Platform Standard Edition（J2SE）Development Kit（JDK）5.0（JDK 1.5とも呼ばれる）またはJDK 1.4.2のJava Virtual Machine（JVM）上で実行されます。

OC4JでのJ2EEサポート

OC4J 10g（10.1.3.5.0）は、表1-1に記載されている標準のJ2EE APIをサポートします。

表1-1 OC4JのJ2EEサポート

J2EEの標準API	OC4Jでサポートされているバージョン
JavaServer Pages（JSP）	2.0
サーブレット	2.4
Enterprise JavaBeans（EJB）	2.1、3.0（完全なEJB 3.0およびJPA実装）
Java Management Extensions（JMX）	1.2
J2EE Management	1.0
J2EE Application Deployment	1.1
Java Transaction API（JTA）	1.0
Java Message Service（JMS）	1.1
Java Naming and Directory Interface（JNDI）	1.2
Java Mail	1.2
Java Database Connectivity（JDBC）	3.0
Oracle Application Server Java Authentication and Authorization Service（JAAS）Provider	1.0
J2EE Connector Architecture	1.5
Java API for XML-Based RPC（JAX-RPC）	1.1
SOAP with Attachments API for Java（SAAJ）	1.2
Java API for XML Processing（JAXP）	1.2
Java API for XML Registries（JAXR）	1.0.5

OC4Jの新機能

Oracle Containers for J2EE 10g（10.1.3.x）は次のテキストで示す多くの新機能と拡張を含みます。

Webサービスのサポート

OC4Jは、JAX-RPC 1.1などのJ2EE 1.4標準に従ってWebサービスを完全にサポートします。また、Webサービスの相互運用性もサポートしています。

• EJB 2.1 Webサービス・エンドポイント・モデル

• JSR 109クライアントおよびサーバー・デプロイメント・モデル

• CORBA Webサービス: 既存の基本CORBAサーバントのWebサービスとしてのラッピング、およびIDLからのWSDLの自動生成のサポート

• 呼出しと終了のスタイル（RPC/literal、RPC/encoded、Doc/literal）などのWebサービスの動作のカスタマイズ、JavaからXMLへのマッピングのカスタマイズ、およびセキュリティの強制のためのソース・コード注釈のサポート。

• データベースとJMS Webサービス

J2EE 1.4のアプリケーション管理およびデプロイの仕様のサポート

OC4Jは、J2EE環境におけるアプリケーションのデプロイと管理に対する新しい標準を定義する次の仕様とJSRをサポートします。

• Java Management Extensions（JMX）1.2仕様。J2EE環境でサービスやアプリケーションなどのリソースを管理するための標準インタフェースを作成できます。OC4JでのJMXの実装は、OC4Jサーバーとその中で実行されるアプリケーションを完全に管理するために使用できるJMXクライアントを提供します。

• J2EE Management Specification（JSR-77）。J2EE環境内でアプリケーションを管理するための標準インタフェースを作成できます。

• J2EE Application Deployment API（JSR-88）。J2EE互換の環境にJ2EEアプリケーションとモジュールを構成およびデプロイするための標準APIを定義します。OC4Jの実装には、OC4Jにコンポーネントをデプロイするために必要なOC4J固有の構成データを含むデプロイ・プランの作成または編集（あるいはその両方）の機能が含まれます。

Oracle Application Server TopLinkのサポート

Oracle Application Server TopLinkは、広範なJava 2 Enterprise Edition（J2EE）およびJavaアプリケーション・アーキテクチャで使用できる、優れたオブジェクト永続性フレームワークです。Oracle TopLinkには、OC4Jのコンテナ管理の永続性（CMP）コンテナ、およびBean管理の永続性（BMP）の開発を容易にするベース・クラスのサポートが含まれます。

Oracle Job Scheduler

Oracle Job Schedulerは、J2EEアプリケーションに対する非同期スケジュール・サービスを提供します。主要な機能には、作業が行われる際に実行される作業単位として定義されるジョブを発行、制御および監視するための機能が含まれます。

2フェーズ・コミット・トランザクション・コーディネータ機能

OC4Jの新しい分散トランザクション・マネージャは、Oracleや他のベンダーのデータベースやIBM WebSphere MQのようなJMSプロバイダなどの任意のタイプのXAリソースの間の2フェーズ・トランザクションを調整できます。障害時の自動トランザクション・リカバリもサポートします。

