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Oracle Universal InstallerおよびOpatchユーザーズ・ガイド
10gリリース2(10.2) for Microsoft Windows and UNIX Systems
B19264-06
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7 Oracle Universal Installerを使用したOracleソフトウェアのクローニング

この章では、Oracle Universal Installer(OUI)を使用したOracleクローニングに関する情報を示します。この章の内容は次のとおりです。

クローニングについて

クローニングは、既存のOracleインストールを別の場所にコピーし、コピーしたインストールを新しい環境で動作するように更新するプロセスです。ソースのOracleホームに適用された1回かぎりのパッチによる変更は、クローン操作の後でも残っています。コピー元とコピー先(クローニング先のホスト)のパスが同じである必要はありません。クローニングの間に、OUIはホームをインストールするために実行されたアクションを再現します。クローニングは、OUIがクローン・モードと呼ばれる特別なモードでアクションを実行することを除き、インストールとよく似ています。クローニングは、次のような状況で役立ちます。

クローニングされたインストールは、クローニング元のインストールと同じ動作をします。たとえば、クローニングされたOracleホームは、OUIを使用して削除したり、OPatchを使用してパッチを適用したりできます。クローニングされたOracleホームを別のクローニング操作のソースとして使用することもできます。コマンドライン・クローニング・スクリプトを使用することで、テスト・インストール、開発インストールまたは本番インストールのクローン・コピーを作成できます。多くの場合、デフォルトのクローニング手順で十分です。ただし、カスタム・ポート割当ての指定やカスタム設定の保存など、クローニングの様々な処理をカスタマイズすることもできます。

クローニング・プロセスは、クローニング元のOracleホームからクローニング先のOracleホームにすべてのファイルをコピーすることにより動作します。このため、クローニング元のOracleホームのディレクトリ構造の外部にあるソース・インスタンスで使用されているファイルは、クローニング先の場所にコピーされません。

クローニング元とクローニング先にあるバイナリは、クローン操作の一環として再リンクされるため、これらのバイナリのサイズは異なる場合があります。また、オペレーティング・システムのパッチ・レベルもこの2つの場所で異なる場合があります。また、クローニング元からコピーされたいくつかのファイル(具体的にはインスタンス化されているファイル)はクローン操作の一環としてバックアップされるため、クローニング先のホーム内のファイル数は増加します。

OUIのクローニングは、クローニングされるホームのセントラル・インベントリとOracleホーム・インベントリを設定する点が、tarballアプローチより優れています。また、クローニングは、ホームの管理を容易にして、クローニングされるホームとターゲット・ホームで異なるパスを使用できます。

クローニング・プロセスの概要

クローニング・プロセスは、OUIのクローニング機能を使用します。この操作は、それぞれのOracleソフトウェアに含まれているスクリプトとアドオンの設定により実行されます。クローニング・プロセスには、2つのフェーズがあります。

ソース準備フェーズ

クローニング元のOracleホームでクローニングを準備するには、次の手順を実行します。

  • クローニング元で、prepare_clone.plというスクリプトを実行します。このスクリプトは、クローニングのソースを準備するPerlスクリプトであり、クローニングに必要な情報を記録します。このスクリプトは、一般に次の場所にあります。

    $ORACLE_HOME/clone/bin/prepare_clone.pl
    

    このフェーズ中に、prepare_clone.plにより、クローニング元のOracleホーム内のファイルが解析され、必要な値が抽出および格納されます。渡すパラメータの詳細は、「クローニング・スクリプトの変数とその定義」の節を参照してください。


    注意:

    準備フェーズを実行する必要があるかどうかは、インストールしているOracle製品によって異なります。このスクリプトは、アプリケーション・サーバーのクローニングに対してのみ実行する必要があります。データベースとCRS Oracleホームのクローニングでは必要ありません。

  • 適当なアーカイブ・ツールを使用して、クローニング元のOracleホームをアーカイブおよび圧縮します。たとえば、Microsoft WindowsシステムのコンピュータではWinZipを、UNIXではtarまたはgzipを使用できます。使用しているツールでアクセス権限とファイルのタイムスタンプが保持されることを確認してください。また、ホームをアーカイブする場合は、*.log、*.dbf、listerner.ora、sqlnet.oraおよびtnsnames.oraをアーカイブから除外してください。次のフォルダもアーカイブしないでください。

    $ORACLE_HOME/<Hostname>_<SID>
    $ORACLE_HOME/oc4j/j2ee/OC4J_DBConsole_<Hostname>_<SID>
    

    除外ファイル・リストの例を次に示します。

    $ cat excludedFileList.txt
    ./install/make.log
    ./cfgtoollogs/cfgfw/CfmLogger_2006-07-13_12-03-16-PM.log
    ./cfgtoollogs/cfgfw/oracle.server_2006-07-13_12-03-17-PM.log
    ./cfgtoollogs/cfgfw/oracle.network.client_2006-07-13_12-03-18-PM.log
    ./cfgtoollogs/cfgfw/oracle.has.common_2006-07-13_12-03-18-PM.log
    ./cfgtoollogs/cfgfw/oracle.assistants.server_2006-07-13_12-03-18-PM.log
    ./cfgtoollogs/cfgfw/OuiConfigVariables_2006-07-13_12-03-18-PM.log
    ./cfgtoollogs/cfgfw/oracle.sysman.console.db_2006-07-13_12-03-18-PM.log
    ./cfgtoollogs/cfgfw/oracle.sqlplus.isqlplus_2006-07-13_12-03-18-PM.log
    ./cfgtoollogs/oui/cloneActions2006-07-13_11-52-19AM.log
    ./cfgtoollogs/oui/silentInstall2006-07-13_11-52-19AM.log
    

    次の例では、様々なプラットフォームでソースをアーカイブおよび圧縮する方法を示します。

    To archive and compress:
    tar cpf - . | compress -fv > temp_dir/archiveName.tar.Z  ( for "aix" or $^O eq
    "hpux")
    tar cpfX - excludeListFile . | compress -fv > temp_dir/archiveName.tar.Z (for
    remaining UNIX based systems)
    

    注意:

    Oracleホームのアーカイブおよび圧縮には、jarユーティリティを使用しないでください。

クローニング・フェーズ

クローニング先のシステムでは、Oracleホームをアーカイブ解除し、clone.plスクリプトを実行します。このPerlスクリプトは、OUIおよび他の様々なユーティリティを実行することで、クローニング操作のすべての部分を自動的に実行します。このスクリプトは、OUIのクローニング機能を利用します。clone.plスクリプトを実行すると、OUIで対応されていない可能性のある詳細が処理されます。ホームがクローニングされるコンピュータのセントラル・インベントリは、Oracleホーム・インベントリ($ORACLE_HOME/inventory)なので更新されます。

