この章では、クラスタと個々のクラスタノードの停止方法と起動方法について説明します。
この章に関連する手順の概要については、表 2–1と表 2–2を参照してください。
Sun Cluster の scshutdown(1M) コマンドを使用して、クラスタサービス全体を正しい順序で正常に停止します。scshutdown コマンドは、クラスタの場所を移動するときにも使用できます。 また、アプリケーションエラーによってデータが破壊された場合に、クラスタを停止するときにも使用できます。
クラスタ全体を正しく停止するには、shutdown や halt コマンドではなく、scshutdown コマンドを使用します。Solaris の shutdown コマンドは、ノードを個々に停止する場合にscswitch コマンドと一緒に使用します。詳細については、クラスタを停止するまたは単一クラスタノードの停止と起動を参照してください。
scshutdown コマンドは、次の手順でクラスタのすべてのノードを停止します。
実行中のすべてのリソースグループをオフラインにする。
すべてのクラスタファイルシステムをマウント解除する
アクティブなデバイスサービスを停止する。
init 0 を実行し、すべてのノードを OBP ok プロンプトの状態にする。
必要であれば、ノードを非クラスタモードで (つまり、ノードがクラスタメンバーシップを取得しないように) 起動できます。非クラスタモードは、クラスタソフトウェアをインストールしたり、特定の管理手順を実行する際に役立ちます。詳細については、非クラスタモードでクラスタノードを起動するを参照してください。
目的 |
参照先 |
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クラスタの停止 -scshutdown を使用します。 | |
すべてのノードを起動してクラスタを起動 クラスタメンバーシップを取得できるように、ノードにはクラスタインターコネクトとの動作中の接続が必要です。 | |
クラスタの再起動 -scshutdown を使用します。 ok プロンプトで boot(1M) コマンドを使用して、各ノードを個々に起動します。 クラスタメンバーシップを取得できるように、ノードにはクラスタインターコネクトとの動作中の接続が必要です。 |
クラスタノードを停止する場合は、クラスタコンソール上で send brk を使用してはいけません。この機能はクラスタ内ではサポートされません。send brk を使用し、ok プロンプトに go を入力し、再起動すると、ノードでパニックが発生します。
Oracle® の Parallel Server または Real Application Clusters が動作しているクラスタの場合、データベースのすべてのインスタンスを停止します。
停止の手順については、Oracle Parallel Server/Real Application Clusters 製品のマニュアルを参照してください。
クラスタ内にある任意のノード上でスーパーユーザーになります。
直ちにクラスタを停止して OBP の状態にします。
クラスタ内の 1 つのノードから、次のコマンドを入力します。
# scshutdown -g0 -y |
すべてのノードが ok プロンプトの状態になったことを確認します。
すべてのクラスタノードが ok プロンプトの状態になるまで、どのノードの電源も切らないでください。
必要であればノードの電源を切ります。
次に、正常なクラスタの動作を停止して、すべてのノードを ok プロンプトの状態にしたときのコンソールの出力例を示します。ここでは、-g 0 オプションで停止の猶予期間をゼロに設定し、-y で、確認プロンプトに対して自動的に yes と応答するよう指定しています。停止メッセージは、クラスタ内の他のノードのコンソールにも表示されます。
# scshutdown -g0 -y May 2 10:08:46 phys-schost-1 cl_runtime: WARNING: CMM monitoring disabled. phys-schost-1# INIT: New run level: 0 The system is coming down. Please wait. System services are now being stopped. /etc/rc0.d/K05initrgm: Calling scswitch -S (evacuate) The system is down. syncing file systems... done Program terminated ok |
クラスタを起動するを参照して、停止したクラスタを再起動します。
ノードが停止されており、ok プロンプトの状態になっているクラスタを起動するには、boot(1M) コマンドで各ノードを起動します。
停止中に構成を変更した場合は、最新の構成情報を持つノードを最初に起動する必要があります。これ以外の場合は、どのような順序でノードを起動してもかまいません。
ok boot |
クラスタコンポーネントが起動すると、起動されたノードのコンソールにメッセージが表示されます
クラスタメンバーシップを取得できるように、クラスタノードにはクラスタインターコネクトとの動作中の接続が必要です。
ノードが問題なく起動し、オンラインであることを確認します。
scstat(1M) コマンドを使用してノードの状態を表示します。
# scstat -n |
クラスタノードの /var ファイルシステムが満杯になると、そのノード上では Sun Cluster が再起動できなくなる可能性があります。この問題が発生した場合は、満杯の /var ファイルシステムを修復するを参照してください。
次に、ノード phys-schost-1 を起動してクラスタに結合させたときのコンソールの出力例を示します。クラスタ内の他のノードのコンソールにも同様のメッセージが表示されます。
