Sun Cluster 3.0 データサービスのインストールと構成

Sun Cluster HA for Oracle を登録して構成する

Sun Cluster HA for Oracle データサービスを登録して構成するには、Sun Management Center のクラスタモジュールを使用するか、以下の手順を使用します。

この手順を実行するには、次の情報が必要になります。

この手順は、任意のクラスタメンバーで実行します。

  1. クラスタのノードでスーパーユーザーになります。

  2. データサービスのリソースタイプを登録します。

    Sun Cluster HA for Oracle の場合は、次のように、SUNW.oracle_server および SUNW.oracle_listener の 2 つのリソースタイプを登録します。


    # scrgadm -a -t SUNW.oracle_server
    # scrgadm -a -t SUNW.oracle_listener
    
    -a

    データサービスのリソースタイプを追加します。

    -t SUNW.oracle_type

    データサービス用に事前に定義したリソースタイプ名を指定します。

  3. ネットワークリソースとアプリケーションリソースを保持するフェイルオーバーリソースグループを作成します。

    必要に応じて、-h オプションを指定し、データサービスを実行できる一群のノードを任意で選択することもできます。


    # scrgadm -a -g resource-group-name [-h nodelist]
    -g resource-group-name

    リソースグループの名前を指定します。任意の名前を指定できますが、クラスタ内で一意のリソースグループにする必要があります。

    -h nodelist ...

    潜在的マスターを識別する物理ノード名または ID をコンマで区切って指定します (任意)。フェイルオーバー時は、この順序で主ノードが決まります。


    注 -

    -h を使用してノードリストの順序を指定します。クラスタ内のすべてのノードが潜在的マスターの場合、-h オプションを使用する必要はありません。


  4. 使用しているすべての論理ホスト名が、ネームサービスデータベースに追加されていることを確認します。

    Sun Cluster のインストールの一部として、この確認を行います。


    注 -

    ネームサービスの検索が原因で障害が発生するのを防ぐために、サーバーおよびクライアントの /etc/hosts ファイルにすべての論理ホスト名が登録されていることを確認してください。


  5. 論理ホスト名をフェイルオーバーリソースグループに追加します。


    # scrgadm -a -L -g resource-group-name -l logical-hostname ¥
    [-j resource-name] [-n network-interface-id-list] 
    -l logical-hostname

    論理ホスト名を指定します。

    -j resource-name

    論理ホスト名リソースに名前を指定します (任意)。名前を指定しない場合、リソース名は、デフォルトで -l オプションで最初に指定した名前になります。

    -n network-interface-id-list

    各ノードの NAFO グループをコンマで区切って指定します。リソースグループの nodelist 内のすべてのノードが network-interface-list に含まれている必要があります。このオプションを指定しない場合は、scrgadm は、nodelist 内の各ノードの hostname リストによって識別されるサブネット上からネットアダプタを見つけようとします。

  6. Oracle アプリケーションリソースをフェイルオーバーリソースグループに作成します。


    # scrgadm -a -j resource-name -g resource-group-name ¥
     
    -t SUNW.oracle_server ¥ 
    -x Connect_string=user/passwd ¥
    -x ORACLE_SID=instance-name ¥
    -x ORACLE_HOME=Oracle-home ¥
    -x Alert_log_file=path-to-log
    

    # scrgadm -a -j resource-name -g resource-group-name ¥
     
    -t SUNW.oracle_listener ¥ 
    -x LISTENER_NAME=listener-name ¥
    -x ORACLE_HOME=Oracle-home
    
    -j resource-name

    追加するリソースの名前を指定します。

    -g resource-group-name

    リソースを配置するリソースグループの名前を指定します。

    -t SUNW.oracle_server/ listener

                      

    追加するリソースの種類を指定します。

    -x Alert_log_file=path-to-log

    サーバーメッセージログ用のパスを $ORACLE_HOME 下に設定します。

    -x Connect_string=user/passwd

                      

    障害モニターがデータベースに接続するために使用するユーザーとパスワード。ここでの設定は、「Oracle データベースのアクセス権を設定する」で設定したアクセス権を満たす必要があります。Solaris 認証を使用している場合は、ユーザー名とパスワードの代わりにスラッシュ (/) を入力します。

    -x ORACLE_SID=instance-name

    Oracle システム識別子を設定します。

    -x LISTENER_NAME=listener-name

                      

    Oracle リスナーインスタンスの名前を設定します。この名前は、listener.ora 内の対応するエントリと一致する必要があります。

    -x ORACLE_HOME=Oracle-home

    Oracle ホームディレクトリのパスを設定します。


    注 -

    必要に応じて、Oracle データサービスに属する拡張プロパティをさらに設定し、デフォルト値を上書きできます。拡張プロパティの一覧については、「Sun Cluster HA for Oracle 拡張プロパティの構成」を参照してください。


  7. リソースと障害モニターを有効にした後、リソースグループを管理状態にし、オンラインにします。


    # scswitch -Z -g resource-group-name
    
    -Z

    リソースとモニターを有効にし、リソースグループを管理状態にし、オンラインにします。

    -g resource-group-name

    リソースグループの名前を指定します。

例 - Sun Cluster HA for Oracle の登録

次に、2 ノードクラスタに Sun Cluster HA for Oracle を登録する例を示しています。


Cluster Information
Node names: phys-schost-1, phys-schost-2
Logical Hostname: schost-1
Resource group: oracle-rg (フェイルオーバーリソースグループ), Oracle Resources: oracle-server, oracle-listener,Oracle Instances: ora-lsnr (リスナー), ora-srvr (サーバー)
 
(フェイルオーバーリソースグループを追加し、すべてのリソースを含む)
# scrgadm -a -g oracle-rg
 
(リソースグループに論理ホスト名リソースを追加する)
# scrgadm -a -L -g oracle-rg -l schost-1 
 
(Oracle リソースタイプを登録する)
# scrgadm -a -t SUNW.oracle_server
# scrgadm -a -t SUNW.oracle_listener
 
(Oracle アプリケーションリソースをリソースグループに追加する)
# scrgadm -a -j oracle-server -g oracle-rg ¥
-t SUNW.oracle_server -x ORACLE_HOME=/global/oracle ¥
-x Alert_log_file=/global/oracle/message-log ¥
-x ORACLE_SID=ora-srvr -x Connect_string=scott/tiger
 
# scrgadm -a -j oracle-listener -g oracle-rg ¥
-t SUNW.oracle_listener -x ORACLE_HOME=/global/oracle ¥
-x LISTENER_NAME=ora-lsnr
 
(リソースグループをオンラインにする)
# scswitch -Z -g oracle-rg