ここでは、Sun Cluster HA for Samba のインストールと構成の計画について説明します。
次の制限事項を守らないと、データサービスの構成がサポートされない場合があります。
ここで示す制限事項を考慮して、Sun Cluster HA for Samba のインストールと構成の計画を行なってください。ここでは、Sun Cluster HA for Samba にのみ適用されるソフトウェアとハードウェア構成の制限事項を示します。
すべてのデータサービスに適用される制限事項については、Sun Cluster ご使用にあたって を参照してください。
Sun Cluster HA for Samba データサービスの配備 – Sun Cluster HA for Samba データサービスは Samba と Winbind という 2 つのコンポーネントからなります。これらのコンポーネントを配備する場合の制限事項は、次のとおりです。
Samba コンポーネント — Samba コンポーネント、すなわち SMB/CIFS と NetBIOS Name Server は、スケーラブルなサービスとしては運用できないため、Samba コンポーネント用の Sun Cluster HA for Samba データサービスは、フェイルオーバーサービスとしてのみ構成できます。
Winbind コンポーネント — Winbind コンポーネントはフェイルオーバーサービスとしても、スケーラブルなサービスとしても運用できるため、Winbind コンポーネント用の Sun Cluster HA for Samba データサービスは、フェイルオーバーサービスとして運用するように構成することも、スケーラブルサービスとして運用するように構成することもできます。
Winbind の配備 – Winbind の配備に関する制限事項は、次のとおりです。
Samba のバージョン — Winbind 機能を使用する場合は、Samba v2.2.4 またはそれ以降をインストールする必要があります。
Solaris のバージョン — 113476–05 またはそれ以降のパッチを適用した Solaris 9
マルチインスタンス — インスタンスがフェイルオーバーサービスであるか、スケーラブルサービスであるかに関係なく、配備できる Winbind のインスタンスは 1 つだけです。
サポートされる構成 – 現在、Sun Cluster HA for Samba データサービスでサポートされるのは以下の構成に限られます。
Primary Domain Controller (PDC) 構成での Samba
Backup Domain Controller (BDC) 構成での Samba
Winbind を使用しない、NT ドメインメンバーとしての Samba
Winbind を使用する、NT ドメインメンバーとしての Samba。ただし、Solaris 9 の制限事項 (上述) を参照。
スタンドアロン構成での Samba
クラスタファイルシステムへの Samba のインストール — Samba の配布方法 (http://www.samba.org から、または Solaris 9 から) に関係なく、以下の制限事項が適用されます。
Samba コンポーネント — 各 Samba インスタンスに Samba NetBIOS インスタンス名が反映された固有の構成ディレクトリを与える必要があります。この構成ディレクトリは、フェイルオーバーファイルシステムまたは広域ファイルシステムとしてマウントできます。
Winbind コンポーネント — Winbind は、単一インスタンスとしてしか配備できませんが、Winbind のために構成ディレクトリが必要です。この構成ディレクトリは、Winbind コンポーネントをフェイルオーバーサービスとして運用する場合、フェイルオーバーファイルシステムとしてでも、広域ファイルシステムとしてでもマウントできます。ただし、Winbind をスケーラブルサービスとして運用する場合は、この構成ディレクトリを広域ファイルシステムとしてマウントする必要があります。
広域ファイルシステムをマウントする場合は /global という接頭辞を指定し、フェイルオーバーファイルシステムをマウントする場合は /local という接頭辞を指定するようにしてください。 必須ではありませんが、こうするのが最も好都合です。
次の例の Samba は、http://www.samba.org から広域ファイルシステムにインストールされており、その広域ファイルシステム内に 2 つの Samba インスタンス (SAMBA1 および SAMBA2) および Winbind があります。最終出力は、Solaris Volume Manager を使用して配備された Samba に対応する /etc/vfstab エントリのサブセットです。
# ls -l /usr/local total 4 drwxrwxrwx 2 root other 512 Oct 1 16:44 bin lrwxrwxrwx 1 root other 13 Oct 11 11:20 samba -> /global/samba # # ls -l /global/samba total 18 drwxr-xr-x 2 root other 512 Oct 11 15:00 bin drwxr-xr-x 3 root other 512 Oct 14 13:49 lib drwxr-xr-x 6 root other 512 Oct 11 15:00 man drwxr-xr-x 2 root other 512 Oct 14 10:05 private drwxr-xr-x 7 root other 512 Oct 14 13:39 SAMBA1 drwxr-xr-x 7 root other 512 Oct 14 13:40 SAMBA2 drwxr-xr-x 6 root other 512 Oct 11 15:01 swat drwxr-xr-x 3 root other 512 Oct 14 10:45 var drwxr-xr-x 2 root other 512 Jan 17 09:28 winbind # # more /etc/vfstab (出力の一部) /dev/md/dg_d6/dsk/d63 /dev/md/dg_d6/rdsk/d63 /global/samba ufs 4 yes logging,global # |
上の例では、Samba NetBIOS インスタンス SAMBA1 の構成ディレクトリは /global/samba/SAMBA1 です。Samba NetBIOS インスタンス SAMBA2 の構成ディレクトリは /global/samba/SAMBA2です。Winbind の構成ディレクトリは /global/samba/winbind です。
