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Oracle® Fusion Middleware Oracle WebLogic Server JAX-RPC を使用した Web サービス入門
11g リリース 1 (10.3.1)
B55567-01
 

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7 Web サービスの管理

以下の節では、WebLogic Web サービスの管理方法について説明します。

WebLogic Web サービスの管理タスクの概要

jwsc Ant タスクを使用して WebLogic Web サービスをコンパイルおよびパッケージ化すると、Web サービスはエンタープライズ アプリケーションの一部としてパッケージ化されます。デフォルトでは、Web サービス自体はエンタープライズ アプリケーション内に Web アプリケーション WAR ファイルとしてパッケージ化されます。ただし、JWS ファイルにセッション Bean が実装されている場合、Web サービスは EJB JAR ファイルとしてパッケージ化されます。したがって、Web サービスの基本的な管理は、標準の Java Platform, Enterprise Edition (Java EE) バージョン 5 アプリケーションおよびモジュールの基本的な管理と非常に似ています。標準的なタスクは以下のとおりです。

Web サービス固有の管理タスクは以下のとおりです。

管理ツール

WebLogic Server で動作する Java EE モジュールおよびアプリケーションの管理方法には、Web サービスを含めさまざまな方法があります。ニーズに最も適合するツールを使用してください。

Administration Console の使用

WebLogic Server Administration Console は、サーバやクラスタにデプロイされた WebLogic Server ドメイン、1 つまたは複数の WebLogic Server インスタンス、クラスタ、およびアプリケーション (Web サービスを含む) の管理に使用する Web ブラウザ形式のグラフィカル ユーザ インタフェースです。

各ドメインでは、1 つの WebLogic Server インスタンスが管理サーバとしてコンフィグレーションされます。管理サーバでは WebLogic Server ドメインを一元的に管理できます。ドメイン内の他のすべての WebLogic Server インスタンスは、管理対象サーバと呼ばれます。1 つの WebLogic Server インスタンスしか含まれないドメインでは、そのサーバが管理サーバおよび管理対象サーバとして機能します。Administration Console は、管理サーバによってホストされる Web アプリケーションであり、サポートされている任意の Web ブラウザから、管理サーバへのネットワーク アクセスを使用してアクセスできます。

システム Administration Console を使用して、以下の作業を行うことができます。

Administration Console の起動

ブラウザで Administration Console を起動するには、次の URL を入力します。

http://host:port/console

各要素の説明は次のとおりです。

  • host は、管理サーバが動作しているコンピュータを指す。

  • port は、管理サーバが接続リクエストをリスニングしているポート番号を指す。管理サーバのデフォルトのポート番号は 7001 です。

Administration Console の右上にある [ヘルプ] ボタンをクリックすると、Administration Console の詳しい使い方を説明するオンライン ヘルプが表示されます。

次の図は、Administration Console のメイン ウィンドウを示しています。

図 7-1 WebLogic Server Administration Console のメイン ウィンドウ

図 7-1 の説明は図の下のリンクをクリックしてください。
図 7-1 「WebLogic Server Administration Console のメイン ウィンドウ」の説明

Administration Console での Web サービスの表示

通常、Web サービスはエンタープライズ アプリケーションの一部として WebLogic Server にデプロイされます。エンタープライズ アプリケーションは、EAR としてアーカイブするか、展開されたディレクトリの形式とすることができます。Web サービス自体はほとんどの場合、Web アプリケーションとしてパッケージ化されます。ただし、JWS ファイルにセッション Bean が実装されている場合だけは、EJB としてパッケージ化されます。Web サービスは、アーカイブ形式 (Web アプリケーションの場合は WAR ファイル、EJB の場合は EJB JAR ファイル) または展開されたディレクトリ形式にできます。

Web サービスは、必ずしもエンタープライズ アプリケーションの一部としてインストールする必要はありません。Web サービスは、Web アプリケーションまたは EJB としてそのままインストールすることもできます。ただし、Oracle では、Web サービスをエンタープライズ アプリケーションの一部としてインストールすることをお勧めしています。Web サービスの作成に使用される WebLogic Ant タスク (jwsc) は、生成された Web サービスを常にエンタープライズ アプリケーションにパッケージ化します。

