この章では、Oracle Audit Vault Server(Audit Vault Server)のインストール前の要件を説明します。この章の内容は次のとおりです。
インストール・プロセスを計画するには、Oracle Audit Vaultの機能を理解しておく必要があります。Oracle Audit Vaultの基本機能の説明は、『Oracle Audit Vault管理者ガイド』に記載されています。
Oracleソフトウェアをインストールする前に、後述のタスクをroot
ユーザーとして完了する必要があります。root
ユーザーとしてシステムにログインしてください。
システムが最小限満たす必要があるハードウェア要件は次のとおりです。
1024MB以上の使用可能な物理RAM。
使用可能なRAMと必要なスワップ領域の関係を、次の表に示します。
使用可能なRAM | 必要なスワップ領域 |
---|---|
1024から2048MB | RAMサイズの1.5倍 |
2049から8192MB | RAMサイズと同じ |
8192MBより大きい | RAMサイズの0.75倍 |
/tmp
ディレクトリに400MBのディスク領域。
Oracle Audit Vault Serverソフトウェア用の5GBのディスク領域。
OracleベースにAudit Vault Serverデータベース・ファイル用の1.6GBの追加ディスク領域。これはデータベース記憶域オプションがファイルシステムへの格納である場合にのみ必要です。ASMなどの他の記憶域オプションでは、データベース・ファイルは別の場所に格納されます。また、この1.6GBのディスク領域は、最初に必要なサイズのみを表しています。Oracle Audit Vault管理者は、サーバーで収集される監査データの増加に伴う将来のデータベース・サイズの拡張を考慮する必要があります。
システムがこれらの要件を満たしているかどうかを確認する手順は次のとおりです。
物理RAMサイズを確認するには、次のコマンドを入力します。
# /usr/sbin/prtconf | grep "Memory size"
物理RAMサイズが必要なサイズより小さい場合は、インストール処理を続行する前に、メモリーを追加する必要があります。
構成済のスワップ領域のサイズを確認するには、次のコマンドを入力します。
# /usr/sbin/swap -s
必要に応じて、使用するオペレーティング・システムのドキュメントに記載された追加のスワップ領域の構成方法の説明を参照してください。
/tmp
ディレクトリの使用可能なディスク領域を確認するには、次のコマンドを入力します。
# df -k /tmp # df -h /tmp (on Solaris 10)
/tmp
ディレクトリの使用可能な空きディスク領域が400MB未満である場合は、次のいずれかの処置を行ってください。
/tmp
ディレクトリから不要なファイルを削除して、ディスク領域の要件を満たします。
oracle
ユーザーの環境の設定時に、TMP
およびTMPDIR
環境変数を設定します。
/tmp
ディレクトリを含むファイルシステムを拡張します。必要に応じて、ファイルシステムの拡張の詳細をシステム管理者に問い合せてください。
システムの空きディスク領域を確認するには、次のコマンドを入力します。
# df -k # df -h (on Solaris 10)
ソフトウェアを実行できるシステム・アーキテクチャであるかどうかを確認するには、次のコマンドを入力します。
# /bin/isainfo -kv
注意: このコマンドで予測される出力は次のとおりです。
必要なプロセッサが表示されない場合は、システムにソフトウェアをインストールできません。 |
インストールする製品ごとに、次に示すソフトウェアがシステムにインストールされていることを確認します。これらの要件を満たしているかどうかを確認する手順が、表の後に記載されています。
注意: Oracle Universal Installerを起動すると、システムのチェックが実行され、ここに示された要件を満たしているかどうかが検証されます。このチェックを通過できるように、Oracle Universal Installerを起動する前に要件を確認しておきます。このドキュメントに記載されたプラットフォーム固有のハードウェアとソフトウェアの要件は、このドキュメントが公開された時点での最新情報です。このドキュメントの公開後に、プラットフォームやオペレーティング・システムの新バージョンが動作保証されている可能性があるため、My Oracle Support(以前のOracleMetaLink)のWebサイトの動作保証マトリックスで、動作保証されているハードウェア・プラットフォームとオペレーティング・システムのバージョンの最新のリストを確認してください。My Oracle SupportのWebサイトには、次のURLでアクセスできます。
現在、Oracleサポート・サービスとの契約がない場合は、次の場所で同じ情報にアクセスできます。
