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Oracle Web Services Manager管理者ガイド
10g(10.1.3.4)
B50834-01
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10 Oracle WSMのクローニングおよび水平移行

この章では次の項について説明します。

Oracle Web Services Managerのクローニング

Oracle Web Services Managerのクローニング機能を使用すると、Oracle WSM環境のミラー・イメージを作成できます。


注意:

選択したOracle WSMコンポーネント、ポリシーまたはカスタム手順のみを移行する場合は、「Oracle Webサービス・オブジェクトの移行」で説明されている移行機能を使用してください。

クローニングを使用する状況

クローニングは、次の状況で使用できます。

データベース・クローニングのサポート

Oracle Databaseを別のOracle Databaseにクローニングできます。ただし、OracleLite Databaseのクローニングはサポートされていません。2つのOracleLite Database間のクローニングおよびOracle DatabaseからOracleLite Databaseへのクローニングはできません。

Oracle WSMのクローニングの概要

Oracle WSMを含むOracle Application Serverインスタンスのクローニングには、2つの異なるタスク・セットがあります。1つ目のタスク・セットには、Oracle WSMを除くOracle Application Server中間層インスタンスのクローニングが含まれます(次の手順2を参照)。この手順ではOracle WSM構成ファイルがクローニングされないため、Oracle WSMを別にクローニングする必要があります。2つ目のタスク・セットでは、Oracle WSMアプリケーションおよびデータがクローニングされます(手順1、3および4)。

Oracle WSMインストールをクローニングする手順の概要は、次のとおりです。

  1. ソース・インストールを検査して、Oracle WSMデータベースおよび構成ファイルからデータをエクスポートします。

    ソース・インストールのORACLE_HOME/owsm/binディレクトリから、wsmadmin inspectTopologyコマンドを実行します。このコマンドでは、次のことを行います。

    • Oracleインストールのトポロジを記述するファイル(ORACLE_HOME\owsm\config\topology\topology.properties)の生成

    • Oracle Database表のデータのエクスポート

    wsmadmin inspectTopologyの詳細は、『Oracle Web Services Managerデプロイメント・ガイド』の付録C「Oracle Web Services Manager WSMADMINコマンド」を参照してください。

  2. Oracle Application Server中間層インスタンスをクローニングします。

    Oracle Application Serverのクローニングの詳細は、『Oracle Application Server管理者ガイド』の第9章「Application Server中間層インスタンスのクローニング」を参照してください。

  3. 宛先トポロジに合せて必要な変更を行います。

    ソース・インストール・トポロジの記述を含むファイルは、ORACLE_HOME/owsm/config/topology/topology.propertiesです。このファイルを宛先インストールを示すプロパティで編集する必要があります。宛先インストールのデータベースがソース・インストールと異なる場合は、データベース・プロパティを編集します。topology.propertiesファイルにクリアテキストでデータベース・パスワードを入力し、wsmadmin encodePasswordコマンドを使用してパスワードをエンコードします。

    このファイルのプロパティおよびプロパティの編集方法の詳細は、『Oracle Web Services Managerデプロイメント・ガイド』の付録C「Oracle Web Services Manager WSMADMINコマンド」のwsmadmin applyTopologyを参照してください。

  4. ソース・インストールをクローニングします。

    宛先インストールのORACLE_HOME/owsm/binディレクトリから、wsmadmin applyTopologyコマンドを実行します。すべての変更はデータベース表に適用され、宛先のOracle Databaseにインポートされて、構成ファイルが更新されます。

    wsmadmin applyTopologyの詳細は、『Oracle Web Services Managerデプロイメント・ガイド』の付録C「Oracle Web Services Manager WSMADMINコマンド」を参照してください。

Oracle Webサービス・オブジェクトの移行

Oracle Web Services Managerでは、環境間で選択したコンポーネントおよびポリシーを移行する方法が提供されています。

環境間で次のオブジェクトを移行できます。

デプロイメント環境、テスト環境および本番環境間で、これらのオブジェクトを一度に1つ以上移行できます。


注意:

Oracle WSMコンポーネントおよびOracle WSM Databaseのデータをすべて移行する場合は、「Oracle Web Services Managerのクローニング」で説明されているOracle WSMのクローニング機能を使用してください。

