Sun Cluster データサービス開発ガイド (Solaris OS 版)

リソースタイププロパティ

以下の表に、Sun Cluster によって定義されるリソースタイププロパティを示します。 プロパティ値は、次のように分類されます (「カテゴリ」列)。

リソースタイププロパティは、Installed_nodes を除き、管理ユーティリィティによって更新することができません。Installed_nodes は、RTR ファイル内で宣言できないため、管理者が設定する必要があります。

表 A–1 リソースタイププロパティ

プロパティ名 

説明 

更新の可否 

概要 

Allow_hosts (文字配列型)

クラスタ再構成イベントを受信するために cl_apid デーモンを使用して登録を行うことができるクライアントの設定を制御します。 このプロパティは、通常 ipaddress/masklength の形式で登録可能なクライアントのサブネットを定義します。 たとえば 129.99.77.0/24 の設定では、サブネット 129.99.77 上のクライアントがイベント登録できます。 また、192.9.84.231/32 では、クライアント 192.9.84.231 だけがイベント登録できます。 このプロパティは CRNP にセキュリティを提供します。 cl_apid デーモンの詳細は、SUNW.Event(5) のマニュアルページを参照してください。

さらに、以下の特殊キーワードが認識されます。 LOCAL は、クラスタの直接接続されたサブネット上に存在する全クライアントです。 ALL では、すべてのクライアントが登録可能です。 Allow_hostsDeny_hosts プロパティの両方で 1 つのエントリと一致するクライアントの場合、この実装で登録することはできません。

デフォルトは LOCAL です。

不可 

任意 

API_version (整数)

このリソースタイプの実装が使用するリソース管理 API のバージョン。  

Sun Cluster 3.1 4/04 のデフォルトは 2 です。  

不可  

任意 

Boot (文字列)

任意のコールバックメソッド。 RGM がノード上で呼び出すプログラムのパスを指定します。このプログラムは、このリソース型が管理対象になっているとき、クラスタの結合または再結合を行います。 このメソッドは、Init メソッドと同様に、このタイプのリソースに対し、初期化アクションを行う必要があります。

不可 

条件付き / 明示  

Client_retry_count (整数型)

外部クライアントとの通信で行われる cl_apid デーモンの試行回数を制御します。 Client_retry_count の試行回数内に応答しなかったクライアントはタイムアウトになります。 続いてクライアントは、クラスタ再構成イベントを受け取ることができる登録済みクライアントのリストから削除されます。 削除されたクライアントは、再びイベントを受信するために再登録する必要があります。 実装による再試行の頻度についての詳細は、 Client_retry_interval プロパティの説明を参照してください。 cl_apid デーモンの詳細は、SUNW.Event(5) のマニュアルページを参照してください。

デフォルト値は 3 です。 

可 

任意 

Client_retry_interval (整数型)

cl_apid デーモンが 応答のない外部クライアントとの通信を行う時間の長さを秒単位で指定します。 この時間内に、最大 Client_retry_count 回のクライアント接続が試行されます。 cl_apid デーモンの詳細は、SUNW.Event(5) のマニュアルページを参照してください。

デフォルトは 1800 です。 

可 

任意 

Client_timeout (整数型)

cl_apid デーモンが外部クライアントとの通信で使用するタイムアウト値を秒単位で指定します。 しかし、cl_apid デーモンは、調整可能な回数だけクライアントとの通信を再び試みます。 このプロパティの調整方法の詳細は、Client_retry_count プロパティと Client_retry_interval プロパティの説明を参照してください。 cl_apid デーモンの詳細は、SUNW.Event(5) のマニュアルページを参照してください。

デフォルトは 60 です。  

可  

任意 

Deny_hosts (文字配列型)

クラスタ再構成イベントの受信候補として登録できないクライアントの設定を制御します。 アクセスを確定するために、このプロパティの設定は Allow_hosts リストの設定に優先します。 このプロパティの形式は、Allow_hosts プロパティで定義された形式と同じです。 このプロパティは CRNP にセキュリティを提供します。

デフォルトは NULL です。

可  

任意 

Failover (ブール値)

True の場合、複数のノード上で同時にオンラインにできるグループ内にこの型のリソースを構成することはできません。 デフォルトは、False です。

不可 

任意 

Fini (文字列)

任意のコールバックメソッド。 この型のリソースを RGM 管理の対象外にするとき RGM によって呼び出されるプログラムのパスです。 

不可 

条件付き / 明示 

Init (文字列)

任意のコールバックメソッド。 この型のリソースを RGM 管理対象にするとき RGM によって呼び出されるプログラムのパスです。 

不可 

条件付き / 明示 

Init_nodes (列挙)

指定できる値は、RG_primaries (リソースをマスターできるノードのみ) または RT_installed_nodes (このリソース型がインストールされる全てのノード) のいずれかです。 RGM が InitFiniBootValidate メソッドをコールするノードを示します。

デフォルト値は、RG_primaries です。

不可 

任意 

Installed_nodes (文字配列)

リソースタイプの実行が許可されるクラスタノード名のリスト。 このプロパティは RGM によって自動的に作成されます。 クラスタ管理者は値を設定できます。 RTR ファイル内には宣言できません。  

デフォルトは、すべてのクラスタノードです。 

可 

クラスタ管理者による構成が可能です。 

Max_clients (整数型)

