この章では、Oracle Access ManagerのためにApache v1.3ベースのWebサーバーを構成する方法について説明します。これには、Apache WebサーバーとOracle HTTP Serverが含まれます。
次の項目について説明します。
Oracle HTTP Serverは、Oracle HTTP Serverと通信するWebサーバー・コンポーネント(WebPass、ポリシー・マネージャ、WebGate)の識別にOracle Access Managerで使用される、インターネットWebサーバーの拡張機能です。Oracle HTTP Server 10g R2(10.1.2)または10g(10.1.3.1.0)の両方のWebサーバー・リリースで、Apache v1.3およびApache v2.0ベースの個別パッケージが提供されます。この拡張機能は、Oracle Access Managerのパッケージ名に反映されます。次に例を示します。
Oracle Access Manager Webコンポーネントは、LinuxやWindowsプラットフォーム上のスタンドアロンOracle HTTP Serverにインストールできます。Oracle Application Serverを使用する際の考慮事項を次に示します。
Oracle HTTP ServerのWebGateをOracle Single Sign-Onと統合できるようにするには、『Oracle Access Manager統合ガイド』の説明に従ってOracle Application Serverにインストールする必要があります。
Oracle HTTP ServerのWebPassとポリシー・マネージャは、Oracle Application Serverで使用できます。ただし、Apache WebPassとApacheポリシー・マネージャもこのアプリケーションに対してサポートされます。
Oracle HTTP Serverの詳細は、『Oracle HTTP Server管理者ガイド』を参照してください。
オラクル社による実装と、基礎になっているオープン・ソースApache製品の違い
Oracle HTTP Serverのディレクトリ構造、構成ファイル、構文、モジュール、ディレクティブ
サーバー・プロセス、ネットワーク接続およびセキュリティ機能の管理
この後で説明するOracle HTTP Server Webコンポーネントの注意事項をよく理解してください。「Oracle HTTP Serverクライアント証明書の設定」も参照してください。
Oracle Access Manager 10.1.4 WebコンポーネントをLinux上のOracle HTTP Serverに対して使用する場合、次の点に注意してください。
Oracle Access Managerでは、ネイティブPOSIXスレッド・ライブラリが使用されます。デフォルトのLinuxThreadsでは、環境変数LD_ASSUME_KERNELを2.4.19に設定する必要があります。NPTLを使用する場合、環境変数LD_ASSUME_KERNELを2.4.19に設定する必要はありません。
関連項目:
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Linux上のApacheまたはOracle HTTP Serverに対してOracle Access Manager 10.1.4コンポーネントをインストールするとき、Webサーバーを実行しているのと同じユーザーとしてインストールするように求められます。httpd.confファイルのUserおよびGroupディレクティブ・エントリを参照してください。ユーザー名nobodyおよびグループnobodyは使用しないでください。Oracle Access Managerコンポーネントのインストールおよび管理に関しては、rootを一切使用しないでください。
ここでは、Apacheのプロセスに基づくアーキテクチャが様々なOracle Access Manager Webコンポーネントにどのように影響するかを説明します。
Apache v1.3でのアイデンティティ・サーバーとWebPassの通信:
各WebPassインスタンスがアイデンティティ・サーバーに接続します。
各接続がシステム・ソースを利用し、それぞれがn個のファイル記述子を使用します。
Apacheがプロセスの起動と停止を頻繁に行わずにすむように、Apacheのチューニング・パラメータを設定します。Oracle Access Managerの使用に関係なくこの設定は同じです。
Apache v1.3でのポリシー・マネージャ:
各Webサーバー・プロセスはポリシー・マネージャ・アプリケーションのインスタンスです。
各アプリケーションは、ディレクトリ・サーバーに対して独自の接続を保持します。これはパフォーマンスには直接影響しません。ただし、ディレクトリ・サーバー側に制限が生じることがあります。他のディレクトリ・サーバー・クライアントが関係する場合には考慮してください。