移行するオブジェクトは入力ファイルに指定されます。WSMADMINコマンドライン・ツールでは、この入力ファイルを使用して、指定されたコンポーネントのデータをディレクトリにエクスポートします。データはXMLファイルとしてエクスポートされます。

エクスポートされたオブジェクトには、宛先マシンに正常にインポートするために指定が必要な属性があります。これらの属性は、オブジェクトのデータをインポートするWSMADMINコマンドライン・ツールで使用される入力ファイルに指定されます。

Oracle Webサービス・オブジェクトのエクスポートおよびインポートの前に

Oracle Webサービス・オブジェクトをエクスポートおよびインポートする前に、ソース・マシンおよび宛先マシンにOracle Application Server 10gリリース3(10.1.3.4)がインストールされていることを確認します。

オブジェクトのエクスポートおよびインポート手順の概要については、次の項を参照してください。

Oracle Webサービス・オブジェクトのエクスポート

Oracle Webサービス・オブジェクトをエクスポートするには、次の手順を実行します。

  1. 入力ファイルを作成してエクスポートするオブジェクトを指定します。

  2. ORACLE_HOME/owsm/bin/coresv.propertiesファイルを編集します。db.export.dirプロパティの値を編集して、コンポーネントがエクスポートされるディレクトリを指定します。

  3. コンポーネントをエクスポートします。

  4. データが正常にエクスポートされたことを検証します。

次の項にその他の詳細を示します。

オブジェクトのエクスポートに使用される入力ファイルの作成

入力ファイルLMTInstructions.xmlでは、エクスポートするコンポーネント、サービスおよびカスタム手順を指定します。少なくとも、エクスポートするすべてのコンポーネントのコンポーネントIDをファイルに指定する必要があります。コンポーネントに関連付けられたすべてのポリシーがエクスポートされます。サービスIDを指定して、エクスポートするサービスを指定する必要があります。

例10-1は、コンポーネントのエクスポートに使用されるLMTInstructions.xmlファイルの例です。この例では、ID C0003001とC0003030の2つのコンポーネントがエクスポートされます。1つ目のコンポーネントに登録されている、ID SID0003268とSID0003269の2つのサービスがエクスポートされます。

2つ目のコンポーネントC0003030の場合、ID 891B611A-0F24-85DD-3C27-8B56B5F7G4F21249のカスタム手順がエクスポートされます。カスタム手順をエクスポートするには、カスタム手順を追加したコンポーネントを指定する必要があります。このコンポーネントに関連付けられた他のサービスまたはカスタム手順はエクスポートされません。

例10-1 オブジェクトのエクスポートに使用されるLMTInstructions.xmlファイルの例

<?xml version="1.0"?>
<lmt-instructions>
     <transferable-objects>
          <component id="C0003001">
               <service id="SID0003268">
               </service>
               <service id="SID0003269">
               </service>
          </component>
          <component id="C0003030">
               <step-template id="891B611A-0F24-85DD-3C27-8B56B5F7G4F21249"
                version="1.0">
               </step-template>
          </component>
          <component id="C0003031">
          </component>
     </transferable-objects>
</lmt-instructions>

Oracle Webサービス・オブジェクトのエクスポート

ORACLE_HOME\owsm\binディレクトリから、次のコマンドを実行します。

wsmadmin exportTransferableObjects

入力ファイルLMTInstructions.xmlは、ソース・マシンのORACLE_HOME/scriptsディレクトリに格納されている必要があります。データは、ORACLE_HOME/owsm/bin/coresv.propertiesファイルのdb.export.dirプロパティで指定されたディレクトリにエクスポートされます。

このコマンドの詳細は、『Oracle Web Services Managerデプロイメント・ガイド』の付録C「Oracle Web Services Manager WSMADMINコマンド」を参照してください。