次の例では、Samba が Solaris 9 からローカルファイルシステムにインストールされており、フェイルオーバーファイルシステムに 2 つの Samba インスタンス (SMB1 および SMB2) があります。最終出力は、Solaris Volume Manager を使用して配備された Samba に対応する /etc/vfstab エントリのサブセットです。
# ls -l /local/samba total 4 drwxr-xr-x 2 root other 512 Dec 19 15:51 SMB1 drwxr-xr-x 2 root other 512 Dec 19 15:51 SMB2 # # more /etc/vfstab (出力の一部) /dev/md/dg_d7/dsk/d70 /dev/md/dg_d7/rdsk/d70 /local/samba/SMB1 ufs 3 no logging /dev/md/dg_d8/dsk/d80 /dev/md/dg_d8/rdsk/d80 /local/samba/SMB2 ufs 3 no logging # |
上の例では、Samba NetBIOS インスタンス SMB1 の構成ディレクトリは /local/samba/SMB1 です。Samba NetBIOS インスタンス SMB2 の構成ディレクトリは /local/samba/SMB2 です。
次の要件を満たさないと、データサービスの構成がサポートされない場合があります。
ここで示す要件に従って、Sun Cluster HA for Samba のインストールと構成の計画を行なってください。これらの要件は、Sun Cluster HA for Samba にのみ適用されます。 Sun Cluster HA for Samba のインストールと構成を始める前に、次の要件を満たしておく必要があります。
Samba コンポーネントと依存関係 — Sun Cluster HA for Samba データサービスは、Samba インスタンスとそれぞれのコンポーネントを保護するように構成できます。以下、各コンポーネントとコンポーネント間の依存関係について簡単に説明します。
表 1–3 Samba と依存関係 (-> 記号で示す)
コンポーネント |
説明 |
---|---|
Samba (必須) |
-> Winbind リソース (Winbind と単一の Samba インスタンスを配備する場合)。詳細は、以下の説明を参照してください。 -> Winbind リソースグループ (Winbind と複数の Samba インスタンスを配備する場合)。詳細は、以下の説明を参照してください。 -> SUNW.HAStoragePlus リソース SUNW.HAStoragePlus リソースは、Samba のファイルシステムのマウントポイントを管理し、ファイルシステムがマウントされるまでは Samba が起動しないようにします。 |
Winbind(任意) |
-> SUNW.HAStoragePlus リソース SUNW.HAStoragePlus リソースは、Winbind のファイルシステムのマウントポイントを管理し、ファイルシステムがマウントされるまでは Winbind が起動しないようにします。 |
Samba コンポーネントの詳細は、smbd(8)、nmbd(8)、winbindd(8)、および smb.conf(5) のマニュアルページを参照してください。
構成に Winbind を使用する Samba のインスタンスが 1 つだけ含まれる場合、Winbind リソースを Samba リソースと同じリソースグループに登録する必要があります。さらに、Samba リソースの起動が Winbind リソースに依存するようにしなければなりません。Resource_dependencies については、r_properties(5) のマニュアルページを参照してください。
構成に Winbind を使用する Samba のインスタンスが複数含まれる場合は、Winbind リソースをスケーラブルリソースにして、すべての Samba リソースの起動が Winbind スケーラブルリソースグループに依存するようにしなければなりません。RG_dependencies については、rg_properties(5) のマニュアルページを参照してください。さらに、Winbind の構成ディレクトリ を広域ファイルシステムとしてマウントする必要があります。
各 Samba コンポーネントは、/opt/SUNWscsmb/xxx/util に構成/登録ファイルがあります。xxx は個々の Samba コンポーネントを表す 3 文字の略語です。 これらのファイルによって、Sun Cluster に Samba コンポーネントを登録できます。
これらのファイル内では、該当する依存関係がすでに適用されています。
# cd /opt/SUNWscsmb # # ls -l samba/util total 6 -rwxr-xr-x 1 root sys 1526 Dec 20 14:44 samba_config -rwxr-xr-x 1 root sys 736 Dec 20 14:44 samba_register # # ls -l winbind/util total 4 -rwxr-xr-x 1 root sys 1006 Dec 20 14:44 winbind_config -rwxr-xr-x 1 root sys 613 Dec 20 14:44 winbind_register # # more samba/util/* :::::::::::::: samba/util/samba_config :::::::::::::: # # Copyright 2003 Sun Microsystems, Inc. All rights reserved. # Use is subject to license terms. # # This file will be sourced in by samba_register and the parameters # listed below will be used. # # These parameters can be customized in (key=value) form # # RS - name of the resource for the application # RG - name of the resource group containing RS # SMB_BIN - name of the Samba bin directory # SMB_SBIN - name of the Samba sbin directory # (If no sbin then specify the bin directory) # SMB_INST - name of the Samba configuration directory # SMB_LOG - name of the Samba log directory # for log.smbd and log.nmbd # (If not specified will default # to $SMB_INST/logs) # FMUSER - name of the Samba fault monitor user # FMPASS - name of the Samba fault monitor user password # LH - name of the LogicalHostname SC resource # HAS_RS - name of the Samba HAStoragePlus SC resource # # The following two examples illustrate sample parameters # for Samba packaged with Solaris 9 and Samba downloaded # from http://www.samba.org. # # Please be aware that /global/samba/SAMBA1, /local/samba/SMB1 and # uid/pwd of samba are used just as examples. You will need # change this if your values are different. # # SUNWsmb* packaged with Solaris 9 # # SMB_BIN=/usr/sfw/bin # SMB_SBIN=/usr/sfw/sbin # SMB_INST=/local/samba/SMB1 # SMB_LOG=/local/samba/SMB1/logs # FMUSER=samba # FMPASS=samba # # Latest production release from http://www.samba.org # # SMB_BIN=/global/samba/bin # SMB_SBIN=/global/samba/sbin or /global/samba/bin # SMB_INST=/global/samba/SAMBA1 # SMB_LOG=/global/samba/SAMBA1/logs # FMUSER=samba # FMPASS=samba # RS= RG= SMB_BIN= SMB_SBIN= SMB_INST= SMB_LOG= FMUSER= FMPASS= LH= HAS_RS= :::::::::::::: samba/util/samba_register :::::::::::::: # # Copyright 2003 Sun Microsystems, Inc. All rights reserved. # Use is subject to license terms. # . `dirname $0`/samba_config scrgadm -a -j $RS -g $RG -t SUNW.gds \ -x Start_command="/opt/SUNWscsmb/samba/bin/start_samba \ -R $RS -G $RG -B $SMB_BIN -S $SMB_SBIN -C $SMB_INST \ -L $SMB_LOG -U ${FMUSER}%${FMPASS} -M scmondir" \ -x Stop_command="/opt/SUNWscsmb/samba/bin/stop_samba \ -R $RS -G $RG -B $SMB_BIN -S $SMB_SBIN -C $SMB_INST \ -L $SMB_LOG -U ${FMUSER}%${FMPASS} -M scmondir" \ -x Probe_command="/opt/SUNWscsmb/samba/bin/probe_samba \ -R $RS -G $RG -B $SMB_BIN -S $SMB_SBIN -C $SMB_INST \ -L $SMB_LOG -U ${FMUSER}%${FMPASS} -M scmondir" \ -y Port_list=137/udp,138/udp,139/tcp -y Network_resources_used=$LH \ -x Stop_signal=9 \ -y Resource_dependencies=$HAS_RS # |
smb.conf ファイル — Sun Cluster HA for Samba データサービスにはサンプルの smb.conf ファイルがありますが、以下のパラメータが設定されていることを確認してください。
smb.conf ファイルは Samba で最も重要なファイルと言えます。したがって、smb.conf(5) のマニュアルページを参照し、以下のパラメータの設定に関する詳細を確認してください。Solaris 9 に含まれる Samba のマニュアルページを参照するには SUNWsfman パッケージがインストールされている必要があることに注意してください。
Samba の smb.conf ファイル
bind interfaces only を True に設定する必要があります。
interface を論理ホスト名に対して定義する必要があります。
netbios name は、Samba サーバーを識別する NetBIOS 名に設定する必要があります。
security では、Samba インスタンスがどのセキュリティモードで稼働するかを指定します。
Winbind の smb.conf ファイル
workgroup は、Samba の smb.conf エントリと同じ値に設定する必要があります。
password server は、Samba の smb.conf エントリと同じ値に設定する必要があります。
template homedir は、Samba の smb.conf エントリと同じ値に設定する必要があります。
template shell は、Samba の smb.conf エントリと同じ値に設定する必要があります。
winbind uid は、Samba の smb.conf エントリと同じ値に設定する必要があります。
winbind gid は、Samba の smb.conf エントリと同じ値に設定する必要があります。
winbind enum users は、Samba の smb.conf エントリと同じ値に設定する必要があります。
winbind use default domain は、Samba の smb.conf エントリと同じ値に設定する必要があります。
他の smb.conf エントリを作成し、それらのエントリにパス変数が必要な場合、以後のパス名が関連する Samba または Winbind インスタンスの構成ディレクトリ内で作成されていることを確認する必要があります。