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Oracle Coherence開発者ガイド
リリース3.5
B56039-01
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5 データ・アフィニティ

データ・アフィニティは、関連するキャッシュ・エントリ・グループが単一のキャッシュ・パーティションに含まれることを保証する概念を表します。これにより、フォルト・トレランスを犠牲にすることなく、すべての関連データが単一のプライマリ・キャッシュ・ノードで管理されます。

同じキャッシュ・サービスで管理されている場合、アフィニティは通常、複数のキャッシュにまたがります。たとえば、Order-LineItemのようなマスター/ディテール・パターンでは、Orderオブジェクトが、関連付けられているLineItemオブジェクトのコレクション全体と共存する場合があります。

これには、2つの利点があります。まず、一連の関連項目に対する問合せおよびトランザクションを、単一のキャッシュ・ノードのみで管理できます。また、すべての並行操作がローカルで管理可能なため、クラスタ化された同期処理が不要です。

キャッシュ問合せ、InvocableMap操作、getAllputAllおよびremoveAllの各メソッドなど、Coherenceには、アフィニティの恩恵を受ける各種の標準操作があります。


注意:

データ・アフィニティは、値ではなくエントリ・キーに関して指定されます。その結果、対応付け情報がキー・クラスに存在している必要があります。同様に、対応付けロジックは、値クラスではなくキー・クラスに適用されます。

アフィニティの指定

アフィニティは、パーティション・キーとの関係で指定されます。前述のOrder-LineItemの例では、Orderオブジェクトが正常にパーティション化され、LineItemオブジェクトは適切なOrderオブジェクトと関連付けられます。

この対応付けを実際の親キーに直接関連付ける必要はなく、親キーの機能マッピングになるだけで十分です。親キーの単一フィールド(一意でない場合でも可能)、または親キーの整数ハッシュを使用できます。重要なのは、すべての子キーで同じ関連キーを返すことだけです。関連キーが実際のキーであるかどうかは重要ではありません(このキーは、単なるグループIDになる)。これにより、親キーの情報を含まない子キー・クラスのサイズを最小限に抑えることができます(導出データであるため、データ・サイズを明示的に決定できるほか、キー動作への影響はない)。対応付けを汎用化しすぎると(同じグループIDに関連付けられたキーが多すぎる場合)、均一に分散されないことがあります(親キーに関係なく、すべての子キーが同じ対応付けキーを返した場合、子キーはすべて単一パーティションに割り当てられ、クラスタ全体には分散されない)。

一連のキャッシュ・エントリが共存していることを確認するには、2つの方法があります。対応付けが、値ではなくキャッシュ・キーに基づいていることを確認します(そうでない場合、キャッシュ・エントリを更新するとパーティションが変更される可能性がある)。また、Orderが子LineItemsと共存していても、Coherenceでは複数のキャッシュにまたがった複合操作(たとえば、OrderLineItemsのコレクションを単一の起動リクエストcom.tangosol.util.InvocableMap.EntryProcessorで更新する操作など)が現時点でサポートされていないことを確認します。

KeyAssociationを使用したデータ・アフィニティの指定

アプリケーションで定義されたキーの場合、キャッシュ・キーのクラスでは、com.tangosol.net.cache.KeyAssociationが次のように実装されることがあります。

例5-1 キーの対応付けの作成

import com.tangosol.net.cache.KeyAssociation;

public class LineItemId implements KeyAssociation
   {
   // {...}

   public Object getAssociatedKey()
       {
       return getOrderId();
       }

   // {...}
   }

KeyAssociatorを使用したデータ・アフィニティの指定

アプリケーションでカスタムのKeyAssociatorが提供されている場合もあります。

例5-2 カスタムのKeyAssociator

import com.tangosol.net.partition.KeyAssociator;

public class LineItemAssociator implements KeyAssociator
    {
    public Object getAssociatedKey(Object oKey)
        {
        if (oKey instanceof LineItemId)
            {
            return ((LineItemId) oKey).getOrderId();
            }
        else if (oKey instanceof OrderId)
            {
            return oKey;
            }
        else
            {
            return null;
            }
        }

    public void init(PartitionedService service)
        {
        }
    }

キー・アソシエータは、NamedCacheに関して、関連付けられている<distributed-scheme>要素で構成できます。

例5-3 キー・アソシエータの構成

<distributed-scheme>
    <!-- ... -->
    <key-associator>
        <class-name>LineItemAssociator</class-name>
    </key-associator>
</distributed-scheme>

アフィニティの使用例

例5-4は、アフィニティを使用してより効率的な問合せ(NamedCache.entrySet(Filter))およびキャッシュ・アクセス(NamedCache.getAll(Collection))を作成する方法を示しています。

例5-4 アフィニティを使用した効率的な問合せの作成

OrderId orderId = new OrderId(1234);

// this Filter will be applied to all LineItem objects to fetch those
// for which getOrderId() returns the specified order identifier
// "select * from LineItem where OrderId = :orderId"Filter filterEq = new EqualsFilter("getOrderId", orderId);

// this Filter will direct the query to the cluster node that currently owns
// the Order object with the given identifier
Filter filterAsc = new KeyAssociatedFilter(filterEq, orderId);

// run the optimized query to get the ChildKey objects
Set setLineItemKeys = cacheLineItems.keySet(filterAsc);

// get all the Child objects immediately
Set setLineItems = cacheLineItems.getAll(setLineItemKeys);

// Or remove all immediately
cacheLineItems.keySet().removeAll(setLineItemKeys);