この章では次の項について説明します。
Oracle Web Services Managerのクローニング機能を使用すると、Oracle WSM環境のミラー・イメージを作成できます。
クローニングを使用する状況
クローニングは、次の状況で使用できます。
Oracle WSMインストールのゴールド・コピーのクローニングによる高可用性(HA)に対応したクラスタの設定。
テスト環境からステージング環境へのクローニングまたはステージング環境から本番環境へのクローニング。
データベース・クローニングのサポート
Oracle Databaseを別のOracle Databaseにクローニングできます。ただし、OracleLite Databaseのクローニングはサポートされていません。2つのOracleLite Database間のクローニングおよびOracle DatabaseからOracleLite Databaseへのクローニングはできません。
Oracle WSMを含むOracle Application Serverインスタンスのクローニングには、2つの異なるタスク・セットがあります。1つ目のタスク・セットには、Oracle WSMを除くOracle Application Server中間層インスタンスのクローニングが含まれます(次の手順2を参照)。この手順ではOracle WSM構成ファイルがクローニングされないため、Oracle WSMを別にクローニングする必要があります。2つ目のタスク・セットでは、Oracle WSMアプリケーションおよびデータがクローニングされます(手順1、3および4)。
Oracle WSMインストールをクローニングする手順の概要は、次のとおりです。
ソース・インストールを検査して、Oracle WSMデータベースおよび構成ファイルからデータをエクスポートします。
ソース・インストールのORACLE_HOME
/owsm/bin
ディレクトリから、wsmadmin inspectTopology
コマンドを実行します。このコマンドでは、次のことを行います。
Oracleインストールのトポロジを記述するファイル(ORACLE_HOME
\owsm\config\topology\topology.properties
)の生成
Oracle Database表のデータのエクスポート
wsmadmin inspectTopology
の詳細は、『Oracle Web Services Managerデプロイメント・ガイド』の付録C「Oracle Web Services Manager WSMADMINコマンド」を参照してください。
Oracle Application Server中間層インスタンスをクローニングします。
Oracle Application Serverのクローニングの詳細は、『Oracle Application Server管理者ガイド』の第9章「Application Server中間層インスタンスのクローニング」を参照してください。
宛先トポロジに合せて必要な変更を行います。
ソース・インストール・トポロジの記述を含むファイルは、ORACLE_HOME
/owsm/config/topology/topology.properties
です。このファイルを宛先インストールを示すプロパティで編集する必要があります。宛先インストールのデータベースがソース・インストールと異なる場合は、データベース・プロパティを編集します。topology.properties
ファイルにクリアテキストでデータベース・パスワードを入力し、wsmadmin encodePassword
コマンドを使用してパスワードをエンコードします。
このファイルのプロパティおよびプロパティの編集方法の詳細は、『Oracle Web Services Managerデプロイメント・ガイド』の付録C「Oracle Web Services Manager WSMADMINコマンド」のwsmadmin applyTopology
を参照してください。
ソース・インストールをクローニングします。
宛先インストールのORACLE_HOME
/owsm/bin
ディレクトリから、wsmadmin applyTopology
コマンドを実行します。すべての変更はデータベース表に適用され、宛先のOracle Databaseにインポートされて、構成ファイルが更新されます。
wsmadmin applyTopology
の詳細は、『Oracle Web Services Managerデプロイメント・ガイド』の付録C「Oracle Web Services Manager WSMADMINコマンド」を参照してください。
Oracle Web Services Managerでは、環境間で選択したコンポーネントおよびポリシーを移行する方法が提供されています。
環境間で次のオブジェクトを移行できます。
テスト環境、ステージング環境および本番環境にわたる1つまたは複数のポリシー
Oracle Web Services Manager Gateways、Server Agents、Client AgentsなどのOracle Web Services Managerコンポーネント
Oracle Web Services Manager Gatewayに登録されているサービス
カスタム手順テンプレート
デプロイメント環境、テスト環境および本番環境間で、これらのオブジェクトを一度に1つ以上移行できます。
注意: Oracle WSMコンポーネントおよびOracle WSM Databaseのデータをすべて移行する場合は、「Oracle Web Services Managerのクローニング」で説明されているOracle WSMのクローニング機能を使用してください。 |
移行するオブジェクトは入力ファイルに指定されます。WSMADMINコマンドライン・ツールでは、この入力ファイルを使用して、指定されたコンポーネントのデータをディレクトリにエクスポートします。データはXMLファイルとしてエクスポートされます。
エクスポートされたオブジェクトには、宛先マシンに正常にインポートするために指定が必要な属性があります。これらの属性は、オブジェクトのデータをインポートするWSMADMINコマンドライン・ツールで使用される入力ファイルに指定されます。
Oracle Webサービス・オブジェクトをエクスポートおよびインポートする前に、ソース・マシンおよび宛先マシンにOracle Application Server 10gリリース3(10.1.3.4)がインストールされていることを確認します。
オブジェクトのエクスポートおよびインポート手順の概要については、次の項を参照してください。
Oracle Webサービス・オブジェクトをエクスポートするには、次の手順を実行します。
入力ファイルを作成してエクスポートするオブジェクトを指定します。
ORACLE_HOME
/owsm/bin/coresv.properties
ファイルを編集します。db.export.dir
プロパティの値を編集して、コンポーネントがエクスポートされるディレクトリを指定します。