ok boot Rebooting with command: boot ... Hostname: phys-schost-1 Booting as part of a cluster NOTICE: Node 1 with votecount = 1 added. NOTICE: Node 2 with votecount = 1 added. NOTICE: Node 3 with votecount = 1 added. ... NOTICE: Node 1: attempting to join cluster ... NOTICE: Node 2 (incarnation # 937690106) has become reachable. NOTICE: Node 3 (incarnation # 937690290) has become reachable. NOTICE: cluster has reached quorum. NOTICE: node 1 is up; new incarnation number = 937846227. NOTICE: node 2 is up; new incarnation number = 937690106. NOTICE: node 3 is up; new incarnation number = 937690290. NOTICE: Cluster members: 1 2 3 ... |
scshutdown(1M) コマンドを実行してクラスタを停止してから、各ノードで boot コマンドを使用してクラスタを再起動します。
(任意) Oracle Parallel Server/Real Application Clusters が動作しているクラスタの場合、データベースのすべてのインスタンスを停止します。
停止の手順については、Oracle Parallel Server/Real Application Clusters 製品のマニュアルを参照してください。
クラスタ内にある任意のノード上でスーパーユーザーになります。
クラスタを停止にして OBP の状態にします。
クラスタ内の 1 つのノードから、次のコマンドを入力します。
# scshutdown -g0 -y |
各ノードが停止され、ok プロンプトの状態になります。
クラスタメンバーシップを取得できるように、クラスタノードにはクラスタインターコネクトとの動作中の接続が必要です。
各ノードを起動します。
停止中に構成を変更した場合以外は、どのような順序でノードを起動してもかまいません。停止中に構成を変更した場合は、最新の構成情報を持つノードを最初に起動する必要があります。
ok boot |
クラスタコンポーネントが起動すると、起動されたノードのコンソールにメッセージが表示されます。
ノードが問題なく起動し、オンラインであることを確認します。
scstat コマンドを使用してノードの状態を表示します。
# scstat -n |
クラスタノードの /var ファイルシステムが満杯になると、そのノード上では Sun Cluster が再起動できなくなる可能性があります。この問題が発生した場合は、満杯の /var ファイルシステムを修復するを参照してください。
次に、正常なクラスタの動作を停止してすべてのノードを ok プロンプトの状態にしてから、クラスタを再起動したときのコンソールの出力例を示します。ここでは、-g 0 オプションで猶予期間をゼロに設定し、-y で、確認プロンプトに対して自動的に yes と応答するよう指定しています。停止メッセージは、クラスタ内の他のノードのコンソールにも表示されます。
# scshutdown -g0 -y May 2 10:08:46 phys-schost-1 cl_runtime: WARNING: CMM monitoring disabled. phys-schost-1# INIT: New run level: 0 The system is coming down. Please wait. ... The system is down. syncing file systems... done Program terminated ok boot Rebooting with command: boot ... Hostname: phys-schost-1 Booting as part of a cluster ... NOTICE: Node 1: attempting to join cluster ... NOTICE: Node 2 (incarnation # 937690106) has become reachable. NOTICE: Node 3 (incarnation # 937690290) has become reachable. NOTICE: cluster has reached quorum. ... NOTICE: Cluster members: 1 2 3 ... NOTICE: Node 1: joined cluster ... The system is coming up. Please wait. checking ufs filesystems ... reservation program successfully exiting Print services started. volume management starting. The system is ready. phys-schost-1 console login: NOTICE: Node 1: joined cluster ... The system is coming up. Please wait. checking ufs filesystems ... reservation program successfully exiting Print services started. volume management starting. The system is ready. phys-schost-1 console login: |
ノードを個々に停止する場合は、scswitch コマンドを Solaris の shutdown コマンドと組み合わせて使用します。クラスタ全体を停止する場合にだけ、scshutdown コマンドを使用します。
目的 |
参照先 |
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クラスタノードの停止 - scswitch(1M) と shutdown(1M) を使用します。 | |
ノードの起動 クラスタメンバーシップを取得できるように、ノードにはクラスタインターコネクトとの動作中の接続が必要です。 | |