次の例では、様々なプラットフォームでソースをアーカイブ解除および圧縮解除する方法を示します。

To unarchive:
mkdir  Destination_oracle_home
cd   Destination_oracle_homezcat temp_dir/archiveName.tar.Z | tar xpf - (for "hpux")
zcat temp_dir/archiveName.tar.Z | tar xBpf -  (for remaining UNIX based systems)

クローニングを行うには、システムにPerl 5.6以上がインストールされている必要があります。必ずパス環境変数を適切なPerl実行可能ファイルに設定してください。


注意:

クローニング先のホームには、クローニング操作中に作成された追加のファイルが含まれるため、クローニング先のホームとクローニング元のホームのサイズは同一になりません。

ログ・ファイルの検索および表示

クローニング・スクリプトは、複数のツールを実行します。各ツールは独自のログ・ファイルを生成することがあります。ただし、OUIおよびクローニング・スクリプトが生成する次のログ・ファイルは、診断のために重要なログ・ファイルです。

Oracleインベントリ・ディレクトリの場所を探すには、LinuxとIBM AIXを除くすべてのUNIXシステムのコンピュータでは/var/opt/oracle/oraInst.locを参照します。IBM AIXおよびLinuxベースのシステムでは、/etc/oraInst.locファイルを参照します。

Windowsシステムのコンピュータでは、Windowsレジストリ・キーHKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\ORACLE\INST_LOCで場所を取得できます。

clone.plスクリプトの実行が終了した後、これらのログ・ファイルを参照して、クローニング・プロセスに関する詳細情報を入手します。

Oracle Database 10gリリース1(10.1)のOracleホームのクローニング

Oracle Database 10gリリース1(10.1)のOracleホームのクローニングには2つの手順があります。

Oracle Database 10gリリース1(10.1)ソースの準備

クローニング元のOracleホームでクローニングを準備するには、次の手順を実行します。

  • ホームをクローニングするOracle Databaseのインストールが正常に終了したことを確認してください。

    Windowsシステムのコンピュータの場合は、インストール・セッションに対するinstallActionsdate_time.logファイルを見ることで、インストールのステータスを確認できます。date_timeは、ファイルが作成された日付と時刻を表します(例: installActions2006-05-30_10-28-04PM.log)。このログ・ファイルは、通常、c:\Program Files\Oracle\Inventory\logsディレクトリにあります。

    Linuxベースのシステムの場合、ログは<inventory location>/logsディレクトリに保存されています。セントラル・インベントリの場所を確認するには、「ログ・ファイルの検索および表示」を参照してください。

    パッチをインストールした場合は、次のコマンドを実行してパッチのステータスを確認できます。

    Windowsシステム・コンピュータの場合:

    c:\ORACLE_BASE\ORACLE_HOME\OPatch> set ORACLE_HOME = ORACLE_HOME_using_patch
    c:\ORACLE_BASE\ORACLE_HOME\OPatch> opatch lsinventory
    

    LinuxベースおよびUNIXベースのシステムの場合:

    ORACLE_HOME環境変数を設定します。構文は、使用しているシェルによって異なる場合があります。

    /ORACLE_BASE/ORACLE_HOME/OPatch> setenv ORACLE_HOME ORACLE_HOME_using_patch
    /ORACLE_BASE/ORACLE_HOME/OPatch> ./opatch lsinventory
    
  • アーカイブ用の任意のツールを使用して、クローニング元のOracleホームをアーカイブおよび圧縮します。詳細は、「ソース準備フェーズ」を参照してください。

Oracle Database 10gリリース1(10.1)のクローニング

Oracle Database 10gリリース1(10.1)をクローニングするには、次の手順を実行します。

  • zipファイルまたはアーカイブ・ファイルをクローニング先のコンピュータにコピーします。

  • クローニング先のコンピュータに、zipファイルまたはアーカイブ・ファイルの内容を展開します。内容を展開する方法の詳細は、「クローニング・フェーズ」を参照してください。

  • クローニング先のコンピュータで、次を実行します。

    Windowsベース・システムの場合:

    $ORACLE_HOME/oui/bin/setup.exe ORACLE_ HOME=<oracle home_location>
    ORACLE_HOME_NAME=<Oracle_Home_Name for the Oracle_Home being cloned> -clone
    -silent [-command_line_arguments]
    

    Linuxベース・システムの場合:

    $ORACLE_HOME\oui\bin\runInstaller.sh ORACLE_ HOME=<oracle home_location>
    ORACLE_HOME_NAME=<Oracle_Home_Name for the Oracle_Home being cloned> -clone
    -silent [-command_line_arguments]
    

    上のコマンドでは、<command_line_arguments>変数を使用します。次の表で、この引数について説明します。

    表7-1 clone.plスクリプトのコマンドライン引数

    コマンドライン引数 説明

    -O

    この引数を使用する場合は、この引数に続く文字列がOUIのクローン・コマンドラインに渡されます。たとえば、このオプションを使用して、OUIで使用するoraparam.iniファイルの場所を渡すことができます。

    '-O -paramFile C:\OraHome_1\oui\oraparam.ini'
    

    -debug

    この引数を使用した場合、スクリプトはデバッグ・モードで実行されます。

    -help

    この引数を使用した場合、スクリプトはクローン・スクリプトのヘルプを出力します。


    $ORACLE_HOME/clone/config/cs.propertiesファイルを使用することにより、コマンドラインに値を渡すこともできます。clone_command_line=<value>の行に値を入力できます。ここで入力した値は、クローン操作を実行するために起動されるOUIコマンドラインに追加されます。

    たとえば、UNIXシステムのコンピュータでOracleインベントリ・ファイルについてデフォルト以外の場所を指定するには、cs.propertiesファイルに次の行を追加します。

    clone_command_line= -invptrloc /private/oracle/oraInst.loc
    

    注意:

    複数の引数を指定するには、各引数を空白で区切ります。

  • OUIでは、cloneActionstimestamp.logファイルにクローニング・アクションを記録します。Windowsでは、通常、このログ・ファイルはc:\Program Files\Oracle\Inventory\logsファイルにあります。

    Linuxベース・システムの場合、このファイルは<inventory location>/logsディレクトリにあります。セントラル・インベントリの場所を確認するには、「ログ・ファイルの検索および表示」を参照してください。

  • 新規データベースの接続情報を構成するには、Netコンフィギュレーション・アシスタントを実行します。

    Windowsシステムのコンピュータの場合は、「スタート」→「プログラム」→「Oracle - HOME_NAME」→「Configuration and Migration Tools」→「Net Configuration Assistant」を選択します。

