Sun Cluster 3.0 12/01 ソフトウェアのインストール

ユーザー定義ファイルシステムをミラー化する

次の手順を使用し、ユーザー定義ファイルシステムをミラー化します。この手順では、ノードを再起動する必要はありません。

  1. クラスタの 1 つのノード上でスーパーユーザーになります。

  2. ユーザー定義ファイルシステムが存在するスライスを単一スライス (1 方向) 連結にします。

    ディスクスライスの物理ディスク名を使用します (cNtXdYsZ)。


    # metainit -f submirror1 1 1 diskslice
    

  3. 2 番目の連結を作成します。


    # metainit -f submirror2 1 1 submirror-diskslice
    

  4. 1 つのサブミラーを使用して 1 方向のミラーを作成します。


    # metainit mirror -m submirror1
    


    注 -

    このミラーのメタデバイス名は、クラスタ全体で一意である必要はありません


  5. ミラー化する各ユーザー定義ファイルシステムに対して、手順 1 から 手順 4 までを繰り返します。

  6. 各ノードで 、ミラー化した各ユーザー定義ファイルシステムの /etc/vfstab ファイルエントリを編集します。

    device to mount および device to fsck の名前は、実際のミラー名に変更してください。


    # vi /etc/vfstab
    #device        device          mount           FS      fsck    mount   mount
    #to mount      to fsck         point           type    pass    at boot options
    #
    /dev/md/dsk/mirror /dev/md/rdsk/mirror /filesystem  ufs     2       no      global

  7. 2 番目のサブミラーをこのミラーに接続します。

    このように接続することで、サブミラーの同期が開始されます。


    # metattach mirror submirror2
    

  8. 手順 7 で開始したミラーの同期が完了するまで待機します。

    metastat(1M) コマンドを使用し、ミラー化の状態を参照します。


    # metastat mirror
    

  9. ユーザー定義ファイルシステムのミラー化に使用したディスクが複数のノード (多重ポート) に物理的に接続されている場合は、そのディスクの raw ディスクデバイスグループの localonly プロパティを有効にします。

    起動デバイスが複数のノードに接続されている場合に、その起動デバイスが不意にノードを使用できなくなるのを防ぐために、localonly プロパティは有効にしておいてください。

    1. 必要に応じて、scdidadm -L コマンドを使用し、raw ディスクデバイスグループの完全なデバイス ID (DID) 擬似ドライバ名を表示します。

      次の例では、raw ディスクデバイスグループ名 dsk/d4 は、出力の第 3 列の一部になっており、これが完全な DID 擬似ドライバ名に当たります。


      # scdidadm -L
      ...
      1         phys-schost-3:/dev/rdsk/c1t1d0     /dev/did/rdsk/d2
      # scconf -c -D name=dsk/d2,localonly=true
      

      localonly プロパティの詳細については、scconf_dg_rawdisk(1M) のマニュアルページを参照してください。

    2. raw ディスクデバイスグループのノードリストを表示します。

      出力は次のようになります (N は DID 番号です)。


      # scconf -pvv | grep dsk/dN
      Device group name:                                 dsk/dN
      ...
        (dsk/dN) Device group node list:                 phys-schost-1, phys-schost-3
      ...

    3. ノードリストにノード名が複数含まれているかどうかを確認します。

      • 含まれている場合は、手順 d に進みます。

      • 含まれていない場合は、手順 e に進みます。

    4. raw ディスクデバイスグループのノードリストから、ルートディスクをミラー化したノード以外のすべてのノードを削除します。

      ルートディスクをミラー化したノードだけがノードリストに残るようにします。


      # scconf -r -D name=dsk/dN,nodelist=node
      
      -D name=dsk/dN

      raw ディスクデバイスグループのクラスタ固有の名前を指定します。

      nodelist=node

      ノードリストから削除するノードの名前を指定します。

    5. scconf(1M) コマンドを使用し、localonly プロパティを有効にします。

      localonly プロパティが有効になった時点で、raw ディスクデバイスグループはそのノードリスト内のノードだけに使用されるようになります。これにより、起動デバイスが複数のノードに接続されている場合に、不意にノードがその起動デバイスから使用できなくなることが防止されます。


      # scconf -c -D name=rawdisk-groupname,localonly=true
      
      -D name=rawdisk-groupname

      raw ディスクデバイスグループの名前を指定します。

  10. ディスクセットを作成します。

    「ディスクセットを作成する」に進みます。

例 - ユーザー定義ファイルシステムのミラー化

次の例に、ミラー d4 を作成し、c0t0d0s4 上に存在する /home をミラー化する方法を示します。ミラー d4 は、パーティション c0t0d0s4 上のサブミラー d14 とパーティション c2t2d0s4 上のサブミラー d24 で構成されています。/home/etc/vfstab ファイルエントリは、ミラー名 d4 を使用するように更新されます。ディスク c2t2d0 は多重ポートディスクなので、localonly プロパティが有効に設定されています。


(ミラーを作成する)
# metainit -f d14 1 1 c0t0d0s4
d14: Concat/Stripe is setup
# metainit -f d24 1 1 c2t2d0s4
d24: Concat/Stripe is setup
# metainit d4 -m d14
d4: Mirror is setup
 
(/etc/vfstab ファイルを編集する)
# vi /etc/vfstab
#device        device          mount           FS      fsck    mount   mount
#to mount      to fsck         point           type    pass    at boot options
#
/dev/md/dsk/d4 /dev/md/rdsk/d4 /home           ufs     2       no      global
 
(2 番目のサブミラーを接続する)
# metattach d4 d24
d4: Submirror d24 is attached
 
(同期状態を表示する)
# metastat d4
d4: Mirror
      Submirror 0: d14
         State: Okay
      Submirror 1: d24
         State: Resyncing
      Resync in progress: 15 % done
...
 
(ミラー化されたディスクの raw ディスクデバイスグループの DID 名を識別する)
# scdidadm -L
...
1         phys-schost-3:/dev/rdsk/c2t2d0     /dev/did/rdsk/d2
 
(ミラーディスクの raw ディスクデバイスグループのノードリストを表示する)
# scconf -pvv | grep dsk/d2
Device group name:                                 dsk/d2
...
  (dsk/d2) Device group node list:                 phys-schost-1, phys-schost-3
...
 
(raw ディスクデバイスグループのノードリストから phys-schost-3 を削除する)
# scconf -r -D name=dsk/d2,nodelist=phys-schost-3
 
(ミラーディスクの raw ディスクデバイスグループの localonly プロパティを有効にする)
# scconf -c -D name=dsk/d2,localonly=true