エクスポートされたデータの検証

次のオブジェクトがエクスポートされたと仮定します。

  • コンポーネントID C0003001のOracle Web Services Manager Gateway

  • コンポーネントID SID0003268とSID0003269のC000301に登録されている2つのWebサービス

  • コンポーネントID C0003030の2つ目のコンポーネント。このコンポーネントはゲートウェイではないため、Webサービスはエクスポートされません。

  • コンポーネントID 891B611A-0F24-85DD-3C27-8B56B5F7G4F21249のカスタム手順テンプレート

db.export.dirプロパティ(この例では、export_dir)で指定されたディレクトリ内に、サブディレクトリが作成されます。エクスポートのタイムスタンプは、サブディレクトリの名前として割り当てられます。

db.export.direxport_dirに設定されていて、エクスポートが2008年1月28日05:12:15 p.m.に実行されたと仮定します。ディレクトリ構造は次のようになります。

export_dir/28Jan2008-05-12-15PM

タイムスタンプ(28Jan2008-05-12-15PM)サブディレクトリには、エクスポートされた各コンポーネントのディレクトリがあります。たとえば、次のようになります。

export_dir/28Jan2008-05-12-15PM/C0003001
export_dir/28Jan2008-05-12-15PM/C0003030

他のコンポーネントをエクスポートした場合は、export_dir/28Jan2008-05-12-15PMの下に各コンポーネントのサブディレクトリがあります。

C003001コンポーネントのサブディレクトリ内に、エクスポートされたWebサービスのディレクトリがあります。この例では、次のディレクトリがあります。

export_dir/28Jan2008-05-12-15PM/C0003001/SID0003268/
export_dir/28Jan2008-05-12-15PM/C0003001/SID0003269/

同様に、エクスポートしたカスタム手順テンプレートのディレクトリがあります。この例では、次のディレクトリがあります。

export_dir/28Jan2008-05-12-15PM/C0003030/891B611A-0F24-85DD-3C27-8B56B5F7G4F21249/

export_dir/28Jan2008-05-12-15PMの各ディレクトリ内には、多くのXMLファイルがあります。

Oracle Webサービス・オブジェクトのインポート

Oracle Webサービス・オブジェクトをインポートするには、次の手順を実行します。

  1. 宛先マシン用の入力ファイルを作成します。

  2. データのインポート元のディレクトリを指定します。インポート・ディレクトリは、ORACLE_HOME/owsm/bin/coresv.propertiesファイルのdb.import.dirプロパティで指定されます。

  3. エクスポートしたデータを宛先マシンのインポート・ディレクトリにコピーします。

  4. コマンドを実行してコンポーネントをインポートします。

  5. コンポーネントが正しくインポートされたことを検証します。

  6. クライアントまたはサーバー・エージェントをインポートすると、新しいコンポーネントIDが割り当てられます。インポートした後に、新しいコンポーネントIDでクライアントまたはサーバー・エージェントをWebアプリケーションまたはWebサービスに再デプロイする必要があります。


    注意:

    クライアント・エージェントのデプロイの詳細は、『Oracle Web Services Managerデプロイメント・ガイド』を参照してください。

  7. カスタム手順をインポートする場合は、ソース・マシンから宛先マシンにJavaアーカイブ(JAR)ファイルをコピーして、ORACLE_HOME/owsm/samples/customstepsディレクトリにカスタム手順を抽出する必要があります。

次の項にその他の詳細を示します。

オブジェクトのインポートに使用される入力ファイルの作成

入力ファイルLMTInstructions.xmlを作成します。このファイルの詳細は、『Oracle Web Services Manager管理者ガイド』の第10章「Oracle WSMのクローニングおよび水平移行」を参照してください。

Oracle Webサービス・オブジェクトのインポート

ORACLE_HOME\owsm\binディレクトリから、次のコマンドを実行します。

wsmadmin importTransferableObjects

使用方法

  • 入力ファイルLMTInstructions.xmlは、宛先マシンのORACLE_HOME/scriptsディレクトリに格納されている必要があります。

  • データは、ORACLE_HOME/owsm/bin/coresv.propertiesファイルのdb.import.dirプロパティで指定されたディレクトリにインポートされます。

