WLST では、実行中の WebLogic Server に接続しないで (つまり、WLST オフラインを使用して)、コンフィグレーション ウィザードと同じ機能をサポートしながら、新しいドメインを作成し、既存のドメインを更新できます。
以下の節では、WLST オフラインを使用して WebLogic ドメインを作成およびコンフィグレーションする方法について説明します。
ドメインの作成に使用できるサンプル スクリプトについては、「WLST オフライン サンプル スクリプト」を参照してください。
コンフィグレーション ウィザードの詳細については、『Oracle Fusion Middleware コンフィグレーション ウィザードを使用したドメインの作成』を参照してください。
ドメイン テンプレートは、ドメインのコンフィグレーション ドキュメント、アプリケーション、セキュリティ データ、起動スクリプト、およびドメインの作成に必要なその他の情報が含まれた JAR ファイルです。ドメイン テンプレートを作成および使用するには、表 3-2 に示す手順を実行します。
表 3-1 ドメイン テンプレートを作成する手順 (オフライン)
手順 | 使用するコマンド | 詳細については、以下を参照 |
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既存のドメインまたはテンプレートを開く |
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『Oracle Fusion Middleware WebLogic Scripting Tool コマンド リファレンス』の「readDomain」および「readTemplate」 |
ドメインを修正する (省略可能) |
参照コマンドおよび編集コマンド |
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未設定の場合に、デフォルト ユーザのパスワードを設定する ドメイン テンプレートに書き込むには、先にデフォルトのユーザ名およびパスワードを設定する必要がある。 |
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ドメイン テンプレートにドメイン コンフィグレーション情報を書き込む |
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『Oracle Fusion Middleware WebLogic Scripting Tool コマンド リファレンス』の「writeTemplate」 |
テンプレートを使用してドメインを作成する |
注意 : コンフィグレーション ウィザードでもドメイン テンプレートを使用できる。『Oracle Fusion Middleware コンフィグレーション ウィザードを使用したドメインの作成』を参照。 |
『Oracle Fusion Middleware WebLogic Scripting Tool コマンド リファレンス』の「createDomain」 |
WLST オフラインでは、Template Builder を使用して作成したドメイン テンプレート JAR 内、またはドメインの config
ディレクトリ内に永続化されているコンフィグレーション データへの読み書きアクセスが可能です。このデータは、XML ドキュメントの集合であり、管理オブジェクトの階層構造を表します。ドメインのコンフィグレーション ドキュメントを定義するスキーマは、以下の場所に格納されています。
http://xmlns.oracle.com/weblogic/weblogic-diagnostics/1.0/weblogic-diagnostics.xsd
WL_HOME
/server/lib/schema
内の JAR ファイル。WL_HOME
は WebLogic Server のインストール ディレクトリです。このディレクトリ内では、以下のドキュメントが表現されています。
domain.xsd
ドキュメント。パス名 META-INF/schemas/schema-0.xsd
の weblogic-domain-binding.jar
で表現されます。
security.xsd
ドキュメント。パス名 META-INF/schemas/schema-1.xsd
の weblogic-domain-binding.jar
で表現されます。
weblogic-diagnostics.xsd
ドキュメント。パス名 META-INF/schemas/schema-0.xsd
の diagnostics-binding.jar
で表現されます。
WLST では、この階層はファイル システムとして表されます。ファイル システムのルートが、WebLogic Server ドメインを表す管理オブジェクトです。ドメイン ディレクトリの下には管理対象オブジェクト タイプのディレクトリ群があります。このオブジェクト タイプの各インスタンスがタイプ ディレクトリの下位ディレクトリであり、各管理属性およびオペレーションがディレクトリ内のファイルです。インスタンス ディレクトリの名前は、管理オブジェクトの Name
属性の値と一致します。管理オブジェクトに Name
属性がない場合、NO_NAME_
number
の形式でディレクトリ名が生成されます。ここで、number
は 0 (ゼロ) から始まり、追加のインスタンスごとに 1 ずつ増分します。
階層を移動するには、UNIX または Windows のコマンド シェルでファイル システムを移動するのと同様に、cd
、ls
、pwd
などの WLST コマンドを使用します (表 3-2 を参照)。
注意 : WebLogic Server のデフォルト値のほとんどは、パフォーマンスを最適化するため、ドメインのコンフィグレーション ファイルには保持されていません。この最適化が原因で、WLST オフラインでは管理オブジェクト全体を表示できない場合があります (WebLogic Server では対応する XML 要素をドメインのコンフィグレーション ファイルに書き込んでいないため)。たとえば、ドメインがアクティブであるときにドメインのロギングのデフォルト重大度を変更しなかった場合、WLST オフラインではドメインのLog 管理オブジェクトは表示されません。
WLST オフラインで表示されない管理オブジェクトの属性のデフォルト値を変更する場合、最初に |
表 3-2 ドメイン コンフィグレーション情報の表示 (オフライン)