Administration Console を使用して Web サービスに関する Web サービス固有のコンフィグレーション情報を表示および更新するには、左ペインの [デプロイメント] ノードをクリックし、右ペインに表示される [デプロイメント] テーブルで Web サービスがパッケージ化されているエンタープライズ アプリケーションを探します。[+] ノードをクリックしてアプリケーションを展開すると、[Web サービス] カテゴリにアプリケーション内の Web サービスのリストが表示されます。コンフィグレーションを表示または更新するには、その Web サービスの名前をクリックします。

次の図では、Administration Console の [デプロイメント] テーブルに、helloWorldEar エンタープライズ アプリケーションにパッケージ化されている HelloWorldService Web サービスが表示されています。

図 7-2 WebLogic Server Administration Console のメイン ウィンドウ

図 7-2 の説明は図の下のリンクをクリックしてください。
図 7-2 「WebLogic Server Administration Console のメイン ウィンドウ」の説明

Web サービスのセキュリティ コンフィグレーションの作成

デプロイ済みの WebLogic Web サービスがメッセージ レベルのセキュリティ (WS-Security 仕様で定義されている暗号化およびデジタル署名) を使用するようにコンフィグレーションされている場合、Web サービス ランタイムは、その Web サービスに Web サービス セキュリティ コンフィグレーションが関連付けられているかどうかを判断します。このセキュリティ コンフィグレーションでは、ID の認証に X.509 証明書を使用するかどうか、パスワード ダイジェストを使用するかどうか、暗号化にキーストアを使用するかどうかなどを指定します。1 つのセキュリティ コンフィグレーションを多数の Web サービスに関連付けることができます。

Web サービスのセキュリティ コンフィグレーションはドメイン全体を対象とするため、Administration Console では [デプロイメント] タブではなく [domainNameWeb サービス セキュリティ] タブから作成します。次の図に、このタブの場所を示します。

図 7-3 Administration Console での Web サービスのセキュリティ コンフィグレーション

図 7-3 の説明は図の下のリンクをクリックしてください。
「図 7-3 Administration Console での Web サービスのセキュリティ コンフィグレーション」の説明

Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Control の使用

Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Control (Fusion Middleware Control) は、ファームをモニタと管理するために使用する Web ブラウザ形式のグラフィカル ユーザ インタフェースです。ファームは Fusion Middleware Control によって管理されるコンポーネントの集合です。これには、Oracle WebLogic Server ドメイン、1 つまたは複数の管理対象サーバおよびドメインでインストール、コンフィグレーション、実行される Oracle Fusion Middleware システム コンポーネントが含まれます。

Fusion Middleware Control は、ファーム、Oracle WebLogic Server ドメイン、コンポーネントおよびアプリケーションに関するさまざまなパフォーマンス データと管理機能を個別の Web ベースのホーム ページで整理します。Fusion Middleware Control ホーム ページを使用すると、モニタする最も重要なデータとごく一般的に使用される管理機能を Web ブラウザから間単に検索できます。

以下の図に、Fusion Middleware Control を示します。

図 7-4 Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Control

図 7-4 の説明は図の下のリンクをクリックしてください。
「図 7-4 Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Control」の説明

Enterprise Manager を使用して Web サービスをモニタとテストする方法の詳細については、『Oracle Fusion Middleware Web サービスのセキュリティと管理者ガイド』の「WebLogic Web サービスのセキュリティと管理」を参照してください。

Fusion Middleware Control は、Oracle Fusion Middleware 製品に含まれていますが、Oracle WebLogic Server のスタンドアロン バージョンを購入した場合には同梱されていません。Fusion Middleware Control の詳細については、『Oracle Fusion Middleware 管理者ガイド』の「Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Control の開始」を参照してください。

WebLogic Scripting Tool の使用

WebLogic Scripting Tool (WLST) は、コマンドライン形式のスクリプト インタフェースです。WLST を使用すると、WebLogic Server のドメインやインスタンスと対話してコンフィグレーションしたり、Java EE モジュールおよびアプリケーション (Web サービスを含む) を特定の WebLogic Server インスタンスにデプロイしたりできます。システム管理者およびオペレータは、WLST を使用して WebLogic Server のコンフィグレーションの変更を開始、管理、および永続化できます。

通常、Web サービスの管理に使用する WLST コマンドは、デプロイメント カテゴリに分類されます。

WLST の使用の詳細については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Scripting Tool ガイド』を参照してください。

WebLogic Ant タスクの使用

WebLogic Server には、コンフィグレーション タスクや管理タスクの多くを単一の Ant ビルド スクリプトに一元化するのに使用できるさまざまな Ant タスクが用意されています。これらの Ant タスクを使用すると、以下のことが行えます。

