Sun Cluster Data Service for SAP liveCache ガイド (Solaris OS 版)

Sun Cluster HA for SAP liveCache の登録と構成

ここでは Sun Cluster HA for SAP liveCache の構成手順について説明します。

Sun Cluster HA for SAP liveCache の拡張プロパティ

表 1–3表 1–4 の拡張プロパティを使用して、リソースを作成します。 次のコマンド行を使用して、リソースを作成するときに拡張プロパティを構成します。


scrgadm -x parameter=value 
リソースを作成済みの場合は、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』の「リソースタイプ、リソースグループ、リソースプロパティの変更」の手順に従って、拡張プロパティを構成します。 拡張プロパティの中には動的に変更できるものがあります。 それ以外の拡張プロパティは、リソースを作成するか無効にするときにしか更新できません。 表 1–3表 1–4 の調整フィールドは、各プロパティをいつ更新できるかを示します。 Sun Cluster のすべてのプロパティの詳細については、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』の「標準プロパティ」を参照してください。

表 1–3 Sun Cluster HA for SAP liveCache (SUNW.sap_xserver) の拡張プロパティ

名前/データタイプ 

説明  

Confdir_List (オプション) 文字列

liveCache ソフトウェアのディレクトリおよびインスタンスのディレクトリ 

デフォルト: /sapdb

範囲:なし

調整:作成時

Independent_Program_Path (オプション) 文字列

SAP xserver システム用の次のプログラムおよびライブラリが格納されているディレクトリへのフルパスです。 

  • データベースソフトウェアのバージョンに依存しないプログラム

  • クライアント実行時環境用のライブラリ

Sun Cluster HA for SAP liveCache は、このプロパティの値によって x_server コマンドへのパスを判断します。 x_server コマンドは、このプロパティが指定するディレクトリの bin サブディレクトリにあります。

範囲:なし

調整:無効時 (When_ disabled)

導入リリース: 3.1 4/04

Monitor_retry_count

障害モニターに許されている PMF 再起動の回数 

 

デフォルト: 4

調整: 任意の時点

Monitor_retry_interval

障害モニターを再起動する間隔 (分単位) 

 

デフォルト: 2

調整: 任意の時点

Probe_timeout

プローブのタイムアウト値 (秒単位)  

 

デフォルト: 120

調整: 任意の時点

Soft_Stop_Pct (オプション) 整数

SIGKILL を使用してすべての SAP xserver プロセスを停止する前に、SAP ユーティリティー x_server stop を使用することによって SAP xserver を停止するための停止タイムアウトの割合。

デフォルト: 50

範囲: 1-100

調整:無効時 (When_ disabled)

Xserver_User (オプション) 文字列

SAP xserver システム管理者のユーザー名 

デフォルト: root

範囲:なし

調整:作成時

表 1–4 Sun Cluster HA for SAP liveCache (SUNW.sap_livecache) の拡張プロパティ

名前/データタイプ 

説明  

Confdir_list (オプション) 文字列

liveCache ソフトウェアのディレクトリおよびインスタンスのディレクトリ 

デフォルト: /sapdb

範囲:なし

調整:作成時

Livecache_name (必須) 文字列

liveCache データベースインスタンスの名前  

デフォルト: なし

範囲:なし

調整:作成時

Monitor_retry_count

障害モニターに許されている PMF 再起動の回数 

 

デフォルト: 4

調整: 任意の時点

Monitor_retry_interval

障害モニターを再起動する間隔 (分単位) 

 

デフォルト: 2

調整: 任意の時点

Probe_timeout

プローブのタイムアウト値 (秒単位)  

 

デフォルト: 90

調整: 任意の時点

Sun Cluster HA for SAP liveCache を登録して構成する

次の手順で、liveCache データベースに対応するフェイルオーバーデータサービスとして Sun Cluster HA for SAP liveCache を、スケーラブルデータサービスとして SAP xserver を構成します。 この手順を実行する前に、データサービスパッケージをインストールしておく必要があります。 最初に Sun Cluster をインストールするときに、Sun Cluster HA for SAP liveCache パッケージをインストールしなかった場合は、Sun Cluster HA for SAP liveCache パッケージのインストール を参照して、データサービスパッケージをインストールしてください。 それ以外の場合は、ここで説明する手順で、Sun Cluster HA for SAP liveCache を構成します。


注意 – 注意 –

同一クラスタに複数の SAP xserver リソースを構成しないでください。SAP xserver は 1 つでクラスタ内の複数の liveCache インスタンスに対応するからです。 同一クラスタ上で複数の SAP xserver リソースを動作させると、SAP xserver リソース間で衝突が発生します。 このような衝突が発生すると、あらゆる SAP xserver リソースが利用できなくなります。 SAP xserver を 2 回起動しようとすると、「 Address already in use」というメッセージが表示されます。


  1. liveCache リソースを収容するクラスタノードの 1 つで、スーパーユーザーになります。

  2. lccluster ファイルを lcinit ファイルと同じ場所にコピーします。


    # cp /opt/SUNWsclc/livecache/bin/lccluster \
    /sapdb/LC-NAME/db/sap
    
    LC-NAME

    liveCache データベースインスタンスの名前 (大文字)