目的 | 使用するコマンド | 詳細については、『Oracle Fusion Middleware WebLogic Scripting Tool コマンド リファレンス』の以下の節を参照 |
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管理オブジェクトの階層を移動する |
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「cd」 |
現在の管理オブジェクトの子の属性または管理オブジェクトをリストする |
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「ls」 |
プロンプトで管理オブジェクトのナビゲーション パス情報表示を切り替える |
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「prompt」 |
コンフィグレーション階層内の現在の場所を表示する |
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「pwd」 |
WLST で使用されるすべての変数を表示する |
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WLST アクションの実行中に発生した最近の例外のスタック トレースを表示する |
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WLST オフラインを使用してドメインを編集するには、以下の表で定義されているタスクのいずれかを実行します。
表 3-3 ドメインの編集
目的 | 使用するコマンド | 詳細については、『Oracle Fusion Middleware WebLogic Scripting Tool コマンド リファレンス』の以下の節を参照 |
---|---|---|
アプリケーションをドメインに追加する |
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リソースを 1 つまたは複数の送り先に割り当てる (クラスタへのサーバの割り当てなど) |
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「assign」 |
リソースの割り当てを解除する |
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「unassign」 |
管理オブジェクトを作成および削除する |
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「create」 「delete」 |
属性値を取得および設定する |
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「get」 「set」 |
コンフィグレーション オプションを設定する |
|
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SQL ファイルをデータベースにロードする |
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「loadDB」 |
WLST には、既存のドメインを読み込み、ドメインを再作成可能な WLST スクリプトを出力する configToScript
というコマンドがあります。『Oracle Fusion Middleware WebLogic Scripting Tool コマンド リファレンス』の「configToScript」を参照してください。
ドメイン テンプレートの作成や使用とは異なり、configToScript
コマンドは、一緒に使用する必要のある複数のファイルを作成します (ドメイン テンプレートは単一の JAR ファイル)。また、configToScript
コマンドが作成するスクリプトには、次の特徴があります。
WLST でのみ実行できる。
ドメイン テンプレートは、WLST またはコンフィグレーション ウィザードで使用できます。
WebLogic Server インスタンスが実行されている必要がある。サーバが実行されていない場合、このスクリプトによってサーバが起動される。
WLST オフラインまたはコンフィグレーション ウィザードでは、ドメイン テンプレートを使用して、サーバ インスタンスを起動せずにドメインを作成できます。
アプリケーションおよびその他のリソースへの参照のみが含まれる。生成されたスクリプトを実行するとき、アプリケーションおよびリソースは、ファイル システムを介してドメインにアクセスできる必要がある。
ドメイン テンプレートは、ドメインの作成に必要なすべてのアプリケーションおよびリソースが含まれた JAR ファイルです。ドメイン テンプレートは自己完結型であるため、ドメイン テンプレートを使用すると、ファイル システムを共有しない別のシステムにドメインを作成できます。
WLST オフラインで、アプリケーション スコープの JDBC や JMS リソース、またはその両方が含まれるアプリケーションを備えたテンプレートを使用してクラスタ ドメインを作成または拡張した場合、ドメインの作成または拡張後に、アプリケーションとそのアプリケーション スコープのリソースが確実に対象指定され、クラスタ環境に適切にデプロイされるために、追加の手順の実行が必要な場合があります。アプリケーション スコープのモジュールの対象指定とデプロイメントの詳細については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server アプリケーションのデプロイメント』の「weblogic.deployer によるアプリケーションおよびモジュールのデプロイ」を参照してください。
JDBC リソースを使用してデータベースに接続する場合、データベース ベンダの要件に従って環境を変更します。通常、そのためには、ドライバ クラスを CLASSPATH
変数に追加し、ベンダ固有のディレクトリを PATH
変数に追加します。SDK を PATH
変数に追加し、WebLogic Server クラスを CLASSPATH
変数に追加するだけでなく、サンプル PointBase データベースで必要な環境を設定するには、次のスクリプトを呼び出します。
WL_HOME
\samples\domains\wl_server\setExamplesEnv.cmd
(Windows の場合)
WL_HOME
/samples/domains/wl_server/setExamplesEnv.sh
(UNIX の場合)