MBeanまたはマネージドBeanは、アプリケーション、サービス、コンポーネントまたはデバイスなど、分散環境の管理可能なリソースを表すJavaオブジェクトです。
MBeanには、管理クライアントによるリソースの制御を可能にする公開対象インタフェースがあります。次に、インタフェースの構成内容を示します。
属性。管理クライアントが取得または設定する任意の型の値。属性は、JavaBeanに設定されたプロパティと類似しています。
操作。任意のシグネチャおよびクライアントが起動できる任意の戻り型を持つメソッド。
特定のイベントが発生すると生成される通知。
個々のMBeanの説明には、使用可能な属性、操作および通知の詳細が含まれています。
次の項では、Oracle Application Server Web Servicesに関連するMBean、およびその環境内でどのように初期化されるかを説明します。
この項では、MBeanの機能を定義するコンポーネントを説明し、OracleAS Web Servicesで使用可能なMBeanをまとめます。
MBeanの名前は、J2EEApplication
、WebServicePort
、handler
など、様々なコンポーネントで構成されています。コンポーネントの値は、MBeanがMBeanサーバーに登録される際に設定されます。MBeanの完全名は、アクセス時にApplication Server Controlに表示されます。表G-1に、MBeanのコンポーネントの値を説明します。
表G-1 JMX MBean名のコンポーネントの定義
コンポーネント値 | 説明 |
---|---|
{application} |
デプロイ時にアプリケーション(EARファイル)に指定された名前。この値は、 |
{interceptor} |
この値はインターセプタを識別します。現在可能な値は、 |
{operation} |
サービスのデプロイメント・ディスクリプタによって説明されているWebサービス操作の名前。この値は、デプロイ済のWebモジュールの |
{port} |
サービスのデプロイメント・ディスクリプタによって説明されているWebサービス・ポートの名前。この値は、デプロイ済のWebモジュールの |
{service} |
サービスのデプロイメント・ディスクリプタによって指定されるWebサービスの名前。この値は、デプロイ済のWebモジュールの |
{web-module} |
アプリケーションのデプロイメント・ディスクリプタ内のWebモジュールに指定された名前。この値は、アプリケーションの |
*:j2eeType=WebServicePort
, J
2EEApplication={
application}
, WebModule={
web-module}
, WebService={
service}
, name={
port},*
このMBeanは、ランタイムのWebサービス・エンドポイントの管理用に用意されています。特に、このMBeanは、Webサービス・ポートの構成、状態およびパフォーマンスに関する情報を提供します。また、エンドポイントの一時的な停止や再起動を可能にします。
属性: address
、implementationType
、path
, serviceName
、state
、stats
、style
、wsdl
操作: start
、stop
統計: ActiveRange
、TotalFault
、ServiceTime
通知: j2ee.state.running
、j2ee.state.stopped
*:j2eeType=WebServiceOperation
, J2EEApplication={
application}
, WebModule={
web-module}
, WebService={
service}
, WebServicePort={
port}
, name={
operation}
このMBeanは、Webサービス・エンドポイントの各操作の監視および管理用に用意されています。属性の多くは、操作の実装に関する情報を提供します。
属性: inputEncoding
、outputEncoding
、overloaded
、sampleRequest
、sampleResponse
、stats
、testPagePath
、testPageURL
統計: RequestSize
、ResponseSize
、ActiveRange
、FaultCount
、ServiceTime
*:j2eeType=WSMServiceConfig
, J2EEApplication={
application}
, WebModule={
web-module}
, WebService={
service}
, WebServicePort={
port}
, *
このMBeanは、システム内のMBeanの階層の作成にのみ使用されます。各Webサービス・ポートに関連付けられているすべてのインターセプタのポート・レベルの構成を表します。ただし、このMBeanには実用的な属性や操作はありません。
*:j2eeType=WSMOperationConfig
, J2EEApplication={
application}
, WebModule={
web-module}
, WebService={
service}
, WebServicePort={
port}
, operation={
operation}
, *
このMBeanは、システム内のMBeanの階層の作成にのみ使用されます。各Webサービス操作に関連付けられているすべてのインターセプタの操作レベルの構成を表します。ただし、このMBeanには実用的な属性や操作はありません。
*:j2eeType=WSMHandlerGlobalConfig
, handler={
interceptor}
, *
このMBeanは、各インターセプタのグローバル構成設定を取得、設定および検証する機能を提供します。現在、グローバル構成を使用するのは、セキュリティのインターセプタのみです。
属性: stagedConfig
、deployedConfig
操作: validateConfig
*:j2eeType=WSMHandlerServiceConfig
, J2EEApplication={
application}
, WebModule={
web-module}
, WebService={
service}
, WebServicePort={
port}
, handler={
interceptor}
, *
このMBeanは、各インターセプタのポート・レベルの構成へのアクセスを可能にします。各インターセプタも、stagedEnabled
属性を使用して、MBeanのWebサービス・ポートに対して有効化または無効化される場合があります。その他の属性および操作は、構成の取得、設定および検証を可能にします。
属性: stagedEnabled
、stagedConfig
、deployedConfig
操作: validateConfig
*:j2eeType=WSMHandlerOperationConfig
, J2EEApplication={
application}
, WebModule={
web-module}
, WebService={
service}
, WebServicePort={
port}
, handler={
interceptor}
, operation={
operation}
, *
このMBeanは、各インターセプタの操作レベルの構成へのアクセスを可能にします。このMBeanは、構成の取得、設定および検証に使用できます。
属性: stagedConfig
、deployedConfig
操作: validateConfig
現行リリースのOracleAS Web Servicesのランタイムはサーブレットとして実装されており、ライフ・サイクル管理用のサーブレット・コンテナに依存しています。JMX MBeanは、Webサービス・ランタイムのサーブレットinit
メソッドの一部として作成および登録されます。J2EE Webアーカイブ(WARファイル)のweb.xml
デプロイメント・ディスクリプタの構成に応じ、サーブレットへの最初のリクエストが発生するまで、サーブレット・コンテナがWebサービス・サーブレットを初期化しない場合があります。
Webサービスがデプロイされるかコンテナが開始されるとサーブレット・コンテナがサーブレットを初期化するようにするには、web.xml
デプロイメント・ディスクリプタのload-on-startup
要素をゼロ以外の値に設定します。次に例を示します。
<load-on-startup>1</load-on-startup>
これにより、WebサービスのJMX MBeanがすぐに使用可能になります。
現行リリースにデプロイされているすべてのWebサービスで、web.xml
デプロイメント・ディスクリプタに<load-on-startup>1</load-on-startup>
設定を指定することをお薦めします。これにより、Application Server Controlアプリケーションが適切に機能します。