|
項目 | 要件 |
---|---|
オペレーティング・システム | 次のいずれかの64ビット・オペレーティング・システムのバージョンが必要です。
|
パッケージ |
SUNWarc SUNWbtool SUNWhea SUNWlibm SUNWlibms SUNWsprot SUNWtoo SUNWi1of SUNWi1cs SUNWi15cs SUNWxwfnt SUNWsprox注意: ロケールによっては、Java用の追加のフォント・パッケージが必要な場合もあります。詳細は、次のWebサイトを参照してください。
|
PL/SQLのネイティブ・コンパイル | 次のうちのいずれか1つ。
|
Pro*C/C++、Oracle Call Interface、Oracle C++ Call Interface、Oracle XML Developer's Kit(XDK)、GNU Compiler Collection(GCC) | Sun ONE Studio 8(CおよびC++ 5.5) |
Oracle JDBC/OCIドライバ | 次のオプションのJavaバージョンをOracle JDBC/OCIドライバと併用できますが、インストールには必要ありません。
注意: このリリースにはJDK 1.4.2がインストールされています。 |
システムがこれらの要件を満たしているかどうかを確認する手順は次のとおりです。
インストールされているSolarisのバージョンを確認するには、次のコマンドを入力します。
# uname -r 5.9
この例の場合、表示されているバージョンはSolaris 9(5.9)です。オペレーティング・システムのアップグレードの詳細は、必要に応じてオペレーティング・システムのドキュメントを参照してください。
必要なパッケージがインストールされているかどうかを確認するには、次のようなコマンドを入力します。
# pkginfo -i SUNWarc SUNWbtool SUNWhea SUNWlibm SUNWlibms SUNWsprot \ SUNWsprox SUNWtoo SUNWi1of SUNWi1cs SUNWi15cs SUNWxwfnt
パッケージがインストールされていない場合は、インストールします。パッケージのインストールの詳細は、オペレーティング・システムまたはソフトウェアのドキュメントを参照してください。
また、システムに次のパッチがインストールされていることも確認する必要があります。この表に続く手順では、これらの要件を確認する方法について説明します。
注意: リストに記載されているよりも新しいバージョンのパッチがシステムにインストールされている場合もあります。リストに記載されているパッチがインストールされていない場合は、リストに記載されているバージョンをインストールする前に、それよりも新しいバージョンがインストールされているかどうかを確認してください。 |
オペレーティング・システムのパッチがインストールされているかどうかを確認するには、次のようなコマンドを入力します。
# /usr/sbin/patchadd -p | grep patch_number(without version number)
たとえば、111713パッチのいずれかのバージョンがインストールされているかどうかを確認するには、次のコマンドを使用します。
# /usr/sbin/patchadd -p | grep 111713
オペレーティング・システムのパッチがインストールされていない場合は、次のWebサイトからダウンロードしてインストールします。
http://sunsolve.sun.com
通常、Oracle Audit Vaultをインストールするコンピュータは、ネットワークに接続され、Oracle Audit Vaultインストールを格納するためのローカル記憶域があり、ディスプレイ・モニター、CD-ROMドライブまたはDVDドライブが付属しています。
この項では、標準の使用例に合致しないコンピュータにOracle Audit Vaultをインストールする方法を説明します。この項の内容は次のとおりです。
名前解決が設定されていないと、Oracle Universal Installerの実行時にエラーが発生することがあります。このエラーを回避するには、インストールを開始する前に、ホスト名の解決に/etc/hosts
ファイルのみが使用されることを確認する必要があります。
ホスト名が/etc/hosts
ファイルでのみ解決されることを確認するには、次の手順を実行します。
名前解決のために/etc/hosts
ファイルが使用されることを確認します。確認するには、次のコマンドを入力してnsswitch.conf
ファイル内のhostsファイル・エントリを調べます。
# cat /etc/nsswitch.conf | grep hosts
このコマンドの出力には、ファイル・エントリが含まれます。
ホスト名が設定されていることを確認するには、次のようにhostname