    Linuxベースのシステムでは、ORACLE_HOME変数を設定して、$ORACLE_HOME/bin/netcaを実行します。

  • 新しくクローニングされたOracleホームに新規データベースを作成するには、Oracleデータベース・コンフィギュレーション・アシスタントを実行します。

    Windowsシステムのコンピュータの場合は、「スタート」→「プログラム」→「Oracle - HOME_NAME」→「Configuration and Migration Tools」→「Database Configuration Assistant」を選択します。

    Linuxベースのシステムの場合は、$ORACLE_HOME/bin/dbcaを実行します。

ログおよびエラー・ファイルの表示

クローニング後に、$ORACLE_HOME/clone/logディレクトリに移動し、*.logおよび*.errファイルを参照することにより、クローン操作のステータスを確認できます。詳細は、「ログ・ファイルの検索および表示」を参照してください。

Oracle Database 10gリリース2(10.2)のOracleホームのクローニング

Oracle Database 10gリリース2(10.2)のOracleホームのクローニングには2つの手順があります。

Oracle Database 10gリリース2(10.2)ソースの準備

クローニング元のOracleホームでクローニングを準備するには、次の手順を実行します。

  • ホームをクローニングするOracle Databaseのインストールが正常に終了したことを確認してください。

    Windowsシステムのコンピュータの場合は、インストール・セッションに対するinstallActionsdate_time.logファイルを見ることで、インストールのステータスを確認できます。date_timeは、ファイルが作成された日付と時刻を表します(例: installActions2006-05-30_10-28-04PM.log)。このログ・ファイルは、通常、c:\Program Files\Oracle\Inventory\logsディレクトリにあります。

    Linuxベースのシステムの場合、ログは<inventory location>/logsディレクトリに保存されています。セントラル・インベントリの場所を確認するには、「ログ・ファイルの検索および表示」を参照してください。

    パッチをインストールした場合は、次のコマンドを実行してパッチのステータスを確認できます。

    Windowsシステム・コンピュータの場合:

    c:\ORACLE_BASE\ORACLE_HOME\OPatch> set ORACLE_HOME = ORACLE_HOME_using_patch
    c:\ORACLE_BASE\ORACLE_HOME\OPatch> opatch lsinventory
    

    LinuxベースおよびUNIXベースのシステムの場合:

    /ORACLE_BASE/ORACLE_HOME/OPatch> setenv ORACLE_HOME ORACLE_HOME_using_patch
    /ORACLE_BASE/ORACLE_HOME/OPatch> ./opatch lsinventory
    
  • アーカイブ用の任意のツールを使用して、クローニング元のOracleホームをアーカイブおよび圧縮します。詳細は、「ソース準備フェーズ」を参照してください。

Oracle Database 10gリリース2(10.2)のクローニング

Oracle Database 10gリリース2(10.2)をクローニングするには、次の手順を実行します。

  • zipファイルまたはアーカイブ・ファイルをクローニング先のコンピュータにコピーします。

  • クローニング先のコンピュータに、zipファイルまたはアーカイブ・ファイルの内容を展開します。内容を展開する方法の詳細は、「クローニング・フェーズ」を参照してください。

  • クローニング先のコンピュータで$ORACLE_HOME/clone/binディレクトリに移動し、clone.plを実行します。このPerlスクリプトは、様々なユーティリティおよびOUIを呼び出すことで、クローニング操作のすべての部分を自動的に実行します。このスクリプトは、OUIのクローニング機能を使用します。


    注意:

    clone.plスクリプトは、ソフトウェアのみをクローニングし、データベース・インスタンスはクローニングしません。

    次のコマンドは、Windowsベース・システム用のclone.plスクリプトの構文を示します。

    perl <Oracle_Home>\clone\bin\clone.pl ORACLE_HOME=<Path to the Oracle_Home
    being_cloned> ORACLE_HOME_NAME=<Oracle_Home_Name for the Oracle_Home being
    cloned> [-command_line_arguments]
    

    次のコマンドは、Linuxベース・システム用のclone.plスクリプトの構文を示します。

    perl <Oracle_Home>/clone/bin/clone.pl ORACLE_HOME=<Path to the Oracle_Home
    being_cloned> ORACLE_HOME_NAME=<Oracle_Home_Name for the Oracle_Home being
    cloned> [-command_line_arguments]
    

    上のコマンドでは、<command_line_arguments>変数を使用します。次の表で、この引数について説明します。

    表7-2 clone.plスクリプトのコマンドライン引数

    コマンドライン引数 説明

    -O

    この引数を使用する場合は、この引数に続く文字列がOUIのクローン・コマンドラインに渡されます。たとえば、このオプションを使用して、OUIで使用するoraparam.iniファイルの場所を渡すことができます。

    '-O -paramFile C:\OraHome_1\oui\oraparam.ini'
    

    -debug

    この引数を使用した場合、スクリプトはデバッグ・モードで実行されます。

    -help

    この引数を使用した場合、スクリプトはクローン・スクリプトのヘルプを出力します。


    $ORACLE_HOME/clone/config/cs.propertiesファイルを使用することにより、コマンドラインに値を渡すこともできます。clone_command_line=<value>の行に値を入力できます。ここで入力した値は、クローン操作を実行するために起動されるOUIコマンドラインに追加されます。

    たとえば、UNIXシステムのコンピュータでOracleインベントリ・ファイルについてデフォルト以外の場所を指定するには、cs.propertiesファイルに次の行を追加します。

    clone_command_line= -invptrloc /private/oracle/oraInst.loc
    

    注意:

    複数の引数を指定するには、各引数を空白で区切ります。

  • OUIでは、cloneActionstimestamp.logファイルにクローニング・アクションを記録します。Windowsでは、通常、このログ・ファイルはc:\Program Files\Oracle\Inventory\logsファイルにあります。

    Linuxベース・システムの場合、このファイルは<inventory location>/logsディレクトリにあります。セントラル・インベントリの場所を確認するには、「ログ・ファイルの検索および表示」を参照してください。

  • 新規データベースの接続情報を構成するには、Netコンフィギュレーション・アシスタントを実行します。

    Windowsシステムのコンピュータの場合は、「スタート」→「プログラム」→「Oracle - HOME_NAME」→「Configuration and Migration Tools」→「Net Configuration Assistant」を選択します。

    Linuxベースのシステムでは、ORACLE_HOME変数を設定して、$ORACLE_HOME/bin/netcaを実行します。

  • 新しくクローニングされたOracleホームに新規データベースを作成するには、Oracleデータベース・コンフィギュレーション・アシスタントを実行します。

    Windowsシステムのコンピュータの場合は、「スタート」→「プログラム」→「Oracle - HOME_NAME」→「Configuration and Migration Tools」→「Database Configuration Assistant」を選択します。