複数のプロセスが1ユーザーのリクエストに応答します(フレームを構築するために複数のHTTPイベントがトリガーされます)。
レスポンスの待機時間は予測できません。
UIの観点ではプロセス数が少ない方が望ましいが、同時ユーザー数が影響を受けます。
Apache v1.3でのWebGate:
プロセス間の共有キャッシュはありません。
各プロセスは、アクセス・サーバーとの独自の接続を保持します。
プロセスごとに独自の接続があるため、WebGate接続の数を制限する必要があります。この問題は、Webサーバーとアクセス・サーバーを実行するシステムのパフォーマンスの影響を部分的に受けます。
SolarisおよびLinuxプラットフォームのApache Webサーバーではリバース・プロキシ機能を有効にできます。
Apache v1.3はプロセスベースのWebサーバーです。Apache Webサーバーは、各リクエストを処理するように構成されたフィルタを含むクライアント・プロセスを作成します。結果として、各クライアント・プロセスにはWebGateが組み込まれます。
Apache Webサーバーが250のMaxClientsを使用する(ピーク負荷時)ように構成されている場合、これらすべてのプロセスが実行すると250のWebGateが実行時に生成されます。各WebGateは、WebGate定義で指定された接続構成を使用します。たとえば、WebGate構成で1つのアクセス・サーバーに対して4つの接続がある場合、各クライアント・プロセスは構成されているアクセス・サーバーに対して4つの接続を生成します。このため、ピーク負荷時には、アクセス・サーバーに対して1000(250 * 4)の接続が生成されます。
アクセス・サーバーでは、各接続がメッセージ・スレッドに対応し、メッセージ・スレッドがソケットからクライアント・リクエストを読み取ります。ここで説明した構成では、ピーク負荷時には1つのWebGateのリクエストを処理するためだけに1000個のスレッドが生成されます。複数のApache v1.3 Webサーバーが1つのアクセス・サーバーにアクセスするように構成されている場合、この数は各Webサーバーからの接続の合計数になります。このようにアクセス・サーバーのスレッド数は膨大になることがあります。
プロセスのスレッド数が増加すると、CPU使用率やメモリー使用率に関するオーバーヘッドが大きくなります。一部のオペレーティング・システムでは、スレッド数が一定を超えるとスラッシングが開始されるため、アクセス・サーバーのパフォーマンスに悪影響を与えます。
Apache v1.3 Webサーバーは、リクエストの負荷に基づいてクライアント・プロセスを作成および廃棄します。また、子プロセス間のリクエストのロード・バランスを行います。結果として各子プロセスは最大でも1リクエストを処理します。この場合、必要な接続は1つのアクセス・サーバーに対して1つのみになります。
1つのWebGateに2〜3のアクセス・サーバーを構成して、このWebGateからアクセス・サーバーに対する負荷をロード・バランスすることもできます。次に例を示します。
この場合は次の処理が行われます。
ただし、子プロセスの存続期間内に1リクエストがWebサーバーからWebGate1に送信される場合は、AccessServer2とAccessServer3の接続1は使用されないことがあります。
まとめると、Apache v1.3のような複数プロセスWebサーバーでは、1つのアクセス・サーバーに対して1つの接続しか必要ありません。
Apache v2の場合、2つのmpmモード(worker_mpmおよびpre-fork_mpm)で作動するようにWebサーバーを構成できます。worker_mpmでは、リクエストのロード・バランスのためにWebサーバーにスレッドが作成されます。この場合、生成されるプロセス数を決定するためにThreadsPerChildとMaxClientsが使用されます。アクティブな子プロセスの最大数は、MaxClientsディレクティブをThreadsPerChildディレクティブで割った数値です。各プロセスにはWebGateが含まれます。pre-fork mpmの場合、Apache v1.3と同様の動作になり、リクエスト当たりに1つの子プロセスが作成されます。詳細は、第17章「Apache v2ベースのWebサーバーのためのWebコンポーネントの構成」を参照してください。
Oracle Access Manager Webコンポーネントのインストール時には、Webサーバー構成ファイルを更新する必要があります。Oracle Access Manager Webコンポーネントをインストールする際には、Webサーバー構成ファイルの自動更新を選択することをお薦めします。
