Sun Cluster のシステム管理 (Solaris OS 版)

定足数デバイスの追加

この節では、定足数デバイスを追加する手順について説明します。クラスタに必要な定足数投票数を確認する方法、推奨される定足数構成、障害回避などについては、『Sun Cluster の概念 (Solaris OS 版)』「定足数と定足数デバイス」を参照してください。

Sun Cluster は、2 種類の定足数デバイス、SCSI と Network Appliance (NetApp) NAS をサポートします。これらのデバイスを追加する方法については、次の節で説明しています。

これらの作業は、SunPlex Manager GUI を使用しても実行できます。詳細については、SunPlex Manager のオンラインヘルプを参照してください。

以下の作業で使用されているコマンドの詳細は、scsetup(1M)scconf(1M) のマニュアルページを参照してください。

ProcedureSCSI 定足数デバイスを追加する

この手順を実行するには、ノードが共有するデバイス ID (DID) によりディスクドライブを確認します。scdidadm コマンドを使用して、DID 名の一覧を参照します。詳細については、scdidadm(1M) のマニュアルページを参照してください。

手順
  1. クラスタ内の任意のノード上でスーパーユーザーになります。

  2. scsetup ユーティリティーを起動します。


    # scsetup
    

    scsetup のメインメニューが表示されます。

  3. 定足数のオプションに対応する番号を入力します。

    「定足数メニュー」が表示されます。

  4. 定足数デバイスを追加するオプションに対応する番号を入力し、定足数デバイスを追加するかを確認するメッセージが表示されたら「yes」と入力します。

    追加する定足数デバイスの種類を確認するメッセージが表示されます。

  5. SCSI 定足数デバイスのオプションに対応する番号を入力します。

    どの広域デバイスを使用するかを確認するメッセージが表示されます。

  6. 使用している広域デバイスを入力します。

    指定した広域デバイスに新しい定足数デバイスを追加するか確認を求めるメッセージが表示されます。

  7. yes」と入力し、新しい定足数デバイスの追加を続行します。

    新しい定足数デバイスが正常に追加されると、その影響についてのメッセージが表示されます。

  8. 定足数デバイスが追加されていることを確認します。


    # scstat -q
    
  9. 記憶装置を共有する各ノードグループについて、手順 3 から 手順 8 を繰り返します。


例 5–1 SCSI 定足数デバイスの追加

次の例は、SCSI 定足数デバイスを追加する際に scsetup コマンドによって生成される scconf コマンドと、検証ステップを示しています。


クラスタの任意のノード上でスーパーユーザーになる

[scsetup ユーティリティーを実行する:]
# scsetup
「定足数」を選択し、次に「定足数デバイスを追加する」を選択する.
SCSI デバイスを選択する
使用している広域デバイスを入力する
d20
「yes」と入力し、新しい定足数デバイスの追加を続行する

yes
[scconf コマンドが正常に終了したことを確認する:]
 
scconf -a -q globaldev=d20
 
    コマンドの実行が正常に終了しました
scsetup の「定足数」メニューとメインメニューを終了する
[定足数デバイスが追加されたことを確認する:]
# scstat -q
 
-- 定足数の概要 --
 
  可能な定足数投票数:  4
  必要な定足数投票数:  3
  現在の定足数投票数:  4
 
-- ノードによる定足数の投票数 --
 
                    ノード名           現在の数 可能な数 状態
                    ---------           ------- -------- ------
  ノードの投票数:       phys-schost-1       1        1       Online
  ノードの投票数:       phys-schost-2       1        1       Online
 
-- デバイスによる定足数の投票数 --
 
                 デバイス名         現在の数 可能な数 状態
                 -----------         ------- -------- ------
  デバイスの投票数:  /dev/did/rdsk/d20s1  1        1       Online
  デバイスの投票数:  /dev/did/rdsk/d20s2  1        1       Online

ProcedureNetwork Appliance ネットワーク接続ストレージ (NAS) 定足数デバイスを追加する

次に、Network Appliance (NetApp) ネットワーク接続ストレージ (NAS) デバイスを定足数デバイスとして使用する場合の要件を示します。

Network Appliance NAS デバイスと LUN の構築と設定については、以下の Network Appliance NAS マニュアルを参照してください。これらのマニュアルは、http://now.netapp.com で利用できます。