    Linuxベースのシステムの場合は、$ORACLE_HOME/bin/dbcaを実行します。

ログおよびエラー・ファイルの表示

クローニング後に、$ORACLE_HOME/clone/logディレクトリに移動し、*.logおよび*.errファイルを参照することにより、クローン操作のステータスを確認できます。詳細は、「ログ・ファイルの検索および表示」を参照してください。

クローニングを使用したOracle Real Application Cluster環境の作成

ここでは、Oracleクローニングを使用してOracle RAC環境を作成する方法について説明します。UNIXおよびLinuxシステム環境とWindowsシステム環境の両方について、クローニングの使用方法に関する次の手順を説明します。

UNIXおよびLinuxシステム・ベースの環境でのOracle RAC環境の作成

ここでは、Oracleクローニングを使用してOracle RAC環境を作成する方法に関する次の手順について説明します。

UNIXおよびLinuxシステム・ベースの環境でのOracleクラスタウェアのクローニング

UNIXおよびLinuxシステムでOracleクラスタウェアをクローニングするには、次の手順を実行します。

  1. 共有Oracleクラスタウェア・ホームをまだ作成していない場合は、既存のノードのOracleクラスタウェア・ホームに対してtarを実行し、新しいノードにコピーします。新しいノードのコピー先Oracleクラスタウェア・ホームとしては$CRS_HOMEを使用します。共有Oracleクラスタウェア・ホームがある場合は、このステップを省略します。


    注意:

    アーカイブの詳細は、「ソース準備フェーズ」を参照してください。

  2. 新しいノードでホームをアーカイブ解除します。共有ホームの場合は、ノードで1回のみホームをアーカイブ解除します。


    注意:

    アーカイブの詳細は、「クローニング・フェーズ」を参照してください。

  3. 共有Oracleクラスタウェア・ホームがない場合は、新しいノードで、$ORACLE_HOME/clone/binディレクトリに移動し、次のコマンドを実行します。ここで、Oracle_home_nameはOracleホームの名前、new_nodeは新しいノードの名前、new_node-privは新しいノードのプライベート相互接続プロトコル・アドレス、new_node-vipは新しいノードの仮想相互接続プロトコル・アドレス、central_inventory_locationはOracleセントラル・インベントリの場所です。

    perl clone.pl ORACLE_HOME=<$CRS_HOME> ORACLE_HOME_NAME=Oracle_home_name '-On_
    storageTypeVDSK=2' '-On_storageTypeOCR=2' '-O"sl_tableList={new_node:new_
    node-priv:new_node-vip}"' '-O-noConfig'
    '-O"INVENTORY_LOCATION=central_inventory_location"'
    

    共有Oracleクラスタウェア・ホームがある場合は、このステップのコマンド例に-cfsオプションを追加して、クラスタ・ファイル・システムに対する完全なパスの場所を指定します。冗長記憶域の場合は、n_storageTypeOCRおよびn_storageTypeVDSKに2を設定してください。非冗長記憶域の場合は、この値を1に設定してください。その場合は、ミラーの場所も指定する必要があります。

  4. 新しいノードで、セントラルOracleインベントリを含むディレクトリに移動します。orainstRoot.shスクリプトを実行して、セントラル・インベントリの場所に関する情報を/etc/oraInst.locファイルに抽出します。新しいノードで、$CRS_HOMEディレクトリに移動し、./root.shを実行して、新しいノードでOracleクラスタウェアを開始します。

  5. $CRS_HOME/opmn/confディレクトリから次のコマンドを実行して、次のステップで使用するリモート・ポートを判別します。

    cat ons.config | grep remoteport
    
  6. 新しいノードで、$CRS_HOME/binディレクトリから次を実行します。ここで、racgonsはOracle RAC通知サービス・ユーティリティ、new_nodeは新しいノードの名前、remote_portは前のステップの出力からの値です。

    ./racgons add_config new_node:<Remote_Port>
    
  7. 次のコマンドを実行して、相互接続情報を取得します。次の手順でこの情報を使用できます。

    $CRS_HOME/bin/oifcfg iflist –p
    
  8. oifcfgコマンドを次のように実行します。

    oifcfg setif -global <interface_name>/<subnet>:public <inteface_
    name>/<subnet>:cluster_interconnect [<interface_name>/<subnet>:public
     <inteface_name>/<subnet>:cluster_interconnect .......]
    

注意:

Oracleクラスタウェアのクローニングは、サイレント・モードでのみ実行できます。

UNIXおよびLinuxシステム・ベースの環境でのOracle RACソフトウェアのクローニング

UNIXおよびLinuxシステムでRACソフトウェアを使用してOracleデータベースをクローニングするには、次の手順を実行します。

  1. 共有Oracleデータベース・ホームをまだ作成していない場合は、既存のノードのOracle RACホームをtarでアーカイブし、新しいノードにコピーします。新しいノードのコピー先Oracle RACホームの場所は、$ORACLE_HOMEであるものとします。すでに存在する場合は、このステップを省略します。


    注意:

    アーカイブの詳細は、「ソース準備フェーズ」を参照してください。

  2. 新しいノードでホームをアーカイブ解除します。共有ホームの場合は、ノードで1回のみホームをアーカイブ解除します。


    注意:

    アーカイブ解除の詳細は、「クローニング・フェーズ」を参照してください。

  3. 新しいノードで、$ORACLE_HOME/clone/binディレクトリに移動し、次のコマンドを実行します。ここで、new_node2およびnew_node3は新しいノードの名前、Oracle_home_nameはOracleホームの名前です。

    perl clone.pl ORACLE_HOME=<Path to the Oracle_Home being cloned> ORACLE_HOME
    _NAME=<Oracle_Home_Name for the Oracle_Home being cloned> '-O"CLUSTER_
    NODES={new_node_2,new_node_3}"' '-O"LOCAL_NODE=new_node_2"'
    

    共有Oracleデータベース・ホームがある場合は、このステップのコマンド例に-cfsオプションを追加して、クラスタ・ファイル・システムに対する完全なパスの場所を指定します。


    注意:

    LOCAL_NODEには、cloneコマンドを実行するノードを設定してください。

  4. 新しいノードで、$ORACLE_HOMEディレクトリに移動し、次のコマンドを実行します。

    ./root.sh
    
  5. 新しいノードで、Netコンフィギュレーション・アシスタント(NETCA)を実行してリスナーを追加します。

  6. クローニングしたノードでデータベース・コンフィギュレーション・アシスタント(DBCA)を実行して、新しいインスタンスを追加します。

Windowsシステム・ベースの環境でのOracle RAC環境の作成

ここでは、Oracleクローニングを使用してOracle RAC環境を作成する方法に関する次の手順について説明します。

Windowsシステム・ベースの環境でのOracleクラスタウェアのクローニング

WindowsシステムのコンピュータでOracleクラスタウェアをクローニングするには、次の手順を実行します。

  1. 共有Oracleクラスタウェア・ホームをまだ作成していない場合は、既存のノードのOracleクラスタウェア・ホームをzipで圧縮し、新しいノードにコピーします。新しいノードの、既存ノードに存在するOracleクラスタウェア・ホームと同等のディレクトリ構造で、ホームを圧縮解除します。たとえば、新しいノードのコピー先Oracleクラスタウェア・ホームの場所は、%CRS_HOME%であるものとします。共有Oracleクラスタウェア・ホームがある場合は、このステップを省略します。


