Sun Cluster 3.1 データサービス (WebSphere MQ Integrator 編)

Sun Cluster HA for WebSphere MQ Integrator のインストールと構成の計画

ここでは、Sun Cluster HA for WebSphere MQ Integrator のインストールと構成の計画について説明します。

構成に関する制限事項

注意 –

次の制限事項を守らないと、データサービスの構成がサポートされない場合があります。

ここで示す制限事項を考慮して、Sun Cluster HA for WebSphere MQ Integrator のインストールと構成の計画を行ってください。ここでは、Sun Cluster HA for WebSphere MQ Integrator にのみ適用されるソフトウェアとハードウェア構成の制限事項を示します。

すべてのデータサービスに適用される制限事項については、リリースノートを参照してください。

Sun Cluster HA for WebSphere MQ Integrator データサービスは、フェイルオーバーサービスとしてのみ構成できます – WebSphere MQ Integrator はスケーラブルなサービスとしては運用できないため、Sun Cluster HA for WebSphere MQ Integrator データサービスは、フェイルオーバーサービスとして運用するようにのみ構成できます。
WebSphere MQ Integrator をクラスタファイルシステムにインストール – WebSphere MQ Integrator 製品は最初、 /opt/mqs および /var/mqsi にインストールされます。

/var/mqsi は、ローカルファイルシステムに対する /var/mqsi/locks のシンボリックリンクを備えた広域ファイルシステムとしてマウントする必要があります。/opt/mqsi はローカルディスク上に置くことを推奨します。ソフトウェアをローカルファイルシステムにインストールした場合のメリットとデメリット、クラスタファイルシステムにインストールした場合のメリットとデメリットについては、『Sun Cluster 3.1 データサービスのインストールと構成』の 3 ページ、「アプリケーションバイナリの格納先の決定」を参照してください。

/var/mqsi を広域ファイルシステムとしてマウント – WebSphere MQ Integrator は、/var/mqsi の複数のディレクトリを利用します。/var/mqsi を広域ファイルシステムとして、すべての Sun Cluster ノードで利用できるようにする必要があります。ただし生成されたロックは、ローカルファイルシステム内に配置する必要があります。そのため、/var/mqsi/locks をローカルファイルシステムに対するシンボリックリンクとして設定しなければなりません。

注 –

広域ファイルシステムをマウントする場合は /global という接頭辞を指定し、フェイルオーバーファイルシステムをマウントする場合は /local という接頭辞を指定するようにしてください。必須ではありませんが、こうするのが最も好都合です。

例 1–1 /var/mqsi/locks がローカルファイルシステムへのシンボリックリンクになっているWebSphere MQ Integrator

次の例の WebSphere MQ Integrator では、/global/mqsi へのシンボリックリンクを通して /var/msgi が広域ファイルシステムとしてマウントされ、/var/mqsi/locks がルートファイルシステム、すなわちローカルディスク上の /var/mqsi_locks に対するシンボリックリンクとして設定されています。

# ls -l /var/mqsi
lrwxrwxrwx   1 root     other         12 Sep  5 15:32 /var/mqsi ->
 /global/mqsi
#
# ls -l /global/mqsi/locks
lrwxrwxrwx   1 root     other         15 Sep 18 15:37 /global/mqsi/locks ->
 /var/mqsi_locks
#
# df -k /global/mqsi/locks
Filesystem            kbytes    used   avail capacity  Mounted on
/dev/dsk/c0t0d0s0    12731708 5792269 6812122    46%    / 
#
# more /etc/vfstab (Subset of the output)
/dev/md/dg_d6/dsk/d60   /dev/md/dg_d6/rdsk/d60  /global/mqsi
            ufs     4       yes     logging,global

Sun Cluster HA for WebSphere MQ Integrator の RDBMS – Sun Cluster HA for WebSphere MQ Integrator データサービスは現在、ローカル RDBMS (具体的には DB2 と Oracle) と組み合わせた場合に限って運用可能です。リモート RDBMS と組み合わせて使用することはできません。

この制約が生じるのは、RDBMS の再起動のたびに、Sun Cluster HA for WebSphere MQ Integrator データサービスで WebSphere MQ Integrator の再起動方式を管理しなければならないからです。ただし、この動作は今後拡張される予定です。さらに、Sybase データベースサポートも組み込まれる予定です。