Oracle Access ManagerのHTMLページではUTF-8エンコーディングが使用されます。ApacheベースのWebサーバーでは、管理者がAddDefaultCharsetディレクティブを使用して、送出されるすべてのHTMLページのデフォルト・キャラクタ・セットを指定できます。このディレクティブは、HTMLページを生成するアプリケーションで指定されるすべてのキャラクタ・セットよりも優先されます。AddDefaultCharsetディレクティブでUTF-8以外のキャラクタ・セットを有効にすると、Oracle Access ManagerのHTMLページが文字化けします。
Oracle Access ManagerのHTMLページを正しく表示するには、AddDefaultCharsetディレクティブをWebサーバー構成ファイル(httpd.conf)に次のように指定することをお薦めします。
AddDefaultCharset Off
このディレクティブの詳細は、Webサーバーのドキュメントを参照してください。
また、Apache v1.3、Oracle HTTP ServerまたはStronghold Webサーバーを実装するには、システムが次の要件を満たすことも必要です。
WebGateおよびWebPassのための動的共有オブジェクト(DSO)のサポート。つまり、Apacheではmod_soを有効にする必要があります。
注意: DSOはすべてのOracle Access Managerプラグインで必要です。 |
WebPassではマルチスレッドが必要です。
WebGateとWebPassを同じWebサーバーにインストールする場合は、DSOとWebPassのためのマルチスレッドが必要です。
Apache Webサーバーを構築するには、パスでgccコマンドとmakeコマンドにアクセスできる必要があります。または、別のANSI準拠Cコンパイラを使用できます。
SolarisおよびLinuxプラットフォームのApache Webサーバーではリバース・プロキシ機能を有効にできます。
Linux上のApacheまたはOracle HTTP Serverに対してOracle Access Managerコンポーネントをインストールするとき、Webサーバーを実行しているのと同じユーザーとしてインストールするように求められます。httpd.confファイルのUserおよびGroupディレクティブ・エントリを参照してください。
Apache v1.3の最新バージョンには重要なセキュリティの修正が含まれています。最新リリースのApache 1.3の使用を強くお薦めします。詳細は、次を参照してください。
ベースApache 1.3 Webサーバーは、ブラウザ接続でSSL(https://
リクエストへの応答)を使用しません。SSLサポートのためのアドオン・モジュールmod_ssl
は、次のWebサイトで入手できます。
ベースApacheサーバーに対するOracle Access Managerプラグインは、mod_ssl
を含むApache(EAPI使用とも呼ばれる)のプラグインとは次の点で異なります。
Oracle Access Managerではmod_sslを含むApacheのみがサポートされます。
注意: SSLをサポートするようにApacheを構築するときは、openssl がmod_ssl で必要です。openssl はmod_ssl を含むように構築されるApacheサーバーの一部として必要です。 |
Oracle Access ManagerのSSL固有の機能は、Apache-SSLと呼ばれるApache 1.3バージョンでは機能しません。
詳細は、「インストールの準備」と「ベースApache Webサーバーのダウンロードとコンパイル」を参照してください。
Apache v1.3とOracle HTTP Serverに対応するOracle Access Manager Webコンポーネントは、インストール内の1つのWebGateとすることも、他のWebGateと混在させることも可能です。詳細は、「アクセス・システムのガイドライン」を参照してください。
「動作保証要件の確認」で説明されているように、次のURLのOracle Technology Networkから最新の動作保証のマトリクスを入手できます。
http://www.oracle.com/technology/products/id_mgmt/coreid_acc/pdf/oracle_access_manager_certification_10.1.4_r3_matrix.xls
この説明はApacheオープン・ソースv1.3のみに適用されます。Apache 1.3の最新バージョンは次のApache Webサイトからダウンロードできます。
SSLプラグインmod_sslは次のWebサイトで入手できます。
これらのサイトには、Apacheまたはmod_ssl
で必要なその他のソフトウェア(openssl
