Sun Cluster 3.1 10/03 の概念

多重ポートディスクデバイスグループ

ここでは、多重ポートディスク構成において性能と可用性をバランスよく実現するディスクデバイスグループのプロパティについて説明します。 Sun Cluster ソフトウェアには、多重ポートディスク構成を設定するための 2 つのプロパティ preferencednumsecondaries があります。preferenced プロパティを使用すると、フェイルオーバーの発生時に各ノードがどの順で制御を取得するかを制御できます。numsecondaries プロパティは、特定のデバイスグループに対する二次ノードの数を設定します。

高可用性サービスでは、主ノードが停止し、主ノードになる資格のある二次ノードがもはや存在しないときに、停止とみなされます。 サービスのフェイルオーバーが発生したときに、preferenced プロパティが true であった場合、ノードはノードリストの順番に従って、二次ノードを選択します。デバイスサービスの設定は、scsetup(1M) ユーティリティで動的に変更できます。従属サービスプロバイダ (広域ファイルシステムなど) に対応する設定には、デバイスサービスの設定が適用されます。

主ノードは、正常な運用時に二次ノードのチェックポイントをとります。 多重ポートディスク構成では、二次ノードのチェックポイントをとるたびに、クラスタの性能の低下やメモリーのオーハーヘッドの増加が発生します。このようなチェックポイントによる性能の低下やオーバーヘッドの増加を最小限に抑えるためにスペアノードのサポートが実装されています。ディスクデバイスグループには、デフォルトで 1 つの主ノードと 1 つの二次ノードがあります。使用可能な残りのプロバイダノードはスペア状態でオンラインになります。フェイルオーバーが発生すると、二次ノードが主ノードになり、ノードリスト上で最も優先度の高いノードが二次ノードになります。

望ましい二次ノードの数には、1 から、デバイスグループにある動作可能な非主プロバイダノードの数までの任意の整数を設定できます。


注 –

Solaris ボリューム管理ソフトウェアを使用する場合は、ディスクデバイスグループを作成後にのみ numsecondaries プロパティにデフォルト以外の数を設定することができます。


デバイスサービスのためのデフォルトの望ましい二次ノード数は 1 です。望ましい数とは、複製フレームワークによって維持される二次プロバイダの実際の数です。ただし、動作可能な非主プロバイダの数が望ましい数よりも小さい場合を除きます。構成に対してノードの追加や切り離しを行う場合には、 numsecondaries プロパティを変更してからノードリストを十分に確認する必要があります。ノードリストと望ましい二次ノード数を正しく保つことは、構成された二次ノード数と、フレームワークによって与えられる実際の数の不一致を防ぐ上で有効です。構成に対してノードの追加や切り離しを行う場合は、VxVM ディスクデバイスグループの scconf(1M) コマンドか Solaris Volume Manager デバイスグループの metaset(1M) コマンドと、preferenced および numsecondaries プロパティの設定を使用します。ディスクデバイスグループのプロパティを変更する手順については、『 Sun Cluster 3.1 のシステム管理』の「広域デバイスとクラスタファイルシステムの管理」を参照してください。