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Oracle® Fusion Middleware Oracle WebLogic Server Tuxedo Connector プログラマーズ ガイド
11g リリース 1 (10.3.1)
B55532-01
 

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5 Oracle WebLogic Tuxedo Connector JATMI トランザクション

以下の節では、グローバル トランザクションの概要とそれらをアプリケーションで定義および管理する方法について説明します。

グローバル トランザクション

グローバル トランザクションは、2 つ以上のリソース マネージャのある作業、および 1 つの論理単位として扱われる 2 つ以上の物理サイトにまたがる作業を実行するトランザクションです。グローバル トランザクションは常に、次の 4 つのプロパティによって分類された特定のシーケンスの操作として扱われます。

JTA Transaction API


注意 :

詳細については、http://java.sun.com/javaee/technologies/jta/index.jsp にある JTA API を参照してください。

Oracle WebLogic Tuxedo Connector は、トランザクションの管理に Java Transaction API (JTA) を使用します。

JTA インタフェースのタイプ

JTA には、3 つのタイプのトランザクション インタフェースがあります。

  • Transaction

  • TransactionManager

  • UserTransaction

Transaction

Transaction インタフェースは、対象となる Transaction オブジェクトのトランザクションに対して実行される操作を許可します。トランザクション オブジェクトは、作成された各グローバル トランザクションに対応して作成されます。Transaction インタフェースは、リソースの取得、登録の同期、およびトランザクション完了操作やステータス クエリ操作を実行するために使用します。

TransactionManager

TransactionManager インタフェースによって、アプリケーション サーバはアプリケーションの代わりにトランザクション境界区分のトランザクション マネージャと通信できるようになります。TransactionManager インタフェースは、コンテナ管理の EJB コンポーネントの代わりにトランザクション マネージャと通信するために使用します。

UserTransaction

UserTransaction インタフェースは、TransactionManager インタフェースのサブセットです。UserTransaction インタフェースは、Transaction オブジェクトへのアクセスを制限する必要があるときに使用します。

JTA トランザクション プリミティブ

Oracle Tuxedo トランザクション プリミティブの機能を、等価の JTA トランザクション プリミティブにマップした表を次に示します。

表 5-1 Tuxedo トランザクション プリミティブと JTA トランザクション プリミティブのマッピング

Oracle Tuxedo Oracle Tuxedo 機能 同等の JTA 機能
tpabort

トランザクションの終了に使用。

またはロールバック
tpcommit

トランザクションの完了に使用。

commit
tpgetlev

サービス ルーチンがトランザクション モードであるかどうかの判断に使用。

getStatus
tpbegin

トランザクションの開始に使用。

setTransactionTimeout
begin

トランザクションの定義

トランザクションは、クライアントまたはサーバ プロセスのいずれかで定義できます。トランザクションは、3 つの部分で構成されます。3 つの部分とは、開始ポイント、トランザクション モードのプログラム文、および終了ポイントです。

トランザクションを明示的に定義するには、begin() メソッドを呼び出します。呼び出しを行う同じプロセスである開始プロセスは、commit()setRollbackOnly() または rollback() を呼び出すことによって終了を行うプロセスにもなる必要があります。トランザクション区切り記号間で呼び出されるサービス サブルーチンは、現在のトランザクションの一部となります。

トランザクションの開始


注意 :

setTransactionTimeout() をあまり大きい値に設定すると、システム検出やエラーのレポートが遅延します。タイムアウト値は、適切な時間内でサービス リクエストへの応答を行ったり、ネットワーク障害などの問題が発生したトランザクションを終了したりするために使用します。プロダクション環境では、システム ロードおよびデータベース競合によって起こると予想される遅延に対応するよう、タイムアウト値を調整します。

トランザクションは、begin() の呼び出しによって開始されます。タイムアウト値を指定するには、begin() 文の前に setTransactionTimeout(int seconds) 文を指定します。