Generic JMS Resource Adapterの拡張

Generic JMS Resource Adapterが、OC4Jの最新バージョンに同梱されているOracle Enterprise Messaging Service（OEMS）およびIBM WebSphere MQ JMSバージョン5.3に対するOC4Jプラグインとして使用できるようになりました。

JMS接続をキャッシュできるようにするため、そして同時にグローバル・トランザクションにも正常に参加できるようにするため、遅延トランザクション登録に対するサポートが追加されました。

さらに、Generic JMS Resource Adapterでのエラー処理が向上しました。プロバイダまたはシステムの障害の後でエンド・ポイントが自動的に再試行を行い、onMessageエラーが正しく処理されるようになりました。

Enterprise JavaBeans 3.0のサポート

OC4J 10g（10.1.3.5.0）は、EJB注釈および依存性注入のサポートを含むEnterprise JavaBeans 3.0最終版の仕様の完全なサポートを提供します。最終版の仕様は次のWebサイトから入手できます。

http://java.sun.com/products/ejb/

注意: EJB 3.0サポートを有効にするには、OC4JでJDK 6またはJDK 5.0を使用する必要があります。JDK 5.0は10g（10.1.3.5.0）リリースに含まれています。このリリースでは、デフォルトで、OPMNで管理されるOC4JインスタンスによってJDK 5.0が使用されます。

次の注釈およびEJBモジュールにある他の注釈を使用できます。

• MessageDrivenDeployment

• StatefulDeployment

• StatelessDeployment

『Oracle Containers for J2EE Enterprise JavaBeans開発者ガイド』では、EJB 3.0の注釈およびEJB 3.0のJPA拡張機能の使用方法を説明します。『Oracle Application Server Annotations Java API Reference』は、EJB 3.0の注釈の参照情報を提供します。

<library-directory>要素のサポート

application.xmlファイルの<library-directory>要素は、OC4Jインスタンスの共有ライブラリの指定に使用できます。OC4Jの起動時に、この要素で指定したディレクトリが、アーカイブを含めるためにスキャンされます。

OC4Jドキュメント・セットの情報

J2EEに関するほとんどの記述は、掲載場所が明らかです。たとえば、サーブレットの実装と使用の方法については、『Oracle Containers for J2EEサーブレット開発者ガイド』で記述されています。表1-2は、J2EEの各テーマと、その情報が記述されているOC4Jドキュメント・セットを示しています。

表1-2 J2EEのテーマに関する情報の場所

J2EEのテーマ	ドキュメント
JSP	『Oracle Containers for J2EE JavaServer Pages開発者ガイド』
JSPタグ・ライブラリ	『Oracle Application Server Containers for J2EE JSPタグ・ライブラリおよびユーティリティ・リファレンス』
サーブレット	『Oracle Containers for J2EEサーブレット開発者ガイド』
EJB	『Oracle Containers for J2EE Enterprise JavaBeans開発者ガイド』
JTA	『Oracle Containers for J2EEサービス・ガイド』
データソース	『Oracle Containers for J2EEサービス・ガイド』
JNDI	『Oracle Containers for J2EEサービス・ガイド』
JMS	『Oracle Containers for J2EEサービス・ガイド』
RMIとRMI/IIOP	『Oracle Containers for J2EEサービス・ガイド』
セキュリティ	『Oracle Containers for J2EEセキュリティ・ガイド』
CSiV2	『Oracle Containers for J2EEセキュリティ・ガイド』
J2CA	『Oracle Containers for J2EEリソース・アダプタ管理者ガイド』
Javaオブジェクト・キャッシュ	『Oracle Containers for J2EEサービス・ガイド』
Webサービス	『Oracle Application Server Web Services開発者ガイド』
HTTPS	『Oracle Containers for J2EEサービス・ガイド』

OC4Jのインストール

OC4Jは、J2EEに準拠する軽量コンテナです。強力で実用的なデフォルトで構成されており、インストールしてすぐに実行できます。OC4JはOracle Application Serverとともにインストールされるため、OC4Jのインストールの詳細は、Oracle Application Serverのインストレーション・ガイドを参照してください。