など)のサイトが示されています。Apache Webサーバーのコンパイル方法は、ソフトウェア・ディストリビューションに含まれています。
Apache WebサーバーでOracle Access Managerプラグインをサポートするには、モジュールmod-soをサーバー・バイナリにコンパイルする必要があります。
Apacheまたはmod_sslを含むApacheをmod-soと一緒にコンパイルする手順
コンパイルの前に次の構成オプションを含めます。
--enable-module=so
構成がOracle Access Managerのその他の要件を満たすことを確認し、コンパイルします。
次のリンクでは、Apacheリリースの構築やソース・コードに関する情報が提供されます。
問題の解決方法が見つからない場合は、サービス・リクエストを記録します。
「Apache source code」: http://www.apache.org/dist/httpd
「Mod_SSL source code」: http://www.modssl.org/source/
「OpenSSL source code」: http://www.openssl.org/source/
「What is ApacheSSL」: http://www.apache-ssl.org/#What_is_Apache-SSL
「Compiling and Installing Apache 1.3」: http://httpd.apache.org/docs/install.html
「ApacheSSL build instructions for Win32」: http://www.galatea.com/flashguides/apache-ssl-win32.xml
一部のオペレーティング・システムでは構成時に追加のオプションが必要です。ここに示すオプションの一部は、Apache 1.3の一部のリリースでは重複する可能性がありますが、それ以外のリリースで必要です。
次に、プラットフォームごとのオペレーティング・システム構成コマンドの環境設定を示します。
Solaris:
CFLAGS=-D_REENTRANT
LDFLAGS=-lpthreads
AIX:
CFLAGS=-D_REENTRANT
LDFLAGS=-lpthreads
HP-UX:
CFLAGS=-D_REENTRANT
LDFLAGS="-lcl -lpthreads"
HP-UXでは、PA-RISC1コンパイル・オプション(デフォルト)を使用する必要があります。PA-RISC2(64ビット)オプションは使用しないでください。PA-RISC2を使用すると、「missing symbol」、「bad magic number」、「share object is garbled」のようなロード・エラーを受け取ります。Apache EAPI(mod_ssl)コンパイル済モジュールをプレーンなApacheサーバーにロードすると、どのオペレーティング・システムでも同様のエラーが表示されます。
AIXでは、環境変数AIXTHREAD_SCOPEを値S(大文字)に設定する必要があります。そうしないと、ワーカー・プロセスの終了時にセグメント・エラーが発生することがあります。ただし、WebGateによるコンテンツ配信、認証または認可決定には影響しません。
また、AIXでは、次のディレクティブをhttpd.confファイルに指定することをお薦めします。
AcceptMutex fcntl
このディレクティブがサポートされているのはApache 1.3.24以上のみです。WebGateによるコンテンツ配信、認証または認可決定には影響しません。ただし、(/server-status URLを介して)他のプラットフォームでのApacheの動作がよくわかっている場合は、この設定の使用をお薦めします。
Oracle Access Manager Webコンポーネント(WebPass、ポリシー・マネージャおよびWebGate)は特定の順序でインストールする必要があります。次に例を示します。
詳細は、「インストール・タスクの概要」を参照してください。
Oracle Access Manager Webコンポーネント(WebPass、ポリシー・マネージャおよびWebGate)のインストール時には、Apache Webサーバー構成ファイル(httpd.conf)の手動または自動更新を選択できます。Webサーバー構成ファイルは自動で更新することをお薦めします。httpd.confの手動更新を選択すると手順が指示されます。
Oracle Access Manager Webコンポーネントをインストールするとき、Webサーバー構成ファイルの場所を指定するように求められます。Apacheではhttpd.confのフルパスを入力します。たとえば、httpd.confファイルはApache_install_dir/confディレクトリにあります。