クラスタノードをいったん停止してから再起動 - scswitch と shutdown を使用します。 クラスタメンバーシップを取得できるように、ノードにはクラスタインターコネクトとの動作中の接続が必要です。 | |
ノードがクラスタメンバーシップを取得しないようにノードを起動 - scswitch と shutdown を使用し、次に boot -x を使用します。 |
クラスタノードを停止する場合は、クラスタコンソール上で send brk を使用してはいけません。send brk を使用し、ok プロンプトに go を入力し、再起動すると、ノードでパニックが発生します。この機能はクラスタ内ではサポートされていません。
Oracle Parallel Server/Real Application Clusters が動作しているクラスタの場合、データベースのすべてのインスタンスを停止します。
停止の手順については、Oracle Parallel Server/Real Application Clusters 製品のマニュアルを参照してください。
停止するクラスタノード上でスーパーユーザーになります。
すべてのリソースグループ、リソース、およびデバイスグループを、停止するノードから別のクラスタノードに切り替えます。
停止するノードで次のようにコマンドを入力します。
# scswitch -S -h node |
指定したノードからすべてのデバイスサービスとリソースグループを退避します。
リソースグループとデバイスグループを切り替えるノードを指定します。
クラスタノードを停止して OBP の状態にします。
停止するノードで次のようにコマンドを入力します。
# shutdown -g0 -y -i0 |
クラスタノードが ok プロンプトの状態になったことを確認します。
必要であればノードの電源を切ります。
次に、ノード phys-schost-1 を停止したときのコンソールの出力例を示します。ここでは、-g 0 オプションで猶予期間をゼロに設定し、-y で、確認プロンプトに対して自動的に yes と応答するよう指定し、i0 で実行レベル 0 で起動します。このノードの停止メッセージは、クラスタ内の他のノードのコンソールにも表示されます。
# scswitch -S -h phys-schost-1 # shutdown -g0 -y -i0 May 2 10:08:46 phys-schost-1 cl_runtime: WARNING: CMM monitoring disabled.phys-schost-1# INIT: New run level: 0 The system is coming down. Please wait. Notice: rgmd is being stopped. Notice: rpc.pmfd is being stopped. Notice: rpc.fed is being stopped. umount: /global/.devices/node@1 busy umount: /global/phys-schost-1 busy The system is down. syncing file systems... done Program terminated ok |
クラスタノードを起動するを参照し、停止したクラスタノードを再起動します。
クラスタノードの起動方法は、定足数 (quorum) の構成によって変わる場合があります。2 ノードのクラスタでは、クラスタの定足数の合計数が 3 つになるように定足数デバイスを構成する必要があります。(各ノードごとに 1 つと定足数デバイスに 1 つ)この場合、最初のノードを停止しても、2 番目のノードは定足数を保持しており、唯一のクラスタメンバーとして動作します。1 番目のノードをクラスタノードとしてクラスタに復帰させるには、2 番目のノードが稼動中で必要な数のクラスタ定足数(2 つ) が存在している必要があります。
停止したクラスタノードを起動するために、そのノードを起動します。
ok boot |
クラスタコンポーネントが起動すると、すべてのノードのコンソールにメッセージが表示されます。
クラスタメンバーシップを取得できるように、クラスタノードにはクラスタインターコネクトとの動作中の接続が必要です。
ノードが問題なく起動し、オンラインであることを確認します。
scstat(1M) コマンドを使用してノードの状態を表示します。
# scstat -n |
クラスタノードの /var ファイルシステムが満杯になると、そのノード上では Sun Cluster が再起動できなくなる可能性があります。この問題が発生した場合は、満杯の /var ファイルシステムを修復するを参照してください。
次に、ノード phys-schost-1 を起動してクラスタに結合させたときのコンソールの出力例を示します。
ok boot Rebooting with command: boot ... Hostname: phys-schost-1 Booting as part of a cluster ... NOTICE: Node 1: attempting to join cluster ... NOTICE: Node 1: joined cluster ... The system is coming up. Please wait. checking ufs filesystems ... reservation program successfully exiting Print services started. volume management starting. The system is ready. phys-schost-1 console login: |
Oracle Parallel Server/Real Application Clusters が動作しているクラスタノードの場合、データベースのすべてのインスタンスを停止します。
停止の手順については、Oracle Parallel Server/Real Application Clusters 製品のマニュアルを参照してください。
停止するクラスタノード上でスーパーユーザーになります。
scswitch および shutdown コマンドを使用してクラスタノードを停止します。