Oracle Tuxedo にトランザクションを伝播するには、次の操作を実行する必要があります。

TPNOTRAN の使用

トランザクション区切り記号内で呼び出されるサービス ルーチンは、現在のトランザクションの一部となります。ただし、TPNOTRAN に設定された flags パラメータが tpcall() または tpacall() に含まれている場合、呼び出されたサービスによって実行される操作は、そのトランザクションの一部にはなりません。結果として、呼び出されたプロセスによって実行されたサービスは、現在のトランザクションの結果からの影響を受けません。

トランザクションの終了

トランザクションは、commit()rollback()、または setRollbackOnly() の呼び出しによって終了されます。commit() が正常に復帰すると、現在のトランザクションでリソースに対して行われた変更はすべて永続的なものとなります。commit() が正常に実行されるには、次の 2 つの条件が満たされている必要があります。

  • 呼び出しプロセスは、begin() でトランザクションを開始した同じプロセスでなければならない。

  • 呼び出しプロセスに、未処理のトランザクション応答が存在してはならない。

いずれかの条件が真でない場合、この呼び出しは失敗し、例外が送出されます。

setRollbackOnly() および rollback() は、異常が発生したことを示し、すべての記述子を元の状態にロールバックする場合に使用します。

  • トランザクションをロールバックする前に何らかの処理やクリーンアップが必要な場合は、setRollbackOnly() を使用します。

  • トランザクションをロールバックする前に何の処理もクリーンアップも不要な場合は、rollback() を使用します。

Oracle WebLogic Tuxedo Connector トランザクションのルール

トランザクション モード中は、トランザクションを正常に完了させるために特定のルールに従う必要があります。トランザクション モード中に注意すべき基本的なルールは、次のとおりです。

サンプル トランザクション コード

次に、トランザクションのサンプル コードを示します。

コード リスト 5-1 サンプル トランザクション コード

public class TransactionSampleBean implements SessionBean {

.....

public int transaction_sample () {

     int ret = 0;
     try {
          javax.naming.Context myContext = new InitialContext();
          TransactionManager tm = (javax.transaction.TransactionManager)
          myContext.lookup("javax.transaction.TransactionManager");

// トランザクションを開始する
          tm.begin ();

          TuxedoConnectionFactory tuxConFactory = (TuxedoConnectionFactory) 
          ctxt.lookup("tuxedo.services.TuxedoConnection");

// このトランザクションの一部になるローカルの
// JDBC/XA データベース操作をここで実行できる。
.....

// 注意 1 : Tuxedo の呼び出しをトランザクションの一部
// にする必要がある場合は、Tuxedo 接続を
// トランザクションの開始後にのみ取得する

// 注意 2 : トランザクションの開始前に Tuxedo
// 接続を取得すると、その Tuxedo 接続からの
// すべての呼び出しがトランザクションのスコープ外
// になる

          TuxedoConnection myTux = tuxConFactory.getTuxedoConnection();

// tpcall を実行する。この tpcall がトランザクションの一部です。
          TypedString depositData = new TypedString("somecharacters,5000.00");

          Reply depositReply = myTux.tpcall("DEPOSIT", depositData, 0);

// TPNOTRAN フラグを設定することによって、
// トランザクションの一部ではない tpcall を実行することも 
// できる (たとえば試行されたすべての処理のロギングなど)
          TypedString logData = 
          new TypedString("DEPOSIT:somecharacters,5000.00");

          Reply logReply = myTux.tpcall("LOGTRAN", logData, 
          ApplicationToMonitorInterface.TPNOTRAN);

// Tuxedo 接続が用済みになり、tpterm を実行する
          myTux.tpterm ();

// トランザクションをコミットする...
          tm.commit ();

// 注意 : このトランザクションで使用されている 
// TuxedoConnection オブジェクトは、
// TPNOTRAN フラグが設定されている場合のみトランザクション後も使用できる。
}
          catch (NamingException ne) {
          System.out.println ("ERROR: Naming Exception looking up JNDI: " + ne);
          ret = -1;
}
          catch (RollbackException re) {
          System.out.println("ERROR: TRANSACTION ROLLED BACK: " + re);
          ret = 0;
}
          catch (TPException te) {
          System.out.println("ERROR: tpcall failed: TpException: " + te);
          ret = -1;
}
          catch (Exception e) {
          log ("ERROR: Exception: " + e);
          ret = -1;
}

          return ret;
}