    注意:

    圧縮および圧縮解除の詳細は、「ソース準備フェーズ」および「クローニング・フェーズ」を参照してください。

  2. 共有Oracleクラスタウェア・ホームがない場合は、新しいノードで、$ORACLE_HOME/clone/binディレクトリに移動し、次のコマンドを実行します。ここで、Oracle_home_nameはOracleホームの名前、new_nodeは新しいノードの名前、new_node-privは新しいノードのプライベート相互接続プロトコル・アドレス、new_node-vipは新しいノードの仮想相互接続プロトコル・アドレス、central_inventory_locationはOracleセントラル・インベントリの場所です。

    perl clone.pl ORACLE_HOME=<CRS_HOME> ORACLE_HOME_NAME=<CRS_HOME_NAME> '-On_storageTypeVDSK=2' '-On_
    storageTypeOCR=2' '-O"sl_tableList={node2:node2-priv:node2-vip, node3:node3-priv:node3-vip}"' '-O"ret_
    PrivIntrList=<private interconnect list>"' '-O"sl_OHPartitionsAndSpace_v
    alueFromDlg={partition and space information}"' '-O-noConfig'
    

    共有Oracleクラスタウェア・ホームがある場合は、このステップのコマンド例に-cfsオプションを追加して、クラスタ・ファイル・システムに対する完全なパスの場所を指定します。冗長記憶域の場合は、n_storageTypeOCRおよびn_storageTypeVDSKに2を設定してください。非冗長記憶域の場合は、この値を1に設定してください。その場合は、ミラーの場所も指定する必要があります。他のノードで、引数PERFORM_PARTITION_TASKS=FALSEを追加して、同じコマンドを実行します。

    perl clone.pl ORACLE_HOME=<CRS_HOME> ORACLE_HOME_NAME=<CRS_HOME_NAME> '-On_
    storageTypeVDSK=2' '-On_storageTypeOCR=2' '-O"sl_
    tableList={node2:node2-priv:node2-vip, node3:node3-priv:node3-vip}"' '-O"ret_
    PrivIntrList=<private interconnect list>"' '-O"sl_OHPartitionsAndSpace_
    valueFromDlg={partition and space information}"' '-O-noConfig' '-OPERFORM_
    PARTITION_TASKS=FALSE'
    
  3. 既存のノードの%CRS_HOME%\cfgtoollogsディレクトリで、次のコマンドを実行します。

    <CRS_HOME>\cfgtoollogs\cfgToolAllCommands
    

    これにより、仮想プロトコル・コンフィギュレーション・アシスタント(VIPCA)、通知サービス・ユーティリティ(racgons)、クラスタウェア・セットアップ(crssetup)およびoifcfgがインスタンス化されます。


注意:

Oracleクラスタウェアのクローニングは、サイレント・モードでのみ実行できます。

Windowsシステム・ベースの環境でのOracle RACソフトウェアのクローニング

WindowsシステムのコンピュータでRACソフトウェアを使用してOracleデータベースをクローニングするには、次の手順を実行します。

  1. 共有Oracleデータベース・ホームをまだ作成していない場合は、既存ノードのOracle RACのOracleデータベース・ホームをzipで圧縮し、新しいノードにコピーします。新しいノードで、既存ノードでOracle RACのOracleデータベース・ホームが存在していたのと同じディレクトリに、Oracle RACのOracleデータベース・ホームを圧縮解除します。たとえば、新しいノードのコピー先Oracle RACホームの場所は、%ORACLE_HOME%であるものとします。共有Oracleデータベース・ホームがある場合は、このステップを省略します。


    注意:

    圧縮および圧縮解除の詳細は、「ソース準備フェーズ」および「クローニング・フェーズ」を参照してください。

  2. 新しいノードで、%ORACLE_HOME%\clone\binディレクトリに移動し、次のコマンドを実行します。ここで、Oracle_HomeはOracleデータベース・ホーム、Oracle_Home_NameはOracleデータベース・ホームの名前、existing_nodeは既存のノードの名前、new_nodeは新しいノードの名前です。

    perl clone.pl ORACLE_HOME=Oracle_Home ORACLE_HOME_NAME=Oracle_Home_Name
    '-O"CLUSTER_NODES={existing_node,new_node}"'
    '-OLOCAL_NODE=new_node' '-O-noConfig'
    

    Oracle RACの共有Oracleデータベース・ホームがある場合は、このステップのコマンド例に-O-cfsオプションを追加して、クラスタ・ファイル・システムに対する完全なパスの場所を指定します。すべてのノードに対してこのステップを繰り返します。

  3. 新しいノードで、NETCAを実行してリスナーを追加します。

  4. クローニングしたノードでDBCAを実行して、新しいノードにデータベース・インスタンスを追加します。

Oracle Real Application Clustersをクローニングする際の重要な考慮事項

Oracle RACのOracleデータベースをクローニングするときは、次のことに注意してください。

  • 指定するノードの順序が、すべてのホストで常に同じである必要があります。

  • Oracle RACのインストールを開始する前に、Oracleクラスタウェアをクラスタ・ノードにインストールする必要があります。

  • 共有ホームの場合は、コマンドラインで-cfsパラメータに対しても値を指定する必要があります。

Oracle Real Application Clusters環境でのクローニングを使用したノードの追加

ここでは、Oracleクローニングを使用して既存のOracle RAC環境にノードを追加する方法について説明します。UNIXおよびLinuxシステム環境とWindowsシステム環境の両方について、クローニングの使用方法に関する次の手順を説明します。

UNIXおよびLinuxシステム・ベースの環境でのOracle RAC環境のクローニング

ここで説明する手順では、ノードとインスタンスを追加するOracle RAC環境が正常にインストールおよび構成されているものとします。UNIXまたはLinuxシステムのOracle RAC環境にクローニングを使用してノードを追加するには、Oracleクラスタウェア構成を拡張し、RACを使用するOracleデータベース・ソフトウェアを拡張した後、次の手順で説明するようにOracleアシスタントを実行して、リスナーとインスタンスを追加します。