  3. lccluster ファイルを編集し、 put-LC_NAME-hereput-Confdir_list-here の値を指定します。


    注 –

    put-Confidir_list-here の値を指定できるのは、Sun Cluster のバージョン 3.1 に限られます。


    1. lccluster ファイルを開きます。


      # vi /sapdb/LC-NAME/db/sap/lccluster \LC_NAME="put-LC_NAME-here" \
      CONFDIR_LIST="put-Confdir_list-here"

      注 –

      CONFDIR_LIST=”put-Confdir_list-here エントリを使用できるのは、Sun Cluster のバージョン 3.1 だけです。


    2. put-LC_NAME-here に liveCache のインスタンス名を指定します。 liveCache のインスタンス名は、Livecache_Name 拡張プロパティで定義した値です。

      具体例は、手順 c を参照してください。


      LC_NAME="liveCache-instance-name"
      
    3. put-Confdir_list-hereConfidir_list 拡張プロパティの値を指定します。


      注 –

      この手順が必要なのは、Sun Cluster バージョン 3.1 の場合だけです。 それ以前の Sun Cluster を実行している場合は、この手順を省いてください。



      CONFDIR_LIST="liveCache-software-directory"
      

    例:

    liveCache のインスタンス名が LC1 で、なおかつ liveCache ソフトウェアディレクトリが /sapdb の場合、次のように lccluster スクリプトを編集します。


    LC_NAME="LC1"
    CONFDIR_LIST="/sapdb" [Sun Cluster 3.1 version only]
    
  4. liveCache リソースグループに HAStoragePlus リソースを追加します。


    # scrgadm -a -t SUNW.HAStoragePlus
    # scrgadm -a -j livecache-storage-resource -g livecache-resource-group \
    -t SUNW.HAStoragePlus -x filesystemmountpoints=mountpoint,... \
    -x globaldevicepaths=livecache-device-group  -x affinityon=TRUE
    

    注 –

    フェイルオーバーを行うためには、AffinityOn が TRUE に設定され、ローカルファイルシステムが広域ディスクグループ上に存在する必要があります。


    HAStoragePlus リソースの設定手順については、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』を参照してください。

  5. liveCache ストレージリソースを有効にします。


    # scswitch -e -j livecache-storage-resource
    
  6. liveCache データベースのリソースタイプを登録します。


    # scrgadm -a -t SUNW.sap_livecache
    
  7. SAP xserver のリソースタイプを登録します。


    # scrgadm -a -t SUNW.sap_xserver
    
  8. SAP xserver のスケーラブルリソースタイプを作成します。 liveCache が動作する可能性のあるすべてのノードで実行するように SAP xserver を構成します。


    注 –

    liveCache リソースのフェイルオーバー先になりえるすべてのノードで SAP xserver が起動するように、SAP xserver を構成してください。 この構成を実行するには、SAP xserver リソースグループの nodelist パラメータに、liveCache リソースグループの nodelist で指定されたすべてのノードが含まれていなければなりません。 さらに、SAP xserver リソースグループの desired_primariesmaximum_primaries の値を一致させる必要があります。



    # scrgadm -a -g xserver-resource-group \
    -y Maximum_primaries=value \
    -y Desired_primaries=value \
    -h nodelist
    
  9. このスケーラブルリソースグループの中に SAP xserver リソースを作成します。


    # scrgadm -a -j xserver-resource\
     -g xserver-resource-group -t SUNW.sap_xserver 
    

    どのような拡張プロパティがあるかについては、Sun Cluster HA for SAP liveCache の拡張プロパティ を参照してください。

  10. SAP xserver リソースが含まれているスケーラブルリソースグループを有効にします。


    # scswitch -Z -g xserver-resource-group
  11. liveCache のリソースを登録します。


    # scrgadm -a -j livecache-resource -g livecache-resource-group \
    -t SUNW.sap_livecache -x livecache_name=LC-NAME \
    -y resource_dependencies=livecache-storage-resource
    
  12. SAP xserver と liveCache との間にリソースグループの依存関係を設定します。


    # scrgadm -c -g livecache-resource-group \
    -y rg_dependencies=xserver-resource-group
    
  13. liveCache フェイルオーバーリソースグループを有効にします。


    # scswitch -Z -g livecache-resource-group
    
  14. liveCache のフェイルオーバー先となりえるノード上で APO アプリケーションサーバーを実行していますか。

    • 該当しない場合は、これで完了です。

    • 該当する場合は、手順 15 に進んでください。

  15. RGOffload リソースの rg_to_offload リストに、スケーラブル APO アプリケーションサーバーリソースグループがすでに含まれていますか。


    # scrgadm -pvv | grep -i rg_to_offload | grep value:
    
    • 起動した場合は、この手順を終了します。

    • 該当しない場合は、liveCache リソースグループに RGOffload リソースを追加することを検討してください。

      このように構成すると、APO アプリケーションサーバーが実行中のノードに liveCache リソースがフェイルオーバーされた場合、APO アプリケーションサーバーを自動的に停止できます。

      RGOffload リソースの設定手順については、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』を参照してください。