構成に関する要件

注意 –

次の要件を満たさないと、データサービスの構成がサポートされない場合があります。

ここで示す要件に従って、Sun Cluster HA for WebSphere MQ Integrator のインストールと構成の計画を行ってください。これらの要件は、Sun Cluster HA for WebSphere MQ Integrator にのみ適用されます。 Sun Cluster HA for WebSphere MQ Integrator のインストールと構成を始める前に、次の要件を満たしておく必要があります。

WebSphere MQ Integrator コンポーネントと依存関係 — Sun Cluster HA for WebSphere MQ Integrator データサービスは、WebSphere MQ Integrator の Broker と UserNameServer を保護するように構成できます。これらのコンポーネントと依存関係について、簡単に説明します。

表 1–3 WebSphere MQ Integrator と依存関係 (-> 記号で示す)


コンポーネント	説明
Broker `(必須)`	-> SUNW.HAStoragePlus リソース -> WebSphere MQ Queue Manager および Listener リソース -> RDBMS リソース SUNW.HAStoragePlus リソースは、WebSphere MQ Integrator のファイルシステムのマウントポイント、すなわち `/global/mqsi` を管理します。 WebSphere MQ Queue Manager リソースに依存することによって、WebSphere MQ Queue Manager の可用性が保証されます。 WebSphere MQ Listener リソースに依存しなければならないのは、inetd の代わりに runmqlsr を使用する場合だけです。 RDBMS リソースに依存することによって、RDBMS の可用性が保証されます。これらすべての依存関係によって、これらのサービスが利用可能にならないかぎり、WebSphere MQ Integrator が起動しないことが保証されます。
UserNameServer `(任意)`	-> SUNW.HAStoragePlus リソース -> WebSphere MQ Queue Manager および Listener リソース SUNW.HAStoragePlus リソースは、WebSphere MQ Integrator のファイルシステムのマウントポイント、すなわち `/global/mqsi` を管理します。 WebSphere MQ Queue Manager リソースに依存することによって、WebSphere MQ Queue Manager の可用性が保証されます。 WebSphere MQ Listener リソースに依存しなければならないのは、inetd の代わりに runmqlsr を使用する場合だけです。

WebSphere MQ Integrator の Broker コンポーネントとその依存関係は、すべて同じリソースグループ内になければなりません。WebSphere MQ Integrator の UserNameServer とその依存関係も同様に、すべて同じリソースグループになければなりません。

ただし、WebSphere MQ Integrator の Broker と UserNameServer を同じリソースグループに配置する必要はありません。別のリソースグループに含まれていてもかいません。同様に、WebSphere MQ Integrator Broker の複数のインスタンスを別々のリソースグループに配置できます。ただし、WebSphere MQ Integrator の UserNameServer に関しては、使用できるインスタンスは 1 つだけです。

例 1–2 複数の WebSphere MQ Integrator Broker と UserNameServer を使用する場合

異なるリソースグループの中で、2 つの WebSphere MQ Integrator Brokers (XXX と YYY) と WebSphere MQ Integrator UserNameServer を使用する例を示します。

この例ではさらに、すべての WebSphere MQ Integrator コンポーネント (Broker と UserNameServer) で同じ広域ファイルシステム /global/mqsi を使用します。

注 –

DB2 と Oracle に対応するファイルシステムのマウントポイントは、あくまでも例です。ソフトウェアをローカルファイルシステムにインストールした場合と、クラスタファイルシステムにインストールした場合のメリットとデメリットについては、『Sun Cluster 3.1 データサービスのインストールと構成』の 3 ページ、「アプリケーションバイナリの格納先の決定」を参照してください。

リソースグループ 1 — リソース は以下のとおり

SUNW.HAStoragePlus resource with
 -x FilesystemMountPoints=/local/db2,/global/mqm,/global/mqsi,
    /local/mqm/qmgrs/qmgr1,/local/mqm/log/qmgr1
RDBMS resource for DB2
WebSphere MQ resource for Queue Manager qmgr1
WebSphere MQ Integrator resource for Broker XXX

リソースグループ 2 — リソース は以下のとおり

SUNW.HAStoragePlus resource with
 -x FilesystemMountPoints=/global/mqm,/global/mqsi
 -x AffinityOn=FALSE
SUNW.HAStoragePlus resource with
 -x FilesystemMountPoints=/local/oracle,
    /local/mqm/qmgrs/qmgr2,/local/mqm/log/qmgr2
RDBMS resource for Oracle
RDBMS resource for Oracle Listener
WebSphere MQ resource for Queue Manager qmgr2
WebSphere MQ Integrator resource for Broker YYY