UNIXおよびLinuxシステム・ベースの環境でのOracleクラスタウェアのクローニング

UNIXおよびLinuxシステムでOracleクラスタウェアをクローニングするには、次の手順を実行します。

  1. 共有Oracleクラスタウェア・ホームをまだ作成していない場合は、既存のノードのOracleクラスタウェア・ホームに対してtarを実行し、新しいノードにコピーします。新しいノードのコピー先Oracleクラスタウェア・ホームとしては$CRS_HOMEを使用します。共有Oracleクラスタウェア・ホームがある場合は、このステップを省略します。


    注意:

    アーカイブおよびアーカイブ解除の詳細は、「ソース準備フェーズ」および「クローニング・フェーズ」を参照してください。

  2. 共有Oracleクラスタウェア・ホームがない場合は、新しいノードで、$ORACLE_HOME/clone/binディレクトリに移動し、次のコマンドを実行します。ここで、Oracle_home_nameはOracleホームの名前、new_nodeは新しいノードの名前、new_node-privは新しいノードのプライベート相互接続プロトコル・アドレス、new_node-vipは新しいノードの仮想相互接続プロトコル・アドレス、central_inventory_locationはOracleセントラル・インベントリの場所です。

    perl clone.pl ORACLE_HOME=$ORACLE_HOME ORACLE_HOME_NAME=Oracle_home_name
    '-O"sl_tableList={new_node:new_node-priv:new_node-vip}"' '-O-noConfig'
    '-O"INVENTORY_LOCATION=central_inventory_location"'
    

    共有Oracleクラスタウェア・ホームがある場合は、このステップのコマンド例に-cfsオプションを追加して、クラスタ・ファイル・システムに対する完全なパスの場所を指定します。


    注意:

    sl_tableList変数に対してのみ値を指定します。Perlスクリプトのclone.plは、他のすべての変数の設定を、圧縮されているOracleクラスタウェア・ホームから取得します。ただし、これが行われるのは、拡張されているクラスタの既存ノードが圧縮されたホームの基になっている場合のみです。

    他のOracle RAC環境をクローニング・ソースとして使用する場合、つまり拡張しているもの以外のクラスタのノードからクローニングする場合は、すべての引数の値を指定する必要があります。これには、Oracle Cluster Registryおよび投票ディスクの場所の引数に対する値が含まれます。これを行う必要があるのは、sl_tableListに対する値は、このステップのコマンド例で示されているように使用されるためです。また、新しいノードの場合にのみ、sl_tableListオプションに対して値を指定する必要があることにも注意してください。


  3. 新しいノードで、セントラルOracleインベントリを含むディレクトリに移動します。orainstRoot.shスクリプトを実行して、セントラル・インベントリの場所に関する情報を/etc/oraInst.locファイルに抽出します。

  4. 既存のノードで次のコマンドを実行します。ここで、new_nodeは新しいノードの名前、new_node-privは新しいノードのプライベート相互接続プロトコル・アドレス、new_node-vipは新しいノードの仮想相互接続プロトコル・アドレスです。

    $ORACLE_HOME/oui/bin/addNode.sh –silent "CLUSTER_NEW_NODES={new_node}"
    "CLUSTER_NEW_PRIVATE_NODE_NAMES={new_node-priv}" "CLUSTER_NEW_VIRTUAL_
    HOSTNAMES={new_node-vip}" –noCopy
    

    注意:

    clone.plスクリプトは新しいノードですでに実行されているので、このステップでは、ノードでのインベントリの更新と、ローカル・ノードでのスクリプトのインスタンス化のみを行います。

  5. 既存のノードで、$ORACLE_HOME/installディレクトリからrootaddnode.shスクリプトを実行します。

  6. 新しいノードで、$ORACLE_HOMEディレクトリに移動し、./root.shスクリプトを実行して、新しいノードでOracleクラスタウェアを開始します。

  7. $CRS_HOME/opmn/confディレクトリから次のコマンドを実行して、次のステップで使用するリモート・ポートを判別します。

    cat ons.config
    
  8. 既存ノードの$CRS_HOME/binディレクトリから、次のコマンドを実行します。ここで、racgonsはOracle RAC通知サービス・ユーティリティ、new_nodeは新しいノードの名前、remote_portは前のステップの出力からの値です。

    ./racgons add_config new_node:remote_port
    

UNIXおよびLinuxシステム・ベースの環境でのOracle RACソフトウェアのクローニング

UNIXおよびLinuxシステムでRACソフトウェアを使用してOracleデータベースをクローニングするには、次の手順を実行します。

  1. 共有Oracleデータベース・ホームをまだ作成していない場合は、既存のノードのOracle RACホームをtarでアーカイブし、新しいノードにコピーします。新しいノードのコピー先Oracle RACホームの場所は、$ORACLE_HOMEであるものとします。すでに存在する場合は、このステップを省略します。


    注意:

    アーカイブおよびアーカイブ解除の詳細は、「ソース準備フェーズ」および「クローニング・フェーズ」を参照してください。

  2. 共有Oracleデータベース・ホームがない場合は、新しいノードで$ORACLE_HOME/clone/binディレクトリに移動し、次のコマンドを実行します。ここで、existing_nodeはクローニングしているノードの名前、new_node2およびnew_node3は新しいノードの名前、Oracle_home_nameはOracleホームの名前です。

    perl clone.pl '-O"CLUSTER_NODES={existing_node,new_node2,new_node3}"'
    '-O"LOCAL_NODE=new_node2"' ORACLE_HOME=$ORACLE_HOME ORACLE_HOME_NAME=Oracle_
    home_name '-O-noConfig'
    

    共有Oracleデータベース・ホームがある場合は、このステップのコマンド例に-cfsオプションを追加して、クラスタ・ファイル・システムに対する完全なパスの場所を指定します。

  3. 既存のノードの$ORACLE_HOME/oui/binディレクトリから、次のコマンドを実行します。ここで、existing_nodeはクローニングしている元のノードの名前、new_node2およびnew_node3は新しいノードの名前です。

    ./runInstaller –updateNodeList ORACLE_HOME=$ORACLE_HOME 'CLUSTER_
    NODES={existing_node,new_node2,new_node3}"
    
  4. 新しいノードで、$ORACLE_HOMEディレクトリに移動し、次のコマンドを実行します。

    ./root.sh
    
  5. 新しいノードで、Netコンフィギュレーション・アシスタント(NETCA)を実行してリスナーを追加します。

  6. クローニングしたノードでデータベース・コンフィギュレーション・アシスタント(DBCA)を実行して、新しいインスタンスを追加します。

Windowsシステム・ベースの環境でのOracle RAC環境のクローニング

ここで説明する手順では、ノードとインスタンスを追加するOracle RAC環境が正常にインストールおよび構成されているものとします。WindowsシステムのOracle RAC環境にクローニングを使用してノードを追加するには、Oracleクラスタウェア構成を展開し、RACを使用するOracleデータベース・ソフトウェアを展開した後、次の手順で説明するようにOracleアシスタントを実行して、リスナーとインスタンスを追加します。