コマンドを使用します。
# hostname
このコマンドの出力は、次のようになります。
myhost.us.example.com
ドメイン名が動的に設定されていないことを確認するには、次のようにdomainname
コマンドを使用します。
# domainname
このコマンドでは結果が戻されません。
hostsファイルに完全修飾ホスト名が含まれていることを確認するには、次のコマンドを使用します。
# cat /etc/hosts | grep `eval hostname`
このコマンドの出力には、完全修飾ホスト名とlocalhost
のエントリが含まれます。
次に例を示します。
192.0.2.1 myhost.us.example.com myhost 127.0.0.1 localhost localhost.localdomain
hostsファイルに完全修飾ホスト名が含まれていない場合は、ファイルを開いて必要な変更を加えます。
Dynamic Host Configuration Protocol(DHCP)は、ネットワークで動的なIPアドレスを割り当てます。動的アドレス指定では、コンピュータがネットワークに接続するたびに異なるIPアドレスを取得できます。場合によっては、コンピュータの接続中にIPアドレスが変更されることもあります。DHCPシステム内に、静的IPアドレス指定と動的IPアドレス指定を混在させることができます。
DHCP設定では、ソフトウェアによりIPアドレスが追跡され、ネットワークの管理が簡素化されます。DHCPを使用すると、ネットワークに新しいコンピュータを追加する際にコンピュータに一意のIPアドレスを手動で割り当てる必要がありません。
Audit Vault ServerまたはOracle Audit Vault収集エージェントのIPアドレスが変更される可能性がある環境に、Audit Vault Serverをインストールしないでください。DHCPを使用する環境では、すべてのOracle Audit Vaultシステムが静的IPアドレスを使用することを確認してください。
Oracle Audit Vaultは、複数ホームのコンピュータにインストールできます。複数ホームのコンピュータは、ネットワーク・カードを複数枚装備しているので、IPアドレスを複数所持できます。各IPアドレスは、ホスト名に関連付けられます。また、ホスト名には別名を設定することもできます。デフォルトでは、Oracle Universal Installerは、ORACLE_HOSTNAME
環境変数の設定を使用してホスト名を検索します。ORACLE_HOSTNAME
環境変数を設定せずに、複数のネットワーク・カードを搭載したコンピュータでOracle Audit Vaultのインストールを実行すると、Oracle Universal Installerは/etc/hosts
ファイルにある最初のエントリを使用してホスト名を判別します。
クライアントは、このホスト名を使用するか、このホスト名の別名を使用して、コンピュータにアクセスできる必要があります。これを確認するには、短縮名(ホスト名のみ)および完全名(ホスト名とドメイン名)を使用してクライアント・コンピュータからホスト名をpingします。両方のテストが成功する必要があります。
ORACLE_HOSTNAME環境変数の設定
ORACLE_HOSTNAME
環境変数の設定には、次の手順を使用します。
たとえば、完全修飾ホスト名がmyhost.us.example.com
であるとします。この名前を使用して、次のいずれかのコマンドを入力します。
Bourne、BashまたはKornシェルの場合
$ ORACLE_HOSTNAME=myhost.us.example.com $ export ORACLE_HOSTNAME
Cシェルの場合
% setenv ORACLE_HOSTNAME myhost.us.example.com
このシステムにOracleソフトウェアを初めてインストールするかどうかにより、またインストールする製品により、複数のオペレーティング・システム・グループおよびユーザーの作成が必要になる場合があります。オペレーティング・システム・グループおよびユーザーを作成する前にroot
ユーザーとしてシステムにログインしてください。
Audit Vault Serverをインストールする場合は、次のオペレーティング・システム・グループおよびユーザーが必要です。
Oracle Audit Vaultソフトウェアをシステムに初めてインストールする場合は、このグループを作成する必要があります。このグループは、データベース管理権限(SYSDBA
権限)を持つオペレーティング・システム・ユーザー・アカウントを識別します。このグループのデフォルト名は、dba
です。
これはオプションのグループです。制限された管理権限(SYSOPER
権限)を持つ別個のオペレーティング・システム・ユーザー・グループが必要な場合は、このグループを作成します。デフォルトでは、OSDBAグループのメンバーにもSYSOPER
