この節では、DNS のインストール手順と、それを Sun Cluster HA for DNS データサービスとして実行する方法について説明します。
Sun Cluster HA for DNS データサービスは、インターネットドメインネームサーバーソフトウェア (in.named) を使用します。in.named ソフトウェアは、Solaris 8 オペレーティング環境にバンドルされています。DNS の設定については、in.named(1M) のマニュアルページを参照してください。Sun Cluster 構成での違いは、次のとおりです。
DNS データベースは、ローカルファイルシステムではなく、クラスタファイルシステムに格納される。
DNS サーバーは、物理ホスト名ではなく、論理ホスト名 (再配置可能 IP アドレス) によって指定される。
クラスタ内のノードでスーパーユーザーになります。
DNS サービスを提供する論理ホスト名を決定します。
この名前は、Sun Cluster ソフトウェアのインストール時に設定するホスト名にします。ホスト名の設定については、『Sun Cluster 3.0 ソフトウェアのインストール』を参照してください。
DNS 実行可能ファイル (in.named) が /usr/sbin ディレクトリにあることを確認します。
DNS 実行可能ファイルは、Solaris 8 オペレーティング環境にバンドルされており、インストール前は /usr/sbin にあります。
DNS 構成ファイルとデータベースファイルを格納するディレクトリ構造をクラスタファイルシステム上に作成します。
クラスタファイルシステムに dns ディレクトリを作成し、その下に named ディレクトリを作成します (例: /global/dns/named)。クラスタファイルシステムの設定については、『Sun Cluster 3.0 ソフトウェアのインストール』を参照してください。
# mkdir -p /global/dns/named |
DNS 構成ファイルの named.conf または named.boot を /global/dns の下に配置します。
DNS がすでにインストールされている場合は、既存の named.conf または named.boot を /global/dns ディレクトリにコピーできます。インストールされていない場合は、このディレクトリに named.conf ファイルを作成してください。named.conf または named.boot に登録できるエントリの種類については、in.named(1M) のマニュアルページを参照してください。named.conf または named.boot のいずれか 1 つ、または両ファイルが存在している必要があります。
すべてのDNS データベースファイル (named.conf ファイルに指定されています) を /global/dns/named 下に配置します。
Sun Cluster HA for DNS のすべてのクライアントで、DNS サービスの論理ホスト名のためのエントリを /etc/resolv.conf ファイルに作成します。
すべてのノードで、/etc/resolv.conf を編集して論理ホスト名を登録します。たとえば、schost-1.eng.sun.com という論理ホスト名の 4 ノード構成のエントリ (phys-schost-1、phys-schost-2、phys-schost-3、phys-schost-4) は、次のようになります。
domain eng.sun.com ; schost-1.eng.sun.com (すでにファイルが存在する場合はこのエントリのみ追加) nameserver 192.29.72.90 ; phys-schost-2.eng nameserver 129.146.1.151 ; phys-schost-3.eng nameserver 129.146.1.152 ; phys-schost-4.eng nameserver 129.144.134.19 ; phys-schost-1.eng nameserver 129.144.1.57 |
ドメイン名の直後に論理ホスト名のエントリを作成します。DNS は、resolv.conf ファイルにリストされている順番にアドレスを使用してサーバーへのアクセスを試みます。
/etc/resolv.conf がすでにノード上に存在する場合は、前の例で示したように、論理ホスト名を示す最初のエントリだけを追加してください。DNS がサーバーにアクセスする順番は、このエントリの順になります。
すべてのクラスタノードで、/etc/inet/hosts を編集し、DNS サービスの論理ホスト名のためのエントリを作成します。
次に例を示します。
IPaddress には、129.146.87.53 のように実際に使用する IP アドレスを指定します。
logicalhostname には、実際に使用する論理ホスト名を指定します。
127.0.0.1 localhost IPaddress logicalhostname |
すべてのクラスタノードで、/etc/nsswitch.conf ファイルを編集し、hosts エントリの cluster と files の後に文字列 dns を追加します。
次に例を示します。
hosts: cluster files dns |
DNS を検証します。
検証を行う前に、in.named を必ず停止してください。次に例を示します。
# cd /global/dns # /usr/sbin/in.named -c /global/dns/named.conf # nslookup phys-schost-1 # pkill -x /usr/sbin/in.named |
Sun Cluster のインストール時に、すでに Sun Cluster HA for DNS パッケージがインストールされている場合は、「Sun Cluster HA for DNS の登録と構成」へ進みます。インストールされていない場合は、「Sun Cluster HA for DNS パッケージのインストール」へ進みます。