コンポーネントをエクスポートします。
データが正常にエクスポートされたことを検証します。
次の項にその他の詳細を示します。
入力ファイルLMTInstructions.xml
では、エクスポートするコンポーネント、サービスおよびカスタム手順を指定します。少なくとも、エクスポートするすべてのコンポーネントのコンポーネントIDをファイルに指定する必要があります。コンポーネントに関連付けられたすべてのポリシーがエクスポートされます。サービスIDを指定して、エクスポートするサービスを指定する必要があります。
例10-1は、コンポーネントのエクスポートに使用されるLMTInstructions.xml
ファイルの例です。この例では、ID C0003001とC0003030の2つのコンポーネントがエクスポートされます。1つ目のコンポーネントに登録されている、ID SID0003268とSID0003269の2つのサービスがエクスポートされます。
2つ目のコンポーネントC0003030の場合、ID 891B611A-0F24-85DD-3C27-8B56B5F7G4F21249のカスタム手順がエクスポートされます。カスタム手順をエクスポートするには、カスタム手順を追加したコンポーネントを指定する必要があります。このコンポーネントに関連付けられた他のサービスまたはカスタム手順はエクスポートされません。
例10-1 オブジェクトのエクスポートに使用されるLMTInstructions.xmlファイルの例
<?xml version="1.0"?> <lmt-instructions> <transferable-objects> <component id="C0003001"> <service id="SID0003268"> </service> <service id="SID0003269"> </service> </component> <component id="C0003030"> <step-template id="891B611A-0F24-85DD-3C27-8B56B5F7G4F21249" version="1.0"> </step-template> </component> <component id="C0003031"> </component> </transferable-objects> </lmt-instructions>
ORACLE_HOME
\owsm\bin
ディレクトリから、次のコマンドを実行します。
wsmadmin exportTransferableObjects
入力ファイルLMTInstructions.xml
は、ソース・マシンのORACLE_HOME
/scripts
ディレクトリに格納されている必要があります。データは、ORACLE_HOME
/owsm/bin/coresv.properties
ファイルのdb.export.dir
プロパティで指定されたディレクトリにエクスポートされます。
このコマンドの詳細は、『Oracle Web Services Managerデプロイメント・ガイド』の付録C「Oracle Web Services Manager WSMADMINコマンド」を参照してください。
次のオブジェクトがエクスポートされたと仮定します。
コンポーネントID C0003001のOracle Web Services Manager Gateway
コンポーネントID SID0003268とSID0003269のC000301に登録されている2つのWebサービス
コンポーネントID C0003030の2つ目のコンポーネント。このコンポーネントはゲートウェイではないため、Webサービスはエクスポートされません。
コンポーネントID 891B611A-0F24-85DD-3C27-8B56B5F7G4F21249のカスタム手順テンプレート
db.export.dir
プロパティ(この例では、export_dir
)で指定されたディレクトリ内に、サブディレクトリが作成されます。エクスポートのタイムスタンプは、サブディレクトリの名前として割り当てられます。
db.export.dir
がexport_dir
に設定されていて、エクスポートが2008年1月28日05:12:15 p.m.に実行されたと仮定します。ディレクトリ構造は次のようになります。
export_dir/28Jan2008-05-12-15PM
タイムスタンプ(28Jan2008-05-12-15PM
)サブディレクトリには、エクスポートされた各コンポーネントのディレクトリがあります。たとえば、次のようになります。
export_dir/28Jan2008-05-12-15PM/C0003001 export_dir/28Jan2008-05-12-15PM/C0003030
他のコンポーネントをエクスポートした場合は、export_dir/28Jan2008-05-12-15PM
の下に各コンポーネントのサブディレクトリがあります。
C003001コンポーネントのサブディレクトリ内に、エクスポートされたWebサービスのディレクトリがあります。この例では、次のディレクトリがあります。
export_dir/28Jan2008-05-12-15PM/C0003001/SID0003268/ export_dir/28Jan2008-05-12-15PM/C0003001/SID0003269/
同様に、エクスポートしたカスタム手順テンプレートのディレクトリがあります。この例では、次のディレクトリがあります。
export_dir/28Jan2008-05-12-15PM/C0003030/891B611A-0F24-85DD-3C27-8B56B5F7G4F21249/
export_dir/28Jan2008-05-12-15PM
の各ディレクトリ内には、多くのXMLファイルがあります。
Oracle Webサービス・オブジェクトをインポートするには、次の手順を実行します。
宛先マシン用の入力ファイルを作成します。
データのインポート元のディレクトリを指定します。インポート・ディレクトリは、ORACLE_HOME
/owsm/bin/coresv.properties
ファイルのdb.import.dir
プロパティで指定されます。
エクスポートしたデータを宛先マシンのインポート・ディレクトリにコピーします。
コマンドを実行してコンポーネントをインポートします。
コンポーネントが正しくインポートされたことを検証します。
クライアントまたはサーバー・エージェントをインポートすると、新しいコンポーネントIDが割り当てられます。インポートした後に、新しいコンポーネントIDでクライアントまたはサーバー・エージェントをWebアプリケーションまたはWebサービスに再デプロイする必要があります。
注意: クライアント・エージェントのデプロイの詳細は、『Oracle Web Services Managerデプロイメント・ガイド』を参照してください。 |
カスタム手順をインポートする場合は、ソース・マシンから宛先マシンにJavaアーカイブ(JAR)ファイルをコピーして、ORACLE_HOME