権限が付与されます。
権限のないユーザーnobody
がシステムに存在することを確認してください。インストール後は、nobody
ユーザーが外部ジョブ(extjob
)の実行可能ファイルを所有する必要があります。
すべてのインストールに必要なオペレーティング・システム・グループおよびユーザーは次のとおりです。
システムにOracleソフトウェアを初めてインストールする場合は、このグループを作成する必要があります。通常、このグループに選択される名前はoinstall
です。このグループは、Oracleインベントリを所有します。Oracleインベントリは、システムにインストールされているすべてのOracleソフトウェアのカタログです。
注意: Oracleソフトウェアがシステムにすでにインストールされている場合、既存のOracleインベントリ・グループは、新しいOracleソフトウェアのインストールに使用するオペレーティング・システム・ユーザーのプライマリ・グループである必要があります。既存のOracleインベントリ・グループを識別する方法は、この後の項に記載されています。 |
Oracleソフトウェア所有者ユーザー(通常はoracle
)
システムにOracleソフトウェアを初めてインストールする場合は、このユーザーを作成する必要があります。このユーザーは、インストール時にインストールされるすべてのソフトウェアを所有します。Oracleインベントリ・グループをこのユーザーのプライマリ・グループとして設定する必要があります。また、OSDBAグループとOSOPERグループをセカンダリ・グループとして設定する必要があります。
注意: Oracleドキュメントでは、このユーザーのことをoracle ユーザーと呼びます。 |
システムにインストールするすべてのOracleソフトウェアに対し、1つのOracleインベントリ・グループが必要です。最初のOracleソフトウェアのインストール以降は、このシステムへのすべてのOracleソフトウェアのインストールに、同じOracleインベントリ・グループを使用する必要があります。ただし、各インストールに対して異なるOracleソフトウェア所有者ユーザー、OSDBAグループおよびOSOPERグループ(oracle
、dba
およびoper
以外)を作成することもできます。インストールごとに異なるグループを使用すると、各グループのメンバーは、システムのすべてのデータベースではなく、関連するデータベースに対してのみDBA権限を持つことになります。
関連項目: OSDBAグループ、SYSDBA権限およびSYSOPER権限の詳細は、 『Oracle Database管理者ガイド』 を参照してください。 |
注意: ローカル・ユーザーおよびグループの作成方法は、この後の項で説明します。ローカル・ユーザーおよびグループを作成するかわりに、たとえば、Network Information Service(NIS)などのディレクトリ・サービスに、適切なユーザーとグループを作成することもできます。ディレクトリ・サービスの使用の詳細は、システム管理者に問い合せるか、使用するオペレーティング・システムのドキュメントを参照してください。 |
次の項では、必要なオペレーティング・システム・ユーザーおよびグループの作成方法について説明します。
Oracleインベントリ・グループが存在しない場合は、作成する必要があります。ここでは、Oracleインベントリ・グループが存在する場合はその名前を調べる方法、および必要に応じてOracleインベントリ・グループを作成する方法を説明します。
Oracleインベントリ・グループが存在するかどうかの確認
システムにOracleソフトウェアを初めてインストールするとき、Oracle Universal InstallerによってoraInst.loc
ファイルが作成されます。このファイルで、Oracleインベントリ・グループの名前とOracleインベントリ・ディレクトリのパスが識別されます。
Oracleインベントリ・グループが存在するかどうかを確認するには、次のコマンドを入力します。
# more /var/opt/oracle/oraInst.loc
このコマンドの出力にoinstall
グループ名が表示された場合は、グループがすでに存在します。
oraInst.loc
ファイルが存在する場合、このコマンドの出力は次のようになります。
inventory_loc=/u01/app/oracle/oraInventory inst_group=oinstall
inst_group
パラメータは、Oracleインベントリ・グループ名がoinstall
であることを示します。
Oracleインベントリ・グループの作成
oraInst.loc
ファイルが存在しない場合は、次のコマンドを入力してOracleインベントリ・グループを作成します。
# /usr/sbin/groupadd oinstall
次のような場合は、OSDBAグループを作成する必要があります。
