scrgadm コマンドを使用した Sun Cluster HA for Sun ONE Directory Server の登録方法と構成方法について説明します。
その他のオプションでもデータサービスは登録および構成できます。これらのオプションの詳細については、『Sun Cluster 3.1 データサービスの計画と管理』の「データサービスリソース管理のツール」を参照してください。
この手順を実行するには、構成に関する次の情報が必要になります。
Sun Cluster HA for Sun ONE Directory Server のリソースタイプの名前。この名前は、SUNW.nsldap です。
データサービスをマスターできるクラスタノードの名前。
クライアントが Sun Cluster HA for Sun ONE Directory Server にアクセスするために使用するネットワークリソース。通常、このネットワークリソースは、クラスタをインストールするときに設定します。ネットワークリソースの詳細は、『Sun Cluster 3.1 の概念』を参照してください。
Sun Cluster HA for Sun ONE Directory Server のリソースである Sun ONE Directory Server アプリケーションバイナリのパス。バイナリは、ローカルディスクまたはクラスタファイルシステムにインストールできます。ローカルディスクにインストールした場合とクラスタファイルシステムにインストールした場合の長所と短所については、『Sun Cluster 3.1 データサービスの計画と管理』の「Sun Cluster データサービスの計画」を参照してください。
Sun ONE Directory Server の待機ポート。非セキュアインスタンスの場合、Sun ONE Directory Server リソースの標準リソースプロパティ Port_list は、デフォルトでは 389/tcp になります。セキュアポートの場合は、636/tcp になります。ポート番号を 389 以外に設定する場合は、Port_list プロパティを構成するときにその番号を指定する必要があります。リソースのプロパティの設定方法については、『Sun Cluster 3.1 データサービスの計画と管理』の「データサービスリソースの管理」を参照してください。
この手順は、すべてのクラスタメンバー上で実行します。
障害モニターは、Sun Cluster HA for Sun ONE Directory Server インスタンスがセキュアか非セキュアかを判断します。セキュアディレクトリサーバーと非セキュアディレクトリサーバーでは、検証方法が異なります。パスワードファイルを作成した場合は、インスタンスはセキュアと判断されます。パスワードファイルを作成しなかった場合は、インスタンスは非セキュアと判断されます。パスワードファイルは、keypass と名付けられ、iPlanet のパスワードファイルとは異なるフォーマットになります。keypass ファイルには、手動で起動される場合にディレクトリサーバーのセキュアインスタンスが要求するパスワードだけが記録されます。このパスワードファイルは、このディレクトリサーバーインスタンスの起動に使用される start-slapd プログラムと同じディレクトリに置かれます。
Sun ONE Directory Server がセキュアモードの場合は、keypass という名前のファイルをパス名に含める必要があります。このファイルには、このインスタンスの起動に必要なセキュアキーパスワードが含まれています。keypass ファイルが存在する場合、Sun Cluster HA for Sun ONE Directory Server はこのインスタンスがセキュアであるとみなします。
次の手順に従って構成を行います。
クラスタメンバー上でスーパーユーザーになります。
データサービスのリソースタイプを登録します。
# scrgadm -a -t SUNW.nsldap |
データサービスのリソースタイプを追加します。
事前に定義したリソースタイプ名を指定します。
Sun ONE Directory Server アプリケーションリソースを、ネットワークリソース用に作成したフェイルオーバーリソースグループへ追加します。
アプリケーションリソースを含むリソースグループは、ネットワークリソースを構成して起動するでネットワークリソース用に作成したリソースグループと同じになります。
# scrgadm -a -j resource -g resource-group \ -t SUNW.nsldap [-y Network_resources_used=network-resource, …] \ -y Port_list=port-number/protocol -x Confdir_list=pathname |
Sun ONE Directory Server アプリケーションリソース名を指定します。
resource-group には、ネットワークリソース (論理ホスト名または共有アドレス) をコンマで区切って指定します。このリストは、Sun ONE Directory Server アプリケーションリソースが必ず使用します。
追加するリソースの種類を指定します。
使用するポート番号とプロトコルを指定します (例: 389/tcp)。Port_list プロパティには 1 つまたは 2 つのエントリが必要です。
Sun ONE Directory Server 構成ディレクトリのパスを指定します。 Confdir_list 拡張プロパティが必要です。Confdir_list のエントリは、1 つだけです。
リソースとそのモニターを有効にします。
# scswitch -e -j resource |
リソースとそのモニターを有効にします。
有効になっているアプリケーションリソースの名前を指定します。
次の例では、Sun Cluster HA for Sun ONE Directory Server の登録方法を示します。
クラスタ情報 ノード名: phys-schost-1、phys-schost-2 論理ホスト名: schost-1 リソースグループ: resource-group-1 (全リソース用) リソース: schost-1 (論理ホスト名), nsldap-1 (Sun ONE Directory Server アプリケーションリソース) (フェイルオーバーリソースグループを作成します。) # scrgadm -a -g resource-group-1 -h phys-schost-1,phys-schost-2 (論理ホスト名リソースをリソースグループに追加します。) # scrgadm -a -L -g resource-group-1 -l schost-1 (リソースグループをオンラインにします。) # scswitch -Z -g resource-group-1 (Sun ONE Directory Server をインストールし、構成します。) (iPlanet Directory Server をインストールし、構成するには、現在論理ホスト名をホストしているノードから setup プログラムを実行します。) (Sun ONE Directory Server サーバーを停止します。) (SUNW.nsldap リソースタイプを登録します。) # scrgadm -a -t SUNW.nsldap (Sun ONE Directory Server リソースを作成し、リソースグループに追加します。) # scrgadm -a -j nsldap-1 -g resource-group-1 \ -t SUNW.nsldap -y Network_resources_used=schost-1 \ -y Port_list=389/tcp \ -x Confdir_list=/global/nsldap/slapd-schost-1 (アプリケーションリソースを有効にします。) # scswitch -e -j nsldap-1 |
SUNW.HAStoragePlus リソースタイプは Sun Cluster 3.0 5/02 から導入されています。この新しいリソースタイプは、SUNW.HAStorage と同様の機能を持っており、HA 記憶装置とデータサービス間のアクションを同期化します。
SUNW.HAStoragePlus には、ローカルファイルシステムを高可能性システムにする機能もあります。Sun Cluster HA for Sun ONE Directory Server は、ディスクに負荷をかけず、スケーラブルでもないので、SUNW.HAStoragePlus リソースタイプの設定は任意です。
背景情報については、SUNW.HAStoragePlus(5) のマニュアルページと『Sun Cluster 3.1 データサービスの計画と管理』の「リソースグループとディスク装置グループの関係」を参照してください。手順については、『Sun Cluster 3.1 データサービスの計画と管理』の「リソースグループとディスク装置グループとの間で起動を同期させる」を参照してください。Sun Cluster 3.0 5/02 より前のバージョンを使用している場合は、SUNW.HAStoragePlus ではなく、SUNW.HAStorage を設定する必要があります。 手順については、『Sun Cluster 3.1 データサービスの計画と管理』の「リソースグループとディスク装置グループとの間で起動を同期させる」を参照してください。