リソースグループ 3 — リソース は以下のとおり

SUNW.HAStoragePlus resource with
 -x FilesystemMountPoints=/global/mqm,/global/mqsi
 -x AffinityOn=FALSE
SUNW.HAStoragePlus resource with
 -x FilesystemMountPoints=/local/mqm/qmgrs/qmgr3,/local/mqm/log/qmgr3
WebSphere MQ resource for Queue Manager qmgr3
WebSphere MQ Integrator resource for UserNameServer

注 –

WebSphere MQ Integrator コンポーネントの詳細は、IBM の WebSphere MQ Integrator Introduction and Planning マニュアルを参照してください。

各 WebSphere MQ Integrator コンポーネントは、/opt/SUNWscmqi/xxx/util に構成/登録ファイルがあります。xxx は個々の WebSphere MQ Integrator コンポーネントを表す 3 文字の略語です。これらのファイルによって、Sun Cluster に WebSphere MQ Integrator コンポーネントを登録できます。

これらのファイル内では、該当する依存関係がすでに適用されています。

例 1–3 Sun Cluster 用の WebSphere MQ Integrator 構成/登録ファイル

# cd /opt/SUNWscmqi
# 
# ls -l sib/util
total 6
-rwxr-xr-x   1 root     sys         1032 Dec 20 14:44 sib_config
-rwxr-xr-x   1 root     sys          720 Dec 20 14:44 sib_register
# 
# ls -l siu/util
-rwxr-xr-x   1 root     sys          733 Dec 20 14:44 siu_config
-rwxr-xr-x   1 root     sys          554 Dec 20 14:44 siu_register 
# 
# more sib/util/*
::::::::::::::
sib/util/sib_config
::::::::::::::
#
# Copyright 2003 Sun Microsystems, Inc.  All rights reserved.
# Use is subject to license terms.
# 
# This file will be sourced in by sib_register and the parameters
# listed below will be used.
#
# These parameters can be customized in (key=value) form
#
#        RS - name of the resource for the application
#        RG - name of the resource group containing RS
#      QMGR - name of the Queue Manager
#      PORT - name of the Queue Manager port number
#        LH - name of the LogicalHostname SC resource
#    HAS_RS - name of the Queue Manager HAStoragePlus SC resource
#    SC3_IN - name of the Test Message Flow (Inbound)
#   SC3_OUT - name of the Test Message Flow (Outbound)
#   MQSI_ID - name of the WebSphere MQI userid
#    BROKER - name of the WebSphere MQI Broker
#  RDBMS_ID - name of the WebSphere MQI RDBMS userid
#   QMGR_RS - name of the Queue Manager SC resource
#  RDBMS_RS - name of the RDBMS SC resource and listener (if Oracle)
#             e.g. RDBMS_RS=<ora-rs>,<lsr-rs>
#

RS=
RG=
QMGR=
PORT=
LH=
HAS_RS=
SC3_IN=
SC3_OUT=
MQSI_ID=
BROKER=
RDBMS_ID=
QMGR_RS=
RDBMS_RS=
::::::::::::::
sib/util/sib_register
::::::::::::::
#
# Copyright 2003 Sun Microsystems, Inc.  All rights reserved.
# Use is subject to license terms.
#

. `dirname $0`/sib_config

scrgadm -a -j $RS -g $RG -t SUNW.gds \
-x Start_command="/opt/SUNWscmqi/sib/bin/start-broker \
-R $RS -G $RG -Q $QMGR -I $SC3_IN -O $SC3_OUT \
-U $MQSI_ID -B $BROKER -D $RDBMS_ID " \
-x Stop_command="/opt/SUNWscmqi/sib/bin/stop-broker \
-R $RS -G $RG -Q $QMGR -I $SC3_IN -O $SC3_OUT \
-U $MQSI_ID -B $BROKER -D $RDBMS_ID " \
-x Probe_command="/opt/SUNWscmqi/sib/bin/test-broker \
-R $RS -G $RG -Q $QMGR -I $SC3_IN -O $SC3_OUT \
-U $MQSI_ID -B $BROKER -D $RDBMS_ID " \
-y Port_list=$PORT/tcp -y Network_resources_used=$LH \
-x Stop_signal=9 \
-y Resource_dependencies=$HAS_RS,$QMGR_RS,$RDBMS_RS