  • インポートされるOracle WSMコンポーネント、サービスおよび手順テンプレートには、宛先マシンで次の使用可能なIDが割り当てられます。

例10-2は、オブジェクトのインポートに使用されるLMTInstructions.xmlファイルの例です。

例10-2 オブジェクトのインポートに使用されるLMTInstructions.xmlファイルの例

<?xml version="1.0"?>
<lmt-instructions>
  <transferable-objects>
    <component id="C0003029"
      import-name="ImportedGateway16Jan"
      url="http://rgupta-lap.idc.oracle.com:7780/gateway"
      monitor-rmi-host="localhost"
      monitor-rmi-port="3118"
      monitor-soap="http://localhost:7780/coreman/services/CoremanMeasurementClient"
      monitor-type="rmi"
      database-url="jdbc:oracle:thin:@//10.177.34.170:1521/orcl.idc.oracle.com"
      database-driver="oracle.jdbc.driver.OracleDriver"
      database-user-id="ORAWSM"
      database-user-password="????BXbXX/cf08QHKYYAb6v4o/bb2r37tTw4Tw=="
      create-new="false"
      type="Gateway"
      mapped-to-component-id="C0003029">
    <service id="SID0003268"
      import-name="TimeService16Jan1"
      version="1.0"
      wsdl="http://rgupta-lap.idc.oracle.com:7780/ccore/TimeService.wsdl"
      url="http://rgupta-lap.idc.oracle.com:7780/ccore/TimeService.jsp">
      <pipeline-property pipeline-name="Service" step="0" prop-name="ReplyTimeout"
        prop-value="300000"/>
      <pipeline-property pipeline-name="Request" step="0" prop-name="LDAPHost"
        prop-value="localhost"/>
    </service>
    <component id="C0003030"
      import-name="ImportedServerAgent16Jan"
      url=""
      monitor-rmi-host="localhost"
      monitor-rmi-port="3118"
      monitor-soap="http://localhost:7780/coreman/services/CoremanMeasurementClient"
      monitor-type="rmi"
      database-url="jdbc:oracle:thin:@//10.177.34.170:1521/orcl.idc.oracle.com"
      database-driver="oracle.jdbc.driver.OracleDriver"
      database-user-id="ORAWSM"
      database-user-password="????BXbXX/cf08QHKYYAb6v4o/bb2r37tTw4Tw=="
      create-new="true"
      type="ServerAgent"
      mapped-to-component-id="">
      <step-template id="891B611A-0F24-85DD-3C27-8B56B5F7G4F21248"
        version="1.0"
        import-id="891B611A-0F24-85DD-3C27-8B56B5F7G4F21249"
        import-name="Custom JMS Header step - XXXXXX"
        import-version="1.0"
      </step-template>
    </component>
    <component id="C0003031"
      import-name="ImportedServerAgent16Jan"
      url=""
      monitor-rmi-host="localhost"
      monitor-rmi-port="3118"
      monitor-soap="http://localhost:7780/coreman/services/CoremanMeasurementClient"
      monitor-type="rmi"
      database-url="jdbc:oracle:thin:@//10.177.34.170:1521/orcl.idc.oracle.com"
      database-driver="oracle.jdbc.driver.OracleDriver"
      database-user-id="ORAWSM"
      database-user-password="????BXbXX/cf08QHKYYAb6v4o/bb2r37tTw4Tw=="
      create-new="true"
      type="ClientAgent"
      mapped-to-component-id="">
    </component>
  </transferable-objects>
</lmt-instructions>

注意:

wsmadmin importTransferableObjectsコマンドの詳細は、『Oracle Web Services Managerデプロイメント・ガイド』の付録C「Oracle Web Services Manager WSMADMINコマンド」を参照してください。

インポートされたデータの検証

Web Services Manager Controlを使用して、コンポーネントおよびサービス・プロパティが正しいことを確認します。「テスト・ページ」を使用してコンポーネントおよびサービスをテストし、想定どおりの結果が得られることを検証します。

変更のロール・バック

データをインポートする際に、undo_import.sqlファイルがインポート・ディレクトリ(db.import.directory)に作成されます。このスクリプトを実行すると、インポート操作の一環として行われたすべての変更をロール・バックできます。SQLプロンプトでこのスクリプトを実行し、データベースのcommitコマンドを実行して変更をコミットします。