Oracle Access Manager WebコンポーネントをインストールしてWebサーバー構成を最初に更新した後で、httpd.confファイルを再更新する必要がある場合、component_install_dir/oblix/apps/common/docs/config.htmのconfig.htmファイルを参照してください。または、component_install_dir/oblix/tools/setup/InstallTools/ManageHttpConfにあるManageHttpConfプログラムを使用してください。オプションを指定せずにManageHttpConfを実行すると、使用方法が表示されます。
Apache 1.3は、複数のhttpリクエストを一度に処理するためのプロセス・モデルを使用します。これは、他のWebサーバーで採用されている、複数のリクエストを同時に1プロセスで管理するシングル・プロセス(スレッド)モデルとは異なります。Apacheの各下位ワーカー・プロセスが、その他の各ワーカー・プロセスの受信httpリクエストに個別に応答します。
Apacheサーバー構成ファイル(httpd.conf)のいくつかのパラメータが、Apacheサーバーによるワーカー・プロセスの作成または廃棄の決定に影響します。次のパラメータはサーバーのパフォーマンスに影響します。
MaxServers: システムが処理できる同時httpリクエストの数は、システムの最大パフォーマンスによって異なります。
Performance Tuning: システムのパフォーマンス・チューニングは、Apache提供のabプログラムなどのhttp負荷生成ツールを使用して行う必要があります。
MaxSpareServers: アイドル状態の子サーバー・プロセスの必要な最大数を設定します。アイドル・プロセスとは、リクエストを処理していないプロセスです。MaxSpareServers
を超えるアイドル・プロセスがある場合、親プロセスが過剰なプロセスを停止します。
サーバーの状態をできるだけ安定させるには、MaxSpareServers
に高い値を設定します。この値を最大の255に設定すると、すべてのApacheワーカー・プロセスが無制限に使用可能になります。ただし、低負荷時のワーカー・プロセスのリサイクルは行われません。
MaxClients: サポートできる同時リクエスト数の制限を設定します。この数を上回る子サーバー・プロセスは作成されません。MaxClients
の制限を超えて接続しようとすると、通常は、ListenBacklog
ディレクティブに基づく数までがキューに入ります。別のリクエストが終了して子プロセスが解放されると、接続が処理されます。
MaxClientRequests: Apacheでは、ワーカー・プロセスが少しずつ獲得したシステム・リソースが増えすぎて効率が悪くなることを防ぐ安全メカニズムが提供されます。MaxClientRequests
を0より大きな値に設定することで、ワーカー・プロセスが応答できるリクエスト数を制限できます。そのプロセスが終了すると、必要が生じた時点ですぐに新しいワーカー・プロセスに替わられます。この安全メカニズムに問題はありませんが、Oracle Access Manager Webコンポーネント(プラグイン)の起動の遅延がWebブラウザで認識されます。
このパラメータを使用する場合は、エンド・ユーザーが起動の遅延に気付かないように十分に高い値を設定してください。Oracle Access Managerプラグインは、この安全メカニズムがなくてもWebサーバーで実行するように設計されています。
MinSpareServers: アイドル状態の子サーバー・プロセスの必要な最小数を設定します。アイドル・プロセスとは、リクエストを処理していないプロセスです。アイドル・プロセスがMinSpareServersよりも少ない場合、親プロセスは、最高で1秒当たり1つのペースで新しい子プロセスを作成します。このパラメータはポリシー・マネージャで使用します。
注意: このディレクティブを値m に設定すると、n 個のアクティブ・クライアント・リクエストがある場合に、少なくともn + m 個のhttpdプロセスが必ず実行されます。 |
Oracle Access Managerプラグインの初期化が最初のリクエストまで行われないという事実のため、MinSpareServers
パラメータに高い値を設定しても最小限の利点しか得られません。ただし、このパラメータはできるだけ高い値にしておくと役立ちます。専用Webサーバー・システムの場合は、この設定によって非常に高い負荷がかかることはありません。
StartServer: MinSpareServersパラメータの場合と同じく、StartServersパラメータの利点はOracle Access Managerプラグインの初期化遅延のために限られます。
ここで説明したパラメータの適切な値は、予期される負荷や関連するシステム(アクセス・サーバーやLDAPサーバーなど)のパフォーマンス・クラスによって異なります。