Windowsシステム・ベースの環境でのOracleクラスタウェアのクローニング

WindowsシステムのコンピュータでOracleクラスタウェアをクローニングするには、次の手順を実行します。

  1. 共有Oracleクラスタウェア・ホームをまだ作成していない場合は、既存のノードのOracleクラスタウェア・ホームをzipで圧縮し、新しいノードにコピーします。新しいノードの、既存ノードに存在するOracleクラスタウェア・ホームと同等のディレクトリ構造で、ホームを圧縮解除します。たとえば、新しいノードのコピー先Oracleクラスタウェア・ホームの場所は、%CRS_HOME%であるものとします。共有Oracleクラスタウェア・ホームがある場合は、このステップを省略します。


    注意:

    圧縮および圧縮解除の詳細は、「ソース準備フェーズ」および「クローニング・フェーズ」を参照してください。

  2. 新しいノードで、%CRS_HOME%\clone\binディレクトリに移動して、次のコマンドを実行します。ここで、CRS_HOMEはOracleクラスタウェア・ホームの場所、CRS_HOME_NAMEはOracleクラスタウェア・ホームの名前、new_nodenew_node-privおよびnew_node-vipは、それぞれ、新しいノードの名前、新しいノードのプライベート相互接続プロトコル・アドレスの名前、新しいノードの仮想相互接続プロトコル・アドレスの名前です。

    perl clone.pl ORACLE_HOME=CRS_HOME ORACLE_HOME_NAME=CRS_HOME_NAME '-O"sl_
    tableList={new_node:new_node-priv:new_node-vip}"' '-O-noConfig' '-OPERFORM_
    PARTITION_TASKS=FALSE'
    

    共有Oracleクラスタウェア・ホームがある場合は、このステップのコマンド例に-O-cfsオプションを追加して、クラスタ・ファイル・システムに対する完全なパスの場所を指定します。


    注意:

    sl_tableList変数に対してのみ値を指定します。Perlスクリプトのclone.plは、他のすべての変数の設定を、圧縮されているOracleクラスタウェア・ホームから取得します。ただし、これが行われるのは、拡張されているクラスタの既存ノードが圧縮されたホームの基になっている場合のみです。

    他のOracle RAC環境をクローニング・ソースとして使用する場合、つまり拡張しているもの以外のクラスタのノードからクローニングする場合は、すべての引数の値を指定する必要があります。これには、Oracle Cluster Registry(OCR)および投票ディスクの場所の引数に対する値が含まれます。これを行う必要があるのは、sl_tableListに対する値は、このステップのコマンド例で示されているように使用されるためです。また、sl_OHPartitionsAndSpace_valueFromDlg変数を使用してOCRと投票ディスクの場所を指定し、PERFORM_PARTITION_TASKS引数に対する値を指定する必要もあります。また、新しいノードの場合にのみ、sl_tableListオプションに対して値を指定する必要があります。


  3. 既存のノードで次のコマンドを実行します。ここで、new_nodeは新しいノードの名前、new_node-privは新しいノードのプライベート相互接続プロトコル・アドレス、new_node-vipは新しいノードの仮想相互接続プロトコル・アドレスです。

    %ORACLE_HOME%\oui\bin\addNode.bat -silent "CLUSTER_NEW_NODES={new_node}"
    "CLUSTER_NEW_PRIVATE_NODE_NAMES={new_node-priv}" "CLUSTER_NEW_VIRTUAL_
    HOSTNAMES={new_node-vip}" -noCopy -noRemoteActions
    

    注意:

    新しいノードでclone.plスクリプトをすでに実行しているので、このステップでは、ノードでのインベントリの更新と、ローカル・ノードでのスクリプトのインスタンス化のみを行います。

  4. 既存ノードの%CRS_HOME%\installディレクトリから、crssetup.add.batスクリプトを実行して、仮想プロトコル・コンフィギュレーション・アシスタント(VIPCA)とOracle RAC通知サービス・ユーティリティ(racgons)をインスタンス化します。

Windowsシステム・ベースの環境でのOracle RACソフトウェアのクローニング

WindowsシステムのコンピュータでRACソフトウェアを使用してOracleデータベースをクローニングするには、次の手順を実行します。

  1. 共有Oracleデータベース・ホームをまだ作成していない場合は、既存ノードのOracle RACのOracleデータベース・ホームをzipで圧縮し、新しいノードにコピーします。新しいノードで、既存ノードでOracle RACのOracleデータベース・ホームが存在していたのと同じディレクトリに、Oracle RACのOracleデータベース・ホームを圧縮解除します。たとえば、新しいノードのコピー先Oracle RACホームの場所は、%ORACLE_HOME%であるものとします。共有Oracleデータベース・ホームがある場合は、このステップを省略します。


    注意:

    圧縮および圧縮解除の詳細は、「ソース準備フェーズ」および「クローニング・フェーズ」を参照してください。

  2. 新しいノードで、%ORACLE_HOME%\clone\binディレクトリに移動し、次のコマンドを実行します。ここで、Oracle_HomeはOracleデータベース・ホーム、Oracle_Home_NameはOracleデータベース・ホームの名前、existing_nodeは既存のノードの名前、new_nodeは新しいノードの名前です。

    perl clone.pl ORACLE_HOME=Oracle_Home ORACLE_HOME_NAME=Oracle_Home_Name
    '-O"CLUSTER_NODES={existing_node,new_node}"'
    '-OLOCAL_NODE=new_node' '-O-noConfig'
    

    Oracle RACの共有Oracleデータベース・ホームがある場合は、このステップのコマンド例に-O-cfsオプションを追加して、クラスタ・ファイル・システムに対する完全なパスの場所を指定します。

  3. 既存ノードのRAC_HOME\oui\binディレクトリから、次のコマンドを実行します。ここで、Oracle_HomeはOracle RACを使用するOracleデータベース・ホーム、existing_nodeは既存のノードの名前、new_nodeは新しいノードの名前です。

    setup.exe -updateNodeList ORACLE_HOME=Oracle_Home "CLUSTER_NODES={existing_
    node,new_node" LOCAL_NODE=existing_node
    