OSDBAグループが存在しない場合。たとえば、システムにOracleソフトウェアを初めてインストールする場合です。
OSDBAグループが存在するが、新しいOracleインストールでは、別のオペレーティング・システム・ユーザー・グループにデータベース管理権限を付与する場合。
OSDBAグループが存在しない場合、または新しいOSDBAグループが必要な場合は、次のように作成します。
次のコマンドでは、同じ名前のグループが存在する場合以外は、dba
というグループ名を使用してください。
# /usr/sbin/groupadd dba
OSOPERグループは、制限されたデータベース管理権限(SYSOPERオペレータ権限)を持つオペレーティング・システム・ユーザー・グループを識別する場合にのみ作成します。ほとんどのインストールでは、OSDBAグループを作成するだけで十分です。OSOPERグループを使用する必要があり、次の状況に該当する場合は、作成する必要があります。
OSOPERグループが存在しない場合。たとえば、システムにOracleソフトウェアを初めてインストールする場合です。
OSOPERグループが存在するが、新しいOracleインストールでは、別のオペレーティング・システム・ユーザー・グループにデータベース・オペレータ権限を付与する場合。
新しいOSOPERグループが必要な場合は、次のように作成します。
次のコマンドでは、同じ名前のグループが存在する場合以外は、oper
というグループ名を使用してください。
# /usr/sbin/groupadd oper
次のような場合は、Oracleソフトウェア所有者ユーザーを作成する必要があります。
Oracleソフトウェア所有者ユーザーが存在しない場合。たとえば、システムにOracleソフトウェアを初めてインストールする場合です。
Oracleソフトウェア所有者ユーザーは存在するが、新しいOracleインストールでは、異なるグループ・メンバーシップを持つ別のオペレーティング・システム・ユーザーを使用して、これらのグループにデータベース管理権限を付与する場合。
oracle
というOracleソフトウェア所有者ユーザーが存在するかどうかを確認するには、次のコマンドを入力します。
# id -a oracle
oracle
ユーザーが存在する場合、このコマンドの出力は次のようになります。
uid=440(oracle) gid=200(oinstall) groups=201(dba),202(oper)
ユーザーが存在する場合は、既存ユーザーを使用するか、別のOracleソフトウェア所有者ユーザー(oracle
)を作成するかを決定します。既存ユーザーを使用する場合は、そのユーザーのプライマリ・グループがOracleインベントリ・グループであり、かつ適切なOSDBAグループおよびOSOPERグループのメンバーであることを確認してください。
注意: 既存ユーザーを使用または変更する前に、必要に応じて、システム管理者に連絡してください。 |
詳細は、次のいずれかの項を参照してください。
既存のOracleソフトウェア所有者ユーザーを変更する場合は、2.6.4.3項を参照してください。
Oracleソフトウェア所有者ユーザーを作成する場合は、次の項を参照してください。
Oracleソフトウェア所有者ユーザーが存在しない場合、または新しいOracleソフトウェア所有者ユーザーが必要な場合は、次のように作成します。次の手順では、同じ名前のユーザーが存在する場合以外は、oracle
というユーザー名を使用してください。
oracle
ユーザーを作成するには、次のようなコマンドを入力します。
# /usr/sbin/useradd -g oinstall -G dba[,oper] oracle
このコマンドのオプションは次のとおりです。
-g
オプションには、プライマリ・グループを指定します。プライマリ・グループは、oinstall
など、Oracleインベントリ・グループである必要があります。
-G
オプションには、セカンダリ・グループを指定します。セカンダリ・グループには、OSDBAグループおよび必要に応じてOSOPERグループを含める必要があります。たとえば、dba
またはdba
, oper
などです。
# passwd oracle
続行するには、2.6.5項を参照してください。
注意: この項に示すカーネル・パラメータとシェルの制限値は、単に推奨される最小値であるかインストール時にチェックされる値です。本番データベース・システムでは、これらの値をチューニングして、システムのパフォーマンスを最適化することをお薦めします。カーネル・パラメータのチューニングの詳細は、使用するオペレーティング・システムのドキュメントを参照してください。 |
次の表で、カーネル・パラメータがSolaris 9オペレーティング・システムの表に示された推奨値以上の値に設定されていることを確認してください。値を確認および設定する方法は、表の後に記載されています。