非常に高いパフォーマンスのシステムで高負荷が予想される場合は、ワーカー・プロセス数の制限を高くしてApacheサーバーを再コンパイルできます。このようなシステムでは、瞬間的な負荷の急上昇に対処する際に、StartServersパラメータやMinSpareServersパラメータによるパフォーマンスへの大きな影響を確認できます。
場合によっては、アクセス・サーバーを適切に運用できるようにオペレーティング・システムの制限を調整する必要があります。特に、1つのアクセス・サーバーで使用できるファイル記述子の最大数はデフォルト値よりも増やすことをお薦めします。各ApacheベースWebGateと1つのアクセス・サーバーの間に複数の接続を構成すると、すぐにデフォルト制限を上回ります。
ポリシー・マネージャのパフォーマンスは、Apacheとポリシー・マネージャ両方の構成パラメータの影響を受けることがあります。Apacheに対してポリシー・マネージャをチューニングする際には次のファクタを考慮する必要があります。
アイドル状態の子プロセスがあると、新しい受信リクエストがすぐに処理されます。予備の子プロセスが多いほど、処理の開始が速くなります。
各子プロセスはディレクトリ・サーバーに対して別の接続を開きます。子プロセスが多いほど、ディレクトリ・サーバーとの接続も多くなります。
各ユーザーが1つのブラウザを使用すると仮定すると、イメージ、js、HTMLに対する4〜5個の同時リクエストがブラウザからWebサーバーに送られます。同時ユーザーが4名と仮定すると、Webサーバーに対する同時リクエストの合計数は20(4 * 5)になります。
このようなファクタがある場合、新しいユーザーを処理する速さとディレクトリ・サーバーの接続数のバランスを取るためには、次の設定をお薦めします。
MaxClients
= 25
MinSpareServers
= 4
MaxSpareServers
= 5
注意: ポリシー・マネージャはWebサーバーの起動時には接続を開きません。ポリシー・マネージャは最初のリクエスト時に接続を作成します。 |
ポリシー・マネージャが接続を作成するときの遅延を埋め合せるために、すべてのディレクトリ・サーバー・プロファイルですべてのディレクトリ・サーバー接続を1に設定するようにポリシー・マネージャを構成できます。この場合、次のようにApacheを構成できます。
MinSpareServers
= 1
MaxSpareServers
= 2
MaxServers
= 2
このように設定すると、ポリシー・マネージャは、最初のリクエストでの遅延があったとしても適切な速さで応答します。
cert_decodeおよびcredential_mappingプラグインを使用するときは、+EarlierEnvVars
と+ExportCertData
をOracle HTTP Server Webサーバー構成ファイルの既存のSSLオプションに追加して、アクセス・システム・クライアント証明書の認証スキームが、SSL対応Oracle HTTP Serverで適切に作動することを確認する必要があります。次に例を示します。
credential_mapping:
obMappingBase="o=company,c=us",obMappingFilter= "(&(objectclass=InetOrgPerson)(mail=%certSubject.E%))"
ssl.confに次のオプションを指定する必要があります。
SSLOptions +StdEnvVars +ExportCertData +EarlierEnvVars
sslオプションを追加する手順
Oracle HTTP Server Webサーバーの構成ファイルを探して、テキスト・エディタで開きます。次に例を示します。
$ORACLE_HOME/Apache/Apache/conf/ssl.conf
ssl.confファイルの既存のSSLオプションに次の情報を追加します。次に例を示します。
SSLOptions +StdEnvVars +ExportCertData +EarlierEnvVars
ファイルを保存してWebサーバーを再起動します。
Oracle HTTP Serverに対してOracle Access Manager Webコンポーネントをインストールした後で、次の手順を実行する必要があります。
前に説明したように、Oracle HTTP Serverに対してOracle Access Manager Webコンポーネントをインストールする前に、コンポーネントをインストールするユーザーと一致するようにhttpd.confファイルでユーザーとグループを変更してください。
注意: Linux用のOracle Access Managerでは、ネイティブPOSIXスレッド・ライブラリのみが使用されます。このため、環境変数LD_ASSUME_KERNELを2.4.19に設定する必要はありません。 |