停止するノードで次のコマンドを入力します。-i 6 オプションを指定して shutdown コマンドを使用すると、ノードが停止して ok プロンプトを表示した後、再起動します。
# scswitch -S -h node # shutdown -g0 -y -i6 |
クラスタメンバーシップを取得できるように、クラスタノードにはクラスタインターコネクトとの動作中の接続が必要です。
ノードが問題なく起動し、オンラインであることを確認します。
# scstat -n |
次に、ノード phys-schost-1 を再起動したときのコンソールの出力例を示します。このノードの停止時および起動時の通知メッセージは、クラスタ内の他のノードのコンソールに表示されます。
# scswitch -S -h phys-schost-1 # shutdown -g0 -y -i6 May 2 10:08:46 phys-schost-1 cl_runtime: WARNING: CMM monitoring disabled. phys-schost-1# INIT: New run level: 6 The system is coming down. Please wait. System services are now being stopped. Notice: rgmd is being stopped. Notice: rpc.pmfd is being stopped. Notice: rpc.fed is being stopped. umount: /global/.devices/node@1 busy umount: /global/phys-schost-1 busy The system is down. syncing file systems... done rebooting... Resetting ... ,,, Sun Ultra 1 SBus (UltraSPARC 143MHz), No Keyboard OpenBoot 3.11, 128 MB memory installed, Serial #5932401. Ethernet address 8:8:20:99:ab:77, Host ID: 8899ab77. ... Rebooting with command: boot ... Hostname: phys-schost-1 Booting as part of a cluster ... NOTICE: Node 1: attempting to join cluster ... NOTICE: Node 1: joined cluster ... The system is coming up. Please wait. The system is ready. phys-schost-1 console login: |
ノードは、非クラスタモードで (つまり、ノードがクラスタメンバーシップを取得しないように) 起動できます。非クラスタモードは、クラスタソフトウェアをインストールしたり、ノードにパッチを適用するなどの特定の管理手順を実行する際に役立ちます。
非クラスタモードで起動したクラスタノード上でスーパーユーザーになります。
scswitch およびshutdown コマンドを使用してノードを停止します。
# scswitch -S -h node # shutdown -g0 -y -i0 |
ノードが ok プロンプトの状態であることを確認します。
boot(1M) コマンドに -x オプションを指定し、ノードを非クラスタモードで起動します。
ok boot -x |
ノードがクラスタの一部ではないことを示すメッセージが、そのノードのコンソールに表示されます。
次に、ノード phys-schost-1 を停止してから、非クラスタモードで再起動したときのコンソールの出力例を示します。ここでは、-g 0 オプションで猶予期間をゼロに設定し、-y で、確認プロンプトに対して自動的に yes と応答するよう指定し、i0 で実行レベル 0 で起動します。このノードの停止メッセージは、クラスタ内の他のノードのコンソールにも表示されます。
# scswitch -S -h phys-schost-1 # shutdown -g0 -y -i0 May 2 10:08:46 phys-schost-1 cl_runtime: WARNING: CMM monitoring disabled. phys-schost-1# ... rg_name = schost-sa-1 ... offline node = phys-schost-2 ... num of node = 0 ... phys-schost-1# INIT: New run level: 0 The system is coming down. Please wait. System services are now being stopped. Print services stopped. syslogd: going down on signal 15 ... The system is down. syncing file systems... done WARNING: node 1 is being shut down. Program terminated ok boot -x ... Not booting as part of cluster ... The system is ready. phys-schost-1 console login: |
Solaris と Sun Cluster ソフトウェアは、どちらも /var/adm/messages ファイルにエラーメッセージを書き込みます。このため、運用を続けるうちに /var ファイルシステムが満杯になってしまうことがあります。クラスタノードの /var ファイルシステムが満杯になると、そのノード上では Sun Cluster が再起動できなくなる可能性があります。また、そのノードにログインできなくなる可能性もあります。
/var ファイルシステムが満杯になったことがノードによって報告され、Sun Cluster サービスが引き続き実行されているときは、次の手順で、満杯になったファイルシステムを整理してください。詳細については、『Solaris のシステム管理 (上級編)』の「ソフトウェアの問題解決 (概要)」のシステムメッセージの表示を参照してください。