Sun Cluster 3.0 のシステム管理

ミラーのオンラインバックアップを実行する (Solstice DiskSuite)

ミラー化したメタデバイスのバックアップは、マウント解除したり、ミラー全体をオフラインにしなくても行えます。サブミラーの 1 つを一時的にオフラインにする必要があるので、ミラー化の状態ではなくなりますが、バックアップ完了後ただちにオンラインに戻し、再度同期をとることができます。システムを停止したり、データへのユーザーアクセスを拒否する必要はありません。ミラーを使用してオンラインバックアップを実行すると、アクティブなファイルシステムの「スナップショット」であるバックアップが作成されます。

lockfs コマンドを実行する直前にプログラムがボリュームにデータを書き込むと、問題が生じることがあります。この問題を防ぐには、このノードで実行中のすべてのサービスを一時的に停止します。また、バックアップ手順を実行する前に、クラスタが正常に動作していることを確認してください。

  1. バックアップするクラスタノードでスーパーユーザーになります。

  2. metaset(1M) コマンドを使用し、バックアップするボリュームの所有権を持つノードを判別します。


    # metaset -s setname 
    
    -s setname

    ディスクセット名を指定します。

  3. -w オプションを指定して lockfs(1M) コマンドを使用し、ファイルシステムへの書き込みをロックします。


    # lockfs -w mount-point 
    


    注 -

    ファイルシステムをロックする必要があるのは、UFS ファイルシステムがミラー上にある場合だけです。たとえば、メタデバイスが、データベース管理ソフトウェアやその他の特別なアプリケーションの raw デバイスとして設定されている場合は、lockfs コマンドを使用する必要はありません。ただし、ソフトウェアアプリケーション固有の適切なユーティリティを実行し、任意のバッファをフラッシュしてアクセスをロックしてもかまいません。


  4. metastat(1M) コマンドを使用し、サブミラーの名前を判別します。


    # metastat -s setname -p 
    
    -p

    md.tab ファイルと同様の形式で状態を表示します。

  5. metadetach(1M) コマンドを使用し、ミラーから 1 つのサブミラーをオフラインにします。


    # metadetach -s setname mirror submirror 
    

    注 -

    読み取り操作は引き続きその他のサブミラーから実行できますが、 オフラインのサブミラーは、ミラーに最初に書き込んだ直後から同期がとれなくなります。この不一致は、オフラインのサブミラーをオンラインに戻したときに修正されます。fsck を実行する必要はありません。


  6. -u オプションを指定して lockfs コマンドを使用し、ファイルシステムのロックを解除して書き込みを続行できるようにします。


    # lockfs -u mount-point 
    

  7. fsckコマンドを実行し、ファイルシステムを確認します。


    # fsck /dev/md/diskset/rdsk/submirror 
    
  8. オフラインのサブミラーをテープなどのメディアにバックアップします。

    ufsdump(1M) コマンドか、それ以外の通常使用しているバックアップユーティリティを使用します。


    注 -

    ブロックデバイス (/dsk) 名ではなく、サブミラーの raw デバイス (/rdsk) 名を使用してください。



    # ufsdump 0ucf dump-device submirror 
    
  9. metattach(1M) コマンドを使用し、メタデバイスをオンラインに戻します。


    # metattach -s setname mirror submirror 
    

    メタデバイスをオンラインに戻すと、自動的にミラーとの再同期が行われます。

  10. metastat コマンドを使用し、サブミラーが再同期されていることを確認します。


    # metastat -s setname mirror 
    

例 - ミラーのオンラインバックアップの実行 (Solstice DiskSuite)

次の例では、クラスタノード phys-schost-1 がメタセット schost-1 の所有者なので、バックアップ作成手順は phys-schost-1 から実行します。ミラー /dev/md/schost-1/dsk/d0 は、サブミラー d10d20d30 で構成されています。


[メタセットの所有者を確認する] 
# metaset -s schost-1 
Set name = schost-1, Set number = 1 
Host                Owner
 phys-schost-1     Yes 
...
[書き込みができないようにファイルシステムをロックする] 
# lockfs -w /global/schost-1
[サブミラーの一覧を表示する] 
# metastat -s schost-1 -p 
schost-1/d0 -m schost-1/d10 schost-1/d20 schost-1/d30 1 
schost-1/d10 1 1 d4s0 
schost-1/d20 1 1 d6s0 
schost-1/d30 1 1 d8s0 
[サブミラーをオフラインにする] 
# metadetach -s schost-1 d0 d30 
[ファイルシステムのロックを解除する] 
# lockfs -u / 
[ファイルシステムを確認する] 
# fsck /dev/md/schost-1/rdsk/d30 
[サブミラーをバックアップデバイスにコピーする] 
# ufsdump 0ucf /dev/rmt/0 /dev/md/schost-1/rdsk/d30 
  DUMP: Writing 63 Kilobyte records 
  DUMP: Date of this level 0 dump: Tue Apr 25 16:15:51 2000 
  DUMP: Date of last level 0 dump: the epoch 
  DUMP: Dumping /dev/md/schost-1/rdsk/d30 to /dev/rdsk/c1t9d0s0.
  ...
  DUMP: DUMP IS DONE 
[サブミラーをオンラインに戻す] 
# metattach -s schost-1 d0 d30 
schost-1/d0: submirror schost-1/d30 is attached 
[サブミラーを再同期させる] 
# metastat -s schost-1 d0 
schost-1/d0: Mirror
   Submirror 0: schost-0/d10
     State: Okay
   Submirror 1: schost-0/d20
     State: Okay 
   Submirror 2: schost-0/d30 
     State: Resyncing 
   Resync in progress: 42 % done 
   Pass: 1
   Read option: roundrobin (default) 
...