/owsm/samples/customsteps
ディレクトリにカスタム手順を抽出する必要があります。
次の項にその他の詳細を示します。
入力ファイルLMTInstructions.xml
を作成します。このファイルの詳細は、『Oracle Web Services Manager管理者ガイド』の第10章「Oracle WSMのクローニングおよび水平移行」を参照してください。
ORACLE_HOME
\owsm\bin
ディレクトリから、次のコマンドを実行します。
wsmadmin importTransferableObjects
使用方法
入力ファイルLMTInstructions.xml
は、宛先マシンのORACLE_HOME
/scripts
ディレクトリに格納されている必要があります。
データは、ORACLE_HOME
/owsm/bin/coresv.properties
ファイルのdb.import.dir
プロパティで指定されたディレクトリにインポートされます。
インポートされるOracle WSMコンポーネント、サービスおよび手順テンプレートには、宛先マシンで次の使用可能なIDが割り当てられます。
例10-2は、オブジェクトのインポートに使用されるLMTInstructions.xml
ファイルの例です。
例10-2 オブジェクトのインポートに使用されるLMTInstructions.xmlファイルの例
<?xml version="1.0"?> <lmt-instructions> <transferable-objects> <component id="C0003029" import-name="ImportedGateway16Jan" url="http://rgupta-lap.idc.oracle.com:7780/gateway" monitor-rmi-host="localhost" monitor-rmi-port="3118" monitor-soap="http://localhost:7780/coreman/services/CoremanMeasurementClient" monitor-type="rmi" database-url="jdbc:oracle:thin:@//10.177.34.170:1521/orcl.idc.oracle.com" database-driver="oracle.jdbc.driver.OracleDriver" database-user-id="ORAWSM" database-user-password="????BXbXX/cf08QHKYYAb6v4o/bb2r37tTw4Tw==" create-new="false" type="Gateway" mapped-to-component-id="C0003029"> <service id="SID0003268" import-name="TimeService16Jan1" version="1.0" wsdl="http://rgupta-lap.idc.oracle.com:7780/ccore/TimeService.wsdl" url="http://rgupta-lap.idc.oracle.com:7780/ccore/TimeService.jsp"> <pipeline-property pipeline-name="Service" step="0" prop-name="ReplyTimeout" prop-value="300000"/> <pipeline-property pipeline-name="Request" step="0" prop-name="LDAPHost" prop-value="localhost"/> </service> <component id="C0003030" import-name="ImportedServerAgent16Jan" url="" monitor-rmi-host="localhost" monitor-rmi-port="3118" monitor-soap="http://localhost:7780/coreman/services/CoremanMeasurementClient" monitor-type="rmi" database-url="jdbc:oracle:thin:@//10.177.34.170:1521/orcl.idc.oracle.com" database-driver="oracle.jdbc.driver.OracleDriver" database-user-id="ORAWSM" database-user-password="????BXbXX/cf08QHKYYAb6v4o/bb2r37tTw4Tw==" create-new="true" type="ServerAgent" mapped-to-component-id=""> <step-template id="891B611A-0F24-85DD-3C27-8B56B5F7G4F21248" version="1.0" import-id="891B611A-0F24-85DD-3C27-8B56B5F7G4F21249" import-name="Custom JMS Header step - XXXXXX" import-version="1.0" </step-template> </component> <component id="C0003031" import-name="ImportedServerAgent16Jan" url="" monitor-rmi-host="localhost" monitor-rmi-port="3118" monitor-soap="http://localhost:7780/coreman/services/CoremanMeasurementClient" monitor-type="rmi" database-url="jdbc:oracle:thin:@//10.177.34.170:1521/orcl.idc.oracle.com" database-driver="oracle.jdbc.driver.OracleDriver" database-user-id="ORAWSM" database-user-password="????BXbXX/cf08QHKYYAb6v4o/bb2r37tTw4Tw==" create-new="true" type="ClientAgent" mapped-to-component-id=""> </component> </transferable-objects> </lmt-instructions>
注意: wsmadmin importTransferableObjects コマンドの詳細は、『Oracle Web Services Managerデプロイメント・ガイド』の付録C「Oracle Web Services Manager WSMADMINコマンド」を参照してください。 |