Sun Cluster データサービス開発ガイド (Solaris OS 版)

svc_probe() 関数

svc_probe() 関数は、scds_fm_tcp_connect() を呼び出すことによって、指定されたポートとの単純ソケット接続を確立します。 接続に失敗した場合、svc_probe()100 の値を戻して、致命的な障害であることを示します。 接続には成功したが、切断に失敗した場合、svc_probe()50 の値を戻して、部分的な障害であることを示します。 接続と切断の両方に成功した場合、svc_probe()0 の値を戻して、成功したことを示します。

次に、svc_probe() のコードを示します。


int svc_probe(scds_handle_t scds_handle, 
char *hostname, int port, int timeout)
{
   int  rc;
   hrtime_t   t1, t2;
   int    sock;
   char   testcmd[2048];
   int    time_used, time_remaining;
   time_t      connect_timeout;


   /*
    * データサービスを検証するには、port_list プロパティに指定された、
    * XFS データサービスを提供するホスト上にあるポートとのソケット接続
    * を確立する。
    * 指定されたポート上でリスンするように構成されたXFS サービスが接続に
    * 応答した場合、検証が成功したと判断する。probe_timeout プロパティに
    * 設定された期間待機しても応答がない場合、検証が失敗したと判断する。
    */

   /*
    * SVC_CONNECT_TIMEOUT_PCT をタイムアウトの
    * 百分率として使用し、ポートと接続する。
    */
   connect_timeout = (SVC_CONNECT_TIMEOUT_PCT * timeout)/100;
   t1 = (hrtime_t)(gethrtime()/1E9);

   /*
    * 検証機能は、指定されたホスト名とポートを接続する。
    * 接続は、probe_timeout 値の95% に達するとタイムアウトになる。
    */
   rc = scds_fm_tcp_connect(scds_handle, &sock, hostname, port,
       connect_timeout);
   if (rc) {
      scds_syslog(LOG_ERR,
          "Failed to connect to port <%d> of resource <%s>.",
          port, scds_get_resource_name(scds_handle));
      /* 致命的な障害 */
      return (SCDS_PROBE_COMPLETE_FAILURE);
   }

   t2 = (hrtime_t)(gethrtime()/1E9);

   /*
    * 接続にかかる実際の時間を計算する。この値は、
    * 接続に割り当てられた時間を示すconnect_timeout 以下
    * である必要がある。接続に割り当てられた時間をすべて
    * 使い切った場合、probe_timeout に残った値が当該関数に
    * 渡され、切断タイムアウトとして使用される。
    * それ以外の場合、接続呼び出しで残った時間が
    * 切断タイムアウトに追加される。
    *
    */

   time_used = (int)(t2 - t1);

   /*
    * 残った時間(タイムアウトから接続にかかった時間を引いた値) を
    * 切断に使用する。
    */

   time_remaining = timeout - (int)time_used;

   /*
    * すべての時間を使い切った場合、ハードコーディングされた小さな
    * タイムアウト値を使用して、切断しようとする。
    * これによって、fd リークを防ぐ。
    */
   if (time_remaining <= 0) {
      scds_syslog_debug(DBG_LEVEL_LOW,
          "svc_probe used entire timeout of "
          "%d seconds during connect operation and exceeded the "
          "timeout by %d seconds. Attempting disconnect with timeout"
          " %d ",
          connect_timeout,
          abs(time_used),
          SVC_DISCONNECT_TIMEOUT_SECONDS);

      time_remaining = SVC_DISCONNECT_TIMEOUT_SECONDS;
   }

   /*
    * 切断に失敗した場合、部分的な障害を戻す。
    * 理由: 接続呼び出しは成功した。これは、
    * アプリケーションが正常に動作していることを意味する。
    * 切断が失敗した原因は、アプリケーションがハングしたか、
    * 負荷が高いためである。
    * 後者の場合、アプリケーションが停止したとは宣言しない
    * (つまり、致命的な障害を戻さない)。その代わりに、部分的な
    * 障害であると宣言する。この状態が続く場合、切断呼び出しは
    * 再び失敗し、アプリケーションは再起動される。
    */
   rc = scds_fm_tcp_disconnect(scds_handle, sock, time_remaining);
   if (rc != SCHA_ERR_NOERR) {
      scds_syslog(LOG_ERR,
          "Failed to disconnect to port %d of resource %s.",
          port, scds_get_resource_name(scds_handle));
      /* 部分的な障害 */
      return (SCDS_PROBE_COMPLETE_FAILURE/2);
   }

   t2 = (hrtime_t)(gethrtime()/1E9);
   time_used = (int)(t2 - t1);
   time_remaining = timeout - time_used;

   /*
    * 時間が残っていない場合、fsinfo による完全な
    * テストを行わない。その代わりに、
    * SCDS_PROBE_COMPLETE_FAILURE/2 を戻す。これによって、
    * このタイムアウトが続く場合、サーバーは再起動される。
    */
   if (time_remaining <= 0) {
      scds_syslog(LOG_ERR, "Probe timed out.");
      return (SCDS_PROBE_COMPLETE_FAILURE/2);
   }

   /*
    * ポートとの接続と切断に成功した。
    * fsinfo コマンドを実行して、
    * サーバーの状態を完全に検査する。
    * stdout をリダイレクトする。そうでない場合、
    * fsinfo からの出力はコンソールに送られる。
    */
   (void) sprintf(testcmd,
       "/usr/openwin/bin/fsinfo -server %s:%d > /dev/null",
       hostname, port);
   scds_syslog_debug(DBG_LEVEL_HIGH,
       "Checking the server status with %s.", testcmd);
   if (scds_timerun(scds_handle, testcmd, time_remaining,
      SIGKILL, &rc) != SCHA_ERR_NOERR || rc != 0) {

      scds_syslog(LOG_ERR,
         "Failed to check server status with command <%s>",
         testcmd);
      return (SCDS_PROBE_COMPLETE_FAILURE/2);
   }
   return (0);
}

svc_probe() は終了時に、成功 (0)、部分的な障害 (50)、または致命的な障害 (100) を戻します。 xfnts_probe メソッドはこの値を scds_fm_action() に渡します。