Sun Cluster Data Service for SAP Web Application Server ガイド (Solaris OS 版)

SAP Enqueue Server リソース型に対する障害モニターの動作

SAP enqueue server と SAP replica server が正しく動作しているかどうかを調べるには、SAP enqueue server リソース型の障害モニターは、これらのリソースを定期的に検証します。

検証では、SAP ユーティリティー ensmon を使用して、SAP enqueue server と SAP replica server の健全性を検査します。


# ensmon -H localhost -S port   option
-H localhost

ホストの名前が localhost であることを指定します。

-S port

エンキューポートを指定します。

option

検証で検査するリソースを指定します。このオプションの値は次のとおりです。

  • 1 – SAP enqueue server のみを検査

  • 2 – SAP enqueue server と SAP replica server の両方を検査

このコマンドがコマンド行で実行されると、リターンコードがコマンド行に返されます。

検証中、障害モニターはまず、引数 option を 2 に設定して ensmon コマンドを実行し、SAP enqueue server と SAP replica server が両方オンラインになっているかどうかを調べます。


# ensmon -H localhost -S port   2

このコマンドの結果によって、次のように検証の処理が決まります。

  1. コマンドがタイムアウトになった場合、SAP enqueue server 障害モニターは、オプションを 1 に設定して ensmon コマンドを実行し、SAP enqueue server だけがオンラインになっているのかどうかを検査します。


    # ensmon -H localhost -S port   1
    
    • このコマンドがタイムアウトになった場合、SAP enqueue server は部分障害となります。このタイムアウトが検証間隔期間内にもう一度発生すると、フェイルオーバーが発生します。

    • このコマンドの実行に成功した場合、SAP enqueue server 障害モニターは警告メッセージを記録し、SAP enqueue server はオンラインで、SAP replica server の状態は不明であることを示します。

    • このコマンドによってシステムエラーが発生した場合、SAP enqueue server は比較的深刻ではない部分障害を生じます。システムエラーが検証間隔期間内にあと 3 回発生すると、フェイルオーバーが発生します。

    • その他の失敗に対してはすべて、SAP enqueue server がフェイルオーバーを開始します。

  2. このコマンドがタイムアウトにならない場合、検証は、ensmon コマンドからのリターンコードの値を次のように検査します。

    • リターンコード値 0 は、コマンドが成功し、次の検証まで追加処理は行われないことを示します。

    • リターンコード値 4 は、エンキューが実行中で複製が構成されており、複製が実行されていないことを示します。検証は、複製が実行されていないことを示す警告メッセージを記録します。

    • リターンコード値 8 は、エンキューサーバーが実行されておらず、検証によってフェイルオーバーが開始されたことを示します。

    • リターンコード値 12 は、コマンドのパラメータが無効で、検証によってフェイルオーバーが開始されたことを示します。

    • すべてのリターンコードは、部分障害として処理されます。このような障害が検証間隔期間内にあと 3 回発生すると、フェイルオーバーが発生します。

タイムアウト回数と検証間隔期間は、SAP enqueue server 障害モニターによって割り当てられます。これらの値は変更できません。