Oracle Access Manager WebコンポーネントのためにOracle HTTP Serverをチューニングする手順
通常どおりにopmnを停止します。
opmn.xmlファイルを探して、編集するために開きます。次に例を示します。
$oracle_home/opmn/bin/opmn.xml
opmn.xmlファイルで項目を次のように調整します。
<ias-component id="HTTP_Server"> <process-type id="HTTP_Server" module-id="OHS2"> <environment> <variable id="TMP" value="/tmp"/> </environment> <module-data> <category id="start-parameters"> <data id="start-mode" value="ssl-disabled"/> </category> </module-data> <process-set id="HTTP_Server" numprocs="1"/> </process-type> </ias-component>
次のスクリプトを実行してOPMN構成をリフレッシュします。
#oracle_home/opmn/bin/opmnctl reload
ポリシー・マネージャのhttpd.confファイルで、次の行をコメントにします。
#LoadModule perl_module modules/mod_perl.so #LoadModule php4_module modules/mod_php4.so
「Oracle HTTP Server Webサーバーの起動と停止」の説明に従って、Oracle HTTP Server Webサーバーを起動します。
次の項では、UNIXおよびWindowsでのApacheサーバーの実行に関する情報を説明します。
Oracle HTTP Server Webサーバーの起動と停止は、v1.3とv2の両方ともすべてのプラットフォームで同じ手順です。
Oracle HTTP Server Webサーバーを起動する手順
次のディレクトリを探して移動します。
$ORACLE_HOME\opmn\bin\
コマンドラインで次のコマンドを入力します。
opmnctl/startproc process-type=HTTP_Server
Oracle HTTP Server Webサーバーを停止する手順
次のディレクトリを探して移動します。
$ORACLE_HOME\opmn\bin\
コマンドラインで次のコマンドを入力します。
opmnctl/stopproc process-type=HTTP_Server
次に示すように、通常、Apache Webサーバーの起動または停止には1つの手順を実行します。
UNIXでApache Webサーバーを停止するには、次のようにします。
Apache_install_dir/binディレクトリに移動します。
コマンドラインで次のようにapachectl stop
コマンドを使用してサーバーを停止します。
./apachectl stop
Apache Webサーバーを起動する方法は、Windowsサービスとして実行するか、アプリケーションとして実行するかによって異なります。次の手順を参照してください。
アプリケーションとして実行すWebサーバーを停止する手順
Windowsのコマンドラインで、[Ctrl]キーを押しながら文字[c
]を入力します。
Windowsサービスとして実行するWebサーバーを停止する手順
Windowsの「サービス」ウィンドウで、Webサーバーのサービス名を探します。
「サービスの停止」アイコンをクリックします。
Windowsサービスとして実行するWebサーバーを起動する手順
Apache_install_dir/binディレクトリに移動します。
コマンドラインに次のコマンドを入力します。
apache.exe –k start
アプリケーションとして実行するWebサーバーを起動する手順
Windowsの「サービス」ウィンドウで、Webサーバーのサービス名を探します。
「サービスの開始」アイコンをクリックします。
インストール中に行ったWebサーバー構成の変更は、Oracle Access Managerコンポーネント(WebPass、ポリシー・マネージャ、WebGate)をアンインストールしてから手動で削除する必要があります。このような情報は手動で削除する必要があります。
さらに、Oracle Access Managerコンポーネント(WebPass、ポリシー・マネージャ、WebGate)についてWebサーバー構成ファイルに手動で行ったすべての変更を削除する必要があります。各コンポーネントに追加される内容の詳細は、この章の他の項を参照してください。
詳細は、付録E「インストールの問題のトラブルシューティング」を参照してください。