Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)

データ複製の構成ガイドライン

この節では、クラスタ間でのデータ複製を構成するためのガイドラインについて説明します。 また、複製リソースグループとアプリケーションリソースグループの構成のコツも紹介します。これらのガイドラインは、クラスタのデータ複製を構成する際に使用してください。

この節の内容は次のとおりです。

複製リソースグループの構成

複製リソースグループは、デバイスグループと論理ホスト名リソースを一緒に、Sun StorEdge Availability Suite ソフトウェアの制御下に置きます。複製リソースグループには、次の特徴があります。

アプリケーションリソースグループの構成

高可用性を実現するためには、アプリケーションをアプリケーションリソースグループのリソースとして管理する必要があります。アプリケーションリソースグループは、フェイルオーバーアプリケーションまたはスケーラブルアプリケーション向けに構成できます。

主クラスタ上に構成したアプリケーションリソースとアプリケーションリソースグループは、二次クラスタ上でも構成される必要があります。また、アプリケーションリソースがアクセスするデータは、二次クラスタに複製する必要があります。

この節では、次のアプリケーションリソースグループを構成するためのガイドラインを紹介します。

フェイルオーバーアプリケーション向けのリソースグループの構成

フェイルオーバーアプリケーションでは、1 つのアプリケーションが 1 度に 1 ノード上で動作します。ノードで障害が発生すると、アプリケーションは同じクラスタ内の別のノードにフェイルオーバーします。フェイルオーバーアプリケーション向けリソースグループは、以下の特徴を持っていなければなりません。

フェイルオーバーアプリケーションでのアプリケーションリソースグループと複製リソースグループの構成を下図に示します。

図 6–4 フェイルオーバーアプリケーションでのリソースグループの構成

フェイルオーバーアプリケーションでのアプリケーションリソースグループと複製リソースグループの構成を示す図

スケーラブルアプリケーション向けのリソースグループの構成

スケーラブルアプリケーションでは、アプリケーションは複数のノードで実行されて、1つの論理サービスを作成します。スケーラブルアプリケーションを実行しているノードで障害が発生しても、フェイルオーバーは起こりません。アプリケーションは別のノードで引き続き実行されます。

スケーラブルアプリケーションをアプリケーションリソースグループのリソースとして管理している場合は、アプリケーションリソースグループをデバイスグループと結び付ける必要はありません。したがって、アプリケーションリソースグループ向けに HAStoragePlus リソースを作成する必要はありません。

スケーラブルアプリケーション向けリソースグループは、以下の特徴を持っていなければなりません。

スケーラブルアプリケーションでのリソースグループの構成を下図に示します。

図 6–5 スケーラブルアプリケーションでのリソースグループの構成

スケーラブルアプリケーションでのリソースグループの構成を示す図

フェイルオーバーまたはスイッチオーバーの管理ガイドライン

主クラスタで障害が発生した場合、できるだけ速やかにアプリケーションを二次クラスタにスイッチオーバーする必要があります。二次クラスタがテイクオーバーできるようにするには、DNS を更新する必要があります。

DNS は、クライアントをアプリケーションの論理ホスト名に関連付けます。フェイルオーバーまたはスイッチオーバーの後、主クラスタへの DNS マッピングを削除し、二次クラスタへの DNS マッピングを作成します。DNS がどのようにクライアントをクラスタにマッピングするかを下図に示します。

図 6–6 クライアントからクラスタへの DNS マッピング

DNS がどのようにクライアントをクラスタにマッピングするかを示す図

DNS を更新するには、nsupdate コマンドを使用します。詳細は、nsupdate(1M) のマニュアルページを参照してください。フェイルオーバーまたはスイッチオーバーを管理する例については、「フェイルオーバーまたはスイッチオーバーの管理例」を参照してください。

修復後は、主クラスタをオンラインに戻すことができます。元の主クラスタにスイッチバックするには、次の手順を実行します。

  1. 主クラスタと二次クラスタを同期させ、主ボリュームが最新のものであることを確認します。

  2. クライアントが主クラスタのアプリケーションにアクセスできるように、DNS を更新します。