Sun Cluster 3.1 Data Service for Sun ONE Application Server ガイド

Sun Cluster HA for Sun ONE Application Server の概要

この情報は、Sun Cluster HA for Sun ONE Application Server によって Sun ONE Application Server の可用性を向上させる方法を理解する上で役立ちます。Sun Cluster HA for Sun ONE Application Server のインストールと構成の新しい情報については、『 Sun Cluster 3.1 Data Service Release Notes』を参照してください。

Sun ONE Application Server は、アプリケーションサービスと Web サービスの広範囲な配備に適した、高性能 Java 2 Enterprise Edition (J2EE™) 1.3 準拠プラットフォームを提供します。企業ユーザーのニーズを満たし、Sun Cluster ソフトウェアの制御下で実行できるように設計されたプラットフォームです。

現在の Sun Cluster HA for Sun ONE Application Server は、 Sun ONE Application Server 7.0 と組み合わせて使用できるようになっています。Sun One Application Server のパッケージには、Sun ONE Message Queue が含まれています。Sun One Message Queue を高可用性対応として構成する方法については、『Sun Cluster 3.1 Data Service for Sun ONE Message Queue』を参照してください。

Sun ONE Application Server には、リッチクライアントを直接接続できます。フロントエンド Web サーバーを通じて、Web クライアントを Sun ONE Application Server に接続できます。Sun ONE Application Server は、Sun ONE Web サーバーで使用できるパススルーのプラグインインストール機能を提供します。

アーキテクチャが依存するプログラムの存在は、Sun Cluster HA for Sun ONE Application Server を実装するための前提条件ではありません。データベース、Web サーバーといったアーキテクチャが依存するプログラムは、高可用性対応として構成すべきですが、別のクラスタで実行することは可能です。

データサービス、リソースグループ、その他の関連トピックについては、『Sun Cluster 3.1 データサービスの計画と管理』の「データサービスの計画」および『Sun Cluster 3.1 の概念』を参照してください。

Sun Cluster HA for Sun ONE Application Server は、次のどちらの方式で構成できます。

手順については、フェイルオーバーデータサービスとして Sun Cluster HA for Sun ONE Application Server を登録して構成するおよび複数ノードでマスターされるサービスとして Sun Cluster HA for Sun ONE Application Server を登録して構成するを参照してください。

フェイルオーバー構成の概要

Sun Cluster HA for Sun ONE Application Server は、ある一時点では 1 ノードのみによってマスターされるフェイルオーバーアプリケーションサーバーを構成するために必要な拡張プロパティを備えた、データサービスです。ドメインの管理サーバーをフェイルオーバーリソースとして、可用性を高めることもできます。Web クライアントは Sun ONE Application Server に直接接続できます。

クラスタ環境では、Sun ONE Application Server のコマンド行または GUI 管理ツールの使用に制限があります。アプリケーションインスタンスや管理サーバーをリソースグループとして構成する前に、構成上の制限事項を参照し、クラスタにおける asadmin または Sun ONE Application Server Administrative Interface の使い方を確認してください。リソースとリソースグループの構成の詳細は、『『Sun Cluster 3.1 データサービスの計画と管理』の「Sun Cluster データサービスの構成のガイドライン」を参照してください。

ここで説明する標準構成を使用して、Sun Cluster HA for Sun ONE Application Server のインストールと構成の計画を行なってください。Sun Cluster HA for Sun ONE Application Server は、他の構成もサポートする場合があります。ただし、エンタープライズサービスの担当者に連絡し、他の構成に関する情報を得る必要があります。

次の図に、2 ノードクラスタで動作する Sun ONE Application Server の標準フェイルオーバー構成を示します。Sun Cluster HA for Sun ONE Application Server をフェイルオーバーデータサービスとして構成する場合の補足情報は、構成上の制限事項 を参照してください。

図 1–1 フェイルオーバーデータサービス構成の 2 ノードクラスタ

図の説明はこの図のすぐ前にあります。

マルチマスター構成の概要

同時に複数のノード上でマスターされるように、Sun Cluster HA for Sun ONE Application Server を設定することもできます。マルチマスター構成では、フロントエンドの Web 層を使用してアプリケーションサーバーに要求を振り分けることによって、スケーラビリティが得られます。アプリケーションサーバーが提供するパススループラグインをフロントエンドの Web 層とともに使用して、稼働している Sun ONE Application Server インスタンスの 1 つに要求を転送する必要があります。

論理ホスト名で待ち受けるクラスタ上で動作するように、高可用性 Sun ONE Web Server を構成します。Web 層がアプリケーションサーバーと同じクラスタで動作する場合は、クラスタのプライベート IP アドレスに要求が渡されるように、プラグインを構成する必要があります。Sun ONE Web Server インスタンスが別のクラスタで動作するように構成することもできます。Web 層が別個のクラスタで動作している場合は、Sun ONE Application Server リソースを実行できるクラスタメンバーの物理ホスト名に要求が渡されるように、プラグインを構成します。物理ホスト名の一例は phys-schost-1 です。

複数のノードでマスターされる Sun Cluster HA for Sun ONE Application Server 構成の場合、プライベートインタコネクトを使用して、Sun ONE Web Server と Sun ONE Application Server 間でトラフィックを転送できます。


注 –

同時に複数のノードでマスターされるデータサービスとして Sun Cluster HA for Sun ONE Application Server を構成する場合、Sun ONE Web Server をインストールして構成する必要があります。すべてのクラスタノードで同じ Sun ONE Web Server 構成を使用する必要があります。


複数の Sun ONE Application Server インスタンスで負荷を分散させることができます。負荷を分散できるようにするには、Sun ONE Application Server のプラグインを Sun ONE Web Server 構成に読み込みます。Sun ONE Application Server のフロントエンドとして使用する場合、フェイルオーバーリソースまたはスケーラブルリソースとして Sun ONE Web Server を構成できます。

Sun ONE Application Server インスタンスは、HTTP リスナーがすべてのインタフェース (0.0.0.0) で待ち受けるように構成します。これが Sun ONE Application Servers のデフォルトです。


注 –

複数のノードでマスターされるデータサービスの場合、 IIOP リスナーの可用性は高くなりません。


次の図に、同時に 2 ノードでリソースをマスターする Sun ONE Application Server の構成を示します。

図 1–2 マルチノード上でデータサービスをマスターする 2 ノードクラスタ

図の説明はこの図のすぐ前にあります。