注意: 次のパラメータは、Solaris 9では使用されません。
|
Solaris 10の場合は、次の表で、カーネル・パラメータが表に示された推奨値以上の値に設定されていることを確認してください。この表には、/etc/system
ファイルを特定のカーネル・パラメータに置き換えるリソース制御も含まれています。
注意: Solaris 10の場合、/etc/system ファイルを変更しなくても、System V TPCを実装できます。Solaris 10では、リソース制御機能により、その実装が実行されます。 |
Solaris 9オペレーティング・システムの場合は、これらのカーネル・パラメータで指定されている現在値を次の手順によって表示した後、必要に応じて変更します。
これらのパラメータの現在値を表示するには、次のコマンドを入力します。
# grep noexec_user_stack /etc/system # /usr/sbin/sysdef | grep SEM # /usr/sbin/sysdef | grep SHM
/etc/system
ファイルのバックアップ・コピーを作成します。例を次に示します。
# cp /etc/system /etc/system.orig
/etc/system
ファイルを任意のテキスト・エディタで開き、次のような行を追加します(ファイルにすでに含まれている場合は変更します)。
set noexec_user_stack=1 set semsys:seminfo_semmni=100 set semsys:seminfo_semmns=1024 set semsys:seminfo_semmsl=256 set semsys:seminfo_semvmx=32767 set shmsys:shminfo_shmmax=4294967295 set shmsys:shminfo_shmmin=1 set shmsys:shminfo_shmmni=100 set shmsys:shminfo_shmseg=10
# /usr/sbin/reboot
システムが再起動したら、ログインし、ユーザーをroot
に切り替えます。
Solaris 10の場合は、リソース制御で指定されている現在値を次の手順によって表示した後、必要に応じて変更します。
リソース制御の現在値を表示するには、次のコマンドを入力します。
# id -p // to verify the project id uid=0(root) gid=0(root) projid=1 (user.root) # prctl -n project.max-shm-memory -i project user.root # prctl -n project.max-sem-ids -i project user.root
max-shm-memoryの値を6GBに変更するには、次のコマンドを実行します。
# prctl -n project.max-shm-memory -v 6gb -r -i project user.root
max-sem-idsの値を256に変更するには、次のコマンドを実行します。
# prctl -n project.max-sem-ids -v 256 -r -i project user.root
次のOracleソフトウェア・ディレクトリを識別または作成する必要があります。
Oracleベース・ディレクトリは、Oracleソフトウェア・インストールの最上位ディレクトリです。Solaris Operating System(SPARC 64-bit)システムでは、Oracleベース・ディレクトリに次のようなパスを使用することをOptimal Flexible Architecture(OFA)のガイドラインで推奨しています。
/mount_point/app/oracle_sw_owner
mount_point
は、Oracleソフトウェアが格納されるファイルシステムのマウント・ポイント・ディレクトリです。
このマニュアルの例では、/u01
をマウント・ポイント・ディレクトリとして使用しています。ただし、/oracle
や/opt/oracle
などの別のマウント・ポイント・ディレクトリも選択できます。
oracle_sw_owner
は、oracle
など、Oracleソフトウェア所有者のオペレーティング・システム・ユーザー名です。
複数のインストールに対して同じOracleベース・ディレクトリを使用する場合と、インストールごとに異なるOracleベース・ディレクトリを作成する場合があります。異なるオペレーティング・システム・ユーザーが同じシステムにOracleソフトウェアをインストールする場合、各ユーザーは別個のOracleベース・ディレクトリを作成する必要があります。次の例に示されたすべてのOracleベース・ディレクトリが同じシステムに存在することが可能です。
/u01/app/oracle /u01/app/orauser /opt/oracle/app/oracle
