Sun Cluster 3.1 4/04 による動的再構成 (DR: Dynamic Reconfiguration) ソフトウェア機能のサポートは段階的に開発されています。 この節では、Sun Cluster 3.1 4/04 による DR 機能のサポートの概念と考慮事項について説明します。
Solaris の DR 機能の説明で述べられているすべての必要条件、手順、制限は Sun Cluster の DR サポートにも適用されます (オペレーティング環境の休止操作を除く)。 したがって、Sun Cluster ソフトウェアで DR 機能を使用する前に、必ず、Solaris の DR 機能についての説明を参照してください。 特に、DR デタッチ操作中に、ネットワークに接続されていない入出力デバイスに影響する問題について確認してください。 『Sun Enterprise 10000 Dynamic Reconfiguration User Guide』と『Sun Enterprise 10000 Dynamic Reconfiguration Reference Manual』(『Solaris 8 on Sun Hardware』または『Solaris 9 on Sun Hardware』コレクション) はどちらも http://docs.sun.com で参照できます。
DR 機能では、システムハードウェアの切り離しなどの操作をシステムの稼動中に行うことができます。 DR プロセスの目的は、システムを停止したり、クラスタの可用性を中断したりせずにシステム操作を継続できるようにすることです。
DR はボードレベルで機能します。 したがって、DR 操作は、ボードのすべてのコンポーネントに影響を及ぼします。 ボードには、CPU やメモリー、ディスクドライブやテープドライブ、ネットワーク接続の周辺機器インタフェースなど、複数のコンポーネントが取り付けられています。
アクティブなコンポーネントを含むボードを切り離すと、システムエラーになります。 DR サブシステムは、ボードを切り離す前に、他のサブシステム (Sun Cluster など) に問い合わせてボード上のコンポーネントが使用されているかを判別します。 ボードが使用中であることがわかると、DR のボード切り離し操作は行われません。 したがって、DR のボード切り離し操作はいつ行ってもかまいません。DR サブシステムが、アクティブなコンポーネントを含むボードに対する操作を拒否するからです。
同様に、DR のボード追加操作も常に安全です。 新たに追加されたボードの CPU とメモリーは、システムによって自動的にサービス状態になります。 ただし、そのボード上のコンポーネントを使用するには、クラスタを手動で構成する必要があります。
DR サブシステムにはいくつかのレベルがあります。 下位のレベルがエラーを報告すると、上位のレベルもエラーを報告します。 ただし、下位のレベルが具体的なエラーを報告しても、上位のレベルは“未知のエラー”を報告します。 システム管理者は、上位のレベルが報告した“未知のエラー”については無視してください。
次の各項では、デバイスタイプごとに DR の注意事項を説明します。
Sun Cluster ソフトウェアは、CPU デバイスが存在するために DR のボード切り離し操作を拒否することはありません。
DR のボード追加操作が正常に終わると、追加されたボードの CPU デバイスは自動的にシステム操作に組み込まれます。
DR では、メモリーを 2 種類に分けて考える必要があります。 これらの違いはその使用方法だけであり、 実際のハードウェアは同じものです。
オペレーティングシステムが使用するメモリーは、カーネルメモリーケージと呼ばれます。 Sun Cluster ソフトウェアは、カーネルメモリーケージを含むボードに対するボード切り離し操作をサポートしていないため、このような操作を拒否します。 DR のボード切り離し操作がカーネルメモリーケージ以外のメモリーに関連するものである場合、Sun Cluster はこの操作を拒否しません。
メモリーに関連する DR のボード追加操作が正常に終わると、追加されたボードのメモリーは自動的にシステム操作に組み込まれます。
Sun Cluster は、主ノードのアクティブなドライブに対する DR のボード切り離し操作を拒否します。 DR のボード切り離し操作を実行できるのは、主ノードのアクティブでないドライブや二次ノードのドライブの場合だけです。 DR 操作が終了すると、クラスタのデータアクセスが前と同じように続けられます。
Sun Cluster は、定足数デバイスの使用に影響を与える DR 操作を拒否します。 定足数デバイスの考慮事項と、定足数デバイスに対する DR 操作の実行手順については、SPARC: 定足数デバイスに関連する DR クラスタリングの考慮点を参照してください。
各アクションを実行する手順の詳細については、『Sun Cluster のシステム管理』を参照してください。
DR のボード切り離し操作が、定足数デバイスとして構成されているデバイスへのインタフェースを含むボードに関連する場合、Sun Cluster はこの操作を拒否し、この操作によって影響を受ける定足数デバイスを特定します。 定足数デバイスとしてのデバイスに対して DR のボード切り離し操作を行う場合は、まずそのデバイスを無効にする必要があります。
各アクションを実行する手順の詳細については、『Sun Cluster のシステム管理』を参照してください。
DR のボード切り離し操作が、アクティブなクラスタインターコネクトインタフェースを含むボードに関連する場合、Sun Cluster はこの操作を拒否し、この操作によって影響を受けるインタフェースを特定します。 DR 操作を行うためには、Sun Cluster 管理ツールを使ってアクティブなインタフェースを無効にする必要があります (下記の注意も参照)。
各アクションを実行する手順の詳細については、『Sun Cluster のシステム管理』を参照してください。
Sun Cluster の個々のクラスタノードには、他のすべてのクラスタノードに対する有効なパスが、少なくとも 1 つは存在していなければなりません。 したがって、個々のクラスタノードへの最後のパスをサポートするプライベートインターコネクトインタフェースを無効にしないでください。
DR のボード切り離し操作が、アクティブなパブリックネットワークインタフェースを含むボードに関連する場合、Sun Cluster はこの操作を拒否し、この操作によって影響を受けるインタフェースを特定します。 アクティブなネットワークインタフェースが存在するボードを切り離す場合は、まず、if_mpadm(1M) コマンドを使って、そのインタフェース上のすべてのトラフィックを同じマルチパスグループの正常な他のインタフェースに切り替える必要があります。
無効にしたネットワークアダプタに対する DR 切り離し操作中に、残りのネットワークアダプタで障害が発生すると、可用性が影響を受けます。 これは、DR 操作の間は、残りのネットワークアダプタのフェイルオーバー先が存在しないためです。
パブリックネットワークインタフェース上で DR 切り離し操作を実行する手順の詳細については、『Sun Cluster のシステム管理』を参照してください。