クラスタが起動した後、あるいは、サービスが別のノードにフェイルオーバーした後、グローバルデバイスとクラスタファイルシステムが利用できるようになるまでには、しばらく時間がかかることがあります。ただし、データサービスは、データサービスが依存する広域デバイスとクラスタファイルシステムがオンラインになる前に、START メソッドを実行できます。この例では、START メソッドがタイムアウトするため、データサービスが使用するリソースグループの状態をリセットし、データサービスを手動で再起動する必要があります。リソースタイプ HAStorage と HAStoragePlus は、広域デバイスとクラスタファイルシステムを監視し、同じリソースグループ内のほかのリソースが利用可能になるまでそれらの START メソッドを待機させます(どのリソースタイプを作成するかを決定するには、「HAStorage または HAStoragePlus の選択」 を参照してください)。このような追加の管理作業を軽減するには、グローバルデバイスやクラスタファイルシステムに依存するデータサービスリソースを持つすべてのリソースグループに、HAStorage または HAStoragePlus を設定してください。
HAStorage リソースタイプの作成については、「新しいリソース用に HAStorage リソースタイプを設定する」を参照してください。
HAStoragePlus リソースタイプの作成については、「HAStoragePlus リソースタイプを設定する」を参照してください。
HAStorage は、今後の Sun Cluster でサポートされなくなる可能性があります。同等の機能が HAStoragePlus でサポートされています。HAStorage から HAStoragePlus へアップグレードするには、「HAStorage から HAStoragePlus へのアップグレード」を参照してください。
次の例では、リソースグループ resource-group-1 は、次の 3 つのデータサービスを含んでいます。
Sun Java System Web Server (/global/resource-group-1 に依存する)
Oracle (/dev/global/dsk/d5s2 に依存する)
NFS (dsk/d6 に依存する)
新しいリソースに対し、HAStorage リソースの hastorage-1 を resource-group-1 に作成するには、「リソースグループとディスクデバイスグループ間での起動の同期」 を読み、その後次の手順を実行します。
HAStoragePlus リソースタイプを作成するには、「高可用性ローカルファイルシステムの有効化」を参照してください。
クラスタメンバー上でスーパーユーザーになります。
リソースグループ resource-group-1 を作成します。
# scrgadm -a -g resource-group-1 |
リソースタイプが登録されているかどうかを調べます。
次のコマンドは、登録されているリソースタイプのリストを出力します。
# scrgadm -p | egrep Type |
必要であれば、リソースタイプを登録します。
# scrgadm -a -t SUNW.HAStorage |
HAStorage リソースである hastorage-1 を作成し、サービスパスを定義します。
# scrgadm -a -j hastorage-1 -g resource-group-1 -t SUNW.HAStorage \ -x ServicePaths=/global/resource-group-1,/dev/global/dsk/d5s2,dsk/d6 |
ServicePaths には、次の値を含むことができます。
広域デバイスグループ名 (例:nfs-dg)
広域デバイスのパス (例:/dev/global/dsk/d5s2 または dev/d6)
クラスタファイルシステムのマウントポイント (例:/global/nfs)
ServicePaths にクラスタファイルシステムパスが含まれる場合、広域デバイスグループはそれらに対応するリソースグループと共に使用されない場合があります。
hastorage-1 リソースを有効にします。
# scswitch -e -j hastorage-1 |
リソース Sun Java System Web Server、Oracle、NFS を resource-group-1 に追加し、これらの依存性を hastorage-1 に設定します。
たとえば、Sun Java System Web Server の場合、次のコマンドを実行します。
# scrgadm -a -j resource \-g resource-group-1 -t SUNW.iws \ -x Confdir_list=/global/iws/schost-1 -y Scalable=False \ -y Network_resources_used=schost-1 -y Port_list=80/tcp \ -y Resource_dependencies=hastorage-1 |
リソースの依存性を正しく構成したかを確認します。
# scrgadm -pvv -j resource | egrep strong |
resource-group-1 を MANAGED 状態に設定し、オンラインにします。
# scswitch -Z -g resource-group-1 |
HAStorage リソースタイプは、別の拡張プロパティ (AffinityOn) を含みます。この拡張プロパティは、HAStorage が ServicePaths で定義されている広域デバイスおよびクラスタファイルシステムの類似性スイッチオーバーを実行する必要があるかどうかを指定するブール値です。詳細は、SUNW.HAStorage(5) のマニュアルページを参照してください。
リソースグループがスケーラブルの場合、HAStorage と HAStoragePlus は AffinityOn が TRUE に設定されることを許可しません。スケーラブルリソースグループについては、HAStorage と HAStoragePlus は AffinityOn 値をチェックし、この値を内部的に FALSE に設定し直します。
HAStorage は、今後の Sun Cluster でサポートされなくなる可能性があります。同等の機能が HAStoragePlus でサポートされています。HAStorage から HAStoragePlus へアップグレードするには、「HAStorage から HAStoragePlus へのアップグレード」を参照してください。
既存のリソースのために HAStorage リソースを作成するには、「リソースグループとディスクデバイスグループ間での起動の同期」を読み、その後以下の作業を行なってください。
リソースタイプが登録されているかどうかを調べます。
次のコマンドは、登録されているリソースタイプのリストを出力します。
# scrgadm -p | egrep Type |
必要であれば、リソースタイプを登録します。
# scrgadm -a -t SUNW.HAStorage |
HAStorage リソースである hastorage-1 を作成します。
# scrgadm -a -g resource-group -j hastorage-1 -t SUNW.HAStorage \ -x ServicePaths= … -x AffinityOn=True |
hastorage-1 リソースを有効にします。
# scswitch -e -j hastorage-1 |
必要に応じて既存の各リソースについて依存性を設定します。
# scrgadm -c -j resource -y Resource_Dependencies=hastorage-1 |
リソースの依存性を正しく構成したかを確認します。
# scrgadm -pvv -j resource | egrep strong |