インストールに適した既存のOracleベース・ディレクトリを識別する方法と、必要に応じてOracleベース・ディレクトリを作成する方法については、この後の項で説明します。
Oracleベース・ディレクトリを作成するか、既存のOracleベース・ディレクトリを使用するかにかかわらず、ORACLE_BASE
環境変数を設定してこのディレクトリのフルパスを指定する必要があります。
Oracleインベントリ・ディレクトリ(oraInventory
)には、システムにインストールされたすべてのソフトウェアのインベントリが格納されます。Oracleインベントリ・ディレクトリは、1つのシステム上のすべてのOracleソフトウェア・インストールに必要であり、かつ共有のものです。システムにOracleソフトウェアを初めてインストールするとき、Oracle Universal Installerにより、このディレクトリへのパスを指定するよう求められます。次のパスを選択することをお薦めします。
oracle_base/oraInventory
指定したディレクトリは、Oracle Universal Installerによって作成され、適切な所有者、グループおよび権限が設定されます。Oracleインベントリ・ディレクトリを手動で作成する必要はありません。
注意: Oracleソフトウェアのすべてのインストールが、このディレクトリに依存しています。必ずバックアップを定期的に作成してください。システムからすべてのOracleソフトウェアを完全に削除する場合以外は、このディレクトリを削除しないでください。 |
Oracleホーム・ディレクトリは、特定のOracle製品のソフトウェアをインストールするために選択するディレクトリです。異なるOracle製品、または同じOracle製品でもリリースが異なる場合は、別々のOracleホーム・ディレクトリにインストールする必要があります。Oracle Universal Installerを実行すると、このディレクトリのパスと識別名を指定するよう求められます。Oracleホーム・ディレクトリには、Oracleベース・ディレクトリのサブディレクトリを指定する必要があります。Oracleホーム・ディレクトリのパスは、次のように指定することをお薦めします。
oracle_base/product/10.2.3/av_1
Oracle Universal Installerは、指定したディレクトリ・パスをOracleベース・ディレクトリの下に作成します。また、適切な所有者、グループおよび権限も設定されます。このディレクトリを手動で作成する必要はありません。
インストールを開始する前に、既存のOracleベース・ディレクトリを識別するか、必要な場合は作成する必要があります。この項の内容は次のとおりです。
注意: システムに他のOracleベース・ディレクトリが存在する場合でも、Oracleベース・ディレクトリの作成を選択できます。 |
既存のOracleベース・ディレクトリのパスが、Optimal Flexible Architecture(OFA)のガイドラインに準拠していない場合があります。ただし、既存のOracleインベントリ・ディレクトリまたは既存のOracleホーム・ディレクトリを識別すると、通常ではOracleベース・ディレクトリを識別できます。次にその手順を示します。
既存のOracleインベントリ・ディレクトリの識別
次のコマンドを入力して、oraInst.loc
ファイルの内容を表示します。
# more /var/opt/oracle/oraInst.loc
oraInst.loc
ファイルが存在する場合、このコマンドの出力は次のようになります。
inventory_loc=/u01/app/oracle/oraInventory inst_group=oinstall
inventory_loc
パラメータは、Oracleインベントリ・ディレクトリ(oraInventory
)を識別します。通常では、oraInventory
ディレクトリの親ディレクトリがOracleベース・ディレクトリです。前述の例では、/u01/app/oracle
がOracleベース・ディレクトリです。
次のコマンドを入力して、oratab
ファイルの内容を表示します。
# more /var/opt/oracle/oratab
oratab
ファイルが存在する場合、ファイルには次のような行が含まれます。
*:/u03/app/oracle/product/1.0.0/db_1:N *:/opt/orauser/infra_904:N *:/oracle/9.2.0:N
各行に指定されたディレクトリ・パスは、Oracleホーム・ディレクトリを識別します。使用するOracleソフトウェア所有者のユーザー名を末尾に持つディレクトリ・パスは、Oracleベース・ディレクトリとして有効な選択となります。前述の例で、oracle
ユーザーを使用してソフトウェアをインストールする場合は、次のいずれかのディレクトリを選択できます。