Web サービスに関係のない WebLogic Ant タスクに固有の情報については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server アプリケーションの開発』の「Ant タスクを使用した WebLogic Server ドメインのコンフィグレーションと使用」および「wldeploy Ant タスクのリファレンス」を参照してください。

Java Management Extensions (JMX) の使用

管理対象 Bean (MBean) は、Java Management Extensions (JMX) インタフェースを提供する Java Bean です。JMX は、ネットワーク上のリソースをモニタおよび管理するための Java EE ソリューションです。JMX は SNMP および他の管理規格と同様に公開された仕様であり、一般的に用いられるモニタ用製品を扱うベンダの多くでサポートされています。

WebLogic Server には、JMX を使用して WebLogic Server リソースをコンフィグレーション、モニタ、および管理するためのさまざまな MBean が用意されています。WebLogic Web サービスにも、Web サービスの管理タスクを実行するのに使用する専用の MBean が複数あります。

MBean には 2 種類あります。読み取り専用のモニタ情報の表示に使用する実行時 MBean と、デプロイ済みの Web サービスのコンフィグレーションに使用するコンフィグレーション MBean です。

コンフィグレーション Web サービス MBean は以下のとおりです。

実行時 Web サービス MBean は以下のとおりです。

JMX の詳細については、「Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server MBean リファレンス」および「Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server JMX によるカスタム管理ユーティリティの開発」の以下の節を参照してください。

Java EE Deployment API の使用

Java EE 5 では、http://jcp.org/en/jsr/detail?id=88 にある J2EE Application Deployment 仕様 (JSR-88) は、対象アプリケーション サーバ環境にデプロイするためにアプリケーションをコンフィグレーションするのに使用できる標準 API を定義します。

この仕様には、Java EE Deployment アーキテクチャが記述されています。このアーキテクチャでは、ツールやアプリケーション プログラマがあらゆる Java EE プラットフォーム製品でアプリケーションをコンフィグレーションおよびデプロイできるようにするための規約を定義しています。この規約では、アプリケーションのデプロイメント コンフィグレーションとデプロイメントについて、ツールと Java EE プラットフォーム製品の間での共通モデルが定義されています。Deployment アーキテクチャを使用すると、アプリケーションのデプロイメントがより容易に行えます。多様な Java EE プラットフォーム製品にアプリケーションをデプロイするために、さまざまな Java EE デプロイメント ツールのすべての機能を理解する必要はありません。

詳細については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server アプリケーションのデプロイメント』を参照してください。

ワーク マネージャによる Web サービス作業の優先付けと実行スレッドのスタックの低減

クライアント アプリケーションと Web サービスの間の接続が確立されると、理論的にはこれらの間の対話がスムーズかつ迅速になり、クライアントによるリクエストとサービスによる応答が適切なタイミングで行われます。ただし、クライアント アプリケーションが新しいリクエストを行うのに時間がかかり、その間 (最長で WebLogic Server インスタンスの存続時間の間) Web サービスが応答を待機する状況が発生することもあります。この現象を、「実行スレッドのスタック」と呼びます。ある一時点において実行スレッドのスタックが大量に発生すると、サーバ全体のパフォーマンスが低下する可能性があります。

特定の Web サービスで実行スレッドのスタックが頻繁に発生する場合は、ワーク マネージャをコンフィグレーションしてそのサービスに適用することで、そのサービスにおいて作業の実行をどのように優先付けするかを指定できます。たとえば、「応答時間要求クラス」(特定のタイプのワーク マネージャ コンポーネント) をコンフィグレーションすると、Web サービスの応答時間の目標値を指定できます。

次に、デプロイメント記述子で応答時間要求クラスを定義する方法の例を示します。

<work-manager>
     <name>responsetime_workmanager</name>
         <response-time-request-class>
             <name>my_response_time</name>
             <goal-ms>2000</goal-ms>
         </response-time-request-class>
 </work-manager>

応答時間要求クラスは、Administration Console を使用してコンフィグレーションすることができます。『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server Administration Console ヘルプ』の「ワーク マネージャ : 応答時間 : コンフィグレーション」を参照してください。

ワーク マネージャの一般情報と Web サービスでコンフィグレーションする方法については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server サーバ環境のコンフィグレーション』の「ワーク マネージャを使用したスケジューリング済み作業の最適化」を参照してください。