  4. 新しいノードで、NETCAを実行してリスナーを追加します。

  5. クローニングしたノードでDBCAを実行して、新しいノードにデータベース・インスタンスを追加します。

クローニング・スクリプトの変数とその定義

ここでは、UNIXおよびLinuxシステムとWindowsシステムに対するclone.plスクリプトの変数およびその定義に関する次の内容を説明します。

UNIXおよびLinuxシステム・ベースの環境の場合の変数

表7-3は、UNIXおよびLinuxシステムの場合にclone.plに対して-Oオプションで渡すことのできる変数です。

表7-3 UNIXおよびLinuxシステムの場合に-Oオプションでclone.plに渡すことのできる変数

変数 データ型 説明

storageTypeVDSK

Integer

この変数には、ダイアログから戻ると、1(非冗長)または2(冗長)が設定されます。

n_storageTypeOCR

Integer

この変数には、ダイアログから戻ると、1(非冗長)または2(冗長)が設定されます。

s_clustername

String

この変数には、ユーザーが入力したクラスタ名の情報が含まれます。15文字以下です。

VdskMirrorNotReqd

String

この変数は、「Oracle Cluster Registry (OCR)」ダイアログでは必要ありません。

CLUSTER_CONFIGURATION_FILE

String

この変数は、インストールの際に指定したものと同じクラスタ構成ファイルを渡すために使用します。sl_tablelistのかわりにこのファイルを使用できます。このファイルでは、クラスタのノードに対するパブリック・ノード名、プライベート・ノード名および仮想ホスト名の情報を、空白文字で区切って指定します。次に例を示します。

node1    node1-priv    node1-vip
node2    node2-priv    node2-vip

既存のインストールからクローニングしている場合は、sl_tableListを使用する必要があります。クローン・インストールに対しては、この変数を指定しないでください。

ret_PrivIntrList

String List

これは、Private Interconnect Enforcementテーブルからの戻り値です。この変数の値は、{Interface Name, Subnet, Interface Type}という形式になっています。Interface Typeの値は次のいずれかです。

  • 1はパブリックを示します。

  • 2はプライベートを示します。

  • 3は使用不可を示します。

次に例を示します。

{"eth0:10.87.24.0:2","eth1:140.87.24.0:1","eth3:140.74.30.0:3"}

ipconfigコマンドを実行することで初期値を識別し、そこからret_PrivIntrListのエントリを判別できます。

sl_tableList

String List

この変数には、クラスタ構成情報テーブルの情報と同じ値を設定します。このファイルには、カンマで区切られた値のリストが含まれます。1番目のフィールドはパブリック・ノード名を示し、2番目のフィールドはプライベート・ノード名を示し、3番目のフィールドは仮想ホスト名を示します。4番目と5番目のフィールドはOUIによってのみ使用され、デフォルトはN:Yである必要があります。OUIは、これらの値を解析し、それに従ってs_publicname変数とs_privatename変数を割り当てます。次に例を示します。

{"node1:node1-priv:node1-vip:N:Y","node2:node2-priv:node2-vip:N:Y"}.

s_votingdisklocation

String

この変数の値には、投票ディスクの場所を設定します。次に例を示します。

/oradbshare/oradata/vdisk

s_OcrVdskMirror1RetVal

String

この変数の値には、第1の追加投票ディスクの場所を設定します。n_storageTypeVDSK変数の値に対して1またはNot Redundantを指定する場合は、この変数を設定する必要があります。次に例を示します。

/oradbshare/oradata/vdiskmirror1

s_ocrpartitionlocation

String

この変数の値には、OCRの場所を設定します。root.shスクリプトを実行すると、ocr.locファイルにこの値が格納されます。次に例を示します。

/oradbshare/oradata/ocr

s_ocrMirrorLocation

String

この変数の値には、OCRミラーの場所を設定します。root.shスクリプトを実行すると、ocr.locファイルにこの値が格納されます。n_storageTypeOCR変数の値に対して1またはNot Redundantを指定する場合は、この変数を設定する必要があります。次に例を示します。

/oradbshare/oradata/ocrmirror

s_VdskMirror2RetVal

String

この変数の値には、第2の追加投票ディスクの場所を設定します。n_storageTypeVDSK変数の値に対して1またはNot Redundantを指定する場合は、この変数を設定する必要があります。

/oradbshare/oradata/vdiskmirror2

Windowsシステム・ベースの環境の場合の変数

表7-4は、Windowsシステム環境の場合にclone.plに対して-Oオプションで渡すことのできる変数です。

表7-4 Windowsシステムの場合に-Oオプションでclone.plに渡すことのできる変数

変数 データ型 説明

CLUSTER_NODES

String List

この変数の値は、インストール用に選択されたクラスタ・ノードの名前を現します。たとえば、node1を選択した場合は次のようになります。

"CLUSTER_NODES = {node1}"

b_Response

Boolean

レスポンス・ファイルを使用してサイレント・インストールを実行するときにのみ、この変数を設定します。有効な値は、trueまたはfalseです。

s_clustername

String

この変数には、クローニング操作で作成しているクラスタの名前を、15文字以内で設定します。クラスタ名で使用できる文字は、小文字と大文字のアルファベットAZ、数字09、ハイフン(-)、シャープ記号(#)、およびアンダースコア(_)の組合せです。

sl_tableList

String List

この変数には、クラスタ構成情報テーブルの情報と同じ値を設定します。このファイルには、カンマで区切られた値のリストが含まれます。1番目のフィールドはパブリック・ノード名を示し、2番目のフィールドはプライベート・ノード名を示し、3番目のフィールドは仮想ホスト名を示します。4番目と5番目のフィールドはOUIによってのみ使用され、デフォルトはN:Yである必要があります。OUIは、これらの値を解析し、それに従ってs_publicname変数とs_privatename変数を割り当てます。次に例を示します。

{"node1:node1-priv:node1-vip:N:Y","node2:node2-priv:node2-vip:N:Y}

sl_OHPartitionsAnd
Space_valueFromDlg

String List

この変数は、次の形式を使用して設定します。

  • 1 = ディスク番号

  • 2 = パーティション番号

  • 3 = パーティション・サイズ

  • 4 = 形式タイプ、RAWの場合は0、クラスタ・ファイル・システムの場合は1

  • 5 = ドライブ文字(RAWデバイスを使用する場合は、この値は適用されません。クラスタ・ファイル・システムを使用する場合は、使用可能なドライブ文字を使用します)

  • 6 = 使用タイプは次のとおりです。

    • 0 = データまたはソフトウェアの使用のみ

    • 1 = プライマリOCRのみ

    • 2 = 投票ディスクのみ

    • 3 = 同じクラスタ・ファイル・システム・パーティション上のプライマリOCRと投票ディスク

    • 4 = OCRミラーのみ

    • 5 = 同じクラスタ・ファイル・システム・パーティション上のOCRミラーと投票ディスク

たとえば、RAWデバイスにOCRと投票ディスクを構成し、データまたはソフトウェアに対してはクラスタ・ファイル・システムを使用しない場合は、sl_OHPartitionsAndSpace_valueFromDlgを設定し、Oracleクラスタウェア・インストールに使用するためのパーティションのみを次の形式でリストします。

sl_OhPartitionsAndSpace_valueFromDlg = {Disk,Partition,partition
size, 0,N/A,1,Disk,Partition, partition size,0,N/A,2,.....)