Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)

HAStoragePlus リソースタイプを設定する

HAStoragePlus リソースタイプは Sun Cluster 3.0 5/02 で導入されています。この新しいリソースタイプは、HAStorage と同じ機能を果たし、リソースグループとディスクデバイスグループ間で起動を同期します。 HAStoragePlus リソースタイプには、ローカルファイルシステムを高可用性にするための機能が追加されています。 (ローカルファイルシステムの可用性を高めるための背景情報については、HA ローカルファイルシステムの有効化 を参照してください)。 これら 2 つの機能を両方とも使用するには、HAStoragePlus リソースタイプを設定します。

HAStoragePlus を設定するには、ローカルファイルシステムのパーティションがグローバルディスクグループに存在し、アフィニティスイッチオーバーが有効であり、かつ Sun Cluster 環境がフェイルオーバー用に構成されている必要があります。

次の例では、簡単な NFS サービスを使用して、ローカルにマウントされたディレクトリ /global/local-fs/nfs/export/ からホームディレクトリのデータを共有します。 この例では、次の条件を前提にしています。

  1. クラスタメンバー上でスーパーユーザーになります。

  2. リソースタイプが登録されているかどうかを調べます。

    次のコマンドは、登録されているリソースタイプのリストを出力します。


    # scrgadm -p | egrep Type
    
  3. 必要であれば、リソースタイプを登録します。


    # scrgadm -a -t SUNW.nfs
    

  4. フェイルオーバーリソースグループである nfs-r を作成します。


    # scrgadm -a -g nfs-rg -y PathPrefix=/global/local-fs/nfs
    

  5. タイプ SUNW.LogicalHostname の論理ホストリソースを作成します。


    # scrgadm -a -j nfs-lh-rs -g nfs-rg -L -l log-nfs
    

  6. クラスタに HAStoragePlus リソースタイプを登録します。


    # scrgadm -a -tSUNW.HAStoragePlus
    

  7. タイプ HAStoragePlus のリソース nfs-hastp-rs を作成します。


    # scrgadm -a -j nfs-hastp-rs -g nfs-rg -t SUNW.HAStoragePlus\
    -x FilesystemMountPoints=/global/local-fs/nfs \
    -x AffinityOn=TRUE
    


    注 –

    FilesystemMountPoints 拡張プロパティは、1 つ以上のファイルシステムマウントポイントをリストの形式で指定するために使用できます。 このリストには、ローカルファイルシステムマウントポイントとグローバルファイルシステムマウントポイントの両方を含めることができます。 ブートフラグでのマウントは、グローバルファイルシステムの HAStoragePlus によって無視されます。


  8. リソースグループ nfs-rg をクラスタノード上でオンラインにします。

    このノードは、/global/local-fs/nfs ファイルシステムの実際のグローバルデバイスのパーティション用の稼働系になります。 次に、ファイルシステム /global/local-fs/nfs は当該ノード上にローカルにマウントされます。


    # scswitch -Z -g nfs-rg
    
  9. SUNW.nfs リソースタイプをクラスタに登録します。 タイプ SUNW.nfs のリソース nfs-rs を作成して、リソース nfs-hastp-rs へのリソース依存関係を指定します。

    dfstab.nfs-rs/global/local-fs/nfs/SUNW.nfs に作成されます。


    # scrgadm -a -t SUNW.nfs
    # scrgadm -a -g nfs-rg -j nfs-rs -t SUNW.nfs \
    -y Resource_dependencies=nfs-hastp-rs
    


    注 –

    nfs リソースに依存関係を設定するには、nfs-hastp-rs リソースがオンラインである必要があります。


  10. リソース nfs-rs をオンラインにします。


    # scswitch -Z -g nfs-rg
    

注意 – 注意 –

切り替えは、リソースグループレベルに限定して行なってください。 デバイスグループレベルで切り替えを行うと、リソースグループが混乱し、フェイルオーバーが発生します。


これで、サービスを新しいノードに移行するときには常に、/global/local-fs/nfs 用のプライマリ入出力パスはオンラインになり、NFS サーバーに配置されます。 ファイルシステム /global/local-fs/nfs は NFS サーバーが起動する前にローカルにマウントされます。