Sun Cluster 環境で NetApp NAS ストレージデバイスをインストールする方法については、Sun Cluster のマニュアル『Sun Cluster 3.1 With Network-Attached Storage Devices Manual for Solaris OS』を参照してください。

手順
  1. すべての Sun Cluster ノードがオンライン状態であり、クラスタ化された NetApp ファイラと通信が行えることを確認します。

  2. クラスタ内の任意のノード上でスーパーユーザーになります。

  3. scsetup ユーティリティーを起動します。


    # scsetup
    

    scsetup のメインメニューが表示されます。

  4. 定足数のオプションに対応する番号を入力します。

    「定足数メニュー」が表示されます。

  5. 定足数デバイスを追加するオプションに対応する番号を入力し、定足数デバイスを追加するかを確認するメッセージが表示されたら「yes」と入力します。

    追加する定足数デバイスの種類を確認するメッセージが表示されます。

  6. netapp_nas 定足数デバイスのオプションに対応する番号を入力し、netapp_nas 定足数デバイスを追加するかを確認するメッセージが表示されたら「yes」と入力します。

    新しい定足数デバイスの名前を入力するようにメッセージが表示されます。

  7. 追加する定足数デバイスの名前を入力します。

    定足数デバイスの名前は任意に選択できます。この名前は、今後の管理コマンドの処理だけに使用されるものです。

    新しい定足数デバイスのファイラの名前を入力するようにメッセージが表示されます。

  8. 新しい定足数デバイスのファイラの名前を入力します。

    この名前には、ネットワークアクセスが可能なファイラ名またはファイラのアドレスを指定してください。

    ファイラの LUN ID を指定するようにメッセージが表示されます。

  9. ファイラの定足数デバイス LUN の ID を入力します。

    ファイラに新しい定足数デバイスを追加するか確認を求めるメッセージが表示されます。

  10. yes」と入力し、新しい定足数デバイスの追加を続行します。

    新しい定足数デバイスが正常に追加されると、その影響についてのメッセージが表示されます。

  11. 定足数デバイスが追加されていることを確認します。


    # scstat -q
    
  12. 記憶装置を共有する各ノードグループについて、手順 4 から 手順 11 を繰り返します。


例 5–2 NetApp NAS 定足数デバイスの追加

次の例は、NetApp NAS 定足数デバイスを追加する際に scsetup コマンドによって生成される scconf コマンドと、検証手順を示しています。


すべての Sun Cluster ノードがオンライン状態で、クラスタ化された NetApp ファイラと通信が可能であることを確認する

クラスタの任意のノード上でスーパーユーザーになる
[scsetup ユーティリティーを実行する:]
# scsetup
「定足数」を選択し、次に「定足数デバイスを追加」を選択する.
Netapp_nas 定足数デバイスを選択する
追加する定足数デバイスの名前を入力する

qd1
新しい定足数デバイスのファイラの名前を入力する

nas1.sun.com
ファイラの定足数デバイス LUN の ID を入力する
0
「yes」と入力し、新しい定足数デバイスの追加を続行する

yes
[scconf コマンドが正常に終了したことを確認する:]
 
scconf -a -q name=qd1,type-=netapp_nas,filer=nas1.sun.com,lun_id=0
 
    コマンドは正常に完了しました。
>scsetup の「定足数」メニューとメインメニューを終了する
[定足数デバイスが追加されたことを確認する:]
# scstat -q
 
-- 定足数の概要 --
 
  可能な定足数投票数:  5
  必要な定足数投票数:  3
  現在の定足数投票数:  5
 
-- ノードによる定足数の投票数 --
 
                    ノード名           現在の数 可能な数 状態
                    ---------           ------- -------- ------
  ノードの投票数:       phys-schost-1       1        1       Online
  ノードの投票数:       phys-schost-2       1        1       Online
 
-- デバイスによる定足数の投票数 --
 
                   デバイス名         現在の数 可能な数 状態
                   -----------         ------- -------- ------
 デバイスの投票数:     qd1                  1        1       Online
 デバイスの投票数:     /dev/did/rdsk/d3s2   1        1       Online
 デバイスの投票数:     /dev/did/rdsk/d4s2   1        1       Online