/u03/app/oracle /oracle
注意: できるかぎり、最初の例のようなディレクトリ・パス(/u03/app/oracle )を選択してください。このパスは、OFAのガイドラインに準拠しています。 |
このインストールに使用する既存のOracleベース・ディレクトリを決定する前に、次の条件を満たしているかどうかを確認してください。
このディレクトリがオペレーティング・システムとは異なるファイル・システム上にあること。
2.3項の表に示された十分な空きディスク領域があること。
Oracleベース・ディレクトリがあるファイルシステム上の空きディスク領域を確認するには、次のコマンドを入力します。
#df -
k
oracle_base_path
Oracleベース・ディレクトリがシステムに存在しない場合、またはOracleベース・ディレクトリを作成する場合は、2.9.2項の手順を完了してください。
Oracleベース・ディレクトリを作成する前に、2.3項の表で示している十分な空きディスク領域がある適切なファイルシステムを識別する必要があります。
適切なファイルシステムを識別するには、次の手順を実行します。
df -
k
コマンドを使用して、マウントされている各ファイルシステム上の空きディスク領域を調べます。
表示された結果から、適切な空き領域があるファイルシステムを識別します。
識別したファイルシステムのマウント・ポイント・ディレクトリ名をメモしておきます。
Oracleベース・ディレクトリを作成し、適切な所有者、グループおよび権限を指定するには、次の手順を実行します。
次のようなコマンドを入力して、識別したマウント・ポイント・ディレクトリに推奨サブディレクトリを作成し、適切な所有者、グループおよび権限を設定します。
# mkdir -p /mount_point/app/oracle_sw_owner # chown -R oracle:oinstall /mount_point/app/oracle_sw_owner # chmod -R 775 /mount_point/app/oracle_sw_owner
たとえば、識別したマウント・ポイントが/u01
で、Oracleソフトウェア所有者のユーザー名がoracle
であれば、Oracleベース・ディレクトリのパスは次のようになります。
/u01/app/oracle
oracle
ユーザーの環境を構成する際に(2.6.1項を参照)、ORACLE_BASE
環境変数の設定で、作成したOracleベース・ディレクトリを指定します。
Oracle Audit Vaultデータベース・ファイルをファイルシステムに格納する場合は、次のガイドラインを使用して格納場所を決定してください。
Oracle Universal Installerで提示されるデータベース・ファイル・ディレクトリのデフォルト・パスは、Oracleベース・ディレクトリのサブディレクトリです。
データベース・ファイルの格納には、単一のファイルシステムまたは複数のファイルシステムを選択できます。
単一のファイルシステムを使用する場合は、データベース専用の物理デバイス上のファイルシステムを選択します。
最適なパフォーマンスと信頼性を得るには、複数の物理デバイス上のRedundant Array of Independent Disks(RAID)デバイスまたは論理ボリュームを選択し、Stripe-And-Mirror-Everything(SAME)の手法を実装します。
複数のファイルシステムを使用する場合は、データベース専用の個別の物理デバイス上のファイルシステムを選択します。
この方法を採用すると、物理I/Oを分散し、異なるデバイス上に個別の制御ファイルを作成して信頼性を向上できます。また、OFAのガイドラインも完全に実装できます。
最適なパフォーマンスを得るには、データベース専用の物理デバイス上のファイルシステムを選択する必要があります。
指定したパスにファイルを作成するには、oracle
ユーザーの書込み権限が必要です。
Audit Vault Serverのインストールを開始する前に、DISPLAY
環境変数が適切な値に設定されていることを確認する必要があります。たとえば、Bourne、BashまたはKornシェルの場合は、次のコマンドを入力します。このコマンドで、myhost.us.example.com
は使用するホスト名を表します。
$ DISPLAY=myhost.us.example.com:1.0 $ export DISPLAY
たとえば、Cシェルの場合は、次のコマンドを入力します。このコマンドで、myhost.us.example.com
は使用するホスト名を表します。
% setenv DISPLAY myhost.us.example.com:1.0
NLS_LANG
環境変数が設定されていないことを確認します。
Cシェルでの例:
unsetenv NLS_LANG
Bourne、Bash、Kornシェルでの例:
unset NLS_LANG