クラスタイベントの通知を受けるように cl_apid デーモンを使用して登録できるクライアントの最大数を制御します。 この数を超えるクライアントによるイベント登録の試行はアプリケーションによって拒否されます。 個々のクライアント登録にはクラスタ上のリソースが使用されるため、このプロパティの値を調整することで、外部クライアントによるクラスタ上のリソース使用を制御することができます。 cl_apid デーモンの詳細は、SUNW.Event(5) のマニュアルページを参照してください。

デフォルトは 1000 です。 

可 

任意 

Monitor_check (文字列)

任意のコールバックメソッド。 障害モニターの要求によってこのリソース型のフェイルオーバーを実行する前に、RGM によって呼び出されるプログラムのパスです。  

不可  

条件付き / 明示 

Monitor_start (文字列)

任意のコールバックメソッド。 この型のリソースの障害モニターを起動するために RGM によって呼び出されるプログラムのパスです。 

不可 

条件付き / 明示 

Monitor_stop (文字列)

Monitor_start が設定されている場合、必須のコールバックメソッドになります。 この型のリソースの障害モニターを停止するために RGM によって呼び出されるプログラムのパスです。

不可 

条件付き / 明示 

各クラスタノード上の Num_resource_ restarts (整数)。

このプロパティは、RGM によって、このノード上のこのリソースに対して過去 n 秒間 (n はリソース Retry_interval プロパティの値) に実行された scha_controlRESTART 呼び出しの回数に設定されます。 リソースタイプが Retry_interval プロパティを宣言していない場合、この型のリソースは Num_resource_restarts プロパティを使用できません。

不可 

照会のみ 

Pkglist (文字配列)

リソースタイプのインストールに含まれている任意のパッケージリスト。  

不可  

条件付き / 明示 

Postnet_stop (文字列)

任意のコールバックメソッド。 このリソースタイプがネットワークアドレスリソース (Network_resources_used) に依存している場合、このネットワークアドレスリソースの Stop メソッドの呼び出し後に RGM によって呼び出されるプログラムのパスを指定します。 このメソッドは、ネットワークインタフェースの停止設定に続いて、必要な STOP アクションを行います。

不可  

条件付き / 明示 

Prenet_start (文字列)

任意のコールバックメソッド。 任意のコールバックメソッド。このリソースタイプがネットワークアドレスリソース(Network_resources_used) に依存している場合、このネットワークアドレスリソースの Start メソッドの呼び出し前に RGM によって呼び出されるプログラムのパスを指定します。 ネットワークインタフェースが起動に構成される前に必要な START アクションを行う必要があります。

不可  

条件付き / 明示 

Resource_type (文字列)

リソースタイプの名前。 現在登録されているリソースタイプ名を表示するには、次のコマンドを使用します。


scrgadm -p
Sun Cluster 3.1 以降のリリースでは、リソースタイプ名にバージョンが含まれます (必須)。

vendor_id.resource_type:version
リソースタイプ名は、RTR ファイル内に指定された 3 つのプロパティVendor_idResource_typeRT_version で構成されます。 scrgadm コマンドでは、区切り文字としてピリオドとコロンを使用します。 リソース型の名前の最後の部分、 RT_version には、RT_version プロパティと同じ値が入ります。 重複を防ぐため、Vendor_id には、リソースタイプの作成元の会社のストックシンボルを使用することをお勧めします。 Sun Cluster 3.1 以前に作成されたリソースタイプ名は次の構文を使用します。

vendor_id.resource_type
デフォルトは空の文字列です。

不可 

必須 

RT_basedir (文字列)

コールバックメソッドの相対パスのを補完するディレクトリパスです。 このパスは、リソースタイプパッケージのインストール場所に設定します。 スラッシュ (/) で開始する完全なパスを指定する必要があります。 すべてのメソッドパス名が絶対パスの場合は、指定しなくてもかまいません。

不可 

必須 (絶対パスでないメソッドパスがある場合) 

RT_description (文字列)

リソース型の簡単な説明です。  

デフォルトは空の文字列です。 

不可  

条件付き 

RT_version (文字列)

Sun Cluster 3.1 以降では、このリソースタイプの実装の必須バージョン文字列。 RT_version は、完全なリソースタイプ名の末尾の部分です。 RT_version プロパティは、Sun Cluster 3.0 まではオプションでしたが、Sun Cluster 3.1 以降では必須です。

不可  

条件付き / 明示 

Single_instance (ブール値)

True の場合、このリソースタイプはクラスタ内に1 つだけ存在できます。 RGM は、同時に 1 つのこのリソースタイプだけに、クラスタ全体に渡っての実行を許可します。

デフォルト値は、False です。

不可 

任意 

Start (文字列)

コールバックメソッド。 この型のリソースを起動するために RGM によって呼び出されるプログラムのパスです。 

不可 

RTR ファイルで Prenet_start メソッドが宣言されていないかぎり必須

Stop (文字列)

コールバックメソッド。 この型のリソースを停止するために RGM によって呼び出されるプログラムのパスです。  

不可  

RTR ファイルで Postnet_stop メソッドが宣言されていないかぎり必須

Update (文字列)

任意のコールバックメソッド。 この型の実行中のリソースのプロパティが変更されたとき RGM によって呼び出されるプログラムのパスです。 

不可 

条件付き / 明示  

Validate (文字列)

任意のコールバックメソッド。 この型のリソースのプロパティ値を検査するために呼び出されるプログラムのパスです。 

不可 

条件付き / 明示  

Vendor_ID (文字列)

Resource